【Sustainability and TDK】
わずか1mmの電子部品が削減するCO₂排出量を算出する
あらゆる電子機器や自動車、産業機器などに搭載される、コンデンサやインダクタなどの電子部品。基盤に並ぶ部品のサイズは非常に小さく、全長わずか1mm以下の部品もあるほどです。TDKは「環境ビジョン2035」における重要な取組みの一つとして、TDKが製造する電子部品によるCO₂排出削減貢献量の算出を行うなど、効率的なエネルギー社会を実現するための活動を行っています。
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あらゆる製品が省エネ性能で選ばれる時代
2050年のカーボンニュートラル実現を目指し、世界中のメーカーが自社製品によるCO₂排出量の削減に取り組んでいます。また、製品のCO₂排出量を測定し旧製品と比較することで、新製品の性能向上をアピールすることも行われています。テレビや生活家電、自動車などの製品を購入する際には、消費者は店頭やカタログ、Webサイトなどで、CO₂排出削減量を確認することは日常的なものになりました。EUでは2018年から、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品について、どれだけ環境性能が高いかを共通のエネルギーラベルで表示し、消費者が商品購入時に確認できるようにする取り組みが行われています。
電子部品のCO₂排出削減量をどう算出するか?
近年、環境問題の解決や社会貢献に取り組む企業への投資を行う「ESG投資*」が世界的に注目されるようになり、環境を重視した経営が重視されるなか、自社の製品がどれだけ環境負荷を抑えているかを算出することの重要性はますます高まっているといえます。
TDKも、電子部品メーカーとして、自社製品の消費電力を抑えた省エネ製品の開発に取り組んでいます。しかし、家電や自動車などの電子機器に搭載される電子部品の数は、数百から数千点にもなるため、それら一つひとつの電子部品が最終的な製品において、どれだけ環境負荷低減に貢献できているかを計測することは極めて難しいものです。
TDKは、自社製品が環境にどれだけ貢献しているかを算出することの重要性に注目し、7代目社長である上釜健宏が電子情報技術産業協会(JEITA)の電子部品部会で会長を努めていた2011年から環境への貢献度を評価する仕組みの確立を目指しました。それまで電子部品による環境貢献量を表す統一の指標は存在しなかったため、この活動には、日本における電子部品産業の競争力をさらに高めることを狙う意味もありました。
CO₂排出削減量の算出に取り組むTDK
TDKは「製品貢献」というコンセプトを掲げて、環境への貢献度を数値化する取り組みを始めました。具体的な算出方法は以下の通りです。まずベンチマークとなる従来製品に対して、新製品の低消費電力化や小型・軽量化によって削減できる電力や燃料を計算し、部品一つあたりのCO₂排出削減量を算出します。そして、その数値に部品の年間販売数量を乗ずることによって、トータルのCO₂排出削減量=「製品貢献量」を算出します。TDKの製品貢献量は、TDKの製品自身で貢献する「直接貢献」と、お客様の製品・サービスを活用することで貢献する「間接貢献」から算定しています。
2016年から社内向けに製品貢献量算定のためのガイドラインを発行し、現在、製品貢献量を算出しているTDK製品の割合は50%を超え、全社的な活動として拡大を続けています。2011年から集計を実施し、削減したCO₂の量は毎年増加を続け、2021年には290万トンを突破しました。
環境に配慮した製品づくりとルールづくりで、電子部品の競争力を高める
TDKでは、上記の活動を通じて、自社の環境配慮型製品の中でも環境負荷低減効果が高く、業界においても他をリードする製品を「ECO LOVE製品」、さらに「ECO LOVE製品」の中でも効果が高く業界トップレベルの製品を「SUPER ECO LOVE製品」と認定しています。
今後DX(デジタルトランスフォーメーション)、EX(エネルギートランスフォーメーション)の進展により、電子部品の環境貢献度の重要性はますます高まっていきます。TDKはさらなる環境性能を持った製品づくりに取り組むともに、環境への貢献度の測定について電子部品業界での共通ルールづくりにも取り組んでいます。業界全体での省エネをリードし、日本の電子部品産業の国際競争力の強化を目指していきます。
用語解説
- *ESG投資:企業の持続的な発展に必要な要素とされる「ESG=環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Corporate Governance)」への取り組みを評価・選別して行なう投資のこと。