[ 2005年3月期 通期 連結決算説明会 ]記録メディア事業の概要
執行役員
レコーディングメディア&ソリューションズ
ビジネスグループ G.M. 鹿内 雅俊
記録メディアを担当しております鹿内でございます。よろしくお願いいたします。
2005年3月期の実績は、先ほどご案内申し上げましたとおり、連結売上高1,126億円、営業利益は77億円という大きな損失を計上いたしました。これは、DVDディスクの想定を大きく超えた売価下落、前年比320億円という大きな値引きが発生したことが主要因ですが、その根底には、激変する事業環境に対して我々の経営改革が立ち遅れているという事実があります。その結果としての極めて深刻な業績悪化であるということを、率直に認めます。
2006年3月期は、連結売上高1,100億円、営業利益は35億円の損失を見通しております。この営業損失額35億円の中には、45億円の構造改革費用を含んでおります。したがって、その費用を除いた営業利益において、前期比74億円の大きな改善を実行いたします。その結果として、構造改革費用を除きますと通期では10億円の黒字となります。かような大きな改善を実現するために、思い切った事業改革を断行いたします。まさに、事業構造の根本的な変革を期すことになります。
記録メディア商品は、DVDディスクに代表されるようにコモディティー化が加速され、いわゆる大量消費材と位置付けられるものになっております。製品ライフサイクルが非常に短くなり、激しい価格競争に晒されます。したがって、量産投資の回収が非常に困難な状況に陥っています。かくなる環境を見据え、メディア事業における製造会社としてのTDKの使命は大きく変わらなければならないと考えております。これを言葉でまとめると、「自社製造商品とODM製品のポートフォリオ最適化」となります。
もう少しわかりやすくご説明いたします。
事業形態の1つの選択肢に、開発・製造はすべて放棄して仕入れ販売に徹するという道があろうかと思います。しかし、我々TDKは、少なくとも記録メディアにおいては、この事業形態を選択することはいたしません。それは、とりもなおさずTDK創業の理念を放棄することになると考えるからです。またそれは、長年にわたりTDKのメディア製品に対して信頼を寄せてくださっているお客様に対する期待に背くことになると考えています。自社で開発・製造を続けなければ、本当の意味での新製品を生み出すことはできません。新製品を生み出すことができなくなれば、お客様の期待に応えることにはならないと考えております。新商品を生み出すことがブランド価値を生み、企業価値を高めることであると確信しております。
しかしながら一方で、従来のような量産拡大を自社の中で続けていくということは、特に大量消費材として位置づけられるDVDディスクのようなメディアにおいて、決して認められる状況にあるとは考えません。よって、我々は信頼できるパートナー会社への技術移転を基軸にして、委託製造の拡大と充実を図ります。そして、新商品や付加価値商品の早期導入と、市場に認められる製品コストを実現してまいります。
また、物流と商流の改革については、特に環境変貌の著しい欧州において我々の取り組みに甘さと遅れがあります。このことを深く反省し、思い切った営業全般の機構改革を実行に移します。さらに、市場の縮小が明らかになって残存利益の維持が難しい商品については、製造からの撤退を急ぎます。これにより、特に欧州と日本の製造拠点について大きな構造改革を実行します。具体的には、VHSの原反製造について集約を進めています。他の不採算製品についても実行に移していきます。
自社開発と製造については、我々が創業以来長年にわたって培ってきた要素技術を一層強化し、お客様に望まれ、認められる価値の高い新製品を先行商品化し、市場導入していこうと考えています。このことが、何より製造会社TDKの使命であると心得ております。この意味において、データテープと次世代光メディアであるブルーレイディスクの2つが、最も有望な事業だと考えます。これらについては開発拠点を集約し、開発投資も集中投下を行い、商品化のスピードアップを図ります。昨年、データテープのLTOの第3世代に当たるGen3においては、市場導入で先陣を切ることができました。このことは、業績的にも成果を見せております。今後、一層の生産合理化を押し進め、コストダウンを図りながら、ロードマップに沿った新商品の早期導入に邁進いたします。ブルーレイディスクについては、TDKはすでに数年にわたり技術開発に傾倒してまいりました。その蓄積により、市場の要求に先行して十分に応える実力を用意していると考えています。市場の立ち上がりは、2007年まで待たねばならないと想定しておりますが、そのときに備えた製造体制は先行して確立し、2008年3月期からの収益寄与に期します。
以上により、2006年3月期においては、遅くとも第4四半期には営業黒字を実現いたします。そして、市場の皆様のご心配を少しでも拭うことができるようにいたす所存です。日本における記録メディア事業のパイオニアであるTDKですが、その草創期に我々は、開発と製造、販売に一貫して取り組んでまいりました。そして、数々の新商品をお客様に提案し続けてまいりました。そのTDKのメディア事業を預かるものとして、この不本意な状況から脱却することは、最も重要な責務と深く自覚しております。全身全霊を傾けてがんばってまいりますので、よろしくお願いいたします。