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公開日: 2021年10月4日

【Sustainability and TDK】 脱炭素社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの普及に欠かせない技術とは?

SDGs
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世界中で「脱炭素社会」を目指す取り組みが進んでいます。各国の政府が2050年までの「カーボンニュートラル※1」を目標に掲げ、COなどの温室効果ガス削減や再生可能エネルギーの普及を進めています。そんな目標を達成するために、エレクトロニクス技術がどのように貢献できるのか、TDKのテクノロジーの最前線をご紹介していきます。

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TDKでは、中期経営計画「Value Creation 2023」において、「Social Value」(社会的価値)をはじめとした価値の創造に取り組み、事業を通じてSDGsに掲げられた地球規模の課題解決に貢献することで、企業価値向上を目指しています。
▶TDKグループのSDGsへの取り組み

豊かさと脱炭素化の両立を目指すEX

地球環境を守り、私たちの暮らしやビジネスを持続可能なものにするため、世界120カ国以上の政府が2050年までのカーボンニュートラル達成を目標に掲げて、「脱炭素社会」の実現に向けてさまざまな活動に取り組んでいます。エネルギーの効率的な利用を追求し、産業構造の変革を目指す「エネルギートランスフォーメーション(EX)」は、いまや世界中が協力して取り組むべき課題になりました。

脱炭素社会の実現には、化石燃料によるエネルギー消費を減らし、CO₂の発生を抑える必要があります。しかし、エネルギー消費量を減らすだけでは、産業や社会の成長も妨げられてしまいます。現代に生きる私たちが取り組むEXでは、脱炭素化と豊かさの両立を目指す必要があるのです。

豊かさと脱炭素化の両立を目指すEX

再生可能エネルギー由来の電力の活用を阻害する、2つの課題

スマートフォンやパソコンのような情報機器から、エアコンや冷蔵庫などの家電製品、さらに工場で活躍する産業ロボット、プラントまで……。現代社会はあらゆるモノを電力で動かし、その機能を活用しています。ところが、EXの実践に欠かせない再生可能エネルギーを電力に利用しようとすると、2つの課題が見えてきます。いずれも化石燃料では問題にならなかったもので、再生可能エネルギーをフルに活用するためには解決しておくべき課題だと言えます。

1つめの課題は、再生可能エネルギーによる発電量が不安定なことです。日本や欧州などの国土が狭く、平坦な土地の少ない国では、大規模な太陽光発電所を設置できません。発電量を増やすためには、小規模な発電所を数多く分散設置することが必要です。また、太陽光や風力発電などは、発電所の場所や天候などによって発電量が大きく変動します。

もう1つの課題は、消費量に見合った量の電力を、同時に発電して供給しなければならない「同時同量」という電力供給の原則との相性が良くないことです。電力網で消費量と供給量に大きな差が生まれると、発電機や送配電設備、電気機器などに異常な負荷が掛かったり、電力網の電圧が低下したり、さらに停電が発生したりする場合もあります。
 

再生可能エネルギー由来の電力の活用を阻害する、2つの課題

電力を安定供給するには、使う電気と作る電気の量が同じである必要があります。電力会社は電気の使用量を予測しながら発電量の調整を行っています。

実際の電力網では、真夏の日中には冷房の需要が急増し、多くの人が寝静まる深夜には急減するといったように、電力使用量が季節や時刻、地域ごとに大きく増減します。電力会社は、こうした需要の増減を予測し、火力発電など発電量を調整しやすい手段を活用して、同時同量の原則を満たしています。ところが、発電量の調節が難しい再生可能エネルギーでは、需要の増減への対応が課題となるのです。

再生可能エネルギーの活用に欠かせないESS

上記で述べたような、再生可能エネルギーの電力活用に関する課題解決に欠かせないのが、「電力貯蔵システム(Energy Storage System:ESS)」です。ESSとは、大型の蓄電池と電力制御システムを組み合わせた設備で、電力需要の状況に応じて電力の貯蔵や放出を行い、電力網の負荷を平準化することで、再生可能エネルギーを安定活用するためのシステムです。

これまで大規模な太陽光や風力の発電所では、大容量電力の貯蔵に向く特殊なバッテリや揚水発電※2などが使われていました。これが近年、より高効率な充放電が可能で、用途に応じて柔軟に容量が変えられる利点を持つ、リチウムイオン二次電池をベースにしたESSの利用が広がっています。住宅用の太陽光発電パネルの普及に伴い住宅用ESSの設置台数も拡大を続け、2030年には全世界で設置台数が100万台を超えると予測されています(TDK調べ)。

家庭用の蓄電池では高頻度で電力を充放電することが求められ、さらには長期間にわたって安全・安心に使えることが何よりも大切です。また、家庭用蓄電池は災害などで電力供給が途絶えた場合に、家電製品やEVなどの電源として生活を支えるライフラインとなることも期待されます。リチウムイオン二次電池をベースとしたESSは、こうした要求に合った特徴を備えているのです。
 

再生可能エネルギーの活用に欠かせないESS

アメリカ・カリフォルニア州など一部の国や地域では、新築住居への太陽光発電設備の設置が義務付けられるなど、家庭用太陽光発電の普及が拡大しています。

スマートフォン向けバッテリ技術を活かし、信頼性の高いESSを実現

TDKでは、スマートフォンをはじめとする電子機器用のリチウムイオン電池を開発し、技術と性能を磨き上げてきました。現在、その技術を生かして、ESS用のリチウムイオン電池の開発に取り組んでいます。信頼性、安全性が求められる家庭用蓄電池においても、TDKは小型リチウムイオン電池の開発・製造で培ったバッテリの材料技術、プロセス技術を生かして、高容量で高い安全性をもった電池の開発を行っています。

スマートフォン向けバッテリ技術を活かし、信頼性の高いESSを実現

 

TDKのESS用リチウムイオン電池モジュールは、高容量かつ高性能のリチウムイオン電池パックと、独自のBMS(バッテリマネジメントシステム)と組み合わせて、バッテリの状態を常時監視する機能や、異常時に充放電を強制的に停止させる保護回路を持ち、長寿命と高安全性を実現します。

さらに将来は、家庭用蓄電池だけでなく、工場や店舗などさまざまな場所に配置した太陽光・風力発電設備とESSを連動させて、再生可能エネルギーをより効果的に活用するための「バーチャル・パワープラント(VPP:仮想発電所)」と呼ばれる電力システムの構想の実現も目指しています。

「TDKの強みは、電源とバッテリのプロとして培ってきたノウハウに加え、バッテリを劣化させないようにするコントローラの制御技術に長けていること。バッテリや電源を長寿命化させるシステムを社会へ提供することで、再生可能エネルギーによる持続可能な社会に貢献していきます」とエナジーソリューションビジネスカンパニー部長の福光由章は語ります。

電池や電源などさまざまな製品と先進のソリューションを通じて、TDKは再生可能エネルギーの普及を後押しし、脱炭素化と豊かさを両立させた持続可能な社会の実現に貢献していきます。
 

用語解説

  1. カーボンニュートラル:二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量から、森林などによる吸収量を差し引いてゼロを達成すること。
  2. 揚水発電:電力需要の少ない時間帯に余剰電力で上部の貯水池へ水を汲み上げておき、需要が増加する時に、下の貯水池へ水を落とすことで発電する水力発電方式。

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