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[ 2002年3月期 中間期 連結決算説明会 ]Q&A

Q1. 通期の部門別売上高を教えて欲しい。
A1. 電子材料が1644億円、電子デバイスが1063億円、記録デバイスが1390億円、IC関連その他が174億円。そして、記録メディアシステムズが1330億円。合計でおおよそ5600億円。
Q2. 電子素材部品部門の各セグメントでの上期実績の営業損益についてガイダンスを下さい。
A2. 各セグメントの具体的な損益は開示していないが、ポイントとして、コンデンサは当然売上高は減少したので収益は低下したが、それでもある程度高い収益率をキープできた。一方、HDD用ヘッドは非常に厳しく、フェライトも厳しかった。インダクティブデバイスもここへきて収益が非常に厳しいという状況。
Q3. 中国での生産比率が3年後にどれぐらいになるか、その見通しを教えて下さい。
A3. 私どもは昨年度、2000億円の売上をあげており、これは中国で生産したものである。このうちの400億円が中国国内向けで、残りが輸出になる。今後拍車をかけ、中国国内向けの比率を増やしていくためにも、新しい本部をつくり、いろいろな面で検討を進めている。これにより、国内だけでなくアジアの生産拠点についても影響が出てくるので、それについても検討を行っている。現時点では、そのように検討の段階であり、具体的に決まっていない点もあるため、3年後の見通しは申し上げられない状態である。この問題は改めて機会を設けて、はっきりした状態で申し上げるということにさせていただきたい。
Q4. コンデンサについて競合他社特に海外の会社では非常に大きな単価ダウンを容赦なくされているのに、なぜTDKはこんなに利益が順調に維持できたのか。
A4. 私どものコンデンサも、そんなに順調に利益がでているわけではない。他の部門よりは安定した黒字になっているということ。ちなみに、前期から比べると、50%ぐらい利益は下がっている。
Q5. 第3四半期の売上見込みの1443億円を部門別に教えて欲しい。
A5. 電子材料が420億円。電子デバイスが270億円。記録デバイスが360億円。IC関連その他が33億円。記録メディアシステムズが360億円。以上で1443億円。
Q6. 第1四半期から第2四半期にかけて、利益が悪くなっているセグメントはどこか。
A6. 電子素材部品部門では、電子材料や電子デバイスが主体的に落ち込んだ。また、記録デバイスも少し落ちている。
Q7. 記録デバイスの第2四半期、第3四半期、第4四半期について利益のイメージを教えて欲しい。
A7. 40GB/Pが市場の主流になると考えているので、第1四半期が一番悪くて、第2、第3、第4四半期と徐々に良くなっていくと見ている。
Q8. 8860人の人員削減計画で、決算期毎の人員削減数を国内、海外拠点別に教えて欲しい。
A8. 人員削減数8860人のうち、106期中に6380人、107期の前半に2240人。本体の自然減も含まれているが、108期に240人。106期を国内外で分けると、国内で1880人、海外で4500人。海外4500人のうち1500人は上期中、3000人が下期でと見ている。国内の1880人の内、パートの分が660名あるが、これは大半が上期中というイメージ。
Q9. 今期の第2四半期以降、リストラの効果をどの程度見込んでいるか。
A9. リストラコストは上半期で11億円、下半期で65億円ぐらいとみているが、その効果が第4四半期ぐらいから主に出てきて、約40億円と考えている。
Q10. 今回の構造改革にあたって、今期76億円費用を予定されているが、この内訳はどのようになっているか?
A10. リストラコストの内訳について。人に絡む分が50億円、設備の処分等が26億円。それで76億円と考えている。
Q11. リストラコストで、この今期76億円の費用計上の他に追加的に今後発生するものはいくら位あるか?
A11. 私の説明の中で申し上げたように、今回実施を開始した収益構造以外に現在検討中のものがある。これについては、関連部門の折衝がすんでいないため、この場で数字や内容を申し上げることができない。改めて確定次第、できるだけ速やかな形で開示したいと思っている。
Q12. このリストラの効果として、この第4四半期だけで40億円見込んでいるが、来期どれくらいを見込んでいるか?
A12. 人員8860名の削減に対する今期の効果は、40億円。来期は、これによって160億円労務費が削減できると考えている。当然、それに付帯する経費もあるが、これは全体の売価ダウン等々で吸収されてしまうであろうと考え、今回はカウントしていない。しかしながら、実際にはこれにプラスアルファの経費ダウンが出てくるであろうと考えている。
Q13. 私は、TDKの今やっているビジネスの要素技術範囲、要素材料範囲は広すぎるのではないかと思う。今回のような構造改革は、足元の不採算だけを締めることが中心だと思う。もっと魅力あるTDKをつくっていくために必要な施策を、今真剣に考えているか?
A13. 今のTDKの事業領域、あるいはコアコンピタンスの広がりが、広すぎるのではないかという ご指摘はよく分かる。しかし、私どもの収益は、あるときはメディアで収益をあげ、あるときはヘッドの収益であげてきた。ただ、メディアもヘッドもここにきて、ご承知のように低収益になってきている。
そのため、これらを資本コスト並みの収益に改造すべく、この中身も絞り込んできているが、これらは単品、単機能なので、ここに収益の軸足を置くことは、収益が振れる要因になると考えている。我々の本来のコアコンピタンスは電子部品、材料、素材開発であるので、ここに集中的に経営資源を投入していく。ただ、コンデンサ、あるいはインダクタについても、積層技術等では、テープで培ったコーティング技術、あるいは蒸着技術等々が使え、より微細になってくると、ヘッドのスパッター等々の技術に関わってくるので、それらの技術そのものはこの分野に入ってくる。
収益の中心を、いわゆる電子部品そのものの大容量積層チップコンデンサやインダクティブのよりファインなもの、DC/DCコンバータ等々、私どもの電子部品を中心にしたものにしていきたい。しかも、それはモジュールや部品も含めてファンクションという形でいくために、今、経営資源を集中している。
Q14. 今これだけの構造改革をやって、来期、今社長が考えている目標の営業利益はいくらか?
A14. 正直申し上げて、第4四半期そのものも非常に見えない状態である。第3四半期については受注も入ってきているため、ある程度読めるが、第4四半期については、得意先であるセットメーカー、システムメーカーなどが、減額修正を続けているように見通すのが大変難しい。そのため、来期以降は、売上がフラットな状態を前提にして、固定費の削減、変動費の改善、こういったもので収益をキープしていきたいと考えている。
Q15. 来期の人件費削減効果160億円というのは、今期の40億円とは別に160億円が出ると考えてよいのか?
A15. 今回の人件費削減前をベースとして、今期は40億円、来期は160億円。
Q16. 選択と集中の中で、撤退の判断が遅れているように思われるが、その要因は何だと考えているか?
A16. ご指摘のとおり、選択と集中を標榜し、かつそれをスピーディにやらなければならなかったと認識している。私どもとしては、毎期不採算商品をピックアップし個々には商品を常に入れ替えて来ているが、事業のユニットとして大きく変わることがなかったので、入れ替えが少ないと思われている点もある。
ただ、実際にそれがなかなか進まなかった理由として、人材の流動化の環境が十分でない国内の雇用関係や、ある商品を止めても、そのことで同じ製造ラインを使う他の商品に悪い影響が出てくるといった要因のために不採算商品のカット、選択の遅れがあったといったことも事実である。
Q17. TDKの事業の撤退基準について教えてほしい。
A17. これまでの選択と集中の遅れの要因をよく考え、今回、あらたにその判断基準となる製品のくくり方を見直した。製造工程が止まっても、やめるかやめないかという形がはっきりするような、商品のグループ分けを変え、選択と集中の検討を行っている。
また、過去2年間TVAがネガティブなものをクリティカル事業と定義し、そのNPV(Net Present Value = 現在価値)に基づいた事業計画を、多面的に徹底検証することにした。NPVが3年以内に黒字化が見込めないものは原則として撤退するというようにはっきりさせるようにした。3年以内にNPVの黒字化が見込めるものでも、半年ごとの検証を徹底的に行い、選択と集中を急ごうということで、改めて今回の構造改革の一環で決定し、進めている。
Q18. HDD用ヘッドの9月のマーケットシェアはどれくらいだったか?
A18. 9月のシェアは、25%程度であったと見ている。
Q19. HDD用ヘッドビジネスの下期計画の妥当性について聞かせて欲しい。
A19. 確かに他社も追随してきているが、先ほども述べたように、OEM(これは得意先であるHDDメーカーがPCメーカーに対してOEMするということ)という製品の立場でヘッドの承認化を考えた場合、私どものヘッドが幸いOEMの承認をいただいている。これから、他社がOEMの承認に入ったとしても、時間的な問題や、この場合彼らはセカンドベンダーということになり、数量的にもファストベンダー、セカンドベンダーとの間でその差がはっきりしてくるものだと思っている。 そのような状況から判断し、過去20ギガの製品では逆の立場だったが、今回は40ギガの製品でトップシェアをとれるということから、下期のシェアの見方や売上は堅いものがあると考えている。
Q20. 通期の売上高見通しの中で、電子材料と電子デバイスにおける主要製品の構成比がどのようになるか?
A20. 電子材料の中で、コンデンサは64%ぐらいの構成比になると見ている。また、電子デバイスでは、インダクティブデバイスが55%ぐらい、高周波部品が、17%ぐらいと想定している。
Q21. HDD用ヘッドのビジネスで、キャプティブ(ヘッドを自社でも製造しているHDDメーカー)とノンキャプティブに対する展開について説明して欲しい。
A21. ノンキャプティブ向けの40ギガ製品では、50%以上のシェアを持っていると思っている。ただ、キャプティブ向けの対応としては、これまでキャプティブ、ノンキャプティブ関係なくすべての得意先に対して積極的に対応していくという方針だったが、現在は、ある1社のキャプティブメーカーに対して積極的な承認化は考えていない。
Q22. 今後の成長戦略の中で説明のあった、ネットワークの中期の環境変化についての具体的なアクションを説明願いたい。
A22. 実際に環境変化が起こったとき、例えば、これから利便性という観点から、無線ネットワークというものがどんどん出てくると思う。10月のはじめにはPHS、DDIポケット向け、エアエッヂのCFタイプの無線データカードを商品化した。また、世の中の環境がまだ整っていないが、Bluetoothについても対応の準備を進めている。無線LANは、今後の高速ホームネットワークの本命とされている5 GHzを使った無線LANのカード、あるいはアクセスポイントの準備を進めている。このような展開をしながら、世の中の動向をキャッチし、例えばそれに使う通信用の電源、高周波部品など、市場のニーズに合ったさまざまな電子部品の商品化を戦略的に展開していこうと考えている。
Q23. 連結従業員数の削減計画を出しているが、仮に来期急速に需要が回復してきた場合、この計画を見直すことはあるか?
A23. 来期は非常に厳しいと思っているが、運良く来期需要が回復してきた場合、人員を増やさないでこなす方法をとりたい。たとえば、海外も含め労務費を契約的な変動費化できる体制をとりながら、対応をしていきたい。
Q24. 下期で収益が回復してくる部門をみた場合、セグメント別にどこの改善幅が大きいのかイメージを教えて欲しい。
A24. 第1にヘッド。次に季節的に売上増が期待できるメディア。部品は、コンデンサの若干増加による利益増。
Q25. ヘッドの改善幅はメディアやコンデンサに比べて相当規模の違う改善幅とみているのか。
A25. ヘッドのシェアを現在の20%から第4四半期には30%にもっていく。当然、そこには歩留まりの改善も入ってくるので、ご質問のようにみている。
Q26. 在庫に対する考え方と下期の稼働率について教えて欲しい。
A26. 在庫は現在、前期末と同じレベルなので、まだまだこれから在庫を減らしていかなければいけない。売上高が伸びない中で在庫を減らしていく訳であるから、第2四半期と同様な操業状態を維持しなければ在庫が減らないと考えている。
Q27. 現状の電子部品事業、競争力という点ではなかなか厳しいという認識を私はもっていますが、現状に至る過程でどういう点が一番問題点であったかを社長は認識しているのか。
A27. 1番目は、HDD用ヘッドの面記録密度の上昇カーブがなかなか寝ない事。それ自体はヘッドの価値を落とさなかったわけだが、これに対応する歩留りがなかなか上がらず、全体の収益構造を苦しめた。本来なら、ある程度HDD用ヘッドで稼ぎながら、電子部品にリソースを投入し、メディアのリストラをと思っていたものが、これで少し狂ってしまった。もう一つの問題は会社全体としての変化に対する認識の遅さ。これは、チャレンジ精神が非常に薄くなり、受け身になっている。したがって、ベンチマークが非常に弱かったということもあると思う。このような危機感が薄かったという点は、私自身もリーダーとして非常に責任を感じている。しかし、ここにきて、この危機感が相当高まってきた。システム的にも、組織的にも、お客さまとの距離を縮めるような形の組織に変える事で、スピーディに動けるようにしていきたいと思っている。
Q28. ソリューション的なビジネスというものを実現していく上で具体的な施策としてどういうものを考えているか具体的に説明して欲しい。
A28. 一番分かりやすい例では、EMC関連。EMC関連は部品としてビジネスをしているが、それ以外でも、電波暗室からその評価用自動測定システム、ハードウェア、ソフトウェアを含めて全部もっている。そのため、たとえば規格に入らないノイズが出ている問題がお客様にあった場合、解析のお手伝いから、実際に対策部品を含めて提供していくことが出来る。また、最近は無線のネットワークが進んできたため、例えば、実際に電波暗室で放射パターンをとって、設置場所まで含めた形でアンテナのソリューションを提供する。また、これからの無線環境は、どんどん電波が過密になるので、例えばETCの自動料金徴収システムのゲート周りの電波吸収など、ただ単にハードウェア、部品を個別で売っていくというところから、ソリューションを売っていくということが1つ。もう1つは、無線のネットワークを考えると、これから家電メーカーがホームネットワークを展開していく時に、無線についての基礎的な知識があまり強くないメーカーも少なくないので、家電メーカーと組んで、電波環境に対する取り組みや、無線のモジュール、インタフェースを、今のパソコン用のインタフェースから家電のインタフェースをどう取り組んでいくかということなどを、一緒に行っていくというあたりが、我々の考えているソリューション的なビジネス。
Q29. ヘッド事業において、TDKの客先のシェアが今後変動する時の対応策として何か考えがあるのか。
A29. TDKと取引のないメーカーが圧倒的な強さを持った場合のリスクを回避するために、例えばある客先とタイアップした形でハイエンドのヘッド開発を行うことも考えている。
Q30. 現状の厳しい状況に至るまでにはTDK内部に問題があったと思うが、どこが問題と認識しているか。
A30. 変化に対する認識、要するにスピード、感性と考えている。例えば、昨年前半での設備投資に対する判断。あるいは昨年末辺りで在庫を抑えなければいけない中で、なかなか在庫が減らなかったこと。このような変化に対する認識の遅れと、認識してからの行動の遅れが、今回の外的環境と弊社との関係で非常に問題があったと思っている。