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[ 2007年3月期 中間期 連結決算説明会 ]Q&A

Q1. いつもお伺いしているヘッド出荷数量の四半期ごとの指数の推移について、お話しいただけますか。併せて、ハードディスクドライブ業界の再編や、同業他社さんの業績の悪化など、実績と予想の数字の背景について解説いただけたらと思います。
A1. ヘッド出荷数量を、2006年3月期の1Qを100とした場合の今期の実績について、1Qは111、2Qは130になっています。3Qは133、4Qは128を見込んでおります。2QにつきましてはPC関係の得意先の増産、IT関係の需要の増大。この2つが大きく数量を伸ばした原因になっているとみております。3Qも、引き続き数量的には伸びておりますが、価格の状況が厳しいというのは先ほどご説明したとおりです。
Q2. 上釜社長にお伺いしたいのですが、就任されてからこの間、会社全体をごらんになって、今後の戦略を立てるのに何かヒントになるような新たな発見がありましたか。また、それをどういう戦略に結びつけていこうと考えていらっしゃるか、ここ5カ月間の概況について教えていただければと思います。
A2. 社長に就任してから4カ月ほどになりますが、得意先、また、国内の工場は九州の三隈川工場を除いて、ほとんど回らせていただきました。2回行ったところもあります。
いろいろないいところ、強いところがまだあるなという感想です。特に素材からやれている部門を筆頭に、もう少し手を加えれば非常によくなるのではないかという発見がいくつかあったということが収穫でした。今まさに中期計画を立てている最中ですが、ぜひそれに盛り込んでいきたいと考えております。
Q3. 逆に、思ったより悪かったところは。
A3. なかったわけではありません。ただ、そこもやり方によってはもっとよくなるだろう。基本的に、素材から全部やっているのは相当な強みだなと思っています。作り方、材料、設備もそうですが、その辺に手を加えると非常によくなるのではないかと思います。新しい分野というよりも、まずは足下をきちっとやっていくことが大事ではないかと感じました。
Q4. セラミックコンデンサについてですが、現在、月産170億個の生産能力があると思いますが、今後の能力増強について、何か追加的に投資の決定はありますか。どれくらいのタイミングまでにそこへ持っていくのか、社内的に煮詰まってきたところがあれば教えてください。また、投資の増額は、中身の入り繰りが変わっているかどうか。それとともに、この10-12月、1-3月に向けて、今わかる限りの事業環境の見方、需給等の見方があれば最新の考え方を教えてください。
A4. セラミックコンデンサは、2Qまできて技術的にもだいぶ落ち着いて、10月からは増産に入り、順調に動いています。トータル的にみると、10、11、12月は100%稼働できるように動いていますので、前にお話ししたように170億個という数字に関しては順調に推移しています。
今後の能力増強については、これまで設備投資が慎重すぎるのではないかとも言われていましたが、このたび、前倒しで設備投資を行うことを決定しました。できるだけ今期中に準備して、来期の4月から徐々に設備を立ち上げていきたいと思っています。数量としては、月産200億個を狙いたいと考えています。
Q5. 1Qから2Qの電子素材部門の営業利益の実質ベースの変化率では、30億円の増益と計算していますが、その確認をさせてください。また、その中身ですが、1Qから2Qにかけて増益の順番を製品別に教えて下さい。並びに下期のリストラ費用は、10億円で正しいのでしょうか。
A5. 営業利益の1Qと2Q比較ですが、比較して一番増えたところは記録デバイス、ヘッド関係になります。次が、電子デバイス、電子材料、その他電子部品です。電子材料においては、磁性製品を中心にリストラ費用を計上しています。リストラ費用は年間41億円を計画しており、上期が約31億円でしたので、下期は10億円ぐらいになります。これも基本的には磁性製品中心に予定しています。記録メディアは、予定していたものは終わりであると考えています。
そういう状況の中で、今後については、ヘッドは数量は増えますが、売価が厳しく業績的にも少々厳しいという認識に立っています。それに対して、コンデンサは10月から増産に入ります。加えてこの9月から利益率もかなり上がってきたので、ヘッドの落ち込みをコンデンサ等でカバーしてくれるだろうという認識です。それ以外の電子デバイス等々はそれほど変わらないだろうと予測しています。記録メディアについてはリストラ費用がなくなりましたし、しかも3Qは一番の繁忙期ですから、黒字を計上するのではないかと考えています。
Q6. 確認ですが、1Qから2QにかけてのHDDヘッド売上が7〜8%の増収になっていますが、利益率も1ポイント上がるという計算で正しいでしょうか。
A6. 利益率的にはそれ以上上がっていると思っています。
Q7. 上期から下期にかけてはHDDヘッドの売上高は下がるという前提ですが、上期の実績と下期で、どういう価格の前提を置いておられるのか、ヘッドの価格の前提を補足していただけますか。
A7. 上期から下期で、10%ほど厳しくなるとみています。
Q8. 上期も同じような感じで、年間20%ぐらいということでよろしいですか。
A8. 上期は、お陰様でそんなに下がっていないです。ただ、下期はそれほど甘くないだろうという認識です。
Q9. HDDヘッドの現状のフェムトの比率が数量ベースでどれくらいなのか。今後どの方向に向かっていくかについて、何か数字のようなものがあれば教えてください。
A9. フェムトの比率ですが、2Qの実績が43%、3Qで55%、4Qで61%とみております。
Q10. 前回、2Qは25〜30%ぐらいということでしたが、大きく増えている理由は何ですか。
A10. 新製品に切り替わってきているということです。
Q11. 最近、電池の発火の問題がありますが、御社が買収した電池の会社がどういう方向性にいくのか、コメントがありましたらお願いします。
A11. 電池については今いろいろある中で、私たちはポリマーを中心にやっていますが、品質という意味では更なる強化のために、エキスパートを入れてラインの見直しをかけています。今のところ、高容量のものについては積極的に参入せずに、できるだけ単セルのものをやっていこうという方針です。
Q12. 先ほど上釜社長の話の中で、素材からやっていることの強みというお話がありましたが、具体的にどういう事業でそれを感じられたのか、お答えいただければと思います。また、電源事業をごらんになって、これも素材からやっていることになると思いますが、現実的にどのぐらい利益を上げられる可能性を感じておられるか。今のところなかなかしんどい商売ですが、電源についての現実的な利益率の目標についてお話ください。
A12. 先ほど素材からと言いましたが、もう少し伸ばせるのは磁性材料だと思っております。さらに電源との関わりということになると思いますが、当然デンセイ・ラムダさんの中のトランスなども全部切り替えていきたいと思っていますし、この辺にシナジーが出るだろうと思っています。それによって利益率も、パワーも上げられるだろうと考えています。具体的に何%利益率を狙っているかというのは、今はご勘弁願いたいと思います。
Q13. HDDヘッドは圧倒的に御社が強くなっていますが、ヘッド内製のHDDメーカーとの競争はなかなかしんどい話で、究極的には内製メーカーの生産コストと同じような価格で売らないと、御社のお客さんがしんどいことになると思います。上釜社長様はいいものを作るしかないとおっしゃっていますが、前回か前々回の説明会では、他の手段も考える必要があるというご発言もありました。対内製メーカーとの競争の中で、どういう打ち手があり得るのか。これから数量は減るけど、価格だけ吐きだしていくことを避けるために、どういうことが考えられますか。
A13. ヘッドについては、私がヘッドの責任者をしていたときに、キャプティブメーカー(ヘッド内製のHDDメーカー)を取り込んでいきますよと言いましたが、順調にキャプティブの比率は増えています。それは確かですが、さらに取り込んでいこうとすると、それも価格に反映される1つの要因になっています。さらにどうやっていくのかについては、現在、いろいろなことをやりつつありますが、お客様がありますので具体的には申し上げられません。将来の結果を見ていただきたいと思います。
Q14. 電源関係の売上高が254億円ということでしたが、デンセイ・ラムダの御社への売上、営業利益の寄与が1Q、2Qでどの程度あったのか、具体的に教えていただけますか。
A14. 電源で254億というのはデンセイさんの分だけで、TDKの分は含んでいません。売上で254億円貢献してくれたということです。利益ベースでは、今の段階で8億円ぐらいです。先日デンセイさんの決算発表がありましたが、彼らは今期中にのれんを全部償却するということですので利益が出ていない形になっていますが、我々のSEC基準でいくと、上期で8億円ぐらいの利益が出ていることになります。下期はもう少しよくなるのではないかと期待しています。
Q15. デンセイ・ラムダの下期の売上、利益は、どれぐらいまで上昇すると見込んでいらっしゃいますか。
A15. デンセイさんは通期売上を520〜530億を予定されているのではないかと思います。それに伴う利益を考えていただければと思います。
Q16. 1Q、2QのTMRヘッド、PMRヘッドの比率と、3Q以降の見通しについて教えてください。
A16. TMRと長手の比率は、1Qの実績が25%、残り75%が従来のGMRと長手のLMRです。2Qの実績は、TMRとPMRの比率が6%、TMRと長手が31%。残り63%がGMRと長手の従来のヘッドという構成になっております。3Qについては、TMRと長手が45%、TMRとPMRは5%。GMRと長手が50%という見方をしております。
Q17. TMRの比率が2Qの37%から、3Qは50%と増える計画ですが、それでも単価が下がると考えざるを得ないのでしょうか。
A17. そのようにみております。
Q18. ヘッドで1つお伺いします。今いろいろ戦略を立てられている際に、どれぐらいの時間軸でものごとを考えておられるのか。2、3年後の御社の状況を考えて採る戦略と、短期的な利益を追う戦略とは違うと思いますが、今何を一番大事にして、どれぐらいの時間と焦点をあてて考えているかお話しいただけますか。
A18. 非常に難しいご質問ですが、まずは来年の末までを、ある戦略でファーストステップと位置づけています。ですから、2008年以降を次のステップと考えて、中期計画を作っているところです。
Q19. 年間の営業利益の内訳で、電子素材部品と記録メディアについて教えてください。
A19. 記録メディアは上半期で計上した23億円の赤字を、3Q、4Qで吸収し、通期でほぼ損益均衡という認識です。全社で820億円の営業利益を想定していますので、電子素材部品で820億円を計画しているということです。
Q20. リストラ費用をもう一度、四半期単位で整理していただけますか。
A20. 1Qが9億円、2Qが22億、上期合計31億という数字です。今期1年間のリストラ費用は41億円を予定しているので、残りは10億円となりますが、これは今のところ3Qに出るとみています。もちろん、やっているうちに、リストラ費用が追加になることがあるかもしれません。
Q21. 電子デバイスの売上高が1Qから2Qとかなり伸びていますが、今までの質疑応答で利益はそれほど伸びていない印象を受けました。それほど利益が増えない理由はどういうところにあるのでしょうか。電子デバイスはさらに3つの製品に区分されていると思いますが、それぞれの動きと併せて教えていただけますか。
A21. 売上高として、1Q、2Q比較で大きく増えているのがインダクティブデバイスです。営業利益も1Q、2Qで増えています。センサアクチュエータの売上高はほぼ横ばいで推移しています。デンセイさんは10億円ぐらい増えていますが、営業利益は1Qで3億、2Qで5億。それぐらいの差です。売上は全体として増えていますが、営業利益増に大きく貢献している部分はインダクティブデバイスで、電子デバイストータルではあまり増えていないという状態です。
Q22. 下期に向けてはいかがでしょうか。
A22. 3Qは、状況は変わらずに好調ということで、このままいってくれればインダクティブデバイスも増えてくれるだろうと思っていますが、3Q、4Qがどうなっていくかということは、確かなことは言えません。
Q23. 3Q以降もインダクティブデバイスが中心に引っ張る状況は変わらないということですか。
A23. 変わらないと思います。
Q24. HDDヘッドの価格のことをもう一度教えてください。去年は1年間で11〜12%下がったという話を聞いています。先ほどのお話の、上期から下期にかけて10%下がるというのは、年間ベースで言うと何%ぐらいになるのでしょうか。期初に、今期は15%下がるという前提でしたが、それが実際どうなったか。通期ベースでみるとどんな感じでしょうか。
A24. 下期は厳しく見ておりますので、通期では15%を上回って、18%ぐらいのダウンになるのではないかと予測しております。
Q25. それは堅く見ているのでしょうか。足下の状況、HDDメーカーさんは確かに競争が厳しくなっていますが、かなり状況が変わってきて、これから季節性が出てくる局面でこれだけ下がったときに、来年はどのように考えるのか。これは慎重に見ている数字なのか、実際に引き下げ要請がきているのか、確認させていただけますか。
A25. 流れとしては、価格は厳しい方向に続いていくと思います。したがって、それに対応していくように考えております。
Q26. 来期も同じようなペースで売価が下がったときの対応はありますか。
A26. その辺は、先ほど社長が言ったファーストステップになってくると考えております。
Q27. 考え方の確認です。今後の中期計画の詳細は待ちますが、基本的には各事業の収益性の低いところをよくすることが最大の力点と考えていいのか、それとも、さらにトップラインを採るべく、M&Aを含めて売上を加速するようなイメージを重点と考えるべきなのか。一方、リストラ費用をもう一度考えることはあり得るのかどうか。現状の会社の体制の完成度からみて、この2、3年はどういう年になるとお感じですか。その大きな方向感、考え方を教えてください。
A27. 今、4カ月経った私のイメージですが、強いところをもっと伸ばす。特に、磁性材料は伸ばせると思っています。とにかく、伸ばせるところは徹底的に伸ばす。当然弱い部分もありますが、弱い部分は今のままではだめだということですから、リソースをどこから引っ張ってきて、どう集中するか、どういう分野に集中するかということだと考えています。今は言えませんが、中期あるいはもう少し先をみたときに、必要によってはM&Aも考えなければいけないと思っています。
Q28. リストラ費用は一巡したとみてよろしいですか。
A28. 私は一巡したと思っております。
Q29. ヘッドのところで、御社はHDDのメディアの技術を持っていますが、それを使って、コンビネーションで展示される機会も増えていると思います。御社がメディアを1つの事業として考えるということは、将来的な可能性として高まってきているのか、それとも従来どおり、自社で技術を持っているだけというスタンスなのか、この確認をお願いします。
A29. 前回CEATECで発表させていただいたディスクリートメディアのような新しい技術は、磁気記録、ハードディスクの将来に向けて必要な技術です。さらに、今後TMR、PMRになった場合のコンビネーション、さらに、新しい技術を導入したときのヘッドのあり方。この部分を研究していかないと乗り遅れてしまうということで、今回の技術発表になっております。メディアの事業にTDKがどう関与するかということについて、現時点では具体的に、この技術で事業化するということは考えておりませんが、この技術を広く使っていただけるのであれば、さらに技術改良を高めていきたいと考えております。