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TDK Investor Day
(2024年5月22日開催)Q & A

Q1. ポートフォリオマネジメントについて教えてください。ROICが低い事業についてどのようなスケジュールで取り組んでいきますか。実効性について教えてください。
A1. 前回の中期経営計画(以下、中計)の3年間では思うようなスピード感で対処できませんでした。この反省を踏まえ、これまで課題事業に挙げていた事業への対処を加速させます。また、黒字であってもハードルレートには届かない事業にまでスコープを広げた、先手のポートフォリオマネジメントを行っていきます。事業ユニット毎にモニタリングし、中計期間中の2~3年でしっかり見極めをしていきます。
Q2. 磁気応用製品とセンサ応用製品は新中計ではハードルレートに届かないようですが、その先の姿はどう考えていますか。
A2. 中長期で目指す姿としてのROICは、磁気応用製品、センサ応用製品は2桁を超えることを見据えています。磁気ヘッドは、長期的な成長のための投資は前中計である程度実施してきました。今後は投資回収期となり、もう少し高いROICが目指せます。センサ応用製品は、今後TMRセンサを中心に成長し続けるための投資がある程度必要です。
Q3. 未財務KPIについて教えてください。コミュニケーションスコア75ポイント以上というのはどういう姿・状態を目指しているのでしょうか。またどのような効果を狙っていますか。
A3. 一番基本となるのはコミュニケーションだろうと思いました。私が社長に就任し2年経過しましたが、これまで国内外の現場を回ってきました。現場の方々にも経営の一員なのだという想いのレベルを上げてもらうことが効果になると考えています。「未財務」と申し上げましたが、今はまだ見えませんが、いずれはしっかりと目に見える業績として連結させていきたいと考えています。 (社長執行役員CEO・齋藤昇より回答)
Q4. CO2削減量が42.9%→23.3%と2027年3月期に向けて減っていくイメージを持ちました。なぜこのような数値になっているのでしょうか。
A4. 2024年3月期においては、日本での再エネ率100%を達成しました。その結果比率が向上しています。今後を見据えた場合、生産比率の高い中国での達成が必要になります。さらに電池においてはインドでの生産を拡大していく中でこの目標値を達成しなければなりません。削減量がいったん下がるのは、どちらかというとハードルが高い地区が拡大していくことを踏まえた目標値になっているからです。
Q5. 戦略投資1,500億円の中でM&Aを実施したいとのことですが、どのような分野でのM&Aを考えていますか。
A5. 今の事業からの派生、飛び地ではない分野に投資をしていきます。それはセンサ応用製品かも知れないし、受動部品かも知れません。TDK Venturesについては、今回ご説明した通り、長期での企業価値創造のために、現状の事業スコープではアクセスできないような技術領域への投資を積極的に進めていきたいと考えます。
Q6. 研究開発費の位置づけやバランスはこの新中計の中でどういう建て付けになっていますか。過去と今後で変化はありますか。
A6. 研究開発費の比率は直近で約10%(売上高比率)となっています。この水準の投資は長期的な成長のために必要と考えています。例えば、全固体電池については数段性能が上がったものを別途プレスリリースする予定ですが、7年前に初めて発表してから、持続的に開発投資を行ってきました。このようなものがブレイクスルーするということは、継続的に開発費をかけてきたからこそです。TDKのDNA、ベンチャー精神はここにも根付いています。
Q7. シリコン負極材など今後は差別化された製品が増えていくと思いますが、一方で売上高のCAGRは2~5%となっており、かなり控え目に見えます。2027年3月期におけるシリコン負極材の比率はどのくらいになりますか。また、CAGR2~5%の前提となる市場の成長率やTDKのシェアはどのような前提となっていますか。
A7. シリコン負極材を使った電池は、材料調達に一定の目途がつき、小型二次電池に占める割合を今期は10%まで引き上げる予定です。中期的には15%まで引き上げていきたいと思います。中期的な市場の見方ですが、ICT市場は年率で2~3%回復すると見込んでいます。市場の成長に見合った形で当社の数量も増やしていきますが、シェア自体は現状を維持していく前提です。売上高CAGRの前提ですが、小型二次電池は数量増加も、売価値引きの影響を織り込んでいます。そこに、中型二次電池の増加を織り込み、全体としては2~5%としています。
Q8. 小型二次電池のインドへの投資について教えてください。将来的にキャパシティはどのくらいを占めるようになるのでしょうか。
A8. 2025年から新工場での生産を開始する計画です。現在のインド生産比率はそれほど高くありません。新中計でも数%程度と見ています。ただ、インド市場、お客様の動向、インドでの政策に対してフレキシブルに対応します。現在は第一期工事を進めていますが、新工場の概要図にもある通り、土地は用意しているので、随時増産に対応することができます。
Q9. 受動部品において、新製品の投入によってマージンが改善する製品は何でしょうか。
A9. 受動部品で注力しているのはメタル材料を使ったインダクタです。車載向けに採用が進んでおり、新中計でも拡販していきます。さらに長い目線では、薄膜インダクタがあります。こちらはAIサーバーへの拡大が期待できます。高周波部品は、RFインダクタ、高周波フィルタといった主力製品については引き続き新製品を開発していきます。特に薄型やハイバンド対応品の新製品を開発・投入していきます。
Q10. 磁気応用製品について教えてください。前中計では売上高の成長を見込んでいましたが、実際にはマイナス成長・損失計上となってしまいました。また、設備投資の金額が前中計の半分以下となっていますが、事業を拡大していくことは可能ですか。また、熱アシスト磁気記録(HAMR)の取引開始の目途は立っていますか。
A10. 新しいテクノロジーであるHAMRにポテンシャルがあると考えています。生産能力についてですが、コスト削減の観点もありダウンサイズを行いました。現状の生産能力で十分と考えており、更なる設備投資は必要ありません。需要は回復傾向に入っていると思われますが、十分に警戒心を持って市場を見ていきたいと思います。来年度以降は今の状況が続けば強力なリターンが期待できると考えています。HAMRの量産開始には2~3年かかると見ています。