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[ 2009年3月期 第2四半期 連結決算説明会 ]Q&A

Q1. いつものようにHDD用ヘッドの出荷指数、2Q実績、3Q見通しを教えてください。
A1. 前期の第1四半期を100とすると、今期は第1四半期112、第2四半期127の実績、第3四半期143を見込んでいます。
Q2. 上釜さんにお聞きします。今までいろんな工場をご覧になったかと思います。また、今、エプコスさんと一緒に事業をやることになりました。今こういう局面で一番何をすべきなのか、改めてもう一度お聞きしたいと思います。
A2.  おっしゃるとおり、国内外の工場、エプコス社の工場もいくつか見てまいりました。合理化が足りないというのが一つ挙げられます。特に中国は、今まで人手に頼ってきました。今後エプコス社とのシナジーも生かして、合理化を相当加速させなければいけないというのが大きなテーマになりますが、おそらくかなりのスピードでできるのではないかと考えています。
それから、一貫生産にこだわらなければいけない。現状は、一つの製品を作るのに一つの工場の中で完結していない。したがい、生産リードタイム、在庫の観点からこの状況は非常に問題だと認識しているので、できるだけ早く一貫生産できるようにしたい。この二つを徹底的にやりたいと思っています。
Q3. 来期以降、特に短期的なことを考えたときに、例えば、エプコスさんの売上の半分以上は自動車や産業機器で、比較的マクロ景気を受けやすいところがあろうかと思います。これに対する懸念、もしくはエプコスなら大丈夫だということに関して、何か最近お感じになることはありますか。
A3. おっしゃるとおり、自動車はヨーロッパでもかなり落ち込んでいます。ただ、エプコス社も相当特殊なところをやっているのは確かですし、産業機械もあります。また通信、すなわちフィルタ類の製品をもう少し積極的に、そして落ち込み分を穴埋めするために、売っていく方向です。
Q4. 社長様にお聞きかせいただきたい点が2点ございます。
昨年から経営に取り組んでこられて社内をご覧になってきたと思いますが、先ほどの工場に関してだけでなく、全社的に見て、来年度に向けて経営課題として取り組んでいくべき内容をどのようにお考えか、教えていただきたいと思います。M&Aもしてこられて、これから果実を刈り取っていかなければいけない状況下で、マクロ環境の悪化が重なっている厳しい状況だと思いますが、今、どのようにご覧になっているか教えてください。
A4. 経営課題として、工場の統廃合というのもありますが、開発体制も一回見直さなければいけないと考えています。エプコス社を見ると、非常に効率のいい開発体制になっています。TDKは開発機能を本社組織としてかなりの人数を抱えていますが、製品に近いところの開発についてはできるだけ事業部に移して、もっと開発効率を上げる。
一方、エプコス社と一緒になるにあたって、本社組織が担うべき開発はどうあるべきかという視点から開発のあり方を決めてゆく必要があると考えています。
Q5. 先ほどの工場のお話と絡みますが、先日の報道で、中国における事業再編、従業員削減等に関する記事が出ていたかと思います。これの効果額、実際の業績に与える影響、時間軸でどう利いてくるか、今の見通しを教えてください。
A5. 中国では合理化を推進してゆき、HDD用ヘッドは下期ぐらいから効果が出てくるだろうと考えています。エプコス社の設備、合理化は進んでいますので、他の電子部品も同様の展開ができると思います。時間軸としては来期前半ぐらいから、効果を出していきたい。要は10月1日に新会社として発足するわけですが、その前にある程度効果を出していかなければまずいと考えています。
Q6. エプコスさんの中国の拠点と御社の中国の拠点を統廃合することによって、来年度の上期後半ぐらいから効果を出していくと考えているのですか。
A6. そうです。
Q7. 報道では、1万5,000人という数字が出ていますが。
A7. それはHDD用ヘッドでの話です。電子部品については今後、合理化を進めていかなければいけないということです。
Q8. HDD用ヘッドで1万5,000人とすると1人当たりの人件費はだいたい推定できますが、掛け算をして、年間のコストダウンはそれぐらい利いてくるという見方をしてよろしいですか。
A8. 試算方法としてはその通りですが、合理化により製品の品質が上がる等のシナジーも出てくると思います。
Q9. HDD用ヘッドのビジネスモデルの考え方をもう一度教えてください。昨今、WD社が富士通のHDD部門を買収するというニュースも出て、また、HDD用ヘッド内製メーカーが御社のお客さんを買うような噂も出てきています。一方で、御社がシーゲートに対して250GB/P品から出荷するという話も出ている中で、HDD用ヘッド内製メーカーが2.5インチで力を付けてきたときに、サムソン、東芝さんが弱まってくる可能性もあって、業界がいろいろ動いてくると思います。
そのような環境下で、御社のように技術が良くて、かつコストが安い製品を作るメーカーは、世界シェアを半分以上取っていく仕組みができるはずですが、今になってもお客さんを失っていると感じています。そういう中で、今の部品サプライヤーとしての立場が永続的に続く形態で良いと思われているのか、それとも、ハードディスクドライブも手がけるビジネスモデルが将来あってもおかしくないと考えられるのか、いかがでしょうか。
A9. おっしゃることはよくわかりますが、非常にデリケートな、戦略に関わる問題ですし、回答を申し上げにくいご質問です。申し訳ございません。
Q10. コンデンサの売上が厳しくなる中でどうして利益がさらに悪くならないのかということと、事業環境がかなり厳しい中で、どういう形で今後盛り返していくのか。そのへんの道筋を教えてください。
A10. まず一つは、本荘工場を立ち上げることです。当初は2割の増産を考えていましたが、この市況なので15%程度の増産で進めています。その中でやらなければいけない内容が、一つは合理化コストダウン。もう一つは、歩留まり改善。それによる材料費や労務費の削減、これらを徹底的にやっていく。
それから、海外工場を集約していく。それによって在庫の削減、経営効率を上げていこうと考えています。
一貫工場にしてリードタイムを半減する。その中で、歩留まり向上、在庫削減を狙っていこうと考えています。
Q11. 7月31日の1Q発表時点で設備投資額の計画は700億円でしたが、現時点で850億円に増えている背景を教えてください。また、上期累計で677億円に達していますが、7月31日時点の年間計画とほぼ同じ金額を6ヶ月間で使っている、何か特別要因があるのか教えてください。
A11. 700億円を100億円減らして、600億円というのが新聞記事に出ていましたが、これは、いわゆる承認ベース、稟議が上がってきた場合の決裁ベースで100億円ほど削っていこうということです。上半期で677億円になって、年間850億円の計画というのは本荘工場の投資分が前期から今期の頭にずれ込み、200数十億円の計上になったことが大きな要因です。
Q12. 設備投資ですが、下期は大きく減速していますが、来期はメンテナンスベースで最低いくらぐらい必要だと認識すればよろしいですか。
A12. 積極的に増産投資していくような状況にないですが一方で、合理化や改善投資をしっかりやっていかないといけない。そういう意味では減価償却の範囲内、600億円ぐらいは継続していきたいと考えています。
Q13. HDD用ヘッドのシェアは、上期は30%ぐらいではないかと推測しますが、6カ月後、もしくは中期で見たときに、どれぐらいまでシェアの上昇が見えているのか。もしくは目指しているのか。そのあたりについてご解説をお願いします。
A13. HDD用ヘッドのシェアの考え方ですが、おっしゃるとおり上期は30%強とみております。今期は後半に33%、そして中期的には35%ぐらいまでは狙えるのではないかとみております。
Q14. シェア35%まで達する時間軸は、どのように考えればよろしいですか。
A14. 2010年ぐらいには、達成したいと考えています。
Q15. コンデンサは新しい工場の稼動に取り組まれていますが、業界全体の需給環境は悪化しています。したがい、稼働率は悪くなっていると思いますが、この先、オペレーションはどのような形で持っていかれるのか。能力増を緩めるのであれば、どの工場を使ってどういった品種を、どういった戦略で作るのかというような、今ある能力をどう使っていくのかということに関して教えてください。需要の見通しもあると思うので、市場環境見通しも合わせてお願いします。
A15. 今の市況を見ると、当初計画していたよりも需要が落ちています。今、コンデンサの操業度、稼働状況は75〜80%で動いています。それぞれの工場のオペレーションですが、基本的に本荘工場は、薄層で多層の製品の品質歩留まりを上げていくために建てられた工場です。そういう意味で、一番ハイエンドの製品を作っていくのが本荘工場です。
その次に、一貫ラインとしてあるのが北上工場ですが、ここも高大容量製品を中心に生産しております。秋田工場では低ESLなどの応用製品関係を集約していこうと考えています。
Q16. 例えば、高容量はどこかの拠点にかなり偏った集約をして、あるいは産業用や車用で、電圧の高いところは一つにまとめて効率化を図るなど、稼働率が低いことによっていろいろ分け方もできると思いますが、アロケーションの変化はあるのでしょうか。
A16. 積層コンデンサの場合、設備はそんなに大きく変わりません。材料によって誘電体層間厚みが変わるという問題はありますが、北上工場で流した製品を本荘工場で流せないということはありません。そのへんのところは需給バランスを見ながら生産性を考えて、生産計画を立てていこうと考えています。今、ご心配されましたように、当然受注は変わってきます。ですから、生産性を考慮した生産計画を組んで、受注バランスと合わせてものを流すことを考えています。
Q17. 通期の営業利益がかなり下方修正されて、前年に比べて522億円ぐらい減りますが、1Q、2Qで言われたようなブレークダウン、要因分析があれば教えてください。
A17. 営業利益ですが、前期は872億円でした。約150億円の記録メディア販売事業譲渡益を除くと約720億円ぐらいです。今期は350億円ということですから、370億円ぐらい減ります。先ほど上期は前年比で328億円減益だとお話ししましたが、この中に譲渡益150億円が含まれていますから、それをさっ引くと約178億円。これを単純に倍にすると350〜360億円で、ほぼ一致するわけです。
上期になぜここまで減益になったかというと、円高による売上減。これをカバーして、なおかつそれを上回るような物量が増えてこないと、コストダウンはなかなか進みません。製造業はそのような仕組みになっていますが、今回、物量が出ないから操業が上がらない。だから、値引きと為替によるマイナスが十分にカバーできない。これが基本構図で、今の状況では下期も変わらない。申し上げた上期の分析を単純倍していただければ、ほぼ回答が出るのではないかと思っています。
Q18. MLCCのところを聞き漏らしたかもしれないので、それも含めて教えてください。今、本荘工場は市況が悪くなっているので、稼働率を70%に落としてイールドを上げている状況だとおっしゃいましたでしょうか。
A18. 本荘工場に関しては、当初、最新鋭の生産設備を導入し、TDK全体の生産能力を20%増やそうと計画しました。しかし、本年に入って市況が悪化したため、当初計画を変更し、生産能力増加は20%ではなく、15%程度に抑えて投資をしているということです。
Q19. 新聞記事か何かで、すでに本荘工場で生産調整をしているというような記事が出ていたと思いますが、そういう状況ではないですよね。
A19. 生産調整というよりも、投資を調整したということです。
本荘工場は生産ラインがかなり入ります。ところが、今は無制限に生産ラインをどんどん増やしていく状況にはないので、ライン数は一定の数に抑えている。仮に、追加のラインを入れるにしても最低限にする。その意味での調整です。新製品を生産していくためには、本荘工場の非常にクリーンな生産設備が必要になってきます。また、そのようなニーズに対応するために、必要な投資はしていかないと、TDKの将来は危ういものになりかねません。ですから、本荘工場に既に設置した生産ライン、つまり、使えるものを遊ばせようということではありませんが、これだけ市況が悪い状況では、市場の状況と増産のニーズを慎重に見極めながら投資していると理解してください。
ただ、新製品は本荘工場で作ったほうが品質がいいので、そのための投資はしなければいけないと思っています。
Q20. 本荘だけの稼働率を見ると、入れた設備は稼動していますか?
A20. それはしっかり動いています。
Q21. HDDヘッドについて確認ですが、上期のTDKヘッドのシェアが30%。今、HDDの出荷数量予測とHGAの需要予測をもとに、今期のシェア33%とおっしゃっていました。これは、下期36%に上がるということなのか、それとも、33%という数字はただの目標なのか、どちらでしょうか。通期では33%、上期30%ですよね。そうすると、単純に下期は36%という計算になりますがいかがでしょうか。
A21. 30%強という表現をさせていただいたので、単純に下期のシェア予想が36%というわけではありません。
Q22. それでは、通期で33%ということでよろしいですか。
A22. いいえ、最終の値です。
Q23. 下期が33%ということですか。
A23. はい。
Q24. エプコスさんの業績見込は、TDKの下期見込には織り込んでいないとの説明ですが、いただける範囲内で、下期の連結業績への影響を数字面でお願いします。
A24. エプコスさんはまだ決算発表をしていないと思います。9月が年度末で、9月末の段階では増収増益であったと聞いています。10月から始まった新事業年度はどうかと言われると、10月17日から連結対象になりましたから、売上高は間違いなく上乗せとなります。しかし、今の厳しい経済状況は明らかにヨーロッパにも波及していますので、利益が上乗せになるかどうかというのは定かではありません。
我々の得ている情報では、彼らの1Qは厳しそうだと聞いていますが、2Q以降は、終わった期ほどではありませんが、回復が期待できそうだと言っています。ただ、現時点では、確度の高い情報が得られないので、連結業績の見込には織り込めなかったということです。
Q25. 下期の業績見込についてですが、通期の見込から上期の実績を差し引くと、下期の営業利益は206億円ぐらい出さなければいけないわけですが、場合によっては7-9月期よりも10-12月期が減って、1-3月期にまた増えるということも十分想定されていらっしゃるのでしょうか。
A25. 私は4Qのほうが落ち込むと思ってみています。3Qは逆に、セットメーカーさんが作ったら、それなりに売れると思います。そのリバウンドが1、2、3月にあるのではないかと見ています。
Q26. 従前より、ヘッドに関してはコストだとおっしゃっています。内製メーカーの取り込みにはとにかくコストだとおっしゃっていたと記憶していますが、アルプスさんの後工程の自動化設備が下期から動くことによって、どれくらいのコストアドバンテージが生まれてくるのか、定性的でも定量的でもいいので教えてください。一般的に、ヘッドの生産コストを分析すると後工程コストのほうが明らかに増えているはずです。後工程コストを安くすることができるということは、相対的にみるとコスト競争力が上がるということだと思いますが、そのアドバンテージを戦略的にどのようにお使いになるのかお考えを教えてください。
A26. 確かに、そのように申し上げています。後工程の自動化の効果は下期から出てきます。定量的には申し上げられませんが、単純に言うと、組み立て工程で人が半分減るようなイメージを持っていただければと思います。それから、加工工程で3分の1減る。ですから、後工程でかなりの人間が減ります。それによってハンドリングも減るでしょうし、品質も良くなるでしょうし、いろいろなシナジーが出てきます。これでコスト競争力は付きますが、それを戦略的にどう価格に展開していくかというのは、お客様との協議による部分もありますから、具体的に申し上げるのは難しいです。
Q27. 2点目にコンデンサですが、先程来、北上工場と本荘工場は一貫生産工場という説明でした。しかし、そうでない秋田地区に点在している工場があるはずですが、そちらについて、下期はどういう方策を考えていらっしゃいますか。もう少し言うと、コンデンサで収益改善の条件が、一貫生産工場、歩留まりの改善ということであれば、そうでない工場をどうしなくてはいけないとお考えになられているか教えてください。
A27. 北上工場、本荘工場以外の、他の工場に関して、今、製造の整流化という考え方で、現在の生産工程を一貫生産プロセスに近づける目的で、設備の再配置、移動をやっています。おおむね今期いっぱいで完了させる予定です。それによって、問題になっていた、リードタイムを短くして在庫を削減していこうと考えています。
Q28. その際に、苦しまれていたのが大容量の薄層の材料だったはずですが、本荘工場では材料を変えられたと思いますが、秋田地区の工場でも材料を変えるのですか。
A28. 材料に関しては研究所で、チタン酸バリウムを含めて研究をやっています。秋田工場に材料の製造設備があります。そこに次世代の材料を作るためのプラントを設計する準備を進めています。将来的に、秋田工場で細かい高結晶の材料を作るプランを検討しています。
Q29. リストラコストを下期、積み増しているところですが、どんな計画が入っているのか。来期以降リストラ費用が出てくるような計画があればご示唆いただけますか。
エプコスに関してですが、できるだけ合理化を進めてシナジーを出していくということはわかりますが、来期、事業環境が厳しいときに、固定費にも手を付けなければいけない、というようなリスクが増えると感じています。しかし、現実的には、ヨーロッパで固定費を減らすことは難しいのではないか?実際に、そういったことを考えなければいけない局面なのかどうか。そのへんについてご示唆いただけますか。
A29. 後半の質問から回答します。エプコス社はかなり構造改革をやってきています。確かにヨーロッパに工場は残っていますが、既に、かなり整理されていると思っています。彼らの固定費を見ても、かなり低く抑えられていますし、販管費もかなり安くできています。したがって、おっしゃるようなリスクはかなり低いものとみています。
今期中に考えているリストラですが、具体的な説明はご容赦ください。一つは拠点の閉鎖、撤退。ヘッドを中心とした人員の削減。あるいは、不採算製品の終息。拠点の適正な再配置を行う中での生産ラインの移管等、今期中に出る費用を想定しています。来期はもう少したくさん出ると思いますが、逆に、そういったものの効果も出てくるので、我々の計算では来期はトータル損益的には費用と効果の相殺でゼロレベルの前提で、いくらか利益が出ると考えてよいのではないか。今期、来期で厳しい事業環境が何とか収束に向かい、再来期には、上昇局面に向かってくれると嬉しいですが、上昇局面に入ると、一気にリストラ効果が出てくるように今から手を打っておこうと考えています。