タッチ画面の振動フィードバックが運転の安全を支える。

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タッチレスに変わる、車内空間の技術課題

スマートフォンや家電製品などのディスプレイでは、画面を指で触れて情報を入力するタッチパネル方式が一般的になっています。特に、振動を活用して情報を伝達するハプティクス技術（振動フィードバック）によるタッチパネルの普及が急速に広がっており、スマートフォンをはじめ、様々な分野で技術利用が広がっています。その流れは自動車も同じで、オーディオやエアコンなどに、ハプティクス技術を活用したタッチパネルを搭載したディスプレイがヨーロッパを中心に導入され始めました。大きなメリットは、より美しく快適な車内空間になること。操作機能をディスプレイに集約し、物理的なボタンをなくすことで、これまでにないスマートな空間になる可能性を秘めています。同時に、運転中に画面を見ることなく、振動フィードバックによって手探りでタッチパネルが操作できるため、安全運転への有効性が注目されています。

車載用途におけるタッチパネルの市場予測

車載ハプティクス　イメージ

しかし一方で、タッチパネルは誤って触れてしまうことで、意図しない動作をする恐れがあります。例えば、オーディオを誤って大音量にしてしまい、運転者が驚いて重大な事故につながるといった可能性も考えられます。手探りで操作することも可能な車載用ディスプレイには、「触れる」「押す」をしっかりと判別できる強い振動フィードバックや、振動の強弱や微妙な振幅を柔軟に制御できることが求められます。

強力な振動フィードバックによるPowerHap ソリューション

そこでTDKが提供するのが、ピエゾアクチュエータ“PowerHap 6005” (6005H080V120)。物理的なボタンの置き換えまでを可能にする、世界屈指の発生力^※1を持つピエゾアクチュエータです。車載用ディスプレイは重量があるため、振動を起こすにはこれまで多数のアクチュエータ（ボイスコイルアクチュエータなど）が必要でしたが、PowerHap 6005は 2kg までのディスプレイまでならたった一つで可能です。強力な発生力を持つため、運転者は手元を見なくてもボタンを直感的に理解できます。さらに、最大500Hzまでの業界随一の幅広い周波数や0～120Vの電流に対応可能なため、振動の強弱や微妙な振幅を希望通りに表現できます。
今年1月に開催された世界最大規模のテクノロジー見本市「CES2023」において、TDKはPowerHap 6005がその強⼒な振動フィードバックで15インチの車載用ハプティクスディスプレイを動かす様子を、コストパフォーマンに優れたソリューションとして紹介しました。このデモは、車載用ディスプレイの大手メーカー・BOE Varitronix社がディスプレイと関連機器を、組み込みシステムのソリューションプロバイダーであるMicrochip Technology社がその他の機器を提供し、Innovobot Labs社が、システム全体の設計と統括を担当したもので大きな話題を呼びました。

共同開発によるCES2023で出展した15インチ・ハプティクスディスプレイ

ハプティクス技術は、これからの安心・安全で快適な車内空間を支える

Nicolás Faúndes
Product Marketing Manager PI AE/IE
Applications | Piezo Actuators
Piezo and Protection Devices Business Group
TDK Electronics AG

TDKのグループ会社であるTDK ElectronicsのProduct Marketing ManagerであるNicolás Faúndesはこれからのハプティクス技術とTDKのPowerHapについて、次のように語ります。
「世界のハプティクス技術市場は、これから年間10％以上の推移で成長していくと言われており、車載インフォテインメントやボタン、VR機器、スタイラスペンなど、自動車、ICT、産業分野において多種多様な用途でハプティクス技術は使用されていきます。TDKのPowerHapはハプティクスボタン向けに独自の強みを持っており、自動車内のディスプレイだけでなく、ステアリングにも採用が検討されており、これからますます快適な車内空間に不可欠な装置となっていくでしょう」。 TDKは “PowerHap 6005”の独自の振動フィードバックを提供し、安心・安全で快適な車内空間を支えて新たなモビリティ社会に貢献します。

PowerHap 6005 (6005H080V120)