

【Sustainability and TDK】
COP26セッション - 電子部品は、製品のCO₂削減にどれだけ貢献できるのか?

TDKは、2021年に開催されたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)の会場外において、株式会社日立製作所(以下、日立製作所)主催の調達パートナーセッションに登壇しました。セッションでは、TDKが取り組んでいる、サプライチェーンにおけるCO₂排出削減貢献活動の紹介を行いました。

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電子部品の使用時におけるCO₂削減を定量化
2021年11月、英国グラスゴーで「気候変動枠組条約」に加盟する197の国が気候変動についての議論を行うCOP26が開催されました。会期中、COP26 Principal Partnerである日立製作所が主催するオンラインセッションにおいて、TDKは近年全社で強化している気候変動への取り組みや環境施策、また、製品使用時におけるCO2削減活動への取り組みを評価され、先進的な事例として紹介されました。セッションでは、TDKが2011年から行っている「電子部品における製品使用時のCO2削減の効果を定量化する活動」についてプレゼンテーションを行いました。
TDK株式会社サステナビリティ推進本部・安全環境グループ ゼネラルマネージャーの桑島哲哉はオンラインセッションで、TDKの環境活動の意義を次のように紹介しました。「TDKは電子部品メーカーとして、サプライチェーン全体のCO₂排出量を特定し、削減するための仕組みづくりが必要だと考えています。TDKは、創業時からのポリシーに基づき、社会での製品使用時に関するCO₂削減活動を重要事項として取り組んでまいりました」。

TDK独自の「製品貢献」というコンセプトとは
TDKでは、2011年より「製品貢献」というコンセプトを掲げ、製品のエネルギー削減効果を評価・算出する活動に取り組んでいます。当時は、電子部品メーカーの環境活動といえば、自社の活動による環境負荷を抑えることが中心でしたが、2016年にTDKはグループの環境計画である「TDK環境ビジョン2035」を策定し、「調達」「開発・製造」「輸送」「使用」「廃棄」など製品のライフサイクル全体での環境負荷の削減を進めることを目指しています。
TDKが開発・製造する電子部品は、ムダ熱とノイズの最小化によってエネルギー消費を抑え、また小型化によって最終的な製品のCO₂排出削減に貢献しています。しかし、その効果を定量的に検証することは困難でした。製品使用時におけるCO₂排出削減量を計算する手法について桑島GMは説明します。
「電子部品のセット製品使用時のCO₂排出削減への貢献量を、私たちは『製品貢献』と呼んでいます。使用時のCO₂排出削減量を算定するために、まずベンチマークとなる製品に対して新製品が果たすエネルギー削減量を計算します。次に、その削減量にCO₂換算係数を掛け、最後に部品の販売数量を掛けることによって、トータルのCO₂削減量を算出します。この手法についてTDKではガイドラインを制定し、第三者機関によっても確認いただいています」。
「製品貢献量」の算定方法

年間263万トンのCO₂排出量を削減
上記の手法によって、TDKでは産業分野ごとに、電子部品を通じた最終製品のCO₂削減量を算出しています。「2020年の実績として、自動車分野では、電子部品の小型化によって、25万3千トンのCO₂を削減し、ムダ熱とノイズの低減による高効率化によって、ICT分野では84万6千トン、産業機器・家庭用機器の分野では153万1千トンのCO₂削減を達成しました。合計では私たちのScope3における使用時の排出量中の26%にあたる、263万トンのCO₂排出量を削減しました」(桑島GM)。
TDKでは2011年の活動開始以来、年々CO₂排出削減量を増やしています。2020年度には2014年度の約2倍の削減量に達しています。
各分野でのCO₂排出削減量(2020年度実績)

製品貢献活動の今後の課題として、桑島GMは次のように話します。「TDKでは、使用時におけるCO₂排出削減量を算定し、社会での排出量の削減に努めてまいりました。将来カーボンニュートラルを達成するためには、私たちは、排出量算定についての情報を自社以外とも共有し、Scope3全体(原材料調達、製造、輸送、販売、廃棄など)で管理し、サプライチェーン全体での課題として取り組むことが重要だと考えております」。
技術的取り組みがライフサイクルへ与える影響

