ご挨拶
TDKは昨年度、10年後の理想の姿を見据えた長期ビジョン「TDK Transformation」を策定しました。このビジョンには、社会の変革に貢献し、TDK自身も変革を続けることで、持続可能な未来の実現に寄与するという思いが込められています。私たちはこれまで、自動車、ICT、産業・エネルギーの3つの重点市場において、社会の変革に影響を与えるアプリケーションを見極めてきました。脱炭素・省エネ・蓄電といったグリーントランスフォーメーション(GX)、AI・自動化・省人化といったデジタルトランスフォーメーション(DX)などの社会的潮流の中で、TDKが貢献できる領域はますます広がっていると考えています。
また今年度は「中期経営計画」の2年目として、キャッシュ・フロー重視の経営、事業ポートフォリオマネジメントの強化、未財務資本*をさらに強化していきます。
急速に変化する世界情勢の中で、地政学的リスクや為替相場などの経済動向に対する不確実性は増しています。しかし、このような厳しい環境下でも、製品特性や品質管理、生産リードタイム、技術開発、IT情報基盤の強化、リスクマネジメント機能などの内部経営環境は、私たちの「自力」によってさらに向上できると信じています。
TDKは現在、世界30以上の国や地域に250以上の拠点を展開し、チームメンバー(従業員)は10万人以上、海外売上比率が90%を超えるグローバル企業に成長しました。私たちが考える多様性とは、単にさまざまな個性や能力を持つ個人が多くいることではなく、「つながり」や「調和」、「融合」が存在することです。世界中のチームメンバーとの協働で価値を創出する個性豊かな融合体「TDK United」を最大の強みとし、「自力」の総和でTDKを新たな成長のステージへと導いていきたいと考えています。
TDKは今年、創業90周年を迎えます。1935年に東京工業大学**で発明された磁性材料「フェライト」の工業化を目的として創業されました。今後も、社是である「創造によって文化、産業に貢献する」に基づき、テクノロジーの進化と社会の変革を加速し、持続可能な未来の実現に貢献していきます。
TDK株式会社
社長執行役員CEO
齋藤 昇
*未財務資本:TDKでは、将来キャッシュ・フローを生み出す資本であると考え、「非財務資本」ではなく「未財務資本」と呼んでいます。
**現在の東京科学大学
TDK Transformation: サステナブルな未来のために、TDKは変わり続ける