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[ 2010年3月期 通期 連結決算説明会 ]2010年3月期 連結業績概要及び2011年3月期の連結業績見通し

経理部長 桃塚 高和

経理部長 桃塚 高和

こんにちは。桃塚でございます。よろしくお願いいたします。
先ほど社長から、2010年3月期連結業績概要についてご報告させていただきましたが、私からは、第4四半期と併せて補足説明をさせていただきたいと思います。

2010年3月期連結業績 補足

2010年3月期連結業績の補足ですが、従来TDKと、エプコス、エプコス買収に伴うのれんの償却に区分しての表示となっています。
金融危機後の大幅な需要減少に見舞われた2009年3月期下期でしたが、当期におきましては各国政府の政策支援等がございまして、本格回復といかないまでも、緩やかな回復が継続してまいりました。それによって、従来TDKの売上高も6,399億円と、円高影響による減収はありましたが、前年比較で3.0%の減収にとどまっています。前期第4四半期に実施させていただいた構造改革の効果が、収益の改善に大きく寄与しておりまして、営業利益は黒字化することができ、前年比721億円の改善となりました。構造改革によって期待していた年間約700億円の効果は、ほぼ達成していることを確認しています。続いて、エプコスです。第2四半期以降は黒字転換ができていましたが、4月、5月は欧州市場で回復遅れ等がございまして、第1四半期の赤字が残った形で、通期の営業利益は15億円の赤字となりました。エプコス買収に伴うのれんの償却の金額は、44億円の計上となっています。

2010年3月期連結業績(四半期推移)

2010年3月期の連結業績、四半期推移についてです。前期第4四半期からの推移を、従来TDKとエプコスに分けて表しています。
従来TDKにつきましては、需要急減した前期2009年1月〜3月の操業度は30〜40%でしたが、これを底にして、当期第1四半期(4-6月)は約70%まで急回復しています。第2四半期以降も、なだらかな回復とともに徐々に操業度も上がっています。通常であれば、第4四半期(1-3月)は季節的な落ち込みもありますが、当期におきましては、アジアを中心とした新興国市場の旺盛な需要のお陰で、大きな落ち込みもなく、操業度も、製品によってバラツキはあるものの、第4四半期も80〜85%の水準を維持しています。第4四半期の売上高も、当期第3四半期と比較して1.9%の減収にとどまっています。
受動部品の出荷数量も、第2四半期、第3四半期と回復基調にありました。ノートPC、薄型テレビといった主要セット製品が好調で、当第4四半期も、第3四半期と比較して若干の減少にとどまっています。一方、HDD用ヘッドにつきましては、今期に入ってからの需要増加に伴い、四半期ごとに出荷数量を拡大していましたが、当期第4四半期も第3四半期とほぼ同水準を確保して、年間を通して好調を維持し、業績を牽引しています。
四半期ごとの出荷数量の増加と、前年第4四半期に実施した構造改革効果で、営業利益率も四半期ごとに改善をみせています。当第4四半期において、構造改革費用約72億円を使わせていただいていますが、それを加味すると9.4%の営業利益率になります。エプコスにおいては、欧州での自動車関連市場、携帯電話市場も回復をみせており、売上高が増加基調になっている関係で第2四半期以降は黒字転換し、増益基調になっています。

売上高・営業利益の前年同期比較(4Q)

前年同期第4四半期比較の製品別売上高についてです。
従来TDKの売上高は1,655億円、前年同期比較54.7%で585億円の増収。営業利益は84億円で、611億円の増益となりました。前期第4四半期の急落した売上に比べて、増収となった効果に加えて、構造改革の効果と構造改革費用そのものが大幅に減少したことが、増益の要因となっています。電子材料、記録デバイスの売上の伸びが大きく、また、すべてのセグメントで増加しています。エプコスの1-3月期の売上高は459億円で、前年同期比較で42.9%、138億円の増収となっています。営業利益は12億円で、前年の赤字から69億円の増益となっています。TDK、エプコスともに、前年第4四半期の落ち込みがかなり大きかったということです。また、のれんの償却費が第4四半期に13億円加わり、前年からは39億円の増益となっています。構造改革費用は、前期第4四半期が301億円、当期第4四半期が約80億円となっています。

続きまして、セグメント別の当期売上高、前年同期第4四半期比較増減額および伸び率と、全社に占める構成割合、セグメント別の伸び率と構成割合についてご報告申し上げます。
電子材料の売上高は345億円、構成比16%、前年比65%の伸び。内訳は、フェライトおよびマグネットの構成比が36%、前年比84%の伸び。コンデンサの構成比は64%、前年比56%の伸びとなっています。電子デバイスの売上高は382億円で、構成比18%、前年比32%の伸び。内訳は、インダクティブデバイスの構成比が50%、前年比52%の伸び。高周波部品は構成比5%、前年比31%の伸び。その他構成比が45%、前年比15%の伸びとなっています。記録デバイスの売上高は721億円、構成比が34%、前年比86%の伸びとなっています。内訳ですが、HDD用ヘッドは構成比90%、前年比91%の伸び。その他の構成比は10%で、47%の伸びとなっています。セグメントのその他の売上高は207億円、10%の構成比、前年比13%の伸びでございます。最後にエプコスですが、売上高は459億円で、構成比22%、前年比43%の伸びとなっています。

連結損益計算書

2010年3月期の連結損益計算書です。これまでご説明させていただいているように、エプコスを連結対象にしたのが2008年10月からですので、前年の上半期は従来TDKのみの業績となっておりまして、それとの比較になります。
当期の構造改革費用として約130億円(TDK 109億円、エプコス21億円)。これを含めて営業利益が258億円となり、構造改革費用380億円を計上した前年と比較して、営業利益は801億円改善しています。これにつきましては後ほどご説明いたします。売上高原価率は、前期83.3%から76.4%と、6.9%改善しています。従来TDKのみの売上原価率と比較しても、前年の81.7%から74.1%と、7.6%の改善となっています。営業外損益は、前期比較で235億円の改善となりました。関連会社利益持分で153億円の改善がありますが、これは、記録メディア・コンシューマ事業を譲渡したときに取得した、イメーション社株式の評価損174億円を計上したことが主です。また、有価証券評価損の減少50億円と、為替換算差損43億円が改善要因となっています。また、移転価格更生税金に関する還付加算金等24億円のうち、16億円は受取利息および配当金に含めており、8億円はその他に含めています。

営業利益増減分析(前年同期比)

営業利益801億円増益になった、増益要因、減益要因です。
まず、利益の増加要因ですが、操業度アップ、品種構成等を含めた売上高による利益変動で455億円。合理化コストダウン、原材料値引きを含めて502億円。構造改革費用264億円の減少を含んだ販売費および一般管理費で239億円。それから、エプコスの営業利益増加。これは、連結対象になった前期下半期との比較で73億円、エプコスののれんの償却費用8億円。利益の減少要因は、為替変動によって128億円のマイナス、売価値引きで348億円。操業度と構造改革効果からの合理化コストダウンによる要因が大きく改善し、売価値引きや円高による減収要因を吸収して、合計801億円の増益となっています。

連結貸借対照表(資産の部)

続きまして、連結貸借対照表です。前期末との比較になります。
総資産が1兆1,010億円から1兆915億円と、96億円減少しています。3月期末日の為替レートが、ドルで93円04銭、ユーロで124円92銭だったこともあり、ドルで5円19銭、ユーロで4円92銭と、ともに円高になっています。その結果、外貨資産約281億円の減少を含んでの総資産の減少となっています。
現金及び現金同等物は327億円減少しています。当期純利益129億円、減価償却費が838億円ありまして、固定資産の取得644億円の中に入って、それを抑えたことによって194億円が主な増益項目です。一方、短期投資の運用が449億円、配当金支払いが116億円、借入債務の返済等が201億円。これが主な減益要因です。手持ち資金は、短期投資を含めると112億円の増加となっています。

連結貸借対照表(負債及び純資産の部)

資本の部でその他の包括利益が約94億円減少していますが、主な要因は、円高による外貨換算調整勘定の悪化によるものです。

2010年3月期構造改革費用とその効果

2010年3月期の構造改革費用と、その効果についてご説明します。
前期第4四半期は大きな構造改革をさせていただきましたが、これによって年間約700億円の効果を出すことができ、当期の収益改善に大きく寄与できたと認識しています。2010年3月期においては、第3四半期まで実施していた構造改革費用約50億円に加えて、第4四半期では80億円を実施させていただきました。その結果、年間合計で130億円となりましたが、これにより、2011年3月期における構造改革効果は約100億円程度を見込んでいます。

以上で2010年3月期連結業績概要の説明とさせていただきます。どうもありがとうございました。