[ 2004年3月期 第3四半期 連結決算説明会 ]連結業績概要
経理部長 江南 清司
ご多忙のところ多数お集まりいただきまして、ありがとうございます。また、皆さまの日頃の弊社に対するご支援に感謝を申し上げます。
さっそく、2003年12月31日に終了した、弊社2004年3月期第3四半期決算概要につきまして、お手元の短信に沿ってご報告申し上げます。原則として第3四半期、10月1日から12月31日までのご報告になります。
短信1ページの上段をご覧ください。
売上高は、前年同期比約202億円、12.5%増の1,818億5,100万円。営業利益は約120億円、193.9%増の181億3,900万円。税引前利益は209.0%増の187億1,200万円。当期純利益は、208.9%増の141億3,200万円という結果になりました。お陰様で、増収増益決算で終えることができました。
この結果、1株当たりの純利益は106円75銭、9カ月累計で252円02銭です。当期間における対米ドルおよび対ユーロの期中平均レートは、それぞれ108円92銭、129円48銭。前年同期の米ドル122円62銭、ユーロ122円51銭に対して、米ドルが11.2%の円高、ユーロが5.7%の円安と逆方向に推移しましたが、対米ドル円高の影響をより強く受け、売上高で約130億円、営業利益で約54億円のマイナス要因になっております。
その中で増収増益になった要因は、大きくは記録デバイス、HDD用ヘッド80GB/Pの好調です。2つ目は、電子部品関係において売価値引きや対米ドル円高ということもあって、決して高い水準とは言えなかった1年前の第3四半期の売上高と比較しても微増にとどまっていますが、社長が常々言っている、売上が伸びなくても利益が出る体質が徐々に具現化してきています。3つ目は、営業外において対米ドル円高の進行で為替差損が出ましたが、幸い、米国の新聞にも載りましたようにゲームソフトの会社を売却し、それに伴って売却益が出て相殺されました。こういったことで、これだけの決算ができたということです。
1ページ目下段に売上高の内訳があります。業績概況と売上高の構成割合、並びに対前年同期比売上高伸び率を申し上げます。
電子素材部品部門は、売上高1,421億円、全社に占める構成割合が78.2%、対前年同期比伸び率は16.6%アップです。電子材料製品や電子デバイス製品は、デジタル家電製品市場の成長、携帯電話需要の回復等もあって、価格値引き、対米ドル円高を克服し、売上高は増加しましたが微増に止まっています。HDD用ヘッドを中心とした記録デバイス製品の大幅増加によって、当部門全体の売上高が増加した構図です。
電子材料製品の売上高は430億円、全社に占める構成割合は23.7%、対前年同期比3.5%アップです。
その中のコンデンサは、情報機器、通信分野を中心に幅広い分野での需要拡大を反映して、売上高が増加しました。フェライトコアは、CRTモニタからフラットパネルディスプレイに急激に変化している中で、偏向ヨークコア等、大型のコアの需要が大きく落ち込み、売上高を減少させました。
マグネットは、自動車分野で電装化が進んでいることから数量ベースではおおむね横這いですが、製品単価の下落の影響が大きく、売上高を減少させています。その結果、電子材料製品に占めるコンデンサの構成割合は70%、伸び率は11%アップです。
残りがフェライト及びマグネットで30%、これは逆に11%ダウンになっております。
電子デバイス製品の売上高は290億円。全社に占める構成割合は15.9%、前年同期比伸び率は横這い(0.3%のアップ)になっております。
その中のインダクティブ・デバイスは、デジタルAV製品市場の拡大や、自動車の電装化進展、携帯電話の高機能化等に伴う需要増ということで、売上高が増加しました。
高周波部品は、携帯電話向けを中心に数量的に回復していますが、値引き要求が非常に厳しい中で売上高を減少させました。
パワーシステムズその他は、PC関連、通信分野向けのアクチュエータやチップバリスターが引き続き好調に推移したものの、パワーシステムズ製品は需要の回復がみられない中で減収となり、全体としてこの分野は売上高を減少させました。その結果、電子デバイス製品に占めるインダクティブ・デバイスの構成割合は55%、前年同期比8%のアップ。高周波部品は、構成割合が15%、8%ダウンです。パワーシステムズその他が残り30%で、8%のダウンとなっております。
記録デバイス製品は、売上高が654億円、全社に占める構成割合は36.0%、前年同期に対する伸び率は36.8%です。記録デバイス製品の中で、HDD用ヘッドの構成割合は90%、伸び率は38%です。その他各種ヘッドが残り10%で、伸び率は28%アップになっています。
IC関連その他製品は、売上高は47億円、全社に占める構成割合は2.6%、伸び率は31.1%のアップとなっています。LAN用半導体は依然低調ですが、ノイズ評価のための電波暗室およびその付帯製品が比較的堅調に推移しました。
記録メディア・システムズ製品部門です。売上高は397億円、全社に占める構成割合は21.8%、前年同期比伸び率はほぼ横這いで、0.2%ダウンです。
オーディオ・ビデオテープは、ともに需要の減退傾向の中で売上高を減少させました。光メディアはDVD市場の拡大、CD−R需要の堅調で、売価下落を吸収して売上高を伸ばすことができました。
その他製品は、コンピュータ用データストレージテープ、LTOは順調に推移しましたが、ソフト関係およびレコーディング機器、その他製品が減少したために、全体として売上高を減少させました。
オーディオテープの構成割合が6%、伸び率が28%のダウン。ビデオテープは構成割合28%、15%のダウン。光メディアが構成割合34%、35%のアップ。データテープ、レコーディング機器その他が残り32%で、この部分については6%ダウンになっております。
7ページ上段の第3四半期の連結損益計算書をご覧ください。
今回の特徴は、営業利益率が9カ月累計では8.5%止まりですが、第3四半期だけでは10%にほぼリーチしたことになりました。これはHDD用ヘッドの回復、3年来継続しております構造改革の断行、事業あるいは開発における選択と集中の推進、開発新製品売上比率の向上等、体質改善を進めた結果だと認識しております。
営業利益は、対前年同期比120億円増となっています。
増益要因としては、操業度、品種構成を含んだ売上の増加で248億円、原材料値下げで50億円、合理化コストダウンで70億円の効果があり、合計368億円のプラスとなりました。逆に減益要因は、売価値引きで154億円。先ほどご報告しましたように、対米ドル円高の影響もあって54億円のマイナス。それから、販売費及び一般管理費で為替影響分が15億円ありますが、これを排除すると、実質40億円の費用増になっています。その結果、合計248億円のマイナス。それらを差し引きすると120億円の増となります。売価値引きは依然厳しく、少し緩和した感じはありますが、前年同期比約8%に相当する価格下落になっています。
リストラクチュアリング費用は、今期から別段表示をやめていますが、参考までに申し上げます。販売費及び一般管理費に表示されていた分、売上原価に入っていた分を含め、前期の第3四半期は合計28億円ありました。それに対して今期は17億円で、減少効果が11億円あります。そういう意味で、営業利益を別の角度から見た増加要因となっています。
それから、営業外損益のその他は、前年同期比13億円の増益になっています。これは、米国にありましたゲームソフトの会社を売却し、売却益が8億円発生したこと、関係会社利益持ち分で2億円ほど増えたこと、これらが大きな要因となっています。
8ページの連結貸借対照表と、9ページの連結キャッシュフロー表と併せてご覧ください。9月度、中間期末の比較でお話しいたします。
総資産額は7,611億円で、104億円の増加となりました。当期9月末日レートとこの12月末日レートでは、米ドル111円25銭が107円13銭で、4円12銭、3.7%の円高。ユーロは129円19銭が133円74銭と、4円55銭、3.5%の円安です。ただ、米ドルによる取引の影響が大きいため、海外資産の円換算影響額は104億円純資産を減らしています。たまたま104億円で同じですが、為替で104億円減った結果、104億円中間期から増えた形になっています。
現金及び現金同等物は2,006億円と、ITバブルがはじける前の1999年3月期以来の大台に戻りました。ただ、72億円の増加にとどまっています。これは、第3四半期が期末賞与、配当金の支払い等、資金需要時期であることに加え、第3四半期の売上増加に伴って売掛債権が178億円と大幅に増加した結果、利益額、減価償却費、設備投資額の関係から計算されるフリーキャッシュフローよりも減額になったということです。
ただ、この売上債権の増分は、第2四半期の売上が1,631億円、第3四半期の売上が1,819億円で、第2四半期比188億円増加していますが、これとほぼ一致します。手持ち月数で言えば中間期が2.6カ月、この12月末も2.6カ月で、悪化しているわけではありません。営業活動によるキャッシュフローは224億円の収入超。投資活動によるキャッシュフローで89億円の支出超。財務活動によるキャッシュフローは31億円の支出超。為替変動による32億円のマイナス。これらを加減して72億円の増加です。その結果、12月末現在残高で2,006億円になっています。また、前年同期の比較では、営業活動によるキャッシュフロー段階で30億円の収入超になっています。
その他の包括損失は、約29億円資本の部をさらに減少させる形になっています。詳細は11ペーシの注記3に記載されていますが、対米ドル円高の影響で外貨換算調整額が76億円悪化しました。それから、株式市況の回復によって、逆に年金資産が81億円増加しました。それに伴い、40%の税効果控除後の60%分が、最低年金債務調整額で49億円好転している原因となっています。40%分の税効果32億円相当は、固定資産の部のその他の資産の繰り延べ税金資産を減少させる働きをしています。また、株式市況の回復により、固定負債の部の未払い退職年金費用も減少させています。
10ページのセグメント情報をご覧ください。
電子素材部品部門の営業利益は、前年同期比131億円、225%増の189億円です。記録メディア・システムズ製品部門の営業利益は、前年同期比11億円減のマイナス8億円です。
電子素材部品部門の好調は、記録デバイス中でもHDD用ヘッドの好調が主因で、それを除いた電子部品も、価格値引き、円高の影響もあり、売上高は微増にとどまりました。しかし、そういった中で、コンデンサ、インダクティブ・デバイス、センサアクチュエータ等、売上が伸びなくても利益を出せる体質が徐々に具現化していることにも起因しています。
逆に、記録メディア・システムズ製品部門は、売却してしまいましたがソフトビジネスの低調と、予定していなかった設備絡みのリストラクチュアリングを12億円ほど実施した結果、黒字にすると言っていましたが赤字になりました。申し訳ありません。一方、営業外では、ソフトの会社を売却したときに売却益8億円が発生しています。
最下段に、地域別売上高があります。国内の売上高は、電子材料とHDD用ヘッドを中心とした記録デバイス製品が好調で、売上高を伸ばして円高を克服し、前年同期比7.4%アップの462億円となりました。
米州地域の売上高は円高の影響もあって、前年同期比12.5%ダウンの246億円です。ここは、ほとんど全分野にわたってマイナスになっています。欧州地域の売上高は、前年同期比1.1%アップの222億円ですが、増えた主因はユーロに対する円安で、実質的にはマイナスです。ただ、CD−RやDVD等、光メディア関係は好調に推移しました。アジア地域の売上高は、前年同期比29.6%アップの888億円です。記録デバイス、電子材料、電子デバイス等、すべての分野で売上を大きく増加させました。その結果、全社売上高の構成割合も48.8%に上昇しています。
これにより、海外売上高の合計は、前年同期比14.3%アップの1,356億円となり、全社に占める比率は73.4%から74.6%と、さらに1.2ポイントアップしています。
中段に、所在地別セグメント情報があります。増減を見ると、日本だけ売上高が30億増えているのに、営業利益は15億減少しています。これは、円高になったということで、単独為替の影響をもろに受けました。為替の影響が32億円出ていることの結果です。
最後に、5ページ、2004年3月期の業績見通しをご覧ください。
中間期に公表した今期見通しの売上高6,360億、営業利益450億円、税引前利益460億円、純利益335億円を、売上高6,640億円、営業利益525億円、税引前利益540億円、純利益410億円に変更させていただきたいと思います。
この前提は、対米ドル平均市場レートを前回110円と見ていましたが、第4四半期の見込みをほぼ実勢で105円を想定しています。2つ目には、年末商戦も終わり、第3四半期は比較的好調に推移しました。好調であった第3四半期から第4四半期への通常のビジネスにおける経常的な売上ダウンを想定しています。第3四半期から第4四半期にかけて、特段にいい、あるいは特段に悪い在庫調整等の情報が入っているわけではありませんが、経常的なビジネスダウンを見込んでいます。
HDD用ヘッドの第3四半期は非常に好調でしたが、この需要増は一時的と認識しており、中間期での第4四半期見込みをベースにして、それ以後の状況を勘案して売上高を再想定しました。中間期にもお話しましたが、フェライト関係を中心に約40億円のリストラクチュアリングを第4四半期で実施したいと思っています。このあたりの思いが入った結果としての、通期見込みです。
以上をもちまして、2004年3月期第3四半期決算概要並びに今期見通しの説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。