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取締役会の実効性評価:2025年3月期

2025年4月28日

当社は、取締役会に期待されている機能が適切に果たされているかを検証し、その向上を図っていくために、毎年、取締役会の実効性の評価を実施しています。
また、その実効性を中立的・客観的に検証するため、一定期間毎(3年に一度を目途)に第三者評価機関に評価を依頼しています。
2025年3月期の取締役会評価においては、第三者評価機関に一次評価を依頼(アンケート及びインタビュー並びにそれらの結果に基づく第三者評価の実施)し、その上でコーポレート・ガバナンス委員会及び取締役会によるディスカッションを経て、最終的な評価を行いました。

評価プロセス

  1. コーポレート・ガバナンス委員会(社外取締役を含む取締役及び執行役員(戦略本部長)で構成)において、今回の実効性評価の方法とスケジュールを検討・審議しました(2024年10月)。また、その内容は取締役会にも共有されました(2024年10月度取締役会)。
  2. 第三者評価機関は、アンケートやインタビューに先立ち、コーポレート・ガバナンス委員会委員長、取締役会議長、代表取締役社長執行役員CEO、取締役会事務局とそれぞれ事前にディスカッションを行い、経営戦略等を含めた会社の状況について確認を行いました。(2024年10月)
  3. コーポレート・ガバナンス委員会が全取締役(7名)及び全監査役(5名)に対し、実効性評価アンケート(無記名方式)を実施しました(2024年11月)。
    【アンケート項目(大項目)】
    ①長期ビジョン等の策定及び経営の課題とリスク(設問+自由記入)
    ②取締役会の役割・機能(設問+自由記入)
    ③取締役会の規模・構成(設問+自由記入)
    ④取締役会の運営状況(設問+自由記入)
    ⑤取締役会における議論の状況(設問+自由記入)
    ⑥指名諮問委員会の構成と役割(設問+自由記入)
    ⑦指名諮問委員会の運営状況(設問+自由記入)
    ⑧報酬諮問委員会の構成と役割(設問+自由記入)
    ⑨報酬諮問委員会の運営状況(設問+自由記入)
    ⑩コーポレート・ガバナンス委員会の構成と役割(設問+自由記入)
    ⑪コーポレート・ガバナンス委員会の運営状況(設問+自由記入)
    ⑫社外取締役に対する支援体制(設問+自由記入)
    ⑬監査役の役割・監査役に対する期待(設問+自由記入)
    ⑭投資家・株主との関係(設問+自由記入)
    ⑮当社のガバナンス体制・取締役会の実効性全般(自由記入)
    ⑯取締役および監査役の自己評価(自由記入)
    ※上記の大項目の下に詳細な小項目を設けて多面的な調査を行っています。
    実効性評価アンケートは、毎年の継続的な測定が可能なように、一定の質問項目については毎回同じにする一方で、評価の質を高めるために、質問項目の見直しを毎年行っています。また、自由記入欄を多く設け、アンケート項目にとらわれず多様な意見や提言を吸い上げられるようにしています。
  4. 第三者評価機関が、上記アンケートの結果を取りまとめ、共通する課題や論点を抽出しました。その内容はコーポレート・ガバナンス委員会から取締役会に中間報告し取締役会で審議しました(2024年12月度取締役会)。
  5. 第三者評価機関が、上記アンケートにより抽出された重要な論点を中心に個別インタビュー(全取締役及び全監査役)を実施しました(2025年1月)。
  6. 第三者評価機関が、アンケート及びインタビューで集めた意見を無記名の形で取りまとめ、それに基づく検討の結果を第三者評価機関の一次評価結果として取締役会に報告しました。取締役会は、その内容を勘案のうえ複数回の審議を行い、最終的な評価を確定しました(2025年3月度及び4月度取締役会)。

第三者評価機関による一次評価

第三者評価機関による一次評価の結果は以下のとおりです。

  1. 評価結果の概要
    ①総評
    • 長期視点でTDKの在り方を考え、取締役会での十分な議論を経て、長期ビジョンと新中期経営計画が策定されたと認識されており、長期的な経営計画・戦略の議論を行うという取締役会の最も重要な役割が適切に果たされていると高く評価されている。
    • グループが急速に大きく成長してきたこと、今後も成長戦略によりさらなる拡大が想定されていることを踏まえ、今後、取締役会のさらなる役割・機能の発揮が必要と考えられており、併せてコーポレート部門や内部監査部門等を含む執行側の体制強化など、幅広い検討が必要と考えられている。
    ②取締役会の実効性についての評価と今後の課題
    • 議長、社外取締役、社内取締役、監査役は、それぞれの立場から適切に議論に参画し、取締役会の議論に貢献しており、現在のメンバー構成は適切であると高く評価されている。引き続き多様性の確保は重要であると指摘されている。
    • 中期経営計画の先を見据えた長期成長戦略の具体化が求められている。それにあたり、当社の事業やリスクの特性を踏まえ、最終顧客の動向やニーズを意識した戦略思考を念頭に置き、全社的な視点を持つことが必要と考えられている。
    • 長期ビジョン及び新中期経営計画の実現と達成に向け、次の重要な課題に関して取締役会における議論の深化が必要と考えられている。
      ➢ 事業ポートフォリオのあり方
      ➢ 事業リスクの把握と対応
      ➢ コーポレート機能の強化
      ➢ グループガバナンスのあり方
      ➢ 経営層の育成・多様性推進をはじめとする特に重要な未財務資本のテーマ
    • 執行への権限委譲の観点から、取締役会の議題設定は適切であると考えられている。今後、取締役会において議論すべきポイントの明示、内容の重要性等に鑑みた柔軟な議題設定が期待されている。
    • 指名諮問委員会及び報酬諮問委員会は、適切に運営されていると評価されている。指名プロセスや経営層の育成に関する課題感などについて、取締役会への一層の共有が求められている。
    ③当社の取締役会の相対的評価(他社比較)
    • 当社の取締役会は、他社と比較してみても、社内・社外問わず取締役会メンバーが高いレベルでの議論を行っており、相互に深い信頼関係と健全な緊張関係を持ちつつ、未来志向で企業価値に資する議論が行われているものと評価できる。
  2. 前事業年度の実効性評価で抽出された課題への取組みの進捗状況

    前事業年度に報告した次の課題については、取締役会の運営方針及び年間計画において対応項目として掲げられ、改善への取り組みが認められました。

    ①取締役会における中期経営計画達成のための意思決定
    中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)の執行をモニタリングし、その達成を支援すべく、取締役会は、中期経営計画の重要な要素である「事業ポートフォリオ戦略」と「経営レベルでのリスク管理」についての議論を深め、方向性を確認した。
    <事業ポートフォリオ戦略>
    • 取締役会は、中期経営計画の策定において事業ポートフォリオマネジメントの強化を重点施策として設定した。
    • 執行側は、2025年3月期から適用される事業ポートフォリオ評価プロセスを改訂した。
    • 2024年12月開催のオフサイトミーティング及び2025年2月度取締役会において、事業ポートフォリオ管理に関する討議を行った。
    <経営レベルでのリスク管理>
    • 2024年8月開催のオフサイトミーティングにおいて、グループリスクマネジメントに関する今後の議論の方向性について討議を行った。
    • 執行側は、2025年3月期からマテリアリティと連動した脆弱性評価を導入し、全社リスク管理の拡充を行った。
    • 2024年10月に外部有識者を講師として招聘し、地政学的リスクについての役員勉強会を実施した。
    • 2024年12月開催のオフサイトミーティングにおいて、サステナビリティ開示要求事項についての役員勉強会を実施した。
    • 2024年12月度取締役会において、全社リスク管理について討議を行った。
    ②ステークホルダーとのエンゲージメント活動強化
    取締役会による企業価値向上への貢献を果たすため、前事業年度に引き続きステークホルダーエンゲージメント活動の強化を図り、「開かれたボード」活動の対象を外部ステークホルダー(株主、投資家等)に拡大した。また、取締役会において、当社のPR力・ブランド力の強化についての議論を行い、執行側によるステークホルダーとのコミュニケーションの強化を推進した。
    • 2024年6月に実施した機関投資家向け説明会に取締役会議長(社外取締役)が参加した。
    • 2024年9月度取締役会を当社グループ拠点(新潟県長岡市)で開催し、現地従業員とのタウンホールミーティングを実施(「開かれたボード」活動)した。
    • 2024年11月度取締役会及び2025年1月度取締役会において、ブランディング・PR戦略についてディスカッションを実施した。
    • 社内イントラ上の取締役会通信”The Board”での定期的な情報発信を行った。
    • 2026年3月期に開催予定のIRイベントに社外取締役が複数回参加することを予定している。
    ③中期経営計画期間を見据えた最適なガバナンス体制の追求
    取締役会の実効性は十分に確保されていることを認識しているが、さらなる実効性向上を目指し、当社にとって最適なガバナンス体制についての議論を重ねた。また、スキルマトリクスの検証、指名プロセスの明文化を行い、必要なスキルを有する独立社外取締役を招聘するとともに、独立社外取締役が取締役の過半数となる体制への移行を果たした。
    • 2024年6月開催の定時株主総会において、勝本社外取締役が選任され、取締役の過半数が独立社外取締役の構成となった。
    • 取締役会、コーポレート・ガバナンス委員会及びオフサイトミーティングにおいて、複数回にわたり、最適なガバナンス体制に関する議論を実施した。

取締役会による最終評価

  1. 実効性評価の結果(結論)

    この評価においては、取締役会の実効性を「会社の持続的な成長を実現するために取締役会が期待される役割・機能(経営の監督、重要事項の決定等)を適切に果たしていること」と捉え、それを担保する仕組みがあり、適切な審議や活発で実質的な議論が行われているか、その結果が経営の向上に繋がっているかという観点で評価を行いました。
    当社取締役会は、第三者評価機関による一次評価を踏まえ、取締役会において複数回の審議を行った結果、取締役会及びその諮問委員会(指名諮問委員会、報酬諮問委員会、コーポレート・ガバナンス委員会)は、その規模や構成、議案や審議内容、議論の状況、経営への反映等の点から、その実効性が十分に確保されていることを確認しました。
    さらに、前事業年度における取締役会評価の結果を踏まえた改善を図ることにより、取締役会の実効性向上を継続的に進めていることを確認しました。

  2. 今後の課題

    今回の取締役会評価の結果、取締役会が今後も取り組んでいくべき主な課題として以下の2点が認識されました。

    ①取締役会における中長期戦略の議論の継続
    取締役会において、中期経営計画の先を見据えた長期成長戦略を具体化するための議論を継続する必要がある。具体的には、次のテーマに関する議論を深堀する。また、取締役会において議論すべきポイントをより明確にし、報告内容にメリハリを付けることに留意する。
    • 事業ポートフォリオ戦略
    • コーポレート機能の強化
    • 全社リスクマネジメント
    • グループガバナンス
    • 経営層の育成及び多様性推進をはじめとする特に重要な未財務資本のテーマ
    ②監査体制のさらなる強化を含む最適なガバナンス体制の追求
    ガバナンス機能のさらなる向上のために、当社にとって最適なガバナンス体制、取締役会の構成を引き続き追求する。グローバルでの事業規模拡大と社会情勢の変化に対応すべく、内部監査部門の体制強化と監査役会との連携強化を基軸とする組織的な監査体制のさらなる強化を進める。

当社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現していくために、取締役会の実効性の向上に今後とも取り組んでいきます。

以 上