[ 2003年3月期 中間期 連結決算説明会 ]連結業績概要と今後の見通しについて
代表取締役社長 澤部 肇
スライド1
本日はご多忙のところお集まりいただまきして、また、日ごろは大変ご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。では、2003年3月期の連結業績からご報告申し上げます。
スライド2
売上高は、前年同期比9.5%増の2,964億円、営業利益は前期マイナス28億円に対して100億円、税引前利益は前期マイナス31億円に対して76億円。当期中間純利益は153.5%増の46億円。一株当たりの利益は34円98銭、一株当たり純資産は4,257円です。なお、営業利益には、収益構造改革に伴う費用51億円が、当初の予定どおり含まれております。
マクロ経済がますます不透明になることに加えて、電子工業全般に供給過剰の状況にあって、値引きが非常に厳しい状況です。さらに、現在のエレクトロニクスの主力であるパソコン、携帯電話が限界普及に近づいていることもあって、外的環境は極めて厳しいわけですが、前期から実施しました収益構造改革は計画どおり進捗しております。上期業績も当初の予定どおり達成することができました。
スライド3
次に、部門別売上高です。
最初に電子素材部品部門ですが、売上高は前年同期比11.8%増の2,343億円となりました。年初から受注は増加してきましたが、5月をピークに6月以降、鈍化しました。第2四半期の売上高は第1四半期と比較すると若干落ち、第1四半期1,182億円に対し第2四半期は1,161億円でした。
製品別にブレイクダウンしますと、電子材料製品は、前年同期比9.3%増の889億円。コンデンサは自動車分野が40%増、PC分野が15%増、DVDのAV関係も非常に好調に推移しました。しかしながら、フェライトコア及びマグネットは、自動車、LCDパネルのバックライト用コア、電源用コア等は好調でしたが、通信機用コアは需要が回復せず、フェライトコア及びマグネットの売上は微減となりました。
電子デバイス製品は、前年同期比9.3%増の593億円です。インダクティブデバイスはPCおよび自動車関係が増加しました。一方、通信分野は減少しました。高周波部品は、前期下期より数量的には回復しましたが、売価値引きが非常に大きく、全体では微減となりました。その他の製品ではアミューズメント用のDC/DCコンバータ、PC関連分野向けセンサ等が好調でした。その結果、電子デバイス製品は9.3%の増加となりました。
記録デバイス製品は、前年同期比22.1%増の782億円でした。この製品の約90%を占めるHDD用ヘッドは、前年同期比約30%増加になりました。得意先から非常に評価の高い40GB/Pが主力になり、マーケットシェアも20%から29%に回復しています。
IC関連その他の製品は、前年同期比20.8%減の79億円。通信インフラ関係の設備投資が相変わらず低迷しており、WAN、LANおよびセット・トップ・ボックスのモデム用の半導体の売上が大幅に減少しました。
スライド4
電子素材部品部門を市場別に見ると、OA分野関係が前年同期比20%の増加となりました。自動車分野も前年同期比24%増、AV分野5%増、通信分野18%の減少です。
スライド5
次に記録メディア・システムズ製品部門です。前年同期比1.5%増、すなわち横ばいの621億円です。オーディオテープの減少を、コンピュータ用データストレージテープ、ソフト関係の製品でカバーしました。なお、光ディスクはCD-R、DVDの需要増加はありましたが、MDの需要の減少、CD-Rの売価ダウンで光ディスクの売上高としてはほぼ横ばいです。
スライド6
地域別では、通信市場が非常に不振である欧州が9%減、国内も1%減。HDD用ヘッドを含めた電子素材部品が好調なアジアが24.8%増、アメリカも11.6%増で、これらが不振の欧州・日本をカバーしました。この結果、海外売上高比率は68.5%から71.6%に増加しました。
スライド7
次に、連結営業利益です。前期のマイナス28億円から100億円となり、前年同期で128億円改善しました。要因は為替変動で、1USドルは前年同期122円から123円と若干の円安でした。これによる影響で5億円のプラス。売上増加による利益増が117億円。合理化は、資材値引き、経費削減、人件費の減、その他の合理化等で340億円のプラス要因です。一方、製品の売価値引きは9%あり、マイナス要因として294億円。収益構造改革費用が前期11億円でしたが、当期は51億円発生し、差し引き40億円のマイナス要因となっています。当期に発生した51億円の内容は、人員削減で国内4億円、海外6億円の合計10億円。設備除却25億円、棚卸資産11億円、その他5億円で、合計51億円の収益構造改革費用が発生しています。
スライド8
部門別損益は、電子素材部品部門は前年同期比114億円増の107億円。HDD用ヘッドが好調だったことが主因です。記録メディア・システムズ製品部門は、前期に行った収益構造改革の効果が徐々に表れており、当中間期も第2四半期に構造改革の一環として欧州におけるMDの生産は中止しました。それに関わる費用が約10億円発生したため、わずかながら赤字となりました。したがいまして、前年同期比マイナス21億円からマイナス7億円でした。
スライド9
次に、キャッシュフローの改善です。事業収益の改善のほかに、資産効率の向上を図ってきましたが、棚卸資産の保有月数は前年の中間期は2.6カ月でした。この3月末は1.9カ月、当9月末には1.7カ月に改善しております。当期末の目標を1.7カ月としていましたので、修正し1.5カ月を目標にいたします。
固定資産回転率は、前中間期1.9回転、この3月末は2.1回転、当9月末は2.3回転です。当期末の目標値は2.5回転ですので、そのままとしています。
売掛債権保有月数は、この3月末の3.1カ月を、当9月末には2.8カ月に改善しております。当期末の目標値は2.9カ月でしたので、これも2.5カ月に修正します。以上のような形で、フリーキャッシュフローは前中間期のマイナス146億円から当中間期307億円と、453億円改善することができました。
スライド10
次に、選択と集中の進捗状況です。5月の説明会でTVA並びにNPVを用いてクリティカル・ビジネスを洗い出し、売上高で62億円の製品についてこの上期中に終息を進め、610億円については、今年中にその方向性を見極めたいと申し上げました。その進捗を申し上げます。終息予定の62億円の製品は、当上期で生産を中止しました。さらに610億円分の内、今期中に終息する製品として50億円分を決定しました。また、計画どおり収益改善が進んだものが150億円分がありました。その他、今期末までに改善を完了させるか終息させるものとして、フォローが必要な製品が415億円分あります。これについては、収益改善テーマの進捗、財務実績を見ながら、さらに突っ込んでスピーディに決着をつけたいと思っております。
スライド11
次に、成長戦略について。5月に情報家電、高速・大容量ネットワーク、カーエレクトロニクスの3分野を重点市場と定め、開発リソースを集中的に注入していくと申し上げました。この3分野で、TDKが得意とする材料技術を軸として、HDD用ヘッド等で長年培ってまいりましたナノ加工技術を始め、微細化技術が活かせるテーマ、しかも、お客さまが求めるソリューションになり得るテーマを具体的に選定、かつ設定しました。
その間に、特徴が脆弱なもの、あるいは目標がやや陳腐化してきたテーマ等は約10%あり、開発テーマから削除しました。これらをベースに、製造、販売、開発部隊が一体となって、具体的数値への落とし込み、あるいはストラテジー、スケジューリングを行っております。この下期は全体の需要動向も不透明な部分もございますので、数値的なものについては、来期の計画を発表する時点で併せて説明したいと思います。
次に、中間配当です。一株につき25円を中間配当させていただきました。われわれは現在、構造改革を実施中です。したがいまして、前回申し上げましたように、30円に戻すか、あるいは増配するにはもう少し時間をいただき、その資金を構造改革に向けさせていただきたいと思っております。
スライド12
次に、2003年3月期の見通しです。連結売上高は、前期5,705億円からほぼ横ばい2.5%増の5,850億円。営業利益は前期マイナス437億円に対して200億円。税前利益はマイナス437億円に対して183億円。当期純利益はマイナス258億円に対して130億円と見ております。なお、営業利益には、当初の計画どおり85億円の収益構造改革費用を見ております。2003年3月期の見通しは、第1四半期決算発表時にご報告したものと、ほぼ変わりありません。ただ、売上高は第1四半期決算発表時より50億円ほど増えております。売価値引き等を勘案して、営業利益、当期純利益は変えておりません。
電子材料製品、電子デバイス製品は、先ほど申し上げたように、年初から受注が増えてきました。5月をピークに6月以降は軟調であり、クリスマス商戦も例年より盛り上がりがございませんでした。米国を始めとする株安、マクロ経済の不透明感から、需要の回復が非常に厳しいと考えております。
一方、記録デバイスは、主力製品であるHDD用ヘッドの高容量化に伴って、現状では総需要は減少傾向にありますが、得意先からの評価は非常に高く、今後、技術的な困難さ、景気後退による総需要の減少リスクはありますが、下期の売上高は現在の得意先からの引き合いの状況から考えて、上期同様に堅調に推移すると見ております。
以上のように、当下期も非常に厳しい状況が続くと思いますが、売上が伸びなくても、利益が確保できる体質を作りつつあります。当期はまず、通期で200億円の営業利益を確保して、来期108期、すなわち2004年3月期に向けてさらなる収益体質の強化を図ってまいります。また、2004年3月期は新たなる成長元年として、開発テーマのスピードアップを図ってまいりたいと思います。引き続きご支援くださいますよう、お願いいたします。ありがとうございました。