[ 2012年3月期 通期 連結決算説明会 ]2012年3月期 連結業績概要
2013年3月期 連結業績見通しについて
代表取締役社長 上釜 健宏
こんにちは。本日はお忙しいところ、また、雨の中、多数お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。それでは、私のほうから、2012年3月期の連結業績概要及び2013年3月期の連結業績見通しについてご説明申し上げます。
2012年3月期連結業績概要
2012年3月期の連結業績の概要でございますが、売上高8,145億円、営業利益187億円(営業利益率2.3%)、継続事業税引前利益122億円、当期純損失25億円となりました。1株当たりの利益はマイナス19円6銭、為替は、対ドルレートで79円7銭、対ユーロレートで109円6銭という結果になりました。
2012年3月期通期決算のポイント
2012年3月期の通期決算のポイントですが、連結売上高は前期比6.6%減、営業利益は70.9%減と大幅な減益になりました。大幅な減益の背景は、東日本大震災及びタイの洪水による影響、対ドルレートで80円という円高が長く続いたこと、フラットテレビやノートパソコン等、情報家電分野の販売が非常に低調であったこと、また、一部大手の御客様による生産調整の影響をかなり受けたことです。
そういった状況を受け、収益改善に向けた構造改革に着手しているわけですが、前回発表しました通り、拠点や人員の最適化、不採算事業への対応については、現在計画通り進めています。後ほど、具体的にご説明申し上げます。構造改革費用として、2012年3月期及び2013年3月期合計で約180億円を計上する予定です。改善効果金額は、2期合計で334億円を見込んでいます。2012年3月期の期末配当金の見込みは40円とさせていただきます。上期配当実績40円と合わせて、年間配当金見込みは、2011年3月期と同額の80円とさせていただきたいと思います。
通期決算のポイント
今期の通期決算のポイントですが、まず、分野別売上高推移ということで、スライドのグラフをご覧ください。これは、2009年3月期から2012年3月期までの分野別売上高のグラフです。以前より中期方針として、下の黄色い部分の情報家電分野に加えて、今後は通信、自動車(車載)及び産業機器関係がメインであるその他分野の売上比率をもっと上げていくということを申し上げていますが、現状の結果はこのようになっています。情報家電分野の括弧内の数字は、記録デバイス、HDD用ヘッドの売上です。
2010年3月期の連結売上高は8,089億円、2012年3月期は8,145億円ですから、売上額としては同程度ですが、比率を見ていただきますと、通信、自動車、産機関係は48.2%であったものが、57.4%まで増えています。今後もこの方向で経営の舵を切っていきたいと考えています。
2013年3月期連結業績予想及び配当金見通しについて
2013年3月期連結業績予想及び配当金見通しについてご説明申し上げます。売上高9,000億円、営業利益570億円、6.3%の営業利益率でございます。継続事業税引前利益は530億円、当期純利益は400億円を見込んでいます。1株当たりの利益は317円75銭。配当金ですが、上期は40円を予定しています。下期は10円増配して50円。年間90円を予定しています。為替は、対ドルレート77円、対ユーロレート103円で計算しています。
今期以降の事業活動におけるポイント
2013年3月期以降の事業活動におけるポイントです。現在、構造改革に着手しています。スライドに記載があります拠点・人材・人員の最適化、コスト削減、不採算事業・製品対応に取り組み、収益力を強化していきます。現在工場の再編については、特に国内で実施していますが、材料から完成品までの一貫生産というコンセプトを基に再編を進めていきたいと考えています。これは言うまでもなく、ものづくりの、ものの流し方も変えなければいけません。生産リードタイムを短くして、在庫を減らす等より効率的な生産を考慮した再編をしていこうと考えています。いかに経営のスピードを上げて効率化を図るかということを念頭に、収益力を強化していきたいという思いで構造改革を実施しています。また、成長戦略の推進による持続的成長ということで、最重点市場への取り組みを強力に推進します。次世代通信市場とエネルギー関連市場、この2つの分野を攻めていきます。
成長戦略推進 —最重点市場への取り組み—
まず、次世代情報通信。クラウドサービスを利用したスマートフォン、タブレット端末は当然攻めていきます。また、データセンター関係も重要な事業対象です。エネルギー関連は、再生可能エネルギー及び自然エネルギーです。それから、自動車(車載)。特に、ハイブリッドとプラグインハイブリッドに注力していきたいと考えています。
成長戦略テーマとして、素材・プロセス技術を活用した極小・高機能受動部品の提供、磁性・ヘッドプロセスを活用した薄膜部品の提供、LTCCやSESUB (Semiconductor Embedded in SUBstrate : IC内蔵基板)など、新しいパッケージ技術を活用したモジュールソリューションの提供、デジタルデータの増加に対応する高記録密度HDD用ヘッドの提供、発電・蓄電・変換機器でキーとなるパワーエレクトロニクスデバイスの提供等を挙げております。この様な製品に注力していきたいと考えています。
成長戦略推進 —次世代情報通信市場—
今、申し上げましたクラウドサービスによる次世代情報通信市場ということで、スライドにスマートフォン、タブレットPC、クラウド端末と書いてありますが、データセンターを1つの例にとりますと、HDDは、引続きストレージ(記憶装置)の主流になっていくだろうと考えています。特に今は3.5インチのディスクを5枚搭載したもの、これはHDDのヘッドが10本付きますが、こういったものが主力になろうとしています。HDDヘッドの技術つきましては、現在熱アシストというレーザーを使った次世代のヘッドを開発中です。また、次世代情報通信市場としては、スマートフォンやタブレット等のクラウド端末の普及加速が予想されますが、当社としてはIC内蔵基板等を提供してまいりたいと考えています。IC内蔵基板は、50ミクロン位に削った半導体を基板の中に内蔵して、その上に受動部品を載せてモジュール化したものです。これは今、拡販の最中でございます。
成長戦略推進 —エネルギー関連市場—
続きまして、自動車(車載)分野です。まず従来のガソリン自動車やディーゼル自動車は、今でも電子化が進んでいます。今後もさらに電装化が進むだろうと見ています。この辺に電子部品の新しい市場があります。さらに脱化石燃料と記載がありますが、これはハイブリッド自動車、プラグインハイブリット自動車や電気自動車等の次世代自動車です。ここに対しては新しくハイパワーのフィルムコンデンサが使われます。それから、双方向のバッテリーチャージャーや新しい電流センサー、双方向のDC-DCコンバータ等もあります。それから、ハイブリッド等の次世代自動車では、メインモーター、発電機、ジェネレーター等に使われる高性能磁石が非常に重要になってきます。これらの需要に対する対応としては、ディスプロシウムを使わない磁石の量産を今期開始したいと思います。ネオジウムを半減した磁石の開発を2年後、レアアースを使わない磁石を5年後に目指すことで、今期を磁石元年として位置付け、今後開発に注力していきたいと考えています。
次は、パワーエレクトロニクスデバイスです。この中で、特にパワーコンディショナー、パワコンと呼ばれているものですが、これを構成する部品の約30%が受動部品と言われています。当社は受動部品業界で随一のラインナップを誇っています。スライドに記載されている様な受動部品がパワーコンディショナーに使われるということです。それから、高圧直流送電用フィルムコンデンサ。高圧直流送電、HVDC (High Voltage Direct Current transmission)と呼びますが、ヨーロッパでは、現在これが非常に盛んになっています。中国でもこれが採用されるだろうと言われています。容量は6,500μF、重量で60キロ〜100キロという、かなり大きなフィルムコンデンサですが、現在受注をかなりいただいております。こういった分野に今後は経営の舵を切っていきたい。中期的にも、もっとこの辺の分野の売上を伸ばしていきたいと考えています。
以上で私の発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。