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[ 2009年3月期 第2四半期 連結決算説明会 ]2009年3月期 第2四半期 連結業績概要および通期の見通しについて

取締役 専務執行役員 江南 清司

取締役 専務執行役員 江南 清司

こんにちは。江南でございます。よろしくお願い申し上げます。本日はご多忙のところ決算説明会に多数お集まりいただきましてありがとうございます。また、日ごろのご支援に感謝申し上げます。
当社2009年3月期第2四半期累計連結決算概要、第2四半期だけの決算概要と、2009年3月期通期の業績見通しについてご報告申し上げます。なお、東京証券取引所から累計ベースにした決算短信の作成が指示されておりますので、まずは第2四半期累計、6カ月累計をベースにご説明させていただきます。後に、第2四半期のみについての説明という順序でいきたいと思います。また、短信に沿ってではなく、画面に沿ってご説明させていただきます。

まず、6カ月累計。第2四半期累計連結業績概要です。売上高は3,965億3,700万円、前年同期比365億5,100万円、約8.4%の減収です。営業利益は143億8,100万円、前年同期比327億6,400万円、69.5%の減益。税引前四半期純利益は148億2,600万円、前年同期比335億3,600万円、約69.3%の減益。純利益は118億6,800万円、前年同期比227億5,800万円、65.7%の減収になっています。
売上高は、円高影響で383億円、売価値引きで222億円、合計605億円の減少影響がありました。これを366億円の減少にまで留めたものの、全てを吸収するだけの物量的伸びがなく減収になりました。その結果、営業利益、税引前四半期純利益、純利益は大幅な減益になりました。1株当たり純利益は92円02銭、1株当たり株主資本は5,645円77銭。減益とは言いながら利益が出ている中で、前期9月比較で減少しているのは、前期に対して対米ドル円高による外貨資産の目減りや、株価下落による年金資産の減少、その他包括利益累計額が悪化し、1株当たり純資産を減らしています。

次に、第2四半期累計営業利益増減です。営業利益は328億円減少しています。内訳は、操業度、品種構成を含めた売上高増加による利益増が45億円。合理化コストダウン、原材料値下げで98億円、販管費及び一般管理費の削減が28億円。これらがプラス要因です。それに対して、為替変動で127億円、売価値引きで222億円、記録メディア販売事業譲渡益減で149億円のマイナス要因があり、差し引き328億円のマイナスになっています。メディアの譲渡益を除いて考えると、営業利益は179億円、約58%の減益になります。

この6カ月間の為替の影響は、対米ドルが106円12銭で推移し、11.1%の円高です。その結果、売上高で383億円の減収、営業利益で127億円の減益という、マイナス要因として働いています。

第2四半期累計決算の特徴です。電子部品に影響を与えているエレクトロニクス市場は、薄型テレビ、ゲーム機、PC、HDD、携帯電話等の生産は、前年同期と比べると増加して推移しました。ただ、電子部品の需要を牽引していた高機能製品、最終製品の需要が、先進国を中心に鈍化した結果、セットメーカーの数量よりも電子部品の需要が一層低迷している状況にあると理解しています。そのような需給関係の悪化もあり、価格下落が進んでいます。一言でいうと、数量の伸び、つまり操業度が期待値まで届かなかった結果、マイナス要因を吸収しきれなかったというのが全体的な構図です。

記録デバイス製品は、数量増加、製品ミックスの改善はありましたが、価格下落と為替影響による減収をカバーしきれませんでした。記録デバイス製品以外の電子部品について言うと、コンデンサは、想定以上の価格下落と為替影響によって減収となりました。特にPC分野で大幅に売上を落としました。インダクティブデバイスは、製品と分野によって需要の強弱はありますが、トータルでは若干減収しています。信号系は自動車市場で、積層製品は薄型テレビで、トランスは白物家電で売上を落としています。電源等は半導体市場の不振の影響によって減収になっていますが、センサアクチュエータ、高周波は増収になっています。エナジーデバイスは、需要増を背景に大幅な増収になっています。記録メディアは今期から「その他」に含めていますが、前年8月1日付けで事業譲渡したこともあり、大幅な減収になっています。資材価格の高騰の影響を受けたのが、金属磁石、フェライトコアの製品です。

次に貸借対照表です。総資産額1兆633億円と初めて1兆円を超えましたが、これはエプコス社買収のための借入金の増加によるもので、総資産で1,278億円増えたことが原因です。米ドルに対する円は、9月末日レートは103円57銭。前期末比較で3円38銭の円安になっています。その結果、外貨資産の為替換算影響額は118億円の増加となり、これも含めての増加です。

資産の部は、現金及び現金同等物が75億円増加しています。利益計上119億円と短期借入金の増加1,100億円で、エプコス社の株式750億円、固定資産の取得677億円、減価償却費388億円、差し引き289億円の支出超と、配当金90億円、加えて一部借入金の返済15億円を賄っています。棚卸資産は3月末日から54億円増加していますが、第1四半期末からは3億円の増加にとどまっており、それほど在庫は膨らんでいないという認識です。投資勘定は758億円増加しています。エプコス社の株式が9月末段階で782億円(約45%保有)増加している一方で、従来持っていた投資有価証券の評価減が28億円あり、このような数字になっています。

次に、貸借対照表の負債・資本の部です。短期借入金が1,085億円増えています。これは先ほどお話ししたように、エプコス社の買収資金を見込んだTDK単体の、銀行からの借入1,100億円に負うところです。資本の部のその他の包括利益累計額が、84億円良くなっています。これは、対米ドル円安で外貨換算調整勘定が90億円良くなった結果です。それ以外の年金債務調整差額、有価証券未実現評価損益という意味では、9月末現在、大きな悪化はありませんでした。10月に入って株価が非常に下がりましたが、ここには反映されていません。

次に、第2四半期累計キャッシュ・フロー計算表です。当期6カ月の動きについては、現金及び現金同等物のところでご説明したことと基本的に変わりありません。前年同期比較では、営業活動による現金収入は前期に比べて利益は大幅に減少していますが、前期422億円に対して458億円と増加しています。これは、在庫や売掛金等の減少効果です。投資活動、財務活動に関する部分については、エプコス社の買収と本荘工場の建設が投資や財務活動に色濃く影響しています。

ここからは、第2四半期だけの連結業績概要についてご説明します。売上高は2,059億1,400万円、前年同期比204億7,500万円、9%の減収。営業利益が89億8,800万円、前年同期比220億2,800万円、約71%の減益。税引前四半期純利益は92億4,900万円、前年同期比189億3,200万、67.2%の減益。純利益は74億2,200万、前年同期比111億8,200万円、60.1%の減益と、大幅な減収減益決算でした。前年第2四半期の営業利益には、記録メディア販売事業譲渡益149億円が含まれていますが、これを除くと前年同期の営業利益は161億円、前年同期比71億円、44%の減益になっています。

第2四半期、7月から9月までの為替の影響です。平均的には対米ドル107円66銭、8.7%の円高で推移しています。結果、売上高は168億円、営業利益は62億円の減益で、マイナスに働いています。

次に、製品別売上高についてです。この画面は第2四半期だけの製品別売上高で、6カ月累計については報告していませんが、短信の3ページと13ページに載っていますので、必要があればご参照いただきたいと思います。今期から記録メディアをその他に組み入れ、全社を4つの製品区分に分けています。製品区分別の売上高、その区分を構成する製品の状況をご報告します。

まず、電子材料です。売上高は465億円、前年同期比65億円、約12%の減収。全体に占める構成割合は23%です。電子材料を構成するコンデンサは、前年同期比で減少しています。積層セラミックチップコンデンサは、PC、AVゲーム機器で販売が減少し、価格下落および円高の影響で減収。フェライトコアおよびマグネットは、前年同期比で売上は増加していますが、マグネットの増収でフェライトコアの減収を賄っています。その結果、コンデンサは前年同期比較で18%の減収、フェライトコアおよびマグネットは2%の増収。電子材料の中での構成割合は、コンデンサが66%、フェライトコアおよびマグネットが34%になっています。

電子デバイスは、売上が501億円。前年同期比44億円、8%の減収で、全体の構成割合は24%です。電子デバイスの中に占めるインダクティブデバイスの売上高は、前年同期比で減少しました。自動車市場向けで信号系コイルの販売が減少したことが大きな要因です。高周波部品も前年同期比で減少しています。PC向けの販売が減少したことが主な要因です。それ以外の電源その他は、やはり前年同期比で減少しています。センサアクチュエータは増収でしたが、一部製品の終息と、半導体関係市場の不振により、電源製品の減少を賄うことができませんでした。その結果、インダクティブデバイスは4%の減収、高周波部品は24%の減収、電源その他が10%の減収で、電子デバイスに占める構成割合は、インダクティブデバイスが50%、高周波部品が5%、電源その他が45%になっています。

次に、記録デバイスです。売上高は776億円、前年同期比89億円、約10%の減収。全体に占める構成割合は38%です。HDD用ヘッドは前年同期で減少していますが、HDDの生産台数が増加したこともあり、数量は増加していますが、価格下落、為替の影響で売上高が減少しています。その他は、前年同期比で増加しています。これは、昨年11月にマグネコンポ社、サスペンション事業を買収したことによる増収です。その結果、HDD用ヘッドの伸びがマイナス16%。その他は、マグネコンポが入ったことで198%の増収になっています。その結果、構成割合は、HDD用ヘッド関係が91%、その他が9%です。

その他の売上が317億円、前年同期比6億円、約2%の減収。全体構成は15%になっています。エナジーデバイスは売上を伸ばしましたが、記録メディアは売上高を落としています。

次に、分野別売上高です。これは、記録メディアを除いた従来の電子素材部品部門に限定しています。情報家電分野は、コンピュータ、ストレージ機器関係が減少した結果4%の減収、構成割合は66%。高速大容量ネットワーク分野は、通信向けが減少したことで12%の減収、構成割合は10%です。自動車分野は、電装品向けが減少したことで8%の減収、構成割合は8%。その他は、産業機器向けが減少したことで11%の減収、構成割合は16%になっています。

次に、第2四半期連結損益計算書です。営業利益が220億円減少しています。この詳細は次に説明させていただくとして、営業外損益は31億円改善しています。改善の主因は、円安に伴う為替換算差損益が26億円、関連会社持分が10億円、有価証券評価減の改善が8億円。一方で、受取利息、受取配当金の減少等によって金融収支が14億円悪くなり、この数字になっています。

営業利益が220億円減っていますが、その分析です。まず、操業度、品種構成を含んだ売上高増加による利益増が33億円、合理化コストダウン、原材料値下げで52億円、販売費及び一般管理費の削減で27億円。これらがプラス要因です。それに対して、為替変動でマイナス62億円、売価値引きで121億円、記録メディアの事業譲渡益の減で149億円。従来の構造改革費用をみると、前期42億円に対して当期は18億円。前年同期比較で、220億円と大きな減益となっています。譲渡益を除いても71億円の減益です。

これを製品区分別で見ます。まず、電子材料です。この製品部門の減益が、全社減益の大半になります。一つは想定以上の価格下落、新規投資による負担、数量的に伸び悩んだコンデンサが主因です。記録デバイスHDD用ヘッドは、アルプス電気から設備、ノウハウ等を購入しながら、お得意先の生産調整もあって操業が期待値まで届かなかったこと、あるいはノウハウを使い切るところまでいかない、導入している準備段階にあるということで減益になっています。サスペンション事業はお陰様で黒字化しています。電子デバイスは、半導体不振の影響と実質的な事業統合による費用の発生で、電源事業における減益。インダクティブデバイスも為替影響等で減益になっています。その他ですが、譲渡益を除いて考えれば、記録メディアは改善されています。また、エナジーデバイスは非常に好調で、増益になっています。

次に、今期第1四半期と第2四半期の比較です。売上高が153億円増加したことに伴って、営業利益が36億円増えています。この表では、記録メディアの数字がその他に含まれています。第1四半期の米ドル平均は104円56銭、第2四半期は107円66銭で、第2四半期のほうが、若干為替がプラスに働いています。

記録デバイスの売上高は52億円増加していますが、サスペンションを含んだその他はほぼ横ばいです。期初の想定からは落ち込んでいますが、HDD用ヘッドの売上増加に伴って利益が増えています。その他は79億円増加していますが、エナジーデバイスが大幅に売上を増加させたことで、利益も増加しました。記録メディアの売上は約6億円増加。したがって、残りその他は減収となりました。電子材料は8億円売上が増えていますが、フェライトコア及びマグネットはほぼ横ばい。コンデンサは売上面で若干増加していますが、このセグメントは、一方で減価償却費の負担が増加、一方で資材価格高騰の緩和があって、利益的には第1四半期と比較するとほぼ横ばいです。電子デバイスは売上高が14億円増加しています。ただ、高周波部品の落ち込み、電源事業における半導体不振の影響、事業統合に伴う費用発生により売上と利益を落としています。

次に、連結業績見通しです。売上高7,950億円、営業利益350億円、税引前当期純利益316億円、当期純利益250億円と、大幅な下方修正をさせていただきました。第1四半期の決算説明時には、上期の第2四半期のみを変更して、下期については非常に不安定で予測が難しいため見直しはしませんでしたが、直面した第2四半期は、我々の想定を遙かに超える激変の中、下方修正をさらに下回る結果になりました。下期の見直しを行うにあたり、例年であれば9月、10月は非常に忙しく、また、年末商戦もありますが、この盛り上がりが全くない状況で、そこまでは取り込んだということです。その結果、電子部品の市場は前年比縮小すると想定しました。

HDD用ヘッドについては、需要は数量ベースで拡大しますが、価格下落圧力は高まるだろうと想定しました。営業外では、為替が円高になっている状況で、為替換算損と株価下落による有価証券関係の評価減を一部見込んでいます。為替は100円を想定しています。エプコス社は10月17日付けで連結対象会社になりましたが、今回の業績見通しには、エプコス社の分は全く反映していません。今後、どこまで実体経済が落ち込んでいくかはわかりません。年末商戦がなかったらという部分は織り込みましたが、それ以上のところは想定外と考えています。上期比較で下期の売上高が増加していない、ほぼ横ばいの中で、営業利益は上期144億円に対して下期は206億円、約62億円の増加を見込んでいます。これは、一つには、HDD用ヘッドが上期に比べて数量増がかなり期待できるという、操業度アップによるもの。もう一つは、アルプス電気から購入したノウハウ等が具現化してくいことでの利益増を期待しているということです。

電子デバイスは、電源事業のUPS等、季節的要因による売上高の増加。また、上期に実質統合するときの費用が減少することによる増益。インダクティブデバイスについては、不採算製品への対応が進んでいる中で改善を見込んでいます。電子材料については、フェライト及びマグネットは資材価格の高騰がここのところ落ち着いて、若干下がっているような状況です。さらには、資材価格が高くなった中で、材料歩留まりの改善や工程整備等、努力してきたものが利益貢献してくるのではないか。コンデンサについては若干の改善は見込んでいますが、ほぼ横ばいとみています。その他では、上期に利益を稼いでくれたエナジーデバイスは、第4四半期は季節的要因で落ち込むとみていますが、記録メディアの改善でプラスマイナスゼロ、賄えるだろうというシナリオを考えています。下期の構造改革費用は、特別なセグメントには振り分けてはいませんが、期首に20億円とみていたものから、51億円ということで31億円ほど増額してみています。

通期見通しで、営業利益が350億円まで落ち込みました。350億円、本当に達成できるのかという状況の中、今期、来期にかけて、景気浮揚時にはいち早く利益を出せるような体質にしたいということで、製造力、開発力の強化を図ることはもとより、次のような体質改善を積極的に進めていきたいと考えています。

一つは、ITバブルが弾けてから、広がりすぎた拠点の整備・統廃合、拠点最適化を目指した生産移管。これは円高でということではなくて、最適化を目指した生産移管を考えてやっていきたい。もう一つは、不採算事業の終息・撤退。また、不採算製品の終息、代替、あるいは仕様変更、値上げ要請等々の徹底。派遣社員の2009年問題や、中国等における賃金上昇に伴う、人員、設備を含めた合理化の徹底。そして、開発テーマが広がりすぎている部分もある中で、縮小、中止するテーマの選別。もう一つは、電源買収、HDD用ヘッドの買収、マグネコンポの買収等々、この1、2年買収させていただきましたが、それらがどれも果実を生んでいない状況の中、投資回収ができるような体質に徹底していきたい。また、エプコス社との相互補完シナジーをさらに追究していきたいと考えています。これらの施策のうち、今期中に具現化する施策もある中で、改革費用を増額させていただいています。

先人が「好況良し、不況さらに良し」と言っているように、我々としては、この激変を経営の緩みを正すよい機会と前向きに捉えて、先程来お話ししたような体質改善を積極的に行っていきたいと考えています。

以上です。ありがとうございました。