サステナビリティ | 社会タレントアトラクション&リテンション

基本的な考え方

エンゲージメントは活気ある企業文化を醸成する上で不可欠なものであり、TDKは企業を挙げて人財のアトラクションとリテンションに対し取り組んでいます。会社への帰属意識と 仕事に対する目的意識を高めるために前向きでエンゲージメントの高い職場環境をつくることは極めて重要であり、我々の価値観に共感し、情熱をもって取り組んでくれる人財を積極的に採用しています。

またそうやって仲間になってくれた人々の育成・成長への投資は惜しみません。グローバルなエンゲージメント調査とフィードバックの結果をもとに職場環境の継続的な改善を続けるほか、ソーシャルメディアを活用したエンプロイヤーブランディング活動を通じ、働く場としてのTDKの魅力を高めています。

エンゲージメントの高い企業文化を育むことで最高の人財を惹き付け、活躍し続けてもらうことで、ロイヤリティと意欲の高いメンバーがイノベーションを推し進め、TDKグループをさらに発展させる原動力になると考えています。

ガバナンス

人財本部には進むべき方向性を示し、組織全体での最適な人財確保を推進する責任があります。そのため事業ニーズの進化を把握し、それに沿った人財戦略を策定するため常に先を見据えて取り組んでおり、それにはキー人財のトレンドや競争環境、今後新たに求められるスキルを把握することなども含まれています。

結果として策定される人財戦略には、エンプロイヤーブランディング活動、採用チャネルの多様化、採用CX(candidate experience: 候補者体験)、新人研修、キャリア開発プログラム、チームメンバーのエンゲージメントなどのさまざまな要素が包括的に網羅されています。明確な方向性と戦略を策定することで、人財本部として最高の人財を惹き付けるとともにその成長を促し、長期にわたって意欲的に貢献できる職場環境を実現します。

また人財本部ではそういった人財確保の取り組みの実効性を評価する指標や仕組みを設け、組織の目標実現に向けた継続的な改善に確実につなげていきます。加えて子会社の人事部門や事業リーダーとも密接に協力し、戦略会議や機能会議での情報共有や社内コミュニケーションチャネルでの成功体験の紹介を通じて、人財確保の理念と事業における重要性への認識を高めています。

人財全体のガバナンス体制につきましてはリンク先をご覧ください。

関連情報

戦略

TDKの長期人財戦略では「ダイバーシティ(多様性)の尊重」「インクルーシブリーダーシップの推進」「すべてのチームメンバー(従業員)が価値や存在そのものを認められる企業文化」を育てることに重点を置いています。

やりがいのある職務経験を提供できず、結果的に優れた人財を採用・リテンションできないことは我々にとって、また事業運営そのものにとっても大きなリスクです。我々はそれを十分に認識し、エンゲージメント調査やエンプロイヤーブランディング活動を通じてそういった意欲高く優秀な人財に魅力的な職場環境を提供していきます。

リスク管理

毎年のグローバルなエンゲージメント調査を通じて、チームメンバーがどのように感じ、どのような懸念や不安を持っているか、また、地域・子会社・職務・属性別に見たエンゲージメントのレベルについて統計的に分析しています。

こうしたデータによってエンゲージメントに関するパターンや傾向、さまざまな要因の相関関係などを明らかにし、その分析を通じてコミュニケーションのあり方、メンバーの認識や業績管理、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)、研修・能力開発などの人財戦略の策定に役立てています。

指標と目標

私たちは中長期計画の中で、チームメンバーの健康とエンゲージメント向上に向けた重要課題(マテリアリティ)を策定しました。それに加えてエンゲージメント調査の参加率に具体的な目標を定め、継続的な改善を図っていきます。

TDK Unitedの精神に根差し、多様で優れた人財を惹き付け育成することに注力します。つまり優れた人財を世界中から発掘し、彼らが意義ある仕事・影響ある仕事ができるよう、全面的に支援していきます。

取り組み

チームメンバーエンゲージメント

私たちは、年次の「チームメンバーエンゲージメント調査(MyVoice)」を通じて、エンゲージメントを測定し改善しています。毎年調査を実施することで、メンバーの思いを把握、進捗を測定し、職場を継続的に改善することができます。

調査に対する責任を強化し、結果に基づいて確実に行動につなげるために、以下のKPIがTDKの中期経営計画に組み込まれ、役員報酬にもつながっています。

  • エンゲージメントサーベイの参加率:80%以上
  • コミュニケーションスコア:75pt以上

グローバルにおけるエンプロイヤーブランドの向上

TDKでは、世界中の最高の人財から最初に選んでもらえる企業となるべく、世界中の人々に共感してもらえる魅力的なエンプロイヤーブランドを高めていくための努力を惜しみません。TDK Unitedの精神に根差し、グループ全体で連携しながらエンプロイヤーブランディング活動をグローバルに推し進めていきます。エンプロイヤーブランド戦略のさらなる活性化と展開に向けた企業と人財の協創関係を構築していきます。

チームメンバーの人財スキルの可視化

TDKグループ全体の人財情報を一元化し可視化するために、グローバルな人事システムの導入を継続しています。このシステムは、タレントマネジメントと人財開発に焦点を当てたもので、TDKタレントマネジメントシステム(TMS)と呼ばれています。このシステムでは、パフォーマンス評価、スキルとコンピテンシーの診断、キャリアとサクセッションプラン、育成計画など、さまざまな人事プロセスをデジタル化しています。このシステムは、世界中のグループ企業における多様な人財の個々の能力をよりよく理解し、育成を支援することを可能にする、長期的な人財戦略の重要な取り組みです。今後、すべてのTDKチームメンバーに導入することを目指しています。

TMSの概念図
TMSの概念図
TMSの概念図

多様な働き方とワークライフバランス

TDKでは、多様な個性を持つチームメンバーが能力を発揮できる環境を整備することが、革新的な創造を生み出し続け、企業成長を実現していくために重要だと考えています。多様で柔軟な働き方が選択できる環境や仕組みを整え、ワークライフバランスの実現を支援することもその環境整備の一つです。

現在、TDKの各拠点では、テレワークやスーパーフレックスタイムを導入するなど、働き方に大きな変化が生まれています。この活動をさらに進め、働く時間や場所にとらわれない自律的なワークスタイル「TDK Smart Work」を本社やテクニカルセンター等に導入しました。この活動を通じて、チームメンバーのエンゲージメントの向上および個人と会社のパフォーマンスの最大化を目指しています。

多様な働き方とワークライフバランスを支援する制度の例(TDK株式会社)

テレワーク制度・スーパーフレックスタイム制度

働く場所や時間に柔軟性を持たせ、チームメンバーの多様で柔軟な働き方を実現する制度を整備しています。なお、スーパーフレックスは、コアタイムなしにチームメンバー一人ひとりのニーズに合わせて、就業時間を自由に決められる制度です。

出産・育児支援制度

「産前産後休暇」「育児休業」「育児短時間勤務」など、仕事と家事・育児の両立を支援するための制度を整備しています。「育児休業」は原則、子どもが1歳になる誕生日前日までを期間としていますが、父母がともに育児休業を取得する場合は、子どもが1歳2ヶ月に達する日まで育児休業を取得することができます。(ただし、父母1人ずつが取得できる休業期間の上限は1年間)「育児短時間勤務」は原則、子どもが小学校3年生の学年末に達するまで利用可能で、複数の勤務時間パターンを用意しています。さらに、育児・介護関連サービス利用料の援助も行っています。

介護休業

勤続1年以上で継続就業の意志があるチームメンバーを対象に、配偶者、実(養)子、実(養)父母、実(養)祖父母、兄弟姉妹、孫、および配偶者の実(養)父母の介護が必要になった時、対象家族1人につき、常時介護を必要とする状態に至るごとに3回の休業(通算して1年以内)を取得できる制度です。

再雇用制度

定年退職者を再雇用する従来のTDK再雇用制度を改正し、2017年4月から、新たにセカンドキャリア制度として運用を開始しています。この制度は、高齢者の方々が有している知識や経験を、より一層有効活用するとともに、高年齢者雇用安定法の改正への対応という、企業としての社会的責任を果たすことを目的としています。また、国内の関連子会社においても、同様の制度を導入し、定年退職者の再雇用を実施しています。
さらに、2017年10月より「ウェルカムバック制度」を導入し、出産や育児、家族の介護等やむを得ない事情で退職したチームメンバーを再雇用する仕組みを整備しています。

配偶者転勤にともなう働き方の選択

2017年10月より、「配偶者国内転勤同行制度」「配偶者海外転勤休業制度」を新たに導入しています。これらの制度では、配偶者の転勤にともない現在の職場で働き続けることが困難になった場合でも、配偶者とともに転勤、あるいは休業を選択することが可能になり、チームメンバーのさまざまなライフイベントに合わせた働き方の選択肢を用意し、TDKで安心して働き続けられることを目的としています。

出産・育児支援制度を利用したチームメンバーの声

育児休業を取得した理由とその経験

私は、妻の体調が心配であったことと、子供の成長を見守りたいという強い気持ちから育児休業を取得することを決意しました。出産によって母体には交通事故の直後と同じくらいのダメージがかかると聞いていたため、育休は必ず取ろうと以前から考えていました。妻に相談したところ、「ぜひそうしてほしい」と言われ、決心が固まりました。

育休制度については、社内掲示板などで情報を調べることができますし、賞与がどうなるのかといった細かい質問も人事担当者に問い合わせたところ親身になって答えてもらえました。申請手続きも難しくありませんでした。

職場に急に育児休業を取得したいと伝えると、その後の体制づくりで負担をかけてしまうと思い、早めに取得の意向を伝えました。私の場合、研究していたテーマの変更がたまたまその時期に決まったので、業務の引継ぎをする必要はなく少々ラッキーでした。ですが、もし当時の研究テーマを継続することになっていたとしても早めに育児休業の取得を伝えていたので、チームメンバーへの引継ぎは難しくなかったと思います。育児休業への理解や業務調整の協力を快く引き受けていただいたメンバーの皆様には大変感謝しています。

育児休業中はオムツの交換、沐浴、ミルクをあげるなど、できることはほとんどやっていました。うちの子は夜の寝かしつけこそ楽でしたが、眠りが浅く数時間おきに起きてしまうので、その度に抱っこしてあやす必要があり、睡眠不足になったことが一番大変でした。また、生まれた直後は外出しづらく、家の中にずっといることが若干辛く感じることもありましたが、一方で、妻からは「すごく助かった」と感謝されました。お互い両親が近くに住んでいなかったので、生後3カ月ぐらいまでは二人で試行錯誤しながら育児を乗り越えました。

育児休業を経験してみて、二人目に恵まれることがあれば、やはりまた取得したいと考えています。私の場合は、育児にやっと慣れたころに2か月の育児休業期間が終了したため、もう少し期間があれば、より落ち着いて育児ができると思いました。現在は夕方の保育園へのお迎えを日課にしています。時間に制約がある中で、いかに効率的に仕事を行うかを今まで以上に意識するようになりました。

子どもの成長は早く、一瞬一瞬の変化があります。子どもの成長を実感する時間を確保するという点でも、お子さんの誕生を控えている男性には育児休業の取得を前向きに検討してほしいと思います。

TDK株式会社
電子部品ビジネスカンパニー
技術開発グループ
材料開発CFT
並木 亮太

人事評価制度

人財の維持に向けた取り組みの一つとして人事評価があります。TDKでは、各子会社で目標管理による評価や多面的評価、チームベースの評価など、さまざまな人事評価制度を導入しています。
多面的な業績評価の一例として、ある子会社では、従業員が部門や会社の価値観や目標をどのように満たしているかを、社内外の顧客からのフィードバックに基づいて評価し、従業員の成果をより広い視点で評価しています。また、部門を超えたコラボレーションを必要とする職種にもこの評価が適用されています。
他の例として、別の子会社ではチームベースの業績評価システムが導入されています。生産エリアでは、チームが生産ラインごとに編成され、効率やスクラップなどの数値に基づいて評価されます。チームの成績に応じて、毎月賞与が支給されます。また、間接部門のチームは部門ごとに編成され、営業利益や顧客からのクレーム、部門固有のKPIなどに基づいて、四半期ごとや年ごとに業績評価が行われます。評価の結果、四半期ごとまたは年ごとに賞与が支給されます。

TDK株式会社における人事評価は、「実績」と「行動」の2つの観点で行っています。「実績評価」は期初に設定した目標に対する達成度に基づいて評価を行うもので、賞与への反映を通じて、チームメンバーの貢献と成果に報いるとともに、一層の意欲喚起と業績達成につながっています。「行動評価」は、役割ごとに定めた評価項目に基づいて期間中の行動を評価するもので、評価項目には専門性や行動指針、コンプライアンス・リスクマネジメントなどの要素が含まれています。目標を達成するための日々の行動を評価・フィードバックすることで、求められる役割の認識と行動を促しています。この評価プロセスにおいて、期初の目標設定・期中の振り返りおよび期末の評価フィードバックのタイミングで年に6回上司・部下で面談を実施することで、日々の業務におけるコミュニケーション以外でも、チームメンバーが自らに期待されている役割などを確認できる機会を定期的に設けています。

一人ひとりのポテンシャルを最大限に引き出すための仕組み/人事諸制度(TDK株式会社)

TDKは、チームメンバー一人ひとりが意欲的にキャリア開発を行い、その能力を十分に発揮できるよう、さまざまな制度を整えています。

社内公募制度

人財募集の情報を社内掲示板に掲示し、希望者は上長を通さず、人事部門に直接応募が可能なアクティブ社内公募制度を2000年から導入しています。目的は「TDKグループにおける事業編成の変化や求める人財の変化にタイムリーに対応し、グループ全体での適材適所を促進すること」と「自分自身のキャリア開発に意欲的に取り組む意思と能力のあるチームメンバーに、キャリア形成のチャンスを提供すること」です。2024年3月までに306名が合格し、異動が実現しました。

キャリアオプション制度

2006年1月から、前述の社内公募制度に加え、チームメンバー自らが希望する部門・職務に異動するチャンスを得られるキャリアオプション制度を導入しています。この制度は、チームメンバーに自らのさらなる成長とTDKの発展に貢献したいという強い意欲を持ってもらい、さまざまな角度から自身のキャリアプランを見つめ直す場を提供することを目的としています。

自己申告制度

チームメンバー一人ひとりのキャリア開発、能力開発のサポート、職務と人のベストマッチングを目的として、自己申告制度を実施しています。これは、年1回、自分の希望する職務や勤務地、現職務の満足度等を人事部門へ直接申告することができる制度です。また、面接を希望するチームメンバーには、人事担当が面接を行い、申告内容を直接確認しています。

チームメンバーと人事部門が定期的に対話を行うことで、メンバー自身が自己のキャリアについて真剣に考えるとともに、希望する職場への配属や必要とする教育訓練の受講につなげるなど、メンバー自身のキャリア形成に役立てています。

TDK Kindergarten

TDK Kindergartenは、TDK内部のスタートアップインキュベーターであり、私たちのノウハウを活用して新しいビジネスを特定し、創造し、拡大するための環境を提供することで、将来の成長のエンジンとなるように設立されました。TDK Kindergartenは、TDKのチームメンバーを育成し、迅速かつ効率的な方法で新しいビジネスのアイデアを開発することに情熱を注いでいます。

主な取り組み:

• TDK Kindergartenは、すべてのTDKチームメンバーにビジネスアイデアを提出し、新しいベンチャーの創造を促進するプログラムに積極的に参加する機会を提供します。
• 専門的なガイダンス:TDK Kindergartenは専門知識を提供し、チームをスタートアップの形成プロセスを通じてガイドします。
• ワークショップ、メンターシップセッション、実践的なプロジェクトを通じて支援します。
• チームメンバーに創造的に考え、現状に挑戦することを奨励します。
• 組織内で起業家精神を育む文化を醸成します。
• 多様性と包括性を促進し、イノベーションを育みます。
• 変化、多様性、創造性、先見性を核とした原則を取り入れます。
• 常に限界に挑戦する姿勢を持って業界のイノベーションを推進し、未来の景色を形作ります。

長期インセンティブプログラム (LTI)

TDK Unitedとしての一体感を醸成し、TDKグループの連結業績向上への意欲と士気を高めるために、グループ企業の重要なポジションにあるメンバーに対して株式報酬制度を導入しました。このプログラムは2021年に開始され、過去4年間で着実に拡大しています。この長期インセンティブは、実際の業績にリンクされない固定報酬として付与されます。