[ 2007年3月期 通期 連結決算説明会 ]Q&A
- Q1. 新しい期のご計画の中で、記録メディアの上・下期の売上、及び利益を確認させてください。
- A1. 記録メディアの売上は、上期は約450億円。下期は、この第2四半期の終わりごろに一般消費者向け製品がイメーションへ譲渡される分の売上対象が減るので150億円ぐらいの売上を計画しています。したがって、年間で600億円ぐらいを計画しています。利益は年間を通して若干の黒字を想定しています。前期が22億円の赤字でしたので、前期との比較では30億円弱ぐらい改善されると見ています。
- Q2. 下期の売上が150億円になったときの利益はどんな感じですか。
- A2. 少しだけ黒字というイメージです。上半期は一般消費者向けビジネスがありますが、下期はそれがなくなるので、LTOを中心としたB2Bの売上が中心になります。下期は売上が減りますが、利益的にはプラスというイメージです。
- Q3. HDD用ヘッドの四半期ごとの出荷数を、指数か何かを使って教えてください。
- A3. HDD用ヘッドの出荷数は、前期と同じように2006年3月期の第1四半期を100とすると、2007年3月期の第1四半期が111、第2四半期が133、第3四半期が131、今回第4四半期の実績として131となっています。
今期の見込みに関しては、現時点では将来の見込み等について詳細な予測は発表できませんので、もう少し明確になった時点で、結果という形でご報告したいと思います。 - Q4. コンデンサの四半期ごとの売上計画を教えてください。
- A4. 2007年3月期の売上実績は、2006年3月期の第1四半期を100として、2007年3月期の第1四半期は119、第2四半期が131、第3四半期は129、第4四半期は130になりました。2008年3月期の四半期別の売上見込みについてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。通期では約18%の増収をみております。
- Q5. 収益性について従来から営業利益率15%というのが目標だと澤部会長がおっしゃっていたと思いますが、現在もそれが目標とみておられるのか確認させてください。
また、中期の計画として、電子材料と電子デバイス、主にコンデンサとインダクタを含めたマグネティクス事業、電源の改善の幅としてはどういう順番で考えておられますか。高周波がこの中に入っているのか、その位置づけが変わったのか教えてください。 - A5. 15%という数字は、私も踏襲しています。売上の額としてはコンデンサが一番大きく、次にインダクタとトランスとフェライトコアが一緒になったマグネティクス事業をコンデンサと同じぐらいの額で想定しています。次に電源製品と続きます。
- Q6. 今挙げられた製品の収益率についてはいかがでしょうか。
- A6. 収益率については、コンデンサが圧倒的にナンバーワンになります。マグネティクスは売上が大きいと考えています。電源は売上額も収益率も改善が大きいと捉えています。
- Q7. HDD用ヘッドの今の計画は、アルプス電気さんからの資産譲渡の件を含んでいないのでしょうか。値段や数量の年間計画はどういう前提で組まれたものなのか、確認させてください。
- A7. 今回は、アルプス電気さんとの従来の競争関係が続いた中での私たちの技術力を含めて、どういう形で仕事がとれるかということを前提にしています。具体的な数字はお答えしづらいですが、上期の前年比較だと厳しいと見ています。下期は今期の技術競争で、私どもは垂直磁気記録タイプの製品で高い性能の製品を出していけるのではないかみて、拡大できる計画を出しています。
- Q8. 2007年3月期の電子素材部品部門のリストラ費用実績が56億円、2008年3月期の会社全体のリストラ費用見通しが62億円ということですが、これを部門別で教えてください。
- A8. リストラ費用は、2007年3月期は電子素材部品部門が56億円ありましたが、電子材料で31億円、電子デバイスで11億円、記録デバイスで3億円、その他電子部品で11億円という内訳です。2008年3月期に予定している62億円のリストラ費用の内訳は、他のステークホルダーとの関係があるため、現時点では公表を差し控えたいと考えています。
- Q9. HDD用ヘッドは小型化によるローコストを追求するということですが、足下もしくは第4四半期の実績でフェムトの比率がどれくらいなのか。小型化することで1枚のウェハからの取れ数がどれくらい増えて、コスト削減にどのぐらい貢献するのかご説明いただけますか。
- A9. フェムト比率は、2007年3月期の実績は第1四半期が32%、第2四半期32%、第3四半期45%、第4四半期は54%と増えています。2008年3月期の見通しは、第1四半期が62%、第2四半期が69%、第3四半期が77%、第4四半期が81%までフェムト比率が高まるとみています。ウェハからの取り個数、具体的な改善金額についてはご勘弁願いたいと思います。
- Q10. 2008年3月期の営業利益は900億円のご計画ですが、どの製品でどのように増益に貢献するのか、製品の状況、売上の変化と併せて、そのイメージを教えてください。一時的な要因等含まれているものがあれば、併せて教えてください。
- A10. 前期と比較しますと、コンデンサを中心とした電子材料の売上増と増益が、一番大きなウエートを占めています。それから、電子デバイス。記録メディアは30億円ほどの増益。それから、金額は小さいですが、その他電子部品も増益です。これら4製品は増収増益をイメージしています。逆にHDD用ヘッドは、今期も減収減益を想定している中での900億円とご理解ください。
- Q11. HDD用ヘッドのプレゼン資料2枚目に需要想定とシェアの想定がありますが、売価は円ベースで13%、ドルで8%下がると想定されています。HDDの価格低下の率が比較的高まってきて、特に2.5インチで厳しい状況の中で、HDDの値下がり率とHDD用ヘッドの値下がり率の違いは、ミックスの改善効果によって吸収できるというお考えなのか、あるいはこのぐらいの値下がりで十分とみているのか、お考えを教えてください。
- A11. 平均単価については単体のHGAと、ヘッドスタック(HSA)が含まれています。したがって、製品ミックスの影響が含まれた数字とご理解下さい。ご指摘のとおりHDDの売価が厳しい中、HDD用ヘッドの売価も非常に厳しい状況になっています。数量をできるだけ拡大して、いろんな手を尽くし、ギリギリまで努力して維持していこうと考えております。
- Q12. 今回の計画の中で、HDD用ヘッドの実質的な値下がりはどれぐらい織り込まれていますか。
- A12. 平均的に見て、10%は下がると見ております。
- Q13. 終わった期と今期、来期、コンデンサに限った投資金額がどうなるか教えてください。御社を含めて業界全体の設備投資金額の売上に占める比率が20〜30%の間に入ってきますが、それを踏まえて来期はどのようにお考えですか。
- A13. 今期から来期にかけてMLCCにどういう投資をしていくかというお話ですが、先ほど上釜からお話がありましたように総額500億円の投資を考えております。これをどう配分するかという具体的なコメントは差し控えさせてください。既存工場も含めて総額500億円ですが、そのほとんどが新工場への投資計画です。
- Q14. 来年、新工場ができるまでの生産能力は、今と比べてどれぐらい増えることになりますか。
- A14. 今期の能力計画に関しましては、先期比で約20%の増加の予定です。来期の増産計画については今期の能力に比較して約20%の増加を考えています。
- Q15. 今期、既存工場だけで2割増えて、来期は新工場ができるけれども2割しか増えないということですか。
- A15. そのように考えています。
- Q16. 来年春以降、工場ができたあとの需給についてはどのようにみていますか。
- A16. 今期はデジタルコンシューマー製品が成長すると見ています。北京オリンピックもあります。部品の需要は伸びると思いますが、来期は非常に難しくて、北京オリンピックの影響を受けて、ひょっとすると調整する局面も出てくリスクもありうると思います。そのへんの数字に関しては、まだつかめていないところがございます。
- Q17. そういう意味では、新工場の建設は前倒しして早く稼動させたほうがいいわけですが、来年の春、稼動というスケジュールがベストですか。
- A17. そうです。
- Q18. ヘッドの環境に何か変化があるのでしょうか。圧倒的に御社の技術で勝てるという自信がついてきているとか、シーゲートさんに対して圧倒的に有利になった、もしくはお客様が力をつけてきて強くなっている、あるいは逆に弱くなっている等々を踏まえて、間接競争の中で勝てる見通しが出てきているなど、事業環境の変化があれば教えてください。
- A18. ヘッドの環境については、技術で先行するということで、垂直記録の技術が、垂直統合のお客様と比べて私どものビジネスにプラスに働いているのではないかとみています。垂直記録技術は新しい技術であり、いろいろな可能性があります。今までのように、ステップを追って記録密度が上がる状況とは少し違い、ヘッド、媒体の組み合わせや、そのほかにも周辺技術をいろいろ組み合わせてうまいマッチングを見つけると、一気に記録容量が上がるということが実際に起こっています。それは、先ほどご説明いたしましたように、製品化のスケジュールで、記録密度の高い製品の市場投入が早いお客様、遅れてスタートされるお客様というような形でこの現象が具体的に出てきているのではないかと思っています。キャプティブのお客様、垂直統合モデルで事業展開をしているお客様は、組み合わせを持つことについて若干不利になると思います。部品を調達しているお客様はいろいろな組み合わせが考えられ、今年は100%ぐらい記録密度が上げられる。そういった形で私どももお客様と協力して記録密度の高い製品を市場に投入していきたい。ただ、ご承知のように、コモディティ化するドライブ事業(の収益性)をどう支えていくかということで、ローコスト製品の追求も併せて行いたいと考えています。
- Q19. ヘッドに関してお伺いします。ウエハの工程とスライダーの工程で、より難しさ、技術差が生まれているのかどうかという現状認識について、例えばウエハの工程は各社できるけれども、スライダーのところで技術差がよりつきやすくなったなど、ご示唆いただけるものがあれば教えてください。
それに関連して、ウエハとスライダーの加工は御社として戦略的に考えて常にセットでやるべきものなのか、それとも、顧客の要請があれば切り離してやれるものなのか、教えていただけますか。 - A19. 垂直記録になった場合、各社各様のウエハのデザイン、設計があり、また、媒体とのマッチングにも依存するので、いろいろなバリエーションがあると思っています。それを実際に加工する段階になった場合に、読み込み側のヘッドに対して高精度な寸法精度が要求されていましたが、従来の長手記録と比べて、垂直記録になると書き込み側も併せて非常に精度の高いコントロールが必要になります。現時点ではウエハまたはスライダーのいずれかが非常にドミナントで特性を支配しているということではなくて、両方とも、すなわちウエハ、スライダー加工とも設計とプロセスを含めたコントロールが必要となります。さらに、スライダー加工は2つのパラメータを精度よくコントロールする必要があるということで、難易度は上がっていると考えています。
また、ウエハとスライダーの加工は戦略的に考えた場合、常にセットでやるべきものなのかというご質問に対する回答ですが、理想的には、ウエハとスライダーは同じほうがいいと思いますが、ビジネス戦略を重視する場合には、両者を切り離すこともやむを得ないと考えています。 - Q20. 今期は、コンデンサの売上が前期比18%増加するとおっしゃっていましたが、生産能力が20%しか増えないのに、何故これが可能なのか。つまり、コンデンサの単価がまったく下がらないということを前提にしているという理解で正しいのかどうか、確認させてください。
- A20. そのような想定が可能である理由は、伸びる製品はいろいろありますが、一つは単価の高い高・大容量の製品販売を伸ばしていく。それから、2番目に、特殊用途品の伸びを計画していることです。つまり、付加価値が高い製品で販売を伸ばし、製品ミックスを改善してゆく計画なので、20%の能力アップで、18%の売上の伸びが計画できるということです。
- Q21. HDD用ヘッド事業ですが、このペースで記録密度が上がっていくと、そろそろディスクリート・トラックが動き出してもおかしくないと思います。御社の考えているビジネスモデル、動き出し方について、現状を教えてください。
- A21. 前回もお話ししたと思いますが、将来の技術として、私どもはメディアの新しいテクノロジーとしてディスクリートトラックメディアに取り組んでいます。ただ、TDKとしてこのメディアを自ら作ることは考えておりません。この方針は従来と変わっておりません。ディスクリートトラックメディアの市場投入のタイミングとしては、早ければ来年ぐらいを目指したいと考えています。現在は、特にNANDフラッシュとの競争の観点から、小径のHDDは厳しい戦いを強いられるので、これらの製品からこの技術を導入していく方向で、協力していただけるメディア屋さんと技術開発を進めている段階です。