中期経営計画
2025年3月期から始まる、中期経営計画の概要をご紹介します。
- 社長としての私のコミットメント
- 長期ビジョンと重要課題(マテリアリティ)の設定
- 中期経営計画の位置づけ
- 中期経営計画のポイント
- 財務・未財務KPI
- セグメント別ROICの向上
- キャピタル・アロケーション方針
- 価値創造を支える未財務資本
- 関連資料(説明会資料・統合報告書)
社長としての私のコミットメント
- 10年後のありたい姿(長期ビジョン)を策定しました。10年後のありたい姿からバックキャストし、企業価値を向上させます。
- 材料×プロセス×ソフトウェア技術でお客様のNo.1パートナーとなり、社会のサステナブルな未来のために社会の変革を加速させます。
- 事業ポートフォリオマネジメントを強化し、ROIC・WACCスプレッドを高め、キャッシュフロー拡大と資本効率を改善させ、財務資本を高める経営を強化します。
- フェライトツリーを進化させ、将来キャッシュフローの源泉である未財務資本を高める経営を強化します。
- 投資家の皆さまとの対話・IRを強化します。
2024年5月
代表取締役社長執行役員CEO
齋藤 昇
長期ビジョンと重要課題(マテリアリティ)の設定
以下のリンク先をご参照ください。
中期経営計画の位置づけ
2025年3月期から始まる中期経営計画は、長期ビジョンを実現するための3年間の活動計画として、長期ビジョンからバックキャストする形で策定しました。
この長期ビジョンの実現に向け、今回の中期経営計画期間は事業基盤強化の期間と位置づけています。この期間内で達成すべき課題は、主力事業の収益力強化、課題事業への対処だと考えています。
中期経営計画のポイント
企業価値向上のためには、フリー・キャッシュ・フロー(FCF)創出の最大化、資本コストの低減、期待成長率の向上が重要であると考えています。
この考えにもとづき、事業基盤の強化に向けた期間となる新中期経営計画においては、
①キャッシュ・フロー経営の強化
②事業ポートフォリオマネジメントの強化(ROIC経営の強化)
③フェライトツリーの進化(未財務資本の強化)
を3本柱としました。
財務・未財務KPI
2024年3月期 | 2027年3月期 | ポートフォリオ変革による 中長期で目指す姿 |
|||
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財務指標 | 成長性 | 売上高 [億円](年率換算成長率) | 21,039 | 25,000(約5%) | (10%以上) |
効率性 | ROE | 7.9% | 10%以上 | 15%以上 | |
ROIC(事業ROA)(>WACC) | 5.3%(<7.0%) | 8%以上 | 12%以上 | ||
営業利益率 | 8.2% | 11%以上 | 15%以上 | ||
財務健全性 | 株主資本比率 | 50% | 50%水準 | ||
D/Eレシオ | 0.4倍 | 0.3~0.4倍 | |||
未財務指標 | 重要KPI | チームメンバー・エンゲージメント調査 | |||
・コミュニケーションスコア | 67pt | 75pt以上 | |||
・サーベイ参加率 | 80% | 80%以上 | |||
CO2排出量削減 (SBTi Scope1+2、2022年3月期対比)※ |
42.9% | 23.3% | 42.0% | ||
為替前提 | 144円/US$ | 135円/US$ | 135円/US$ |
※SBTiは、企業が科学的に根拠のある環境目標を設定することを支援しているイニシアチブです。パリ協定で示された「世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5℃以内に抑える」という目標の達成に向け、SBTiは企業が目標設定の際に使用できる基準を提供しています。当基準に基づき算定された段階的に必要なCO2排出量削減率を2027年3月期目標値として定めておりますが、2024年3月期において先行して達成する見通しとなりました。これは、再生可能エネルギー(Scope2)の積極的導入推進によるものですが、中期経営計画において大幅な増産や拠点拡大を計画しており、現時点では目標値は妥当と判断しております。なお、2024年3月期実績は概算値となります。当社は、SBTiによるSBT認定を2024年6月に取得しました。
セグメント別ROICの向上
セグメント別ROIC※1の目標値および実績値を開示することで、資本収益性をより重視していくとともに、投資家の皆様との対話においても、各事業の資本収益性に基づいた、より具体的な議論をしていきたいと考えています。
磁気応用製品やセンサ応用製品は、中長期的には収益性向上に向けた施策をさらに進めることで、ミニマムハードルレート10%※2を越えることを目標にしていきます。
各セグメントのROIC(事業ROA)
2021年 3月期 |
2024年 3月期 |
2027年 3月期(目標) |
|
---|---|---|---|
全社 | 5.2% | 5.3% | 8.0% |
受動部品 | ― | 7.7% | 15.0% |
センサ応用製品 | ― | 1.2% | 8.0% |
磁気応用製品 | ― | -12.2% | 4.0% |
エナジー応用製品 | ― | 21.5% | 18.0% |
- ※1:ROIC=税引後・全社費用配賦前の事業営業利益/事業資産
- ※2:ミニマムハードルレート10%:全社費用を織り込むため、全社WACC7 %から逆算
各セグメントの成長性・資本効率向上の方向性
キャピタル・アロケーション方針(FY25/3~FY27/3累計)
価値創造を支える未財務資本
樹木が成長するために土の下の根が大事なように、をさらに大きく進化、成長させていくためには、技術力、人的資本、組織力、顧客基盤といった、未財務資本の充実が重要です。1つのビジネスを成功させるために培った技術力や組織力、顧客基盤は、社内で共有され、次の機会へと引き継がれる価値創造プロセスが構築されています。成功だけでなく、失敗により培ったものも同様に共有されています。
フェライトツリーとは
TDKがフェライトを祖業として、地続きで事業を発展させてきた経緯・変遷、すなわち成長の軌跡を示す概念です。TDK歴代の製品を当社4大イノベーション(フェライト、音楽用カセットテープ、ファイン積層テクノロジー、薄膜ヘッド技術)の技術的なつながりにひもづけて示しています。祖業であるフェライトの商業化以降、材料からプロセス、派生技術の開発やM&Aによるポートフォリオの拡充を通じて、技術の枝や葉を成長させてきました。