[ 2012年3月期 第2四半期 連結決算説明会 ]2012年3月期上半期連結業績概要 2012年3月期通期見通しについて
代表取締役社長 上釜 健宏
TDKの上釜でございます。本日はお忙しい中、多数ご出席賜りまして誠にありがとうございます。それでは、2012年3月期上半期連結業績概要及び2012年3月期通期見通しについて、私のほうから簡単にご説明申し上げます。
2012年3月期上半期連結業績概要
まず、2012年3月期上半期連結業績概要についてご説明申し上げます。
2012年3月期上半期の売上は、前年同期の4,422億円に対して、4,172億円、251億円の減収。営業利益は、前年同期372億円に対して138億円、234億円の減益。非常に残念な結果で申し訳ありません。営業利益率は先期8.4%に対して今期3.3%。5.1ポイント下落 しました。税引前利益は前年同期346億円に対して107億円、240億円の減益。結果、純利益は、前年同期の261億円に対して67億円、194億円の減益となりました。株主の皆様には申し訳ない結果となってしまいました。
上半期の1株当たりの利益は、前年同期202円46銭に対して52円09銭。為替については、対ドルレートで、前年同期88円89銭に対して79円84銭、対ユーロで前年同期113円80銭に対して114円00銭という結果になりました。為替影響の金額は、売上高で約332億円の減収、営業利益で約109億円の減益。また、震災による影響金額は、売上高で約57億円の減収、営業利益で約36億円の減収となりました。
2012年3月期 上半期決算の特徴
2012年3月期の上半期の決算の特徴について、簡単にご説明申し上げます。
まず、私どものエレクトロニクス市場については、東日本大震災による生産調整から、今のところ、主に日系自動車関連市場は回復の基調にございまして、スマートフォン、タブレット端末の生産は対前年同期比で増加傾向にあります。ただし、薄型テレビ、ノートパソコン、ハードディスクの生産は、前年同期とほぼ同水準で推移しています。
このような市場環境の中、当社の状況をセグメント別に簡単にご説明いたします。
まず受動部品です。売上高2,016億円、前年同期比5.6%減少しています。アルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサが産業機器市場向けを中心に増加しましたが、セラミックコンデンサ、インダクティブデバイスが、情報家電市場向けで減少しました。高周波部品は携帯電話向けで減少しました。磁気応用製品は、売上高1,672億円、前年同期比13.2%減少しました。主な原因ですが、特に記録デバイスの販売が円高、売価下落の影響を受けて販売が減少し、前年同期比20.8%の減少となっています。出荷数量についてはほぼ横ばいでしたが、売価値引きが大きく影響したことで売上が下がっています。その他売上高は484億円、前年同期比33.4%増加しています。二次電池の販売が、タブレット端末向けを中心に好調でした。
タイで発生した洪水による被害状況について
タイで発生した洪水による被害影響について、簡単にご説明申し上げます。
当社は2つの工業団地に4つの工場を持っています。1つはロジャナの工業団地、もう1つはワンノイの工業団地でございます。皆様ご存知のとおり、ロジャナの工業団地にあるTDKタイランド(TDK Thailand Co., Ltd.)は、金属磁石の後工程、特に加工とメッキをHDD向けに行っている工場でございます。ほとんどが金属磁石の後工程で占めています。記録メディア、センサについてはごく一部と思っていただければいいと思います。ここの工場は2メートル以上の浸水で、今のところ操業を停止しています。ワンノイ工場は、金属磁石、ハードディスク用のVCM(ボイスコイルモーター)の組立工場です。ここは、まだ浸水しておりません。ただ、従業員が出勤できないために生産を中止しています。
ハードディスク用のサスペンションを生産しているマグネコンプ(Magnecomp Precision Technology Public Co., Ltd.)にも、ワンノイ工場、ロジャナ工場があります。ワンノイ工場が全体生産量の約8割を生産している本工場です。ロジャナ工場は分工場になります。幸い、ワンノイ工場は浸水を免れました。色々対策を打ちまして今のところ問題はありませんが、従業員が出社できないため、ここも現在操業を停止しています。ロジャナ工場は、いち早く設備をワンノイ工場に移していますので、大きな被害にはならないと思います。水が引き次第、ワンノイの工場は両工場とも操業が開始できるものと考えています。
ただし、市場を見ますと、お客様も被災しています。特にハードディスク関係が大きなダメージを受けています。当社は、磁石事業が直接の影響を受けています。また、サプライチェーンについてですが、現状お客様であるセットメーカー様、特に、車、カメラ、複写機、テレビの分野についてはまだ状況がよく見えておりません。今後影響が出てくるだろうということを想定し、今期下期の被害額は、売上で230億円、営業利益にして100億円の影響が出るだろうと想定しています。
2012年3月期通期業績見通し
このようなことを加味して、2012年3月期通期業績見通しについてご説明申し上げます。
売上高は、前回報告いたしました8,900億円に対して8,200億円に下方修正させていただきます。前期比マイナス557億円の減収です。営業利益も、前回報告した670億円に対して350億円と、減益を見込んでいます。税前当期純利益は、前回の報告650億円に対して300億円、当期純利益は500億円に対して200億円と、下方修正させていただきました。非常に申し訳ないと思っています。それを受け、前回850億円の設備投資を予定していましたが、50億円圧縮して800億円、減価償却も850億円から800億円、研究開発費は10億円カットして520億円にしたいと考えています。
2012年3月期第3四半期以降の平均為替レートについては、対ドルは前回想定の80円を76円に、対ユーロは110円を105円に変更しています。エレクトロニクス、主要セット製品の見込み、円高の影響、タイの洪水の影響等を考慮して、従来の見通しを下方修正させていただきました。
2012年3月期 配当金見通し
こういう状況の中、前回、当期期末配当金として50円を予定していましたが、当期業績見通し及び当社配当政策を勘案し、また、来期も何とか挽回したいという思いを反映させ、株主の皆様には本当に申し訳ありませんが、前期実績の40円で据え置いて、中間配当金40円とあわせて、年間配当80円を予定させていただきたいと考えています。
下期以降に向けて
スライドに「モノづくり力強化と収益力改善のための施策を実施」と書きましたが、今の市場環境、タイの洪水の影響、円高、様々な要素を考慮しますと、非常に厳しい市場環境になってくるのではないかと考えています。今後も楽観視はできず、じわじわと環境が悪化していくことが懸念されます。そういう中で、いち早く収益力を改善し、体質改善を早急に実施しなければいけないということで、簡単に5項目ほど書きました。中身は複雑ですが、ぜひこういうことを実施させていただきたいと思います。
生産拠点の最適化推進、グループ全体で約1万1,000名人員削減、不採算事業・製品への対応、例えば、9月末に有機EL事業売却を発表しましたが、そのようなことをもっとやっていかなければいけないと考えています。「固定費削減」は当然のことでございます。そして、「国内外の遊休資産の売却」を1、2年のうちに実施して、実績を出していきたいと考えています。
以上でございます。