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公開日: 2021年6月17日

ドローンや鉄道の安全な運行を支える、指先サイズの高精度デジタルセンサ

スマートフォンやゲーム機のコントローラーなどで動きの検知に使われるだけでなく、飛行機や鉄道、船舶など大型交通機関の安全な運行を支える「慣性センサ」。物体の動きや回転、傾きなどを正確に検知する役割をもち、自動運転の自動車や列車、配送用ドローン、エアタクシーなど、今後私たちの暮らしを大きく変える技術に欠かせないデバイスとして、高精度の慣性センサへの注目が高まっています。

ますます発展が予測される産業用ドローン

現在、さまざまな場面でドローンの活用が拡がっています。映像の撮影や大規模農場での農薬散布、建築物の検査や測量などの用途でドローンが活躍しています。近い将来、荷物の配送や人の立ち入りが困難な場所の検査など、産業用ドローンの活用がさらに進むことで、労働力不足の解消や人的コスト削減などの効果が期待されています。


経済産業省では、ドローンを活用したさまざまな社会的課題の解決をめざして、「空の産業革命」というキーワードを掲げ、ドローン普及のための法整備などを行っています。同様に、世界各国の政府がドローンの安全な活用をバックアップするための規制緩和などに取り組んでいます。
 

経済産業省は、社会的課題の解決に貢献するドローンの実現に向けて、物流、警備業、医療、災害対応、インフラ維持管理、測量、農林水産業の7つの分野でのドローン普及のロードマップを作成しています。

 

産業用ドローンの普及にともない、限られた場所だけでなく、人口密度の高い都市部や生活エリアの上空を飛行する機会が多くなると予想されます。機体落下の危険を防ぎ、安全な運行を実現するために、これまで以上に高精度なセンサ技術が求められています。

ドローンの安定飛行を支える慣性センサとは?

ドローンが高速で飛行しながら安定した姿勢をキープできるのは、加速度センサやジャイロセンサといった「慣性センサ」のおかげです。加速度センサは、物体の動きや重力による直線的な加速度を計測します。一方ジャイロセンサは、時間による角度の変化を検出します。これらのセンサが機体の姿勢や動きを常に検知しながら、複数あるローターの回転数を調整することで、機体の姿勢は安定して制御されるのです。

加速度センサとジャイロセンサ

加速度センサとジャイロセンサ

産業用途で活躍する高精度の慣性センサ

自動車のカーナビゲーションシステムで自車の位置を正確に表示したり、線路上での鉄道車両の正確な位置を特定したりするために、GPSなどのGNSS(衛星測位システム)が利用されています。トンネルの中やビルの谷間など、衛星からの信号が届かない場面では、GNSSの情報に加えて、車体に搭載された慣性センサや走行距離計の情報を利用するデッドレコニング※1技術によって、車両の位置を推定することができます。

 

さらに、地中を掘削する建設機械など、GNSSの信号が受信できない環境で機器の位置を推定するには、慣性センサの情報に頼らざるを得ないため、高い精度をもったセンサが必要です。また、建設現場や鉄道においては、振動や衝撃、ホコリや温度変化の影響を受けにくい機能性と信頼性の高さも不可欠となります。

高精度慣性センサが活用される場面

高精度慣性センサが活用される場面
産業用ドローンや鉄道、航空機、建設機器などの用途では、民生品よりも高精度かつ高信頼性を持ち、激しい振動や衝撃、急激な温度変化のもとで安定して動作する慣性センサが求められます。

過酷な飛行環境でも高い繰り返し精度を発揮するTDKの慣性センサ

TDKでは、これまで自動運転車や鉄道の運行管理などの用途をはじめ、有人・無人の航空機の飛行制御に使われる慣性計測装置(IMU)※2や慣性航法装置(INS)※3といったアビオニクス(航空機用電子機器)※4向けに、高精度の慣性センサ(加速度センサとジャイロセンサ)を開発・製造してきました。環境や経時変化に影響されない高い信頼性と精度が求められ、快適で安全な飛行に欠かせない部品のひとつです。

 

Vincent GaffVincent Gaff
Product Marketing
Tronics Microsystems

TDKの慣性センサについてTDKのグループ会社、Tronics Microsystemsで製品のマーケティングを担当するヴァンサン・ガフ氏はこう話します。「Tronicsブランドの慣性センサは高精度かつ繰り返し精度に優れており、一般的な車載用センサと比べて、振動へ耐性が10~100倍もあります。従来のアナログ式水晶センサと比べ、デジタル化と低コスト化を実現しています。小型で信頼性の高いセンシングによって、鉄道をはじめ、航空機、船舶のナビゲーション、建設機器など高精度と長期の安定性が求められる場面に最適です」。

 

最新の加速度センサAXO®は、MEMS技術※5およびフォースリバランス技術を活かして、従来のアナログ水晶センサと同等の精度をデジタル出力を備えながら、小型、軽量、低コストのパッケージで実現しました。厳しい飛行環境条件のもとでも、1mgの正確な複合バイアス再現性を実現。小型のSMDパッケージとデジタル出力によって、高性能IMUとINSの統合や小型化、低コスト化に貢献します。

 

高性能MEMSジャイロセンサのGYPRO®は、過酷な環境下でも優れたバイアス安定性と超低ノイズ・低レイテンシを誇ります。また、デジタル出力を備え、小型、軽量化を実現しており、従来の機械式ジャイロや光学式ジャイロに代わる、低コストのジャイロセンサです。

 

「高精度かつ高信頼性の慣性センサは、将来の配送用ドローンやエアタクシーといったイノベーションには欠かせない要素です。私たちはそれらの実現に重要な役割を果たせると考えています」とガフ氏は語ります。「当社のセンサが持つ高い繰り返し精度と安定性、そして常時動作するセルフテスト機能によって、お客様が高度な安全性を必要とするIMUやINS機器の開発を可能にします」。


TDKの慣性センサは、自動運転車、鉄道、航空機や精密測定器、ロボティクス、産業機器など、より高い精度と信頼性が求められる分野において、技術の進化と産業の発展を支えていきます。

加速度センサ「AXO315®」 / ジャイロセンサ 「GYPRO®」

加速度センサ「AXO315®」 / ジャイロセンサ 「GYPRO®」

先進のデジタルMEMS技術を集約したTDKの加速度センサとジャイロセンサ。これらの慣性センサは高付加価値センサとして、モビリティーや産業分野向けIoT時代の新しいソリューションの創出に貢献しています。詳しくはプロダクトセンターをご覧ください。

用語解説

  1. デッドレコニング: 自車の位置を車載の装置だけで算出する機能・技術。
  2. 慣性計測装置(IMU): IMU(Inertial Measurement Unit)。航空機の姿勢や進行方向、加速度を計測する。
  3. 慣性航法装置(INS): INS(Inertial Navigation System)。コンピューター、加速度センサ、ジャイロセンサを用いて、外部からの情報を必要とせずに移動体の位置、姿勢、進行方向と速度を連続的にデッドレコニングすることで算出する航法装置。
  4. アビオニクス: 航空機の飛行のために使用される電子機器。航空(aviation/アビエーション)と電子機器(electronics/エレクトロニクス)を組み合わせた用語。自動操縦装置や航法システム、通信機器などがある。
  5. MEMS (Micro-Electro-Mechanical Systems)技術: 半導体素子の微細加工技術を発展させて、シリコン基板上に回路や可動機構などセンサを一体化して量産する技術。

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