[ 2010年3月期 第2四半期 連結決算説明会 ]連結業績概要
取締役 専務執行役員 江南 清司
こんにちは。江南です。よろしくお願いいたします。先ほど社長から、2010年3月期上半期の連結業績概要について説明がありましたが、私からは、第2四半期の決算概要を中心に説明いたします。画面に従っての説明とさせていただきます。
2010年3月期 第2四半期 連結業績概要
最初に、2010年3月期第2四半期連結業績。前年第2四半期との比較です。売上高が2,043億円、前年同期比16億円で0.8%のダウン。営業利益は90億円でほぼ前年並み。税引前四半期純利益が約64億円。前年同期比29億円で31.1%の減益。税後の純利益は44億円、前年同期比31億円で41.3%の減益となっています。この間為替は、対ドルが93.7円、ユーロは133.8円、ともに10%以上の円高になりました。その結果、為替の影響は、売上高で204億円、営業利益で62億円のマイナス要因となっています。
リーマンの破綻を契機に大幅な需要減に見舞われましたが、それからみると回復傾向にあり、操業も80%前後まで回復しています。そのため、去年の第2四半期以来4四半期ぶりに黒字決算となりました。円高で操業が悪い中、営業利益は、わずかですが前年を上回っています。
連結業績 補足
先ほどの社長の報告とダブる部分はありますが、連結業績の補足ということで、従来TDKとエプコスを区分したお話をさせていただきます。従来TDKの売上高は1,611億円。回復基調にあるとは言いながら、前年同期比較21.7%の減収ですが、営業利益は101億円の黒字の確保。先ほど言った為替のマイナス要因を吸収して、前年同期比較で12.4%の増益を確保することができました。一方、エプコスの7-9月期の売上高は432億円、営業利益1億円を確保しました。SAWコンポーネンツを始めとして、ほとんどすべての事業領域で回復基調にあります。
これを見ていただくと、税金部分が大きく膨らんだ結果、当期純利益がかなり悪化しているように見えます。先ほども話がありましたように、事業統合のために10月1日付けでTDK-EPCを設立した結果、今までの支配権がTDKからTDK-EPCに移りましたが、ドイツの法律では、たとえグループ内の支配権移動であっても、支配権が移動した場合には、繰延税金資産は全部取り崩さなければいけないという規定があります。これに従って繰延税金資産を取り崩した結果、税後が悪くなっている。10月1日ですから本当は第3四半期ですが、第3四半期ではなくて、第2四半期でこの部分を取り込んだということです。右端にTDKとエプコス間ののれん償却と消去が書いてありますが、相互取引はまだほとんど行われていませんので、この数字は、のれんに関わる償却部分と考えていただければいいかと思います。
決算の特徴
次に、2010年3月期第2四半期の決算の特徴です。リーマンの破綻を契機に始まった大幅な需要減少も、結果的には1-3月期を底にして、緩やかではありますが、かつ、十分とは言えませんが、回復傾向にあります。この回復傾向は第2四半期も続き、第1四半期より上回ったということです。製品の操業にバラツキがありまして、若干上・下ありますが、なべて80%前後の水準まで回復しています。ノートPCと薄型テレビが好調で、HDDヘッドは第1四半期に引き続き好調を維持し、数量面ではすでに前年を超える状況にあります。受動部品もまだ前年には届きませんが、数を増やし、かつ、売上高を伸ばしています。
製品別売上高の前年同期比
前年同期第2四半期比較の製品別売上高ですが、セグメント別の当期売上高と前年同期の比較、増減額および伸び率と、全社に占める構成割合、それから、セグメントを構成する製品区分ごとに、伸び率と構成割合を報告させていただきます。エプコスの売上高432億円は、「その他」に含まれています。
「電子材料」は当期の売上高が337億円、前年比較で128億円、27%の減収です。それを構成する製品は、コンデンサが29%の減収、構成割合は64%。フェライトおよびマグネットは24%のダウン、構成割合は36%。
「電子デバイス」の売上高は366億円、前年比較で135億円、27%の減収です。それを構成するインダクティブデバイスが24%ダウン、構成割合は52%。高周波部品は32%のダウン、構成割合は5%。その他には電源やセンサが入っていますが、前年比較で30%ダウン、構成割合は43%。
「記録デバイス」の売上高は708億円、前年比較で68億円、9%のダウンとなっています。その中のHDD用ヘッドは、前年比較で数量は伸びていますが、金額的には10%ダウン。構成割合は90%。その他は前年比較で1%のダウン、構成割合は10%。ここにはサスペンションが含まれています。
次に「その他」ですが、従来TDKの売上高は200億円、前年比較で117億円、37%のダウン。エプコスの売上高は432億円。前年比較はありません。構成割合は21%となっています。
連結損益計算書
次に、連結損益計算書です。エプコスを買収したのと同じタイミングで、大幅な受注減に見舞われました。その結果、回復傾向にあるとは言いながら、エプコスを含めて何とか従来のTDK並みの売上高にとどまっているということで、過大資産と言いますか、販売費の過大、固定費の過大現象は、第1四半期同様第2四半期も続いています。操業が十分でない中、売上原価率がほぼ1%改善しています。従来TDKだけでみると、売上高原価率は77.3%から74.0%、3.3ポイント改善しています。
販売管理費は前年比較で7億円の費用増になっていますが、のれん償却も含めて、エプコス関連で約71億円の費用が含まれていますので、従来TDKでいうと64億円ほど販売費が減っています。営業利益は前年第2四半期比較で1億円良くなっていますが、この要因については後ほど説明いたします。営業外は29億円悪化しています。これは、エプコスを買収したことに伴って資金ポジジョンが変化して、受取利息が減った。逆に、支払利息が増加し、その他のところでも12億円悪化しています。これは、関連会社利益持分が、こういう状況なものですから、約17億円悪化したということが主因です。
営業利益増減分析(前年同期比)
1億円弱の増益となりましたが、利益の増益減益要因について申し上げます。利益要因は、構造改革を実施させていただいたことで、合理化・コストダウン・原材料値下げで164億円のプラス。販売費及び一般管理費、これは為替を除いていますが、25億円のプラス。
これに対して、操業度、品種構成を含む売上高による利益影響がマイナス39億円。第1四半期から比較すると、操業ダウンによるマイナス部分が相当減っています。円高による為替変動でマイナス62億円、売価値引きで77億円、エプコスの部分で11億円。これには12億円ののれん償却が含まれていますので、これを分けると、営業利益1億円、のれん償却12億円というイメージになります。
構造改革費用は、先ほどのP/L上に「リストラクチャリング費用」というふうに別掲されていた7億円を含んでいますが、通常我々が把握している基準でいうと14億円ありました。そのうちエプコス関連が3億円。これは、期首に予定していた33億円には含まれていない、事業統合の過程で新しく発生した構造改革費用ということになります。なお、前年第2四半期の構造改革費用実績は23億円でした。
連結貸借対照表(資産の部)
次に、連結貸借対照表です。第1四半期末、6月末との比較でお話をさせていただきます。総資産が1兆1,196億円から1兆889億円、約307億円減少しています。9月末日は円高に振れて、ドルは90円21銭、ユーロは131円72銭。6月末比較で、ドルが5円80銭、ユーロが3円81銭、それぞれ円高に動きました。その結果、外貨資産が366億円減少したことも含めての、307億円の資産減少ということになります。
現金及び現金同等物は224億円減少しています。この内訳は、利益が44億円出たことでプラス。設備投資関連で、償却と投資の差額で32億円のプラス。在庫については、為替を除くとほぼ横ばいでイーブン。逆に、事業拡大の過程にあるということで、売上債権と仕入債務がともに増えていますが、増えている増加の差額102億円がマイナスに働いている。それから、現金から短期投資へ振り替えた分が89億円と、借入金を支払った分が136億円マイナスに働いている。為替による目減りで76億円。残りは、いろんな諸勘定がありますが、それらの債権債務の増減が100億円プラスに働いた。その結果、この数字になっているということです。つまるところ、現金及び現金同等物の224億円の減少は、借入金の返済136億円と短期投資への振り替え89億円が、ほぼ同額になっています。
連結貸借対照表(負債及び純資産の部)
次に、貸借対照表の貸し方、資本の部です。その他の包括損失が253億円悪化していますが、円高による外貨換算調整勘定の悪化266億円が原因です。その結果、残念ながら自己資本比率を若干落とすことになっています。
売上高・営業利益の前四半期比較(1Q vs. 2Q)
今期の第1四半期と第2四半期の比較についてお話をさせていただきます。1-3月期を底にして回復局面にありますが、第1四半期は急に回復し始め、必ずしも受注即対応というわけにはいかず、どちらかというと在庫を食った分がある。そういった第1四半期と、引き続き回復局面にあって、在庫を増やすことなくほぼ受注即生産を達成した第2四半期との比較になります。
一番下を見ていただくと、売上高は228億円、12.5%の増収です。営業利益は、のれんを除いて138億円改善しています。
従来TDKについては売上高が165億円、11.4%の増収。営業利益は100億円改善しています。製品別売上高は、165億円の増分のうち、HDD用ヘッドが約半分を占めている。残り半分は、電子部品でカバーする形になっています。その結果、営業利益の増分100億円を電子材料・電子デバイスと記録デバイスで分けると、電子材料・電子デバイスの改善のほうが大きい。
構造改革費用は、第1四半期8億円から第2四半期10億円、2億円ほど悪化要因に働いています。為替は3円63銭、第1四半期から第2四半期にかけて円高で働いた結果、売上高が約50億円減少して、営業利益は約16億円悪化しています。売上高は165億円増加していますが、為替の目減り分50億円を加えた215億円が、操業アップ、実質的な売上増加になっています。変動比率はほぼ50%として、108億円の営業利益がプラスの方向に働いているということです。
エプコスの売上高は62億円、17%の増収。営業利益は38億円改善しています。構造改革費用は第1四半期9億円に対して第2四半期は3億円。6億円改善した要因の1つになっています。
構造改革の効果
最後に、第2四半期における構造改革の効果について簡単にご報告申し上げます。ここでは、エプコスを除いた従来TDKが対象です。
昨年の11月、12月に急速に売りが落ちてきた中で、異常要素を除くと月次の売上高450億円、営業利益はマイナス39億円。これが我々の実力値という認識に立って、何とか黒字にしなければいけないということで、固定費を削減するために構造改革を実行させていただきました。
第2四半期の実績から売価値引きや為替を調整すると、売上原価率は81.3%が71.1%となり、10.2ポイント改善しています。この改善率に450億円を掛けた46億円が、売上原価の改善額となります。SG&A(販売費)は123億円が100億円ということで、23億円の改善。したがって、合計69億円が改善していることになります。そして、この中に含まれている資材値引き11億円を引くと、58億円ぐらいの構造改革の成果が出ているのではないかと考えています。すると第2四半期としては、58億円×3として174億円の効果が出ていることになります。この数字には構造改革とは別に歩留まりの改善も含まれていますが、構造改革で期待した効果金額166億円はほぼ達成しているという認識に立っています。
以上の報告をもちまして、2010年3月期の連結業績並びに2010年3月期の通期業績見込みについての報告を終わります。ありがとうございました。