株主・投資家情報

[ 2004年3月期 通期 連結決算説明会 ]連結業績概要

経理部長 江南 清司

経理部長 江南 清司

社長の報告に、若干補足いたします。

決算短信の11ページ、連結損益計算書をご覧ください。
営業利益についてです。第3四半期発表時に、営業利益の見込みを525億円と申し上げましたが、実績は543億円と見込みから若干の増益となりました。第3四半期決算発表時には、第4四半期で約40億円を構造改革で使う予定であり、そうなると年間では、期首時40億円と考えていたのが82億円程度になりそうだと申し上げましたけれど、先ほど社長から、終了した期の収益構造改革費用は75億円と報告がございました。構造改革は減らしたわけではありません。計画通り実行いたしました。ただ、計算の対象から外していた土地の売却が実現して売却益が発生し、その差し引きで75億円になったということです。
この他、重要性が高まったということで、海外子会社においてSECの年金会計基準に基づいて数理計算を実施しました。3月が終わって4月、いよいよ決算を締める当日か前日にドラフトが届きました。その内容は、想定外の追加年金費用の発生が予想されたということでした。会計士の方々から、この年金費用は、終わった期に計上するのが妥当という指導をいただき、一括で17億円の費用計上をしました。この分につきましては、第3四半期発表時見込みには想定されていなかった費用ということで、営業利益のマイナス要因になっています。
営業外損益では、その他のところが、前期と比較して68億円改善されています。円高によって、前期から比べて16億円ほど為替差損が増えていますが、それをこの部分で吸収しています。改善要因としては、関係会社利益持ち分の益の増加が約13億円、受取特許料の増加が19億円、投資有価証券評価損の減少が21億円、アメリカにあったソフト会社を売却した売却益が6億円発生しました。また、基準変更により、従来、営業外収益・費用の部に計上していた売上割引(キャッシュディスカウント)、保証料、賠償金等を営業費用に計上することになりました。それで、前期の発生分がゼロになり、それが5億円プラス要因に働いて、68億円の増加になっています。

12ページの連結貸借対照表、14ページの連結キャッシュフロー表、13ページの連結資本勘定計算書、9ページの当期キャッシュフローの状況等のキャッシュフロー関係を、まとめてご覧ください。
前期3月末との比較では、総資産額が7,703億円で、230億円増加しました。為替レートは、前期の3月末日レートと今期終了した3月末日レートを比較すると、米ドルは120円20銭が105円69銭。約12%、14円の円高です。ユーロも、129円83銭が128円88銭と、若干の円高です。そういうことで、海外資産の円換算影響額がマイナス385億円となり、総資産を減少させる方向に働きました。それを吸収して、総資産が230億円ほど増えています。
その中で、現金及び現金同等物が566億円増加して2,272億円となりました。これは、当社としては過去最高水準です。今期の増加分は、何よりも収益改善が進んだことに加えて、固定資産を中心に投資の選別を行ったことに起因しています。少なければいいというわけではありませんが、具体的には投資額が449億円、償却額が512億円と、資産圧縮、資産効率の向上に努めました。その結果、営業活動にあるキャッシュフロー部分が1,147億円増加しました。
それから、投資活動によるキャッシュフロー分が378億円マイナスになっています。それで、社長から報告がありましたように、フリー・キャッシュフローの段階で769億円の増加となっています。財務キャッシュフローはあまり多くありませんが、借入金を返済するなどで96億円マイナス。それから、為替の関係で目減りした分が107億円。最終的に566億円の増加になりました。

資本の部のその他の包括利益では、損失がさらに116億円増え、総額で904億円のマイナスになっています。15ページの最下段に、116億円の内容が載っています。外貨換算調整額で263億円マイナスが増えた結果、累計でマイナス528億円。最低年金債務調整額は、損が142億円減少して残額でマイナス382億円。有価証券の未実現評価益が5億円発生して、総額で6億円になっています。外貨換算調整額が悪化したのは、対米ドル円高の影響によるものです。最低年金債務調整額が好転したのは、株式市場が回復して好調だった結果、年金資産の増加が210億円。それを含んで年金債務が235億円減少しました。そのうち40%を繰延税金として控除したあと、残りの142億円が最低年金債務を減らす役割をしています。
このバランスシートでは、固定資産のその他の資産の中には繰延税金資産が含まれていますが、ここが大きく減っているのも、先ほどの40%分、94億円がここに含まれ、その他の資産を減らす形になっているからです。また、負債の部で未払退職年金が115億円減っていますが、これも年金資産の増加に起因しています。

1ページの売上高の内訳をご覧ください。事業の詳細は社長から報告がありましたが、製品別の構成割合と前期比売上高伸び率を、まとめてご報告します。
電子素材部品部門は全社に占める構成割合が79.4%、前期比伸び率プラス10.7%です。その中の電子材料製品は、全社に占める構成割合が25.3%、前期比伸び率マイナス1.3%。電子材料製品中、コンデンサの構成割合は69%、前期比4%増加。フェライト及びマグネットの構成割合は31%、11%減少です。
電子デバイス製品の全社に占める構成割合は16.4%、前期比伸び率はマイナス4.2%。電子デバイス製品中、インダクティブデバイスの構成割合は56%、4%増加。高周波部品の構成割合は15%、9%の減少。パワーシステムズその他の構成割合29%、16%の減少です。
記録デバイス製品の全社に占める構成割合は35%、前期比伸び率30.8%。その中で、HDDヘッドの構成割合が90%、前期比31%増加。光ピックアップを中心としたその他各種ヘッドの構成割合は10%、27%の増加です。電子素材部品部門中の最後になりますが、IC関連その他の製品の全社に占める構成割合は2.7%、前期伸び率20.7%増加です。
次に記録メディア・システムズ製品は、全社構成割合20.6%、前期比伸び率マイナス0.3%でほぼ横ばいです。記録メディア・システムズ製品中、オーディオテープの構成割合7%、27%の減少。ビデオテープの構成割合は28%、16%の減少。オプティカルの構成割合36%、38%の増加。データテープその他機器の構成割合は29%、8%減少です。

10ページの業績見通しをご覧ください。年間を通しては社長から報告がありましたので、上半期の見通しを申し上げます。
売上高3,177億円、営業利益245億円、税前利益255億円、税後利益192億円です。売上から税後利益まで、前年同期より少し増えています。これは、HDD用ヘッドの売上高の落ち込みと円高の影響を考慮しています。
それから、周知のことですが付け加えておきます。この新しい期に、厚生年金の代行返上を予定しています。9月末日を評価基準日として、過去分、将来分を一括して下半期に会計処理をすることになると思います。返上するときに益がでるか損が出るかは、運用状況に非常に大きく影響を受けるということで、今の段階では、合理的にいくらぐらいだと見積もることができません。ただ、この損益見込みには含まれていないということをお伝えしておきます。

最後に、19ページの次に単独の業績サマリーです。
社長から、営業利益段階で14億円減益、経常利益段階で12億円増益という話がありました。この要因は、主に開発費です。子会社間でコストシェアリングをやっており、TDK本体が費用を計上するときには営業費用の開発費として処理をしています。ところが、逆に相手からもらう場合には、売上高に持っていくわけにはいかないし、営業費用減にすると営業費用の実態がわからなくなるということで、会計処理的には営業外収益の受取技術指導料ということで処理しています。つまり、費用のほうが営業利益の上側にきて、収入のほうが営業外にきている。その増分が約40億円あります。それを加味すると、営業利益は実質的に26億円のプラス。それに為替差損もあって、経常利益段階では12億円の増益にとどまったと理解していただくと実態にあっていると考えます。単独の業績は連結と比べると、顕著な回復をしていませんが、体質改善は徐々に進んでいると認識しております。以上です。どうも、ありがとうございました。