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公開日: 2021年4月28日

世界最先端のノイズ測定技術が、IoT機器の進化を支える

さまざまな電子機器がネットワークにつながるIoT時代において、ますます重要度が高まっているのが電子機器のノイズ対策です。さらに、電子機器を搭載した製品について、電磁波の影響を正確に測定し、性能を評価するための「電波暗室」のニーズも拡大しています。TDKは、1969年に世界ではじめてフェライトタイルを用いた電波暗室を開発して以来、世界最高レベルのノイズ測定と評価ができる電波暗室を開発してきました。この記事では、ノイズ対策の重要性と最新のノイズ測定技術についてご紹介します。

ノイズ対策の重要性が高まっている

飛行機に搭乗する際、スマートフォンなどの通信機器の電源を切ったり、機内モードに切り替えたりするようアナウンスされるのは、電子機器が発する電磁波が飛行機内の計器や電子機器に悪影響を与えるのを避けるためです。

5G通信の拡大やBluetooth、IoT機器の普及によって、快適な生活が実現される一方、ノイズによる電子機器の影響もますます大きくなっています。電子機器の開発においては、ノイズ対策はもっとも重要な要素のひとつとも言えます。

電子機器のノイズ対策においてポイントとなるのは、自らがノイズを出さないEMI(電磁妨害:Electro Magnetic Interference)対策と、外部からのノイズにさらされても影響を受けない、EMS(電磁妨害感受性:Electro Magnetic Susceptibility)対策のふたつ。それら、電磁波に対する性能を、EMC(電磁両立性:Electro Magnetic Compatibility)と呼びます。
 

EMI(電磁妨害):不要なノイズの放射(エミッション)を抑えること。EMS(電磁妨害感受性):ノイズからの耐性(イミュニティ)を高めること。このふたつを両立することが、電子機器のEMC対策における基本的な考え方です。

世界のEMC・ノイズ対策関連市場は拡大を続けており、2023年には約4兆3645億円にまで成長すると予測されています。(矢野経済研究所「EMC・ノイズ対策関連市場に関する調査(2020年6月11日発表)」より)

電子機器の進化とノイズ対策について

電子機器の進化とノイズ対策について
電子機器の進化とともにノイズ対策の役割やノイズ対策部品の性能は進化してきました。

自動運転車の進化のためにEMC試験が重要に

最近では、家電や通信機器などの電子機器に加え、周囲の環境や自動車などと通信機能を持った、コネクテッド・カー*1やADAS(先進運転支援システム)*2に注目が集まっています。自動車用部品は急速に電装化が進み、車内には数多くのECU(電子制御ユニット)が搭載され、車載LANによってネットワークされています。GPSを使ったカーナビゲーションやインテリジェント・キー、前方との車間距離を計測するシステムなど、用途に応じてさまざまな周波数の電波を発する機器が搭載されているため、自動車がノイズの影響を受けず、安全な走行を実現するために、高精度のEMC試験が不可欠となっています。

自動車におけるEMC対策

自動車におけるEMC対策
EV車のモータや車載電子機器が発するノイズが他の電子機器に影響を与えないか、また、車載LANや電子機器が外部からの電磁波の影響を受けないかなど、車と周囲の安全を確保するためにEMC対策が欠かせません。

電波暗室の仕組みと試験の方法とは

電子機器や自動車部品のEMC性能を評価するために欠かせないのが「電波暗室」です。電磁波の測定には、不要な電磁波のないクリーンな野外のオープンサイト(OATS: Open Area Test Site)で行うのが基準とされています。しかし、屋外では天候や外来波の影響を受けやすいため、安定した測定を行うために電波暗室という屋内試験空間が使われます。

電波暗室は、電磁波を遮蔽するシールド構造に、壁面と天井に電波を吸収する素材(電波吸収体)で内装された試験室であり、電磁波の測定や解析などさまざまなEMC試験が可能です。

TDKでは、1969年に世界で初めてフェライトタイルを用いた電波暗室を発表して以来、電子機器の発展とともにさまざまなEMC試験の環境を整備してきました。広い周波数帯の電波吸収特性をもつ「電波吸収体」や、高度な測定システムを自社で開発しており、2020年までに全世界で1,700件を超える電波暗室を建設しています。
 

電波暗室の概要

電波暗室の概要
TDKは、各種サイズの電波暗室、電波吸収体に加え、独自のEMC自動測定システムを提供しています。

また、自動車産業向けのEMC試験へのニーズの拡大を受け、TDKでは、車載電子機器用の電波暗室や、自動車を設置して車両まるごとEMC試験が行える、大型の10m法暗室を提供しています。さらに、実際の電磁環境に近い状態を再現することで車載機器の正確なEMC試験が行うことができる、「リバブレーションチャンバ」*3の開発にも取り組み、EMC認証試験機関を中心に納入が始まっています。

車載機器専用電波暗室/リバブレーションチャンバ

車載機器専用電波暗室/リバブレーションチャンバ

画像提供:一般財団法人 日本品質保証機構(JQA)

リバブレーションチャンバでは、実際に自動車がさらされる電磁環境に近い状態を再現することで、より正確なイミュニティ試験が可能になります。

TDKの電波暗室の強みとは

織田 満織田 満
電波エンジニアリング部
TDK株式会社

TDKの電波暗室の特長について、TDK株式会社電波エンジニアリング部の織田満係長にお話を伺いました。「TDKは、電波暗室と測定システムをセットで提案できるだけでなく、電子部品メーカーとしてノイズ対策部品の提供も行えることが強みです。また、自社でフェライトを含めたすべての電波吸収体を設計・製造しているため、用途やお客様のニーズに合わせた設計に対応できます」。

今後、5G製品やIoT関連機器、電装化が進む車載部品をはじめ、マイクロ波やミリ波帯域の電子機器の発展に伴って、EMC市場がますます成長することが予測されています。「車のEV化、自動走行に関連するEMC評価や、5Gなど高周波対応機器の通信・EMC評価ニーズは高まっています。さらに、Beyond 5Gに向けた研究開発への引き合いもすでに始まっています」と織田氏は話します。

家電・電子機器の主役が、ラジオやテレビから、携帯電話、スマートフォン、そしてコネクテッド・カーへと進化していくなか、TDKは50年以上に渡り、電波暗室をはじめとした総合的なEMCソリューションを提供してきました。これからもTDKは、より高度で正確なEMC試験システムを通じて、安全・安心な電子機器の開発を支えていきます。
 

 

TDKの電波暗室/電波吸収体

TDKの電波暗室/電波吸収体

TDKの電波暗室および電波吸収体についての詳細な情報は、プロダクトセンターをご覧ください。

用語解説

  1. コネクテッド・カー: ICT端末としての機能を持った自動車のこと。車両の状態や周囲の道路状況など様々なデータをセンサで取得。ネットワークを介して集積・分析することで、新たな価値を生み出すことが期待されている。
  2. ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems:先進運転支援システム): 自動車自身が周囲の情報を検知し、ドライバーに表示や警告を行ったり、ドライバーに代わって自動車を制御したりすることで運転を支援するシステムの総称。
  3. リバブレーションチャンバ: シールド室の内部に電磁波を撹拌するスターラーを配置し、回転させることで実際の電磁環境に近い状態を再現することができる測定装置。

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