TDKは2027年3月期という新たな一年を踏み出しました。今年度は現在進めている中期経営計画の最終年度であり、長期ビジョン「TDK Transformation」の実現に向けた重要な3年目の年となります。前期(2026年3月期)におきましては、急速に進展するデジタルトランスフォーメーション(DX)に加え、グリーントランスフォーメーション(GX)という、社会を根底から変える2つの大きな潮流に対し、当社のコアテクノロジーが価値を提供し続けてきた成果を確かなものにすることができました。社会の要請を的確に捉え、着実に歩みを進めていると確信しております。
一方で、原材料価格の高騰など地政学的リスクは顕在化しつつあり、外部環境はかつてない厳しさに直面しています。こうした不透明な要因に左右されない強固な経営基盤を築くため、私たちは組織としての「自力(Own Capability)」を磨き上げることに注力しています。製品のクオリティ、技術開発力、そして人財の開発といった、自ら高めることのできる「自力」の総和こそがTDKの企業価値そのものです。現状に疑問を持ち、内側から自らの変革を断行することで、新たな顧客価値を創造し、社会課題の解決を推進してまいります。
今後の成長の鍵を握るのは「AIエコシステム」への積極的な貢献です。需要が急増するデータセンター関連をはじめ、次世代モビリティ、スマートグラス、高速通信、ロボティクスといった広範な分野において、高精度なセンシング技術、高出力密度電池、電力効率を極めたデバイス、そしてエッジAIソリューションを展開してまいります。これは、当社が掲げるタグライン「In Everything, Better」を体現する挑戦です。私たちの革新的な技術が、あらゆる製品やシステムの内側に入り込み、それらの価値を一段と高めていく。この「内側からの進化」を通じて、よりスマートで豊かな社会の実現に貢献していきます。
TDKは1935年の創業以来、「創造によって文化、産業に貢献する」ことを社是として歩んできました。現在、世界に10万人を超える多様な人財が、一つのチーム「TDK United」として結集しています。不確実な時代にこそベンチャースピリットを発揮し、内側からの変革によって、皆様とともに新たな未来を切り拓いてまいります。
2026年4月
TDK株式会社
社長執行役員CEO
齋藤 昇