[ 2009年3月期 通期 連結決算説明会 ]2009年3月期 連結業績概要及び2010年3月期の連結業績見通し
代表取締役社長 上釜 健宏
本日はお忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は、私から2009年3月期連結業績の概要及び2010年3月期の連結業績見通しについて説明させていただいて、そのあと、今期2010年3月期の経営重点課題ということで4つテーマを挙げた中から、2テーマについて私から説明させていただきます。そのあと、決算の詳細を経理責任者の江南より説明させて頂き、経営重点課題の残り2つの項目について、各事業の責任者からご説明申し上げます。
2009年3月期 連結業績概要
まず、2009年3月期の連結業績概要です。これは、エプコスの業績も半年分含まれています。売上高7,274億円、前年に対して16%の減収です。営業利益は543億円の赤字。前年872億円の黒字に対して、減少額は1,410億円。税引前当期純利益は816億円の赤字。前年915億円の黒字に対して、減少額は1,731億円。当期純利益は632億円の赤字。前年715億円の黒字に対して、減少額は1,346億円。世界同時不況の影響によるエレクトロニクス製品の需要が減ったことに加えて、大幅な在庫調整があったために操業度が大幅にダウンしたことによる影響がかなり大きくなり、残念ながら大幅な減収減益になりました。1株当たりの当期純利益は、前年551円72銭に対して489円71銭のマイナスと、大きく減少しました。為替も影響しています。対ドル、ユーロとも大幅な円高となり、売上に対して798億円のマイナス。営業利益は189億円の悪化要因となりました。
2010年3月期 連結業績見通し
続きまして、2010年3月期の連結業績見通しです。これも、エプコス社の業績見込みを含んでいます。売上は7,178億円で、約1%の減収。営業利益は135億円の黒字、税引前当期純利益は69億円の黒字。当期純利益は52億円の黒字。為替は米ドルで90円、対ユーロ120円で見込んでいます。相変わらず市場は厳しいと想定しています。この不況がいつ頃どの程度改善に向かうのかは不透明感が拭えない状況で、部品需要の伸びは期待できないとみております。その結果、売上は微減を想定しています。それでも収益の改善を計画しているのは、先期大幅な構造改革を行い、原価低減、損益分岐点の引き下げを図ったことが背景にあります。これらの構造改革の効果に加えて、新製品投入による利益率の改善、ヘッドの収益性の改善により、黒字化を実現する計画です。
2010年3月期経営重点課題
2010年3月期の経営重点課題について、4つ挙げさせていただきました。1つ目は「エプコス社との統合について」。2つ目は「収益構造改革について」。進捗をご説明します。3つ目、「コンデンサ事業について」。4つ目、「HDD用ヘッド事業について」ということで、私のほうからは1番と2番を説明いたします。そのあと、3番、4番は事業責任者からそれぞれ説明いたします。
1. エプコス社統合について
エプコス社統合の今までのステップ
ここにエプコス社との統合までの歩みを記載しています。2008年7月31日に事業統合の契約を締結しました。ここで買収を発表したわけです。そのあと、2回にわたってTOB、公開買付を行いました。4月末時点での保有株式割合は96%弱になっています。
今後の重要な2つの手続き
「今後の重要な2つの手続き」とありますが、95%を超えましたので、いよいよ支配権の契約ができる。エプコス社に対してTDKが絶対支配権を持つことを合意するドミネーション・アグリーメントの締結。それから、100%子会社化、スクイーズ・アウトの手続きを7月末までには何とかしたいと思っています。まずは、5月20日に予定されているエプコス社の株主総会の承認を経る必要があります。このスライドには「事業統合プロセス加速」と書いてありますが、完全に子会社化することで事業統合がますます促進できるということです。
最終手続き
これはTDK側の手続きです。TDK側の受動部品4事業部門を、新設分割により分社化する。6月26日のTDK株主総会で承認決議が予定されています。これを経て10月1日に新会社を設立する。これは、以前から申し上げているように全く変わりません。予定どおりです。ここで新会社がエプコス社を子会社として、一体化した部品会社が本格的に活動を開始することになります。
会社分割イメージ図
分割イメージですが、今現在、対象となる4事業部門と電子部品営業部門を分割し、新会社を設立します。今はこのように、本社機能、対象となる事業部門、営業部門、その他の事業部門、エプコスグループとTDKの分割対象事業の子会社あるいは分割対象外の子会社がTDKにぶら下がっています。分割後は、この4つの事業部門と電子部品営業部門が分社化されて「TDK EPC」と書いてある新会社になり、エプコスグループがここにぶら下がる格好になります。エプコスという名前は残しますが、拠点や事業部門はこの新会社に組み込まれる格好になります。分割対象事業の子会社は、この「TDK EPC」にぶら下がります。
受動部品事業を分割する目的
なぜ分社化するのかと何度も聞かれますが、以前から言っているように、統合のスピードを加速化し、シナジーを最大化する。分社化して意思決定を早くすることが一番大きなポイントになろうかと思います。また、エプコス側も含めて、モチベーションを上げるという意味も含まれています。早く統合してシナジーを出していきたい。「世界のリーディング電子部品メーカーへ」と書いてありますが、イメージとしては、コモディティからキャプティブまで、パッシブコンポーネントのリーディング電子部品メーカーにするということで、すべて電子部品はここから供給できるようにしていきたい。全方位でやっていきたいという思いがあります。
エプコス社統合の進捗
今、新会社とエプコス社との統合に関わる事業構造および組織設計プロセスは、ほぼ完了しています。簡単に言うと、設計図ができた。詳細まで詰まり、人まで全部決まりました。あとは実行するのみ。法的手続きを経て実行プロセスに入るのみというところまで来ていますから、ここで具体的なことをもっとご説明したいのですが、5月20日のエプコス社の株主総会の前に具体的なことを言うのは難しいということで、今日はご容赦願いたい。ですから、あとで詳しい質問を受けても答えられませんと、前もってお詫びしておきます。
エプコス社統合の今後のステップ
統合の今後のステップは、エプコスの株主総会が5月20日、TDKの株主総会が6月26日、新会社設立が10月1日に予定されています。
エプコス関係については以上です。
2. 収益構造改革について
収益構造改革
2つ目、収益構造改革についてです。各施策を徹底的に遂行し、原価率低減と販売費及び一般管理費の削減により黒字化を図ってまいります。具体的な数値は後ほど江南から説明がありますが、前回発表した数字よりも、かなり大きな構造改革費用を2009年3月期に計上させていただいております。この構造改革費用で、構造改革はほぼ終了しました。一部今期の第1四半期にずれ込む部分はありますが、ほぼ完了したと言っていいと思います。それを刈り取ることで、原価率の低減と販売費及び一般管理費が削減できる。これによって、今期黒字化が達成できる見通しです。
構造改革進捗まとめ
2月9日の決算発表では、構造改革費用150億円ということでご説明申し上げましたが、だいぶ膨れあがり、今回334億円の構造改革費を計上させていただきました。理由は2つあります。1つは不採算製品の終息で168億円の効果を期待していましたが、客先への供給責任もあることから、前期中に全てを終息できず54億円ぐらいしか効果が出ていません。今期も引き続き終息活動を行ないますが、100億円分ぐらいの差をほかで埋めるために、更なる構造改革費用が膨らんだということが1つ。構造改革を前倒ししたこと、それから、設備の減損。この2つで構造改革費用が334億円に膨らみましたが、これによって698億円の効果をみています。また、今期は更なる拠点集約で33億円の構造改革費用を予定していてその効果は22億円を期待しています。ですから、今期は720億円の効果を期待しています。
資産効率重視の経営
次に、資産効率重視の経営。先期までに、アルプス電気さんからHDD用ヘッド資産を取得、マグネコンプ社の買収、あるいはデンセイラムダ社の100%子会社化、エプコス社の買収と、相当投資をさせていただきました。その刈り取りが今期から始まることになろうかと思います。アルプス電気からのHDD用ヘッド資産とマグネコンプ社は、今期辺りから効果が出てくるだろう。エプコス社については今期一部出てくると思いますが、来期辺りにかなり効果が出てくるのではないかと思います。そして、ネットデットを早期解消して自己資本比率を向上させます。だいぶ体質が悪化していますので、元に戻すぐらいのところまで、できるだけ早い時期にやることが、今から重視しなければいけない経営だろうと認識しています。
2010年3月期の配当金について
最後に配当の考え方について申し上げます。TDKは原則として、配当原資は期間内の利益を充てるという考えでやっています。配当は最重要の株主還元だということで、長期的、継続的に増配していくという基本的な考え方は、今までも、そしてこれからも変わりません。多額の構造改革費用を計上させていただいて、今期は何としても黒字化する。今月から効果が出る事業部もありますが、いかんせん市場は非常に不透明です。足下の業績は良さそうに見えますが、人によっては二番底が来るのではないかという話もあります。正直言って、まだどうなるかわかりません。ですから、今回配当額についての公表はご容赦願いたい。次回、第1四半期の決算発表のときに公表したいと思います。
以上です。ありがとうございました。