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[ 2014年3月期 第1四半期 連結決算説明会 ]Q&A

Q1. 本日冒頭で専務執行役員の方の担当領域の変更というところでご説明いただきましたけれども、今回こういうご判断に至るに当たっての背景、いくつかの事例をご紹介いただきましたが、もう少し個別具体例を挙げてどういう経緯だったのか教えてください。
A1. 担当領域変更の背景ということでご質問ですが、TDKは非常に広いポートフォリオを、製品群、事業群を持っておりまして、その中で、今まで個別に改善、改革を進めてきた部分が多かったのですが、ご説明申し上げましたように、横串をさして、それぞれのばらつきを調整し、グループ全体として最適化を図っていきます。そういった部分について、今まで社長の上釜の下でやっていましたが、実行レベルに落とした専務クラスがしっかりその部分に横串を刺していくということを意図しています。受動部品統括の植村と合わせて、その他の事業について私(小林)が串を刺して、その串を2人でまた繋げて、TDKグループ全体の視点で様々な改善・改革を進めていく。そういった意味で、今回担当領域の変更をさせていただきました。
Q2. 組織で期待される部分というのは、技術のシナジーが中心なのでしょうか。もう少しコメントいただけますでしょうか。
A2. 技術のシナジーもそうですが、私(小林)がHDDヘッド事業を担当して、昨年、経営企画で全社の色々な事業を見る中で、スピード感をもって事業を進めるというファンダメンタルな部分。そういった部分で、もっと様々な改善ができるのではないかと考えています。技術だけでなくて、色々な事業に対するスピード感、マインドセット、そういった部分についても、結果に繋げるような変化を起こしていきたいと考えています。
Q3. 例えば、HDDヘッドで得意としておられるような技術がほかのところで活きたり、他のところで強かったものが、また違うところで活きたり、社内のシナジーが強化されるということなのでしょうか。
A3. はい、そういった部門間の壁を突き破って進めていきます。事例で挙げさせていただいた高周波部品についても、ドイツの前工程の改善等は、HDDヘッド事業において、日本とアメリカのウエハー工程で様々な改善を進めてきた成果で、その蓄積したノウハウを共有しながら進めています。その他も、HDDヘッド関係でいえば、例えば、磁気センサなどの技術については、逆に、エプコスのセンサグループのノウハウを活用して、新しい市場を攻めていく等、色々なシナジーが出せていけるのではないかと考えています。
Q4. 数字関係をいくつか確認させてください。1Qの研究開発費が155億7,300万円。4倍すると620億円ぐらいになって、今期のご計画を、ランレートで見るとかなりオーバーしているような形に見えます。先程、電池の研究開発が増えたとか、その他のところで研究開発が増えたというコメントがありましたが、一過性の研究開発が何か発生した要素があるのか、ないのか。通期の計画を変えていらっしゃらないので、そのあたりの考え方を教えてください。
A4. 今回研究開発費が増加しているというご指摘ですが、155億円7,300万円の中に、為替の影響によるものが前年同期比で16億円ほどございます。期首計画570億円というのは90円ベースで見ていますので、このまま4倍すると、90円の計画レートからの影響分の為替を計画に上積みされる予定です。今回、このほかに電池関係の開発費も入っています。
Q5. 電池関係の開発費というのは、一時的に増えたものなのか、これからずっと増えるものなのか教えてください。
A5. 先の部分の研究をしておりますので、まだ少し増加が続くものと思います。
Q6. 税率について確認させてください。従来の低税率に戻るには、低税率国での収益が上がるということですから、基本的にはHDDヘッド部門の収益回復が一番大きな鍵になっているのか、それ以外の要素があるのか、ご解説いただけますでしょうか。
A6. いくつか要因がございますが、HDDヘッドの収益が戻るというのは、そのいくつかのうちの1つでございます。税率は個々の会社ごとの税率計算になっていますので、個々に、高税率の国、低税率の国、そのミックスのバランスによって出てきますので、各国の見積税率で四半期毎に計算する部分がございます。その要素があり、1Qについては若干余計に入っている部分もございますが、2Q以降は解消されていくと見ています。
Q7. エプコスを2008年に買収して5年近く経過するわけですが、1,700億円を投じた買収の成果について現時点でどのように総括しておられるのか。買収していなかった場合と比べて、どういう成果が出ていると認識されているのか。今後の課題はどういうところにあって、どういう形で解決されていくつもりなのか、ご説明をお願いいたします。
A7. エプコスの買収効果と課題についてお答えします。エプコスを買収した目的は高周波部品事業を中心とした受動部品事業の強化・拡大がございます。当初、ヨーロッパを中心に堅調に事業を展開しておりましたが、前期はかなり苦戦を強いられておりました。収益性については回復傾向にありますが、まだまだ十分な水準ではありません。今後の課題は、高周波部品のモジュール関係です。コンデンサ、コイルなど、受動部品の開発を進める上では、モジュール関係の開発を行い、それに適した個々の部品を開発していくことが1つのトレンドになっていくと思います。今後は今まで以上にその活動を行い、モジュール製品としての成果を出すというのが大きな課題だと考えております。
その他の製品ですが、マグネティクス製品も含めた車載分野向けのシェアのアップは実現できたと思います。ヨーロッパの自動車メーカー様のブランド力はどんどん上がってきていますので、そういう意味では、今後当社の成果につながる活動ができるのではないかと思っています。
また、エプコスの主要製品であるフィルムコンデンサやアルミ電解コンデンサにつきましても、産機市場向けの販売で一定の成果を出しています。ただ、まだ課題も認識しており、そこを改善することで、今後販売を拡大する余地は十分あると思っています。
Q8. 受動部品の営業利益が4Qから1Qにかけて大きく改善していますが、それぞれどのセグメントでどのぐらい改善したのか、感触を教えてください。あわせて、リストラコストがどこのセグメントで発生しているのかというのも教えてください
A8. 受動部品の先期4Qから今期1Qへの改善の度合いですが、全製品において改善しています。その中で特に大きいところは、インダクティブデバイス、VCM等の圧電材料部品の部分。アルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサもかなり改善しています。セラミックコンデンサも改善しています。1Qに7億円の構造改革費用が発生したセグメントについては、受動部品でございます。
Q9. セラミックコンデンサの1Qの収益性について教えて下さい。また、4-6月での稼働率はどういう状況になっているのか教えてください。
A9. 先期3月に単月黒字になりまして、1Qでも黒字基調になっています。2Qも引き続き利益は確保できると計画しております。稼働率は65〜70%ぐらいで4Qから大きな変化はございません。
Q10. セラミックコンデンサですが、今まで黒字化させるためにいろいろなことをやられてきて、黒字化したあと、どういう展開を目指すかというところでお伺いしたい。工場の集約を進めた結果、現在の低稼働率でも黒字化しているのであれば、自動車向けの需要が増えていくので、稼働率が上がることによって収益が上がる可能性もあるかと思います。そういう面で、今の損益状況と、稼働率と、黒字化したあとのセラミックコンデンサ事業の展開をどのように考えているか教えてください。
A10. おっしゃられたとおり、車載関係では制御系、ハイブリッドカーが増えることによってECUも増えて、そういったところの員数も増えますので、そういった成果は今後も引き続き見られると思います。また、スマートフォン向けの新製品の投入を進めておりますので、今後この分野においても一定の成果は得られると思います。拠点を含めた構造改革が完了し、今期はものづくりの改革において、まだまだやらなければいけない部分がありますので、今後、その辺りをさらに改善しどうやって成長戦略に乗せていくかが大きな課題になっていると認識しています。今のところは車載を中心にシェアを上げていって、収益を確保するという戦略で進めています。
Q11. 受動部品の中には3部門ありますけれども、2Qに向けてのそれぞれ方向性について教えてください。例えば、為替ニュートラルと置いた時に、計画を変えていないので、実際の計画には即していないと思いますが、今の感触でどのくらい上がっていくのかというところの、現時点での方向感や感触を教えてください。
A11. 通期予想は90円で為替を据え置いていますが、7月の為替、この2Qの傾向を見ても1Q並みに推移するものと思っておりますので、1Qの実勢レートを基準にした予想値を回答申し上げます。まず、受動部品は、スマートフォン向けの高周波部品を中心に増加していくということで1Q比3〜5%を見ています。磁気応用製品については、HDDヘッドのデータセンター向け及び2.5インチのゲーム機向けの需要が増加するということを含めまして、全体で6〜8%の増加。フィルム応用製品については、二次電池の主要顧客への売上増。また、それ以外の顧客、新規も含めた顧客へのビジネスの拡大がかなり広まっていますので、1Q比30%プラスアルファのところで見ています。全体としては1Q比で8〜10%ぐらいのところを見ています。
Q12. 高周波部品は能力増強をやりながら数を増やしていると思いますが、特にSAWフィルタの販売は計画どおりに増えているのでしょうか。2Q、3Qと増収基調に入るということだと思いますが、それが計画どおり行きそうなのかどうか。高周波だけを見た時に、2Qはどのくらい上がるのか教えてください。あわせて、収益性についてコメントをお願いします。
A12. SAWフィルタを含めた単品の販売に関しては大幅に増えています。モジュール関係については、まだ十分な成果を得られていない状況になっております。収益性につきましては回復傾向にありますが、これらの製品で成果を出すことで引続き収益の改善を図ってまいります。
Q13. 高周波部品の2Qの売上げは、先程説明のありました受動部品事業全体での2Qの売上げ増加見込み(+3%〜+5%)、と同じようなベースで上がりますか?
A13. もう少し上がっていくと思います。
Q14. HDD(ハードディスク)ヘッドについてですが、TDKのHDDヘッドの在庫は3月末から6月末にかけてどのように推移しているのか。同時に、将来HDDの需要がそれほど増えないと仮定するのであれば、今の生産能力を削減せざるを得ない可能性についてはどう考えるべきなのか、お願いします。
A14. HDD業界のトレンドは、四半期末毎に各社在庫調整に入るようになっており、当社としてもある程度そういった需給を見込んでおります。特に今回の1Qについては6月の需要の落ち込みがありましたので、その分については単月で通常より若干在庫が増える状況ではあります。しかしながら、この後の2Qにつきましては、ハイエンドのサーバー関係の需要増、2.5インチでも新型ゲーム機の需要増がありますので、適正な水準にしっかり合わせ込むことができると考えています。
2点目のHDDの数量が今後増えないという前提に立った場合のご質問ですが、確かに2.5インチのHDD、つまりノートPC関係のHDDにつきましては、タブレットやスマートフォン市場の影響により、需要は変化してきています。ただ、市場で言われているように、データセンター、サーバー向け市場については引き続き堅調に需要が伸びていきます。また、ドライブ当たりの記憶容量は上がっていく流れになっている中で、HDDヘッドの記憶容量の上昇スピードが若干落ちていることを考慮しますと、HDD 1台当たりのディスク枚数、HDDヘッドの本数が増えるトレンドは確実に進んでいくと考えています。
そういった事業環境の中で、当社はHDDヘッド専業メーカーとして、内作をされているお客様よりもさらに高い信頼性、歩留まりを確保することで、HDDの販売数がある程度厳しくなっても、当社のHDDヘッドの販売数はそれなりに確保できると考えております。
Q15. HDDヘッドの1Qの稼働率がどの程度で、2Qにかけてどういうふうに変化する見通しなのか教えてください。
A15. 1Qについては若干低水準ではありましたが、2Qに向けて回復してくると見ています。
Q16. HDD市場はそれ程崩れなかったと思いますが、TDKに関して言うと、1QのHDDヘッドの出荷は、元々の計画より実績が少し減少しています。ニアライン分野への対応も含めて、2Qの予想数値についての見方を教えてください。
A16. ご指摘のとおり、1Qの出荷実績については、当社の計画を下回っておりますが、2Qに向けては、ニアラインの分野に加え、厳しいとは言え2.5インチHDDのそれぞれのお客様の新製品についても、当社のポジショニングは悪くありませんので、2Qの10%増という部分については、達成できるものと見ています。
Q17. HDDヘッドですが、1QのTDKのシェアがどれぐらいになっていると試算していますか?また今後、記録密度の上昇ペースはしばらくスローダウンが続くと思いますが、この中でシェアをどのように上げていけるのか。その中で、熱アシスト技術は重要になってきますが、ご見解をお聞かせください。
A17. シェアについてのご質問ですが、現時点では30%をちょっと切る位のところにいるのではないかと見ています。全体の流れについてミックスの変化はありますが、今期はそのぐらいのシェアで推移すると考えています。まさにおっしゃられたとおり、次の新しい技術が当社のさらなるジャンプの鍵になってくると思っています。
また、全体の流れとして、先程も話に出ましたが、ニアライン等においてHDD 1台当たりのディスク数、ヘッド数が増えてきた場合に、当社のHDDヘッドの品質の安定性、特性の差別化という部分が非常に重要になります。多数ヘッドを使ったHDDの歩留まりには、そのような要素が非常に大きく効いてきますので、当社としては、記録密度上昇のスピードが遅くなった中でも、シェアアップに繋げていける部分を残していると考えています。
Q18. HDDメーカーにおいてHDDヘッドの生産能力向上のインセンティブは少ないと思うので、逆に、HDDヘッド員数が上がってきた時に、HDDメーカーの能力が限界に近づいた場合、TDKに生産が流れてくるというシナリオはないですか。
A18. それは常に可能性としてあると考えています。
Q19. そういう状況にはまだなっていないのでしょうか?
A19. 今のHDD市場の状況からすると、まだそこまではなってきておりません。ニアライン向けのHDDヘッドの本数やディスク枚数は確実に増えてきてはいますが、若干、多数枚のHDDの立ち上げにおいて、HDDメーカー様も苦労されている部分がありますので、多数ヘッドを使ったHDDが立ち上がってくれば、先程も申しましたように、品質や特性の優位性を示すことで、当然当社に対しての事業拡大のチャンスが上がってくると考えています。
Q20. 数字に関してお願いします。マグネットのところで、前期Q4からQ1にかけて、工場の集約と新工場の立ち上げで費用がかかり、その結果、収益が悪化したというお話がありましたが、それは金額的にはどれぐらいの水準の話なのでしょうか?
A20. コストが上がった分は、億円ベースで二桁いくかいかないかの水準です。
Q21. 2Qのマグネットの収益は、どの様に見ればいいですか。
A21. 大きく二つのポイントがございます。1つは前期末に積み上げた在庫が高コストだったわけですが、この1Qにかなりはけましたので、収益が回復していきます。もう1つは、この1Qに、新しい拠点に移した製品の立ち上げがうまくいかなかったため、立ち上げのコストが想定以上にかかりました。この辺りも異常要素になりますので、先程申し上げました様なコストは、2Qでは無くなるものと思っております。
Q22. この1Qの実績を踏まえて、もともと御社のご計画と対比されて、どういうご評価になっているのか。計画どおり、構造改革効果が効いてよくなってきているという解釈なのか、それとも、多少遅れているという捉え方をしているのか感触を教えてください。できればその工程で為替が大きく振れていますので、今の為替水準込みで計画に乗っているということなのか、為替を除いて考えると多少厳しい状況なのか。その辺の感触も合わせて教えてください。
A22. 1点目、1Qの水準、順調かということですが、受動部品については想定どおり、回復が構造改革を含めて出てきているということで順調でございます。ただ、磁気応用については、マグネットで異常費用がございましたので、そこは今後回復を期待しているところでございます。上期の進捗ですが、今、構造改革100億円を入れる前の水準に比べて、最低でも4割以上はやりたいということで見ています。為替の水準は、これは1Qが入っていますし、今のレートで推移すると、当然その分は乗ってくるものと計画しています。
Q23. 構造改革100億を入れる前というと、400億円になります。それに対して40%、160億を上期で見ているということでよろしいですか。そうすると、この1Q実績が40億ですから、2Qは120億ぐらいを目線に入れておられるということでよろしいですか?
A23. 4割ぐらいですから、それぐらいのところです。
Q24. それに対して、今、計画通りに動いているということですね。
A24. そうです。