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[ 2004年3月期 第3四半期 連結決算説明会 ]Q&A

Q1. 「HDD用ヘッド事業の概要について」というプレゼンテーションの中の2枚目、HDDヘッド製品化スケジュールに関する質問。このスケジュールによれば、製品世代が2つしか記載されていない。以前は、40GB/P、60 GB/P、80 GB/P、120 GB/Pというように多くの製品がスケジュールに載っていたが、2製品のみの記載ということは、明らかにヘッドの開発ペース、あるいは、記録密度の進化が鈍化していることを意味する。これによって、一時的に、120 GB/Pもしくは80 GB/P製品の寿命がこれまでの1年間ではなく、例えば2年間に延びることは、TDKにとりデメリットになると考えられるか。
A1. ヘッドの開発スピードは明らかに遅くなっている。現に、40GB/Pはまだ続いており、第4四半期まで続く見込みである。ということは、自ずと80GB/Pは来年2005年も続く可能性がある。このスケジュールには120GB/Pが(2004年)4月ぐらいから量産と書いてあるが、実際にはもう3ヶ月ぐらい遅れそうな状況で、ますます80GB/P製品の寿命が伸びることになる。それは、TDKに対するデメリットが発生することを意味する。80GB/P製品が延命するということは、当然、値引きの要求が大きくなる。歩留まりの改善による利益改善と値引きによる利益減とを比較すると、歩留まりは既に相当高いところまできているので、値引きによる利益減の方が影響は大きいだろうと予想される。従って、来期は、利益率の改善は難しくなるのではないかと見ている。
Q2. TDKのお客様においては、120 GB/P製品に移行する起爆剤は何も見当たらないということか。
A2. 次期製品の呼称について、一概に120 GB/Pと3.5インチの容量ですべての製品を定義していいのかは疑問がある。一般に、120 GB/P (3.5インチで120GBの容量を実現する)製品は、2.5インチに使用される場合、60GBの容量を実現するものと理解されている。しかし、実際に2.5インチのディスクで60GBという容量を達成しようとすると、今の技術レベルでは3.5インチで(120GBではなく)150GBを達成するテクノロジーが必要になる。そこで、メーカーによって、100GB の量産をスタートしたところもあれば、125GBというところもあり、又、133GBと言っているところもある。
従い、一概に120 GB/Pと3.5インチの容量で、すべての製品を定義していいのかは疑問があり、将来は少し違った、より適切な表現で表示したほうが適切かと考えている。
Q3. 記録デバイス製品の売上に関し、中間期の説明会では第3四半期の売上見込み532億円に対し、実績は654億円となっている。つまり、第3四半期の売上実績は前回の見込みに比較して約120億円の増加と大幅には増えたが、その増加は一時的なものと説明された。その中身について、一時的な要因とそうでないものとに分けて教えて欲しい。
A3. 増収の要因は、数量が増えたこととヘッドスタック(HSA)の比率が増えたこと、の二つだと考えている。
一時的な要因は、ひとつには、TDKの競合に問題があったことで、TDKに対する注文が増えたこと、もう一つは、TDKがヘッドを売っていないお客様に問題が発生し、そのために、TDKのお客の生産数が増え、その分TDKのシェアが少し増えたこと、がある。一時的でない要因は、HDDの需要が予想より多かったということ。
Q4. 年間の営業利益見込みは450億円から525億円と75億円増加したが、その製品別の貢献度について教えて欲しい。
A4. 一番大きな貢献は記録デバイス。その次が電子デバイス、そして電子材料の順序となっている。
Q5. ヘッドおよびコンデンサの第2四半期の出荷を100としたとき、第3四半期もしくは第4四半期にどれぐらいの出荷数量を見ているのか。
A5. ヘッドの数量については、第2四半期を100と見た場合、第3四半期が124%、第4四半期が114%。第4四半期が減るのは、第3四半期が良すぎたことによる。理由は、先ほど述べたとおり。コンデンサについては、数量は公表していないので金額ベースで説明すると、第2四半期を100としたとき、第3四半期が102〜103ぐらい、第4四半期がそれとほぼ同水準と今のところ見込んでいる。
Q6. フェムトスライダおよびTMRの、今の認定状況はどういうレベルにあって、それが出荷されるのは大体いつぐらいと考えたらよいか。また、今後一年かけて、フェムトは全体のどれぐらいの比率に持っていけるか。
A6. フェムトに関しては、1機種のプリプロダクションがほぼスタートした状況にある。本格的な量産は、4月からになると見込まれる。基本的に、フェムトを採用していく機種は、2.5インチ以下の機種になろう。3.5インチのデスクトップは、まだ当面はピコでいくだろう。従い、今後一年となると、フェムトの比率としてはまだ10%から15%ぐらいと推測される。
次にTMRの承認化状況は、先ほど申し上げたが、2.5インチ系、モバイル系の60GB/Pに対する本格的な承認を始めたところである。今月から来月にかけて、相当の数量の正式な承認化サンプルを出荷するようになる。量産の時期は承認化次第だが、希望としては、今年の第3四半期、年末ぐらいから量産がスタートできればと考えている。
Q7. ハードディスクドライブについて、3.5インチ、2.5インチの今年の需要動向をそれぞれどのように見ているか教えて欲しい。3.5インチのドライブについては、シーゲート、マクストアー、WDCのガイダンスでは、1-3月期は売上金額でマイナス10%くらいだろうとしている。TDKは今年1-3月の調整も含めて、どれぐらいの数量増で見ているか。2.5インチ以下は好調だが、それをどう見ているかについても教えて欲しい。
A7. ハードディスクドライブについて、3.5インチ、2.5インチの今年の需要動向をそれぞれどのように見ているか教えて欲しい。3.5インチのドライブについては、シーゲート、マクストアー、WDCのガイダンスでは、1-3月期は売上金額でマイナス10%くらいだろうとしている。TDKは今年1-3月の調整も含めて、どれぐらいの数量増で見ているか。2.5インチ以下は好調だが、それをどう見ているかについても教えて欲しい。
Q8. ヘッド需要および員数の見方に関してはどうか。
A8. 3.5インチはドライブについては微増と申し上げたが、ヘッド需要に関しては、もう少し増えると見ている。それは、ディスクを3、4枚使うドライブの機種の数が増えるのではないかと見ていることによる。2.5インチドライブについては、ヘッドの一個使いは無く、全部2個以上になる。その前提でヘッド需要を計算しているので、やはりヘッド需要の伸びも20%以上となるのではいなかと見ている。
Q9. 3.5インチデイスクドライブのヘッド需要は全体の何%ぐらいで見ているか。
A9. トータルとして、70%くらいはまだ3.5インチ用(デスクトップ&サーバー用)と考えている。
Q10. コンデンサについて、第4四半期の売上見込みが第3四半期と同水準だという理由と、工場の稼働率がどうなっていて、今年の単価ダウンがどういう見方になっているかを教えてください。
A10. 第3四半期に対して第4四半期がほぼ同じと見た理由は、先ほども申し上げたが、特段に悪い情報もない中、情報機器や通信関係が引き続き好調ということで、第4四半期は第3四半期と同じくらいに見た。操業度状況は、ほぼフルに近い状況にある。
Q11. 第4四半期のHDD市場に関する在庫調整の影響をどう見るかについて、コメントが欲しい。質問の背景は、ウェスタンデジタル社、シーゲート社、マクストア社等の決算発表の中身を見ると流通在庫が少し増えているので、もし、在庫調整が行われるとするとHDD自体の生産が少し落ちるかと思うので、その影響がTDKの今回の計画の中ですでに織り込まれているのかどうかを知りたい。
A11. 第4四半期の計画に織り込み済みである。
Q12. ウェスタンデジタル社のHDD用ヘッドの内製について、従来のご見解と変化があるかどうか。また、この第3四半期にすでに影響が出てきているかを教えて欲しい。
A12. ウェスタンデジタル社によるHDD用ヘッドの内製による影響が出ているかという質問だが、そろそろ見え初めている。おそらく、ウェスタンデジタル社からの私どもに対する注文が落ちてくるのは来期1Qからと考えている。
Q13. もし可能なら、ウェスタンデジタル社のHDD用ヘッド内製化によるインパクトの大きさを教えて欲しい。
A13. インパクトの大きさを数字で表すことは難しいが、他の得意先への販売にて、8割ぐらいはカバーできるのではないかと考えている。
Q14. 来期のHDD市場は3.5インチは5%、2.5インチは20%以上、各々伸びると見ているが、外販メーカーとしてのHDD用ヘッドの伸び率は、HDDの伸び率以下になると思う。このような背景の中、為替の影響を含め来期のHDD用ヘッド事業は増収か横ばいかコメントが欲しい。さらに、増収を考えているならば、どういうシナリオを考えているのか教えて欲しい。
A14. ウェスタンデジタル社がヘッド内製(キャプティブ)メーカーになった影響は確かにあり、そのインパクトはそんなに小さくはない。それでどうやって売上等を維持拡大するかということだが、他のキャプティブメーカーを攻めること(今、実際に手を打っている)、及びノンキャプティブのメーカーをHDD市場において、より強くするという戦略などが考えられる。HDD用ヘッドの技術、あるいはそれ以外の取り組みをして、キャプティブ及び競合他社に負けないような戦略を立てていかなければいけないと考えているが、これ以上はご勘弁願いたいと思う。
Q15. HDD用ヘッドメーカーにとっての外販市場そのものは、今後減ると見ているのかそれとも増えると見ているのか。
A15. 私は、HDD用ヘッドの外販市場は横這いだと見ている。
Q16. HDD用ヘッドならびにコンデンサの2Q、3Q、4Qの収益性を教えて欲しい。
A16. コンデンサの収益性は2Qから3Qは円高の影響を受け、ほんの少し下がっているが、ほぼ横ばいである。また、4Qは3Qとほぼ同じと見ている。HDD用ヘッドの3Qは需要が多かったせいもあり、2Qとの比較では約1ポイント上がっているが、4Qにかけて収益性は下がると見ている。これは、3Qの特殊要因が4Qにはなくなることと生産調整が入ることを加味したものである。
Q17. 今は1月も終わりだが、現時点で4Qの実績は計画どおりか否か教えて欲しい。
A17. 電子材料と電子デバイスの売上高は12月と1月はほぼ同水準である。HDD用ヘッドは想定通りである。
Q18. 低収益事業の話を聞きたい。先ほどコメントしたフェライトの4Q合理化費用の確認と、この合理化をしたあとにどういうプラスの影響が出るのか。また、その他の事業の内、以前話していたクリティカル事業(CBU)で低収益もしくは赤字事業が今どういう状況にあるのか。そして、今後の見通し、対策について教えて欲しい。
A18. フェライトの4Q合理化費用は約30億円であり、この費用は広げすぎた拠点関係に使用する。具体的な効果を答えることはできないが、固定費が減るなどで良くなると期待している。また、昨年来、話しているクリティカル事業(CBU)は、中間期の決算説明会でも話した通り、2Qではかなり改善され収支均衡に近づいてきた。3Qはさらに改善され、CBUとして収支は均衡に近いところにきた。
Q19. フェライトで約30億円を合理化費用として使った場合、損益が良くなることは分かるが固定費はどのくらい減るか教えて欲しい。もしくは、30億円使った場合の損益改善をどのように見ているか。
A19. これらについては、まだ公表していないものもあるので、ご容赦願いたい。
Q20. クリティカル事業(CBU)は3Qにて収支均衡に近づくと言っていたが、CBUの中でも低収益ながら儲かっているものと、まだ赤字のものもあって、合計すると収支均衡ということか。
A20. その通りだ。だが、これ以上、中身は開示していないのでご容赦願いたい。
Q21. コンデンサの3Q売上高の分野別と製品別内訳を教えて欲しい。
A21. AV分野が19%の構成で伸びは1%、PC関連が19%の構成で伸びは10%、通信は18%構成で伸びは24%である。また、コンデンサの売上高の内89%がチップコンデンサであり、チップコンデンサを100とするとその56%は高・大容量であり、伸びは約21%である。
Q22. 来期のHDD用ヘッドは価格の引き下げの影響が大きくなるので、利益率が下がると見ていると言われたが、80GB/Pへの移行が終わり、現在のHDD用ヘッドの需給関係はどのような状況か教えて欲しい。需要が多くて価格は維持できるような状況なのか等についてもう少し具体的に説明して欲しい。
A22. HDD用ヘッドの需要供給バランスは、ウェスタンデジタル社による内製の絡みも出てくると思うが、4Qについては、まだ得意先の要求のほうが強いのかなと思う。ただ、来期の1Q以降はウェスタンデジタル社の影響が出てくると先ほど言ったが、需要と供給のバランス面を見ると少し供給過剰になると見ている。当然、歩留まりも上がってくるだろう。しかし、その分HDDの市場も伸びると思うので全体でほぼ横這いと考えている。
Q23. 今後、80GB/Pが主流であり続け世代交代がないとしたら、価格面でも対応するのか。
A23. そのような場合、価格面でも対応していかなければいけないと思う。