経営方針
会社の経営の基本方針
当社は、東京工業大学で発明された磁性材料フェライトの工業化を目的としたベンチャー企業として、1935年に設立されました。社是である「創造によって文化、産業に貢献する」という創業の精神に基づき、素材・プロセス技術の先鋭化と市場ニーズに応える新製品開発を進めるとともに、M&Aの活用、外部との協業などを積極的に行いながら、グローバル化・多角化を進めてまいりました。その結果、受動部品、センサ応用製品、磁気応用製品及びエナジー応用製品を主要事業として展開しております。
今後も、常に新しい発想とたゆまぬチャレンジ精神を持ち、グループ各社それぞれの強みを活かしつつグループ全体の力を結集することにより、株主、顧客、取引先、従業員、地域社会などすべてのステークホルダーに対し、より高い価値を創造し続ける活力あふれる企業であり続けたいと考えております。
目標とする経営指標
当社グループは経営の基本方針を具現化してゆくため、具体的に次の項目を指標として事業活動を展開しております。
(基本となる重要経営指標)
* TVA (TDK Value Added)
TVAは事業活動によって企業が新たに創造した付加価値を計る指標であり、経営上の重要判断指標として採用しております。
- TVAとは当社グループ独自の付加価値指標で、利払前税引後利益と各事業の事業用資産に対し最低限求められる収益(株主資本コスト)を比較する指標です。
(環境を管理する指標)
* 二酸化炭素排出量削減目標
当社グループが地球環境との共生を推進するための環境活動における行動計画として、二酸化炭素排出量の削減目標を設定しております。
中長期的な会社の経営戦略
エレクトロニクスを取り巻く環境は、大きな変革期を迎えており、化石燃料から再生可能エネルギーをベースとする社会への転換(エネルギートランスフォーメーション、EX)及びIoTやAI(人工知能)といったデジタル技術が社会のあらゆる領域に浸透することによりもたらされる変革(デジタルトランスフォーメーション、DX)が始まっております。
当社グループは、このような社会環境の変化を、新たな社会貢献と事業成長の機会と捉えて、2022年3月期を初年度とする中期3か年計画(中期計画)を策定いたしました。DXに対しては、高速通信ネットワーク、センサ、自動運転、ロボット用の製品等の供給を通じてデジタル技術による社会の変革に貢献してまいります。EXに対しては、高効率なエネルギー社会の実現に必要なエネルギーの蓄電、変換、制御に関わる製品や、電気自動車や再生可能エネルギー関連の製品等の供給により脱炭素社会の推進に貢献してまいります。
中期計画では、社会課題を解決し持続可能な社会の実現に貢献する「社会的価値」を基点として、社会に対して価値ある製品を提供し続ける「成長戦略」、そして効率的な経営を追求する「資本効率」という3つの柱をサイクルで回していくことにより企業価値の創出を図ってまいります。当社は「社会的価値」を経営計画の基点に位置付けており、2015年国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」も踏まえて、当社グループが最優先で取り組むべき経営課題として「TDKグループのマテリアリティ(重要課題)」を決定いたしました。この「TDKグループのマテリアリティ」では 、EX、DXを注力すべき事業領域と定め、また、企業成長の基盤として取り組むべきマテリアリティとして、「品質管理」、「人材マネジメント」、「サプライチェーンマネジメント」、「オポチュニティ&リスクマネジメント」、「権限委譲と内部統制の追求」、「資産効率の向上」を設定いたしました。
このマテリアリティと中期計画は社会的価値を基点とする一体的な取り組みであり、社会的価値、成長戦略、資本効率からなる価値創造サイクルを循環させ、持続可能な社会への貢献と企業価値の向上を実現してまいります。
会社の対処すべき課題
新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大は、社会構造や産業構造を大きく変えています。この変化は感染が収束したとしても止まることはなく、「新定常」として定着するものと考えます。これは、当社グループを取り巻く環境にも大きな変化をもたらす可能性があります。
しかしながら、このような社会構造・産業構造の変化の中にあっても、エレクトロニクス市場においては、EXやDXの潮流は拡大し、当社グループの事業領域に新たな市場の創造をもたらすことも見込まれます。例えば、EXにおいては再生可能エネルギーや電気自動車の普及、DXにおいては5Gの普及、自動車におけるADAS(先進運転支援システム)の実用化、IoT・ウェアラブル製品やクラウドサービスのさらなる普及等が、当社グループにおける大きな成長機会であると捉えております。これらの大きな変化に乗り遅れることなく、成長機会を確実に捉えるため、積極的な研究・技術開発を行い、競争力を持つ新製品のタイムリーな投入と需要に応じた生産能力の拡大を行ってまいります。
成長を実現するために、マテリアリティとして設定した「品質管理」、「人材マネジメント」、「サプライチェーンマネジメント」、「オポチュニティ&リスクマネジメント」、「権限委譲と内部統制の追求」、「資産効率の向上」の課題の取り組みが重要となってまいります。
例えば「資産効率の向上」の一環としてグループの事業ポートフォリオの見直し・再構築に取り組んでおります。また、成長を支える根本は人です。日本人以外の従業員が9割を超える当社グループは、人材の多様さと豊富さが競争力の源泉の一つですが、才能ある人材を惹きつけ、確保するための「人材マネジメント」の各種施策にも継続的に取り組んでおります。