[ 2011年3月期 通期 連結決算説明会 ]2011年3月期 連結業績概要
2012年3月期 連結業績見通しについて
代表取締役社長 上釜 健宏
TDKの上釜でございます。本日はお忙しい中、多数の方にご出席賜りまして、誠にありがとうございます。それでは、私より2011年3月期の連結決算概要についてご説明申し上げます。
2011年3月期 連結業績概要
2011年3月期の概要ですが、売上高8,757億円、営業利益638億円、税引前利益601億円、当期純利益453億円、1株当たりの利益は350円90銭となりました。当期の平均為替レートは、対米ドルで85円73銭、対ユーロで113円12銭となり、為替変動による影響としては、売上高で約574億円の減収、営業利益で約180億円の減益となりました。
2011年3月期通期決算の特徴
2011年3月期の通期決算の特徴について、簡単にご説明申し上げます。まず、東日本大震災の影響ですが、売上高で約11億円の減収、営業利益で約18億円の減益となっております。これは、3月の影響分だけの数値です。売上があまり影響を受けていないのは、在庫を持っていたためです。一方、利益については、工場の稼働低下による損失が、減益の主な背景です。4月はもう少し売上に影響が出ると予想しております。震災発生後、自動車市場では生産調整がすぐに顕在化しました。セットメーカー様のサプライチェーンの状況は、把握しきれていない中でも、3月、4月の受注は好調に推移しましたが、ここにきて受注が軟調に推移してきております。5月になりましたらもう少し全体のサプライチェーンの状況が見えてくるだろうと考えております。現在の状況及び今後の対応等につきましては、後ほどご説明申し上げます。
次に、エレクトロニクス製品市場の動向でございますが、セット製品によって異なっております。スマートフォン、タブレット端末向けの部品の生産は大幅に増加し、自動車、産業機器市場はかなり安定的に推移いたしました。また、フラットテレビ、ノートパソコン、ハードディスクにつきましては、現在も生産調整が続いているという状況でございます。そういった市場環境の中、当社の受動部品事業の売上高は、前期比で18.2%増加いたしました。特にインダクティブデバイスは、幅広いセット製品向けに増加いたしました。また、高周波部品が、スマートフォンを中心に大幅に増加するとともに、アルミ分解コンデンサ、フィルムコンデンサが、再生可能エネルギー、産業機器向けを中心に増加いたしました。また、セラミックコンデンサにつきましては、自動車向けを中心に増加いたしました。次に、磁気応用性品事業の売上高ですが、前期比約4%の減収となりました。減収の背景は、記録デバイスの販売が、ハードディスク市場の生産調整と円高の影響を受けて前期比で約8%減少したことが挙げられます。一方で、電源製品につきましては、販売が産業機器向けを中心に増加いたしました。その他事業の売上高は、前期比26.2%増加いたしました。特に、二次電池の販売が、タブレット端末向けを中心に増加いたしました。
私は2年程前から重点3分野として、スマートフォンなどの通信分野、HVやEV等のカーエレクトロニクス分野、再生可能エネルギー及び産業機器分野などに経営をフォーカスしてきたわけですが、2011年3月期の実績で分析をしますと、資料のグラフの通り、数値として結果が出てきております。分野別で申し上げますと、通信分野の売上高は、前期比27%増加、カーエレクトロニクス分野は、前期比15%増加、再生可能エネルギー及び産業機器分野は、前期比で27%増加しております。特にこの分野は、アルミ電解コンデンサやフィルムコンデンサの販売増加がかなり寄与しております。逆に、情報家電分野、特にPC、ノートPC、ハードディスク等は前期比で7%減という結果になりました。
それを分野別売上構成ということで見ますと、2009年3月期時点では、情報家電向けの比率が全体の58%とかなり高かったわけですが、2011年3月期時点では、情報家電向けの比率は44%へ減少し、その分情報家電以外の分野が42%から56%へかなり拡大してきているというのが特徴となっております。
2012年3月期 連結業績及び配当金見通しについて
次に、2012年3月期の連結業績及び配当金見通しについてでございますが、先ほど申し上げました震災の影響、電力供給、お客様のサプライチェーンの問題で、本日時点ではまだ不透明でございます。本日は誠に申し訳ございませんが、開示は控えさせていただきます。業績の開示が可能になった時点で速やかに開示させていただきます。第1四半期中には見通しがたってくるのではないかと思っております。ちなみに、2011年3月期の配当金につきましては、中間配当は40円とさせていただきました。期末配当は、今のところ40円の予定でございます。結果、年間配当で80円を予定しております。
今期以降の施策【東日本大震災に対する対応】
次に、大震災に対する、特に電力に対する当社の対策・施策について簡単にご説明申し上げます。まず、現在の状況ですが、東北電力、東京電力管轄で、対象事業所が25事業所ございます。現時点ですべての拠点において生産は再開済みです。1つの工場を除いて、ほぼフル稼働となっており、震災前と同じぐらいの稼働水準に戻ってきております。フル稼働ができていない工場も、来月からはフル稼働できる見込みでございます。続きまして、弊社のサプライチェーンについてですが、サプライチェーンは問題なく確保できております。ただ、電源事業においてのみ、5月まで部品供給がタイトなものが一部ありますが、その点においても6月以降は通常の状態に戻るだろうと今のところ見込んでおります。続きまして、電力の関係です。話題になっています通り、夏場の電力不足にどう対処し、どのように安定的な生産体制を確保するかというという問題がございます。弊社としては、生産体制の変更、あるいは節電対策等を行いまして、半分は何とか対処可能と考えております。これは東京電力管轄、東北電力管轄両方の拠点においての話になります。電力を十分に確保できない拠点は自家発電でバックアップしていく方針で迅速に準備を進めてまいりましたが、ほぼ目処が立っております。こういった状況の中で、今後実際に実行していくわけですが、何とか7月からは節電率目標の25%に対応できる見込みでございます。今後は、さらに調達戦略の再検討、リスク管理体制の再構築を強化していきたいと思います。この点は今回の災害で反省した点でもありますが、今後進めてまいりたいと思います。
今期以降の施策【注力分野・製品】
最後に、今期以降の施策、特に注力していきたい分野、製品について、簡単にご説明申し上げます。まず、通信分野、特にスマートフォンですが、薄膜デバイスと高周波用のインダクタをさらに拡販していきたいと思います。また、IC内蔵基板を使ったモジュール製品も注力してまいります。この製品はICが中に埋め込まれており、その上に受動部品が搭載されております。現在この製品に対しては非常に引き合いが来ていまして、サンプル出荷が非常に忙しい状況にあります。次に、カーエレクトロニクスの分野については、特にDC-DCコンバータ、チャージャー、フィルムコンデンサ、センサ各種等を拡販していきたいと考えております。情報家電分野におきましては、ご存知のとおり、HDD用のヘッドは、2.5インチ用の500GB/Pの量産がほぼ可能になっていますので、この製品の販売をできるだけ早くスタートしたいと思います。また、二次電池と、ライトピークと呼ばれるインテル社の規格に沿った光学応用部品である光送受信モジュールをパソコン向けに拡販していきます。次に、再生可能エネルギー・環境分野ですが、特に日系のお客様に対して、アルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサ等の製品や、LED向け、照明用のESD対策、静電気対策に使う部品の拡販活動を活発にしていきたいと思っております 。
以上が私の説明でございます。ありがとうございます。