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[ 2005年3月期 通期 連結決算説明会 ]Q&A

Q1. 昨年度のDVDメディアは大変難しいビジネスでした。ここにきて、回復の気配が出てきているのかどうか教えてください。価格下落が下げ止まっているという会社もあります。御社ではそのような傾向は見られますか。
A1. DVDの市場は2006年3月期、引き続き大きな拡大を予想しています。おそらく、前期比2倍近い市場拡大になると思います。前期は、価格が非常にドラスティックに下がりましたが、今期はそれほどひどい価格下落は起こらないと想定しています。前期下落率の半分程度の価格下落率になると考えております。従って、市場価格が下げ止まっているという見方はしておりません。
Q2. DVDメディアに関し、台湾で、レコーディング・メディア・インダストリアルズ・アソシエーションというカルテルのようなものが、今年出きました。この団体が、市場価格の下落を許さないよう協力的な行動をしているようですが、そういうことは、日本ではあるのでしょうか。
A2. そういうことはございません。
Q3. HDD需要の9割以上がパソコン用途である現在、160GB/Pのような容量を実現するヘッドが必要かどうかについてのコメント下さい。仮に、80 GB/Pのヘッドが現在では妥当なレベルだとすると、160GB/Pの製品を投入すれば、理論上はヘッドの需要が半減するということになります。4、5年前にも同じような現象が起こったと思いますが、そのような現象が再現するとは考えませんか。仮に、市場の95%が160 GB/Pに変わったとしても、員数は減らないと考えていいでしょうか。
A3. ご質問の意味は、160GB/Pがテイクオフしたときに、1本ヘッドになって、HDD1台当たりのヘッドの本数が激減するのではないかというご心配だと思いますが、私どもは160 GB/Pまでは必要だろう、2本ヘッドを使って160 GB/Pでいくだろうと考えています。確かに、1本使いにしようとするところもあるかもしれません。しかし、多くのHDDメーカーは160 GB/P ヘッド2個使いでHDDを投入してくると予想しています。
Q4. 補足資料の最後の30ページに年間の見通しが出ていますが、同じベースで、上期と第1四半期の数字があればお願いします。
A4. 上半期の数字は、売上高が3,258億円、営業利益256億円、税引前利益274億円、税引き後で190億円。若干の減益を想定しています。上期は記録メディア・システムズ製品部門の構造改革が集中するため、このような予想になっています。第1四半期については、ご容赦願います。
Q5. 構造改革費用は上期の記録メディア・システムズ製品部門に集中するというお話ですが、それはいくらでしょうか。また、記録メディア・システムズ製品と電子素材部品部門を合わせた全体の構造改革費用は上期と下期でどのくらいですか。
A5. 45億円のうち約40億円が上期、残り5億円が下期です。それから、電子素材部品部門につきましては、現在まで構造改革を継続してきたこともあって、構造改革費用は計画には見込んでおりません。
Q6. ヘッドに関して、4-6月期の実績を100とした出荷本数の指数の推移と、今年度の見通しを教えてください。
A6. 昨年の第1四半期を100としたベースで回答します。前回の説明会時に、05年3月期第4四半期の見込みは142と申し上げましたが、実績は155でした。今期は、第1四半期が145、第2四半期を160で見込んでおります。下期の予想は、上期よりも上がると考えております。
Q7. セラミックコンデンサの四半期ベースでの売上高推移を指数化して教えてください。また、コンデンサの収益性の第3四半期から第4四半期への変化、さらに、今期にかけての変化についての考え方を教えてください。また、価格について、今期についての想定を教えてください。
A7. 05年3月期は前期比5%ぐらいの増収です。また、05年3月期の上期と下期の比較で申し上げますと、下期のほうが業績が悪くなっています。また、第3四半期と第4四半期の比較では第4四半期が少し落ちています。06年3月期は前期比一桁前半の売上高の伸び率を想定しています。想定値引率は10%台前半です。従って、数量ベースでは2桁の伸びを計画しているということになります。
Q8. 電子素材部品部門の実質ベースの営業利益は前期から今期、どのくらい増加するか、さらに、どこが一番伸びるかという方向感をお伺いするために、前期675億円の営業利益に、どのような一過性のプラス、マイナス要因が含まれているのかを整理していただきたい。つまり、実質ベースの数字を教えていただきたい。それから、今期は705億の予想営業利益となっていますが、その中身の組み立てについての説明をお願いします。
A8. 電子素材部品部門の前期営業利益675億円には、異常要素として、先ほど申し上げた年金代行返上益62億円のうちの50億円ぐらいが入っています。この675億円という数字には、半導体関係の非継続事業は入っておりません。
つまり、先期の営業利益675億円から50億円を差し引いた625億円から今期見通しの705億円との差、約80億円の伸びは、セグメント別で見ると、主として、電子デバイスで達成する見込みです。一番伸びると想定しているのはインダクティブデバイスです。その次が電子材料です。現状では、コンデンサとヘッドが大きな収益の柱ですが、値引きも厳しい状況の中で、これらの利益がどんどん増えていくとは想定していません。それ以外の製品群の中では、インダクティブデバイスやセンサ・アクチュエータが第2の収益製品として立ち上がってきています。それに加えて、やや低収益なそれ以外の事業群が今までの収益体質強化の効果が出て底上げされる。それにより利益を増やすというのが計画です。
Q9. 澤部社長にお伺いします。業績はV字回復となり、ある意味、妥当な利益レベルになってきました。ここから10%台半ばの利益率を目指したいとおっしゃいました。つまり、1,000億円の営業利益ということですが、それを目指す上で何が足りないか。換言すれば、既存事業の延長線上でこの営業利益が実現可能なのか、それともM&Aを含めて何らかの新しい展開を必要とするのか。15%のシナリオを教えてください。
A9. 15%の収益性を狙っていくに当たっては、記録メディア・システムズ製品部門の出血を急いで止めるのが大切です。また、ヘッド事業は、今の利益率をキープしていけばいいのではないかと思っています。もちろん、事業拡大が期待できないわけではなく、増加の要素もあります。ヘッド製品は、比較的他社との差別化が出来てきており、キャプティブメーカーからの注文もだいぶ増えています。用途の面でもPC、サーバ以外の用途開拓を進めています。
問題は電子部品です。これは、だいぶ収益は良くなってきています。インダクタをはじめ磁性製品も改善はしていますが、まだまだ利益率は低いです。これを、特に最近言われている環境絡み、省エネ関係、より小型・高性能の材料開発等に開発のリソースを入れて収益力を上げるように、今スケジュールを作っています。ハイブリッドカー等の電源の受注も増えています。こういった電源トランスの用途面も増えてきていますが、我々の事業領域の中で、さらにシナジーが起こる、強くなる可能性があれば、M&Aも考えていきます。ただ、何回かM&Aをやってきて、コア領域から離れたところのM&Aは成功率が非常に低い。自分たちの領域で評価ができて、経営がうまくできるものに限ってM&Aをやっていきたいと思っています。
Q10. 年金代行返上による年金費用の減少額がどのくらいか教えてください。
A10. 積んでいく費用の減少がどのくらいになるかということですね。20〜30億円はあると思います。これは今期の計画の中にすでに含まれていると理解下さい。
Q11. 04年3月期のアニュアルレポートに、ロイヤルティもしくは特許ライセンス関係の支出が124億円という記載があります。前期の光ディスク関連のライセンスのロイヤルティ支出がどの程度あって、それが収益にどの程度の影響を及ぼしているのか。今期にはどう変化していくのかについて解説いただけますか。
A11. 光ディスク事業におきましては、ある程度のロイヤルティ支払いがどうしても生じます。正確な金額につきましては、ここでご説明することは控えさせていただきます。そのロイヤルティ支出については、事業計画の中に織り込んでおります。特許料の支払いを下げようと努力はしていますので、下がってくるとは思います。しかし、基本的な構造に変化はございません。
Q12. 先期下期から今期上期でヘッドの売上高が8%ほど減る見通しとなっています。この理由を教えてください。それから、今期は、年間で数量が19%、金額が8.3%増ということで、単価を10%くらい落とすという前提にされています。これは、3.5インチ、2.5インチ、1.8インチ、1インチで各々どれが一番単価下落が大きいか。できれば、それぞれで単価がどれぐらい落ちるかというヒントをいただきたいと思います。
A12. 計画数値は安全に見ているということです。季節的にいつも上期は落ちていますので、今期の計画も季節要因を見込んだものです。しかし、今のところその傾向が見えていません。お客様はけっこう強気です。しかし、いつも4月、5月、6月と落ちていますので、在庫調整が入ってくるかなと見ています。それから、値引きについては2.5インチと3.5インチを分けられませんが、平均で年間14〜15%の下落を見込んでおります。
Q13. 補足資料に3.5インチの80 GB/Pの構成比が、2005年3月期は出ていますので2006年3月期についても、四半期ごとにこれらの比率を教えてください。
A13. 3.5インチ80 GB/Pは、今四半期はだいたい62%と見ています。第2四半期は41%、第3四半期は32%、第4四半期は27%。だんだん減ってはいくが残るだろうと見ています。100 GB/Pは、今四半期で26%、第2四半期で32%、第3四半期も32%、第4四半期は31%です。120GB/P−133 GB/P は、今四半期は12%、第2四半期が27%、第3四半期が36%、第4四半期が41%。第4四半期から160 GB/Pが1%くらい出てきます。
Q14. 厚生年金の代行返上益等を加味すれば、前期と当期では実質の営業利益は減益と思います。この要因はコンデンサや記録メディアの想定外の減益が要因であり、HDD用ヘッドは想定外の減益が無かったと見てよいですか。
A14. HDD用ヘッドは想定外の減益はありませんでした。
Q15. HDD用ヘッドの売価下落率の今期見通しを14〜15%見ていると話をされていたが、足元の状況を踏まえてコメントして下さい。
A15. 平均で見れば14〜15%の売価下落率を見込んでいるが、80GB/Pはこれまでも売価下落があったので、これ以上の下落率は少ないと見ています。
Q16. 垂直磁気記録方式が本格化すると、記録密度は年率約100%の上昇ペースでこの2年間くらいはいけるという感触を持っています。これは、HDD1台当たりに使用されるヘッドの使用員数にどのような影響を与えるかコメントして下さい。また、それをインチ別での最新情報を教えて頂けないでしょうか。
A16. 記録密度が年率100%ペースになるのではないかという話は、技術的には確かに可能だと思います。ただし、これは1インチとか0.85インチのHDDだと思います。2.5インチのHDDについては、垂直磁気記録方式により実際に80 GB/Pが製造できるレベルにあると思います。しかし、量産ベースで考えると、2.5インチ以上のHDDの場合、ヘッドはできてもハードディスクメディアがなかなか難しいと思います。したがって、1インチ以下のHDDだけが年率100%で記録密度が伸びると思います。一方で、3.5インチ、2.5インチは、今後2年ぐらいは間違いなく長手記録方式だろうと考えています。
また、2.5インチが80 GB/Pになったとき3.5インチをリプレイスするのではないかということに関しては、これは私どもも考えております。ただし、まだコストが3.5インチより2.5インチが高いので、リプレイスされるには2,3年かかると見ています。
Q17. TMRヘッドを中量産し始めていると聞きましたが、立ち上げ段階の歩留まりはスムーズにいっているのでしょうか。また、TMRヘッドの需要が拡大すると、御社の顧客の数は増える傾向にあるのでしょうか。
A17. 歩留まりの数字は答えられませんが、133GB/PのGMRヘッドよりは高い歩留りです。顧客の数は増やしたいです。
Q18. 第4四半期におけるコンデンサの歩留りの悪化について教えて下さい。その原因がどこにあって、それによって収益性は第3四半期に比べて第4四半期がどのくらい落ちたのでしょうか。これに対する改善の目処は実際に立っているのかについて教えてください。
A18. 確かにコンデンサの新製品の立ち上げで歩留りが悪かった事実がありますが、3月にはその問題点もだいたい把握していますので、今期からは、このような影響は受けないようになると思います。
Q19. 御社が所有している有形固定資産は約2,000億円ありますが、このうちどのくらいが記録メディアに関するものでしょうか。また、それに対する適正な収益性について、どのように澤部社長はお考えなのかお話しいただけますか。
A19. 約230億円です。これが良い状態とは思っていませんので、先ほど申し上げましたように、VHSの前工程などは処分します。そして収益性につきましては、ブルーレイやデータストレージテープにおいて10%以上の収益性を考えています。ただ、DVDにつきましては、仕入れ部分やODMが多くなる関係で、なかなか10%の収益性は難しいと思います。先ほど説明しましたように、販売管理費を大きく落とすことを考えています。どの程度落とすかは検討中ですので、ご勘弁願いたいと思います。
Q20. 第4四半期の営業利益は約163億円ですが、この3ヶ月間には年金の代行返上益や非継続事業の影響、一時的な合理化費用などすべてを除いた実質ベースでいうと、営業利益はいくらだったのか教えてください。
A20. 第4四半期の163億円という数字の中に、年金の代行返上益62億円が含まれていますので、約100億円が通常の事業活動での営業利益です。この中には体質改善の構造改革費用も含まれており、その金額は約26億円です。
Q21. すると、営業利益163億円から年金の代行返上益62億円を控除し、一時的な合理化費用26億円を足した数字125億円が実質的な第4四半期の営業利益とみてよいですか。
A21. そう考えていただいて結構です。
Q22. 今期上期6ヶ月間の営業利益見通しは256億円ですので、第4四半期の実質営業利益125億円×2(=250億円)とほぼ釣り合います。コンデンサの改善等も考えられるので、もう少し、今期上期の営業利益見通しを良くしても良いのではないですか。
A22. 今期上期は、記録メディア・システムズ製品部門の構造改革として40億円の費用を計画に入れていますので、何とも言えません。
Q23. 鹿内執行役員のプレゼンテーションにて、御社の記録メディア事業に対する思いは、よく伝わってきました。しかし、客観的に拝見していると、特許支払いもあるので、むしろ数量が増えると特許料が増えるとか、そもそもハードディスクとの競合などあまり芳しくない事業環境の中で、光メディアに対する需要がこれからどうなるのでしょうか。澤部社長も5、6年前に就任されて悩まれたことがあるかもしれませんが、結果的には優秀なエンジニアの方々をこれだけお使いになって、利益は5年間上がりませんでした。これから2年、3年を見たとき、LTOも値段が非常に下がっている中で、記録メディア事業は利益を本当に出せるのか、今期の10億円の黒字化は、私どもが本当に期待していいのかどうか、しつこくて恐縮ですが、お話いただければ幸いです。
A23. 先ほどご説明したとおり、光メディアの社内生産比率は小さくなっています。従いまして、それに伴う支払い特許料も大きく下がります。光メディアに限ると、10億円にも満たない特許料です。それから、記録メディアの市場のこれからのことをご心配されているようです。確かに、フラッシュメモリやハードディスクなどの色々なフォーマットがこれからも伸びていくと思います。我々の作っているのは、いわゆるリムーバブルメディアと言いまして取り外しができるメディアです。この需要をどう見るかはいろいろなご意見がありますけれど、私どもの想定は、例えばレコーダーがいい例です。DVDレコーダーは、まずハードディスクに落として、そこからライブラリにしていくという需要が新しく生まれています。いわゆるライブラリ事業、あるいはストレージ事業というものは、今までのビデオカセットではなかったものです。ビデオカセットは時間差で録画したものを見る世界です。今度のDVDディスクはライブラリですから、一人が月あたりに使う枚数はものすごい需要があります。光メディアにおけるCDの世界は、ものすごい需要拡大が見られましたが、DVDも同じような方向が見えてきていますので、市場の将来性につきましては、我々は大きな懸念を持っておりません。これからハードディスク、フラッシュメモリなどの共存関係の中で、新たな用途が広がっていくと思っています。その中でどうやって利益を出すかですが、これは、先ほどからお話申し上げているように、我々の事業構造を変えていくことしかありません。これをとにかく早く実行するということです。
Q24. 教えていただけるのであれば、今期記録メディアの収益が74億円良くなる中で、固定費はいくらになるのか教えてください。
A24. 販売固定費でおよそ25億円、製造固定費でおよそ10億円下げる予定です。
Q25. ヘッドについてです。先期第3四半期から第4四半期にかけて売上が少し増えていますが、利益率は改善したのか悪化したのか、実績を教えてください。
A25. 改善しましたが、改善幅についてはご容赦下さい。
Q26. ヘッドは、数量も増えて、製造設備も足りなくなっていると思いますが、今期のヘッド事業の設備投資がどのくらいで、減価償却費は前期、今期どれぐらいなのか教えていただけますか。
A26. 先期の610億円の設備投資額のうち、約50%、また、今期の投資額650億円のうち、約45%がヘッド事業の投資になるかと思います。
Q27. ドライブ業界でシーゲートさんがヘッドのテクノロジーでも先行してシェアを上げていますが、御社のテクノロジーは、シーゲートのテクノロジー、他のコンペティターと比べて、どういう位置付けになっていますか。また、テクノロジー競争によって、業界構造が大きく変わる可能性があるのかどうか教えてください。また、先ほどからキャプティブメーカーの話がありましたが、そのキャプティブ比率はもともと35%、40%などの見通しだったと思います。テクノロジー競争の観点と合わせて、このキャプティブ比率がどのように増えていくと見ているのかを教えてください。
A27. TMRについては調べてみて、私どもが負けているとは思っていません。垂直ヘッドは他社のものはまだ見ていませんが、私どもはヘッドとしてのデザインは確立しています。中量産といいますか、要は、歩留まりをどうチューニングしていくかというところまできていますので、あと6カ月したら量産に動けると思います。
キャプティブ比率については、数量ベースで上期25%、下期27%を見込んでおります。