サステナビリティ|ガバナンス|サプライチェーンマネジメント責任ある鉱物調達
基本的な考え方
コンゴ民主共和国(Democratic Republic of the Congo:以下、DRC)および隣接国産の鉱物が、武装勢力の資金源となることへの懸念から、2010年7月に成立した米国金融規制改革法に紛争鉱物条項が盛り込まれました。最終規則が2012年8月に採択されたことを踏まえ、TDKは、2013年4月に、TDKグループの「紛争鉱物」に関するポリシーを制定し、OECDデュー・ディリジェンス・ガイダンスに沿った取り組みを行ってきました。近年、紛争のみならず、深刻な人権侵害または環境汚染への加担を抑制するため、紛争地域および高リスク地域原産の鉱物など責任ある鉱物調達の対象が広がっていることを受け、2019年1月には、TDKグループの「責任ある鉱物調達」に関するポリシーに改定し、紛争だけでなく、OECD Annex IIリスクを含む人権侵害や環境破壊などのリスクや不正に関わるタンタル、錫、タングステン、金、コバルト、マイカなどの鉱物問題に対し、サプライチェーン全体で責任ある鉱物調達を推進することを定めました。
関連情報
ガバナンス
サプライチェーンマネジメントをTDKが価値を創造するための基盤となる重要課題(マテリアリティ)の領域と位置付け、その中で、「責任ある鉱物調達」をテーマの一つとして掲げています。また、活動の進捗状況については、毎月開催される検討会にて議論・報告され、さらに、経営企画機能にレポートされています。
実務面に関しては、鉱物調達に関するリスクおよび機会の管理のため、お取引先様への調査を本社調達機能、お客様への回答を本社品質保証機能、業界動向の把握をサステナビリティ推進機能がそれぞれ担当し、グループ各社にて調査回答体制を構築して対応しています。
教育と啓発
責任ある鉱物調達に関する意識を高め、より正しい理解を深めるために、新たに資材調達部門に配属されるチームメンバー(従業員)に対しての教育を実施しています。必要に応じて営業部門等、関係部門への教育も適宜行っています。
また、毎年JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)が開催している「責任ある鉱物調達調査説明会」へも主催者側会員として参画しています。
戦略
2019年1月に、TDKグループの「責任ある鉱物調達」に関するポリシーを策定しました。紛争だけでなく、OECD Annex IIリスクを含む人権侵害や環境破壊などのリスクや不正に関わるタンタル、錫、タングステン、金、コバルト、マイカなどの鉱物問題に対し、サプライチェーン全体で責任ある鉱物調達を推進することを定めました。このポリシーのもと、OECDガイダンスに沿った、以下の5段階の枠組みを中心として、自主的かつ戦略的に取り組み、企業価値向上に努めます。
①強固な企業管理システムの構築
- 「責任ある鉱物調達」に関するポリシーの策定
- CMRT※1を5年間保存
②サプライチェーンにおけるリスクの特定と調査
- CMRT/EMRT※2を用いたサプライヤー調査
- 調査依頼時に自社の期待(RMAP※3認証製錬所の採用)を表明
③特定されたリスクに対処するための戦略の構築と実施
- 非認証製錬所がリストにある場合の排除要請
④独立した第三者による製錬/精製業者のデューディリジェンス行為の監査を実施
- 業界(RMI※4/JEITAに加盟)を通じた製錬所に対するRMAPへの参加働きかけ
⑤サプライチェーンのデューディリジェンスに関する年次報告
- ホームページでの活動年次報告
※1 CMRT Conflict Minerals Reporting Template(紛争鉱物調査における統一フォーマット)
※2 EMRT Extended Minerals Reporting Template(拡張鉱物報告テンプレート)
※3 RMAP Responsible Minerals Assurance Process(責任ある鉱物保証プロセス)製錬所/精製所の管理システムと調達慣行を独立した第三者機関の評価を使用して、責任ある鉱物調達への適合性を検証するプログラム。
※4 RMI Responsible Minerals Initiative(責任ある鉱物調達イニシアチブ) 世界で400以上の企業や団体が加盟する、責任ある鉱物調達に関する取り組みを主導している団体
リスク管理
TDKグループのグローバル共通ルール(規程)の中にある調達部門の規程に「責任ある鉱物調達」の項目を盛り込んでいます。さらにそれが、各コアサブの個別規程に反映されているかのモニタリングを行っています。
指標と目標
2023年度の目標と実績
2023年度目標 | 実績 |
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3TGに関してRMAP適合製錬所からの調達が確認されたサプライヤー比率92%以上 | 90.9% |
評価と今後の取り組み
2023年度も、お取引先様に対して、RMAP適合製錬所からの調達を引き続き要請し、確認できていないお取引先様に対しては、最大限の努力をお願いしました。しかしながら、ロシアによるウクライナ侵攻等による社会情勢の著しい変化のため、残念ながらRMAP適合製錬所からの調達が確認されたサプライヤー比率は90.9%とわずかに目標未達成となりました。
2024年度は、グループ共通のKPIとして「3TGに関してRMAP適合製錬所からの調達が確認されたサプライヤー比率90%以上」と設定し、グループ一体となった取り組み、具体的には、お取引先様に対する要請を継続するとともに、お客様からの問い合わせに対しては、適宜回答していくことを、より積極的に進めていきます。また、拡大する責任ある鉱物調達の課題解決には、業界団体との連携が不可欠であるため、引き続き参画していきます。
2024年度目標 |
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3TGに関してRMAP適合製錬所からの調達が確認されたサプライヤー比率90%以上 |
取り組み
■リスク特定のプロセス
-グループ各社における、調査の実施とConflict-free化推進
リスク特定措置では、OECDデュー・ディリジェンス・ガイダンスに沿った取り組みを行ってきました。調査では、回答の合理性を担保するため、RMIが発行しているCMRTを使用し、3TG含有の有無、製錬所の特定の確認を行います。CMRT回収後、RMIの製錬所リストと照合し、生産材に含まれる紛争鉱物が、武装勢力の資金源となるリスクや児童労働を含む人権侵害となるリスクの評価を行います。
2023年度はグループ各社にて調査を実施し、Conflict-freeが確認されたサプライヤー比率は90.9%となり、残念ながら目標の92%以上を達成できませんでした。
関連情報
-コバルト/マイカ調査
2021年12月よりRMIが発行した拡張鉱物報告テンプレート(Extended Minerals ReportingTemplate:EMRT)を使用し、コバルトの製錬所およびマイカのプロセッサーの特定を進めています。また、RMAP適合製錬所からの調達を要請しています。
■是正プロセス
-特定されたリスクへの対処
調査依頼時には、RMIの適合製錬所(Conformant Facilities Listにある製錬所)を採用いただくよう、お取引先様に自社の方針を表明しています。調査の過程で、リスクが発見された場合は、お取引先様に当該製錬業者をサプライチェーンから外していただくよう要請します。
■業界団体と連携した課題解決の推進
責任ある鉱物調達の問題解決には、サプライチェーン全体で取り組む必要があります。TDKは、2020年2月よりRMIに参加するとともに、JEITA(電子情報技術産業協会)「責任ある鉱物調達検討会」に発足当初から参加しています。
2023年度は以下の取り組みに参画しました。
- 「啓発・広報チーム」に参画し、二次サプライヤー以降の方への責任ある鉱物調達の問題への認識と調査方法の理解を目的に、責任ある鉱物調達調査説明会をリアルとオンラインで実施し、運営に協力。また、同説明会後の個別相談会における相談員として参画。
- 自動車企業との共同ワーキンググループ(コンフリクトフリー・ソーシング・ワーキンググループ)に参画し、調査マニュアルおよびツールへのフィードバック実施。
- 「データ転送標準化対応チーム」のリーダーとして、対象鉱物拡大を踏まえたレポーティングテンプレートのあり方に対する意見出しおよび、責任ある鉱物調達のデータ交換規格、「IPC-1755」改定動向のフォローとJEITA内意見とりまとめ実施。
- RBA(RMI)との意見交換実施。