

世界記録に挑むアスリートを見つめる、
LEDスターティングボードの裏側
2022年7月にアメリカ・オレゴン州ユージンのヘイワード・フィールドにて開催される、2022年世界陸上競技選手権大会(オレゴン22)。世界中のトップアスリートが集い、自己の限界と記録に挑む世界最高峰のスポーツイベントです。大会のなかでもっとも注目を集める100mのスタートラインの後部には、TDKのコーポレートマークを表示したLEDボードが設置され、アスリートたちの勇姿を照らし出します。

世界陸上競技選手権大会とTDK
2年に一度開催される世界陸上競技選手権大会。ウサイン・ボルト選手(ジャマイカ)による男子100mの世界記録(9秒58 2009年ベルリン大会)など、これまで数多くの名勝負と世界記録が生まれています。TDKは、1983年の第1回ヘルシンキ大会からオフィシャルパートナーとしてこの大会を協賛し続けてきました。
テレビや写真を通じて、スタジアム内のボードや選手のゼッケンに掲げられたTDKのコーポレートマークを目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。大会でもっとも注目を集める100m競技のスタートラインには、LEDで鮮やかに輝くTDKのサインボードが設置されており、2022年オレゴン大会ではこのLEDボードにTDKの産業機器用電源製品が初めて採用されました。

(写真:世界陸上競技選手権大会 第1回ヘルシンキ大会)
LEDボードの輝きを支える電源製品とは
陸上競技場をはじめ、野球場やフットボールスタジアムでは、サインボードや大型のディスプレイ、掲示板など多くの機器にLEDを使用した映像装置が設置されています。その輝きを支えているのが、TDKの産業機器用電源製品です。
LEDを表示する際には、電力を変換するためのAC-DCコンバータが必要となります。通常、商用電源は交流(AC)で供給されており、LEDを点灯させるためには映像装置の内部で交流(AC)から直流(DC)に変換する必要があります。PCやスマートフォン、産業機器、医療機器などあらゆる電子機器には、大小さまざまなAC-DCコンバータが必要であり、動作には欠かせない製品です。
AC-DCコンバータの役割

とくに、RGB(赤・緑・青)のLEDを組み合わせて、美しい映像を映し出すLEDディスプレイでは、RGBそれぞれの色を正確に表示するため、色ごとに最適な電圧に変換しなければなりません。こうした電力変換を行うのが、AC-DCコンバータです。TDKのグループ会社であるTDK-Lambdaブランドの電源製品は、高い変換効率と優れた信頼性を誇り、スタジアムなどの大型映像装置をはじめ、電飾看板やビルの装飾、駅や空港の表示機など、さまざまな映像装置に採用されています。
現在、屋外でのLEDの使用用途はますます広がっています。スポーツイベントの盛んなアメリカでは、フットボールや野球のスタジアムで大型のディスプレイを設置する事例が増えており、アスリートのプレーや鮮やかな映像と音響を用いた演出で観客を魅了しています。また、大都市にはLEDを用いた大型の看板が多く設置されるほか、外装をLEDディスプレイで覆ってさまざまな映像を映し出すビルなどの事例も登場しています。
普及が拡大する大型のLED映像装置


高い信頼性が要求される屋外LED
大型の映像装置では、画面を分割した小さなエリアごとに1台の電源製品が必要となるため、スタジアムなどの大型ディスプレイでは、全体で10,000台以上ものAC-DCコンバータを設置する場合もあります。ひとつの電源の不具合によって映像の一部が欠けたり、電飾が点灯されなかったりすることで誤った情報を伝えることを避けるために、映像装置の電源製品には長期間にわたって安定して動作するための高い信頼性が求められます。
TDKラムダアメリカ・取締役副社長でセールス・マーケティングを担当するトム・ウィチャートは屋外のLEDディスプレイに求められる性能について、次のように話します。「屋外のサインボードは長期間にわたって使用されるため、電源製品の信頼性は非常に重要です。また、サインボードはゴミやほこりや多い環境に設置されることもあるため、冷却用のファンがない対流冷却・伝導冷却の装置が適しています。幅広いラインアップをもつTDK-Lambdaの電源製品のなかでもPFEシリーズ、PFHシリーズ、CUS400シリーズなどの製品は、高い信頼性を持ち屋外のサインボードに最適です」。

取締役副社長
セールス・マーケティング担当
TDKラムダアメリカ
TDKでは、2000年からニューヨーク・タイムズスクウェアをはじめ、ロンドン・ピカデリーサーカス、上海、東京など世界の大都市において、記録メディアのプロモーションのため、TDKマークを掲載した大型の屋外サインボードを設置してきました(現在は設置終了)。これらのサインボードにおいても、TDKの産業機器用電源製品が使用されてきました。
また、ウィチャート副社長はもっとも大切な電源製品の信頼性について、次のように話します。「信頼性と耐久性は、高品質な部品の選定・部品定格に対してマージンを持った設計・長年の経験から設定された厳しい各種試験の実施、といったプロセス全体を通じて実現されています」。
TDKでは、TDK-Lambdaブランドとして、コンピュータ機器、通信機器、医療機器、制御・計測機器、半導体製造装置、自動機器、鉄道機器、LED機器などの産業機器・エネルギー市場向けに、信頼性・革新性の高い電源を提供し続けています。
TDKラムダのAC-DCコンバータ PFEシリーズ、PFHシリーズ、CUS400シリーズ

TDKラムダは、TDKグループの電源専業メーカーとして、素材・部品レベルから電源を開発できる強みと、これまで培ってきた回路設計技術、熱・電磁界評価・シミュレーション技術といったコアテクノロジーを活かした革新的な電源の開発を行っています。製品について詳しい情報は、プロダクトセンターをご覧ください。
用語解説
- AC-DCコンバータ: 交流(AC)の商用電源を整流・制御して安定した直流(DC)の電源を取り出す装置。
