[ 2004年3月期 第1四半期 連結決算説明会 ]連結業績概要
経理部長 江南 清司
経理部長の江南です。本日はご多忙のところ多数お集まりいただきまして、ありがとうございます。また、皆さまの、日ごろの当社へのご支援に対しまして感謝申し上げます。早速、2003年6月30日に終了した、当社2004年3月期第1四半期の連結決算概要について、お手元の決算短信に沿ってご説明申し上げます。
決算短信1ページの上段をご覧ください。
売上高は前年同期比約45億円、3.0%増の1,532億1,600万円、営業利益は42億円、7.1%増の101億8,000万円、税引前利益は238%増の111億6,400万円、当期純利益は271.4%増の80億2,500万円と、お陰様で増収増益決算で終えることができました。1株当たり純利益は60円51銭となりました。
当期間における対米ドル、および対ユーロ期中平均レートはそれぞれ、127円が119円、117円が135円です。前年同期比それぞれ6.3%の円高、15.4%の円安と、逆方向で推移しましたが、対米ドル円高の影響をより強く受け、売上高で約49億円、営業利益で約21億円のマイナス要因となっております。
増収増益の要因は、1つには、記録デバイスのHDD用ヘッド40GB/P、80 GB/Pの好調です。2つ目は、ITバブル崩壊後の在庫調整が一巡して一時的に需要が増加した前期第1四半期(2002年4-6月期)に比べ、電子部品は全般に売上高を落としておりますが、構造改革で余剰資源、設備・在庫等の整理、あるいは経費削減、選択と集中による赤字事業からの撤退を実施したことで、「売上が伸びなくても利益が出る体質」になってきました。まだ不十分ではありますが、幾ばくかその成果が出てきた状況にあるということです。
3つ目は営業外の要因です。前期の対米ドルは、2002年3月末は133円だったものが6月末に119円50銭と、急速な円高になったことで、売掛金等評価替えによる大きな為替換算差損が発生しました。今期はその為替換算差損益がほぼイーブンで、これがプラス要因になっています。
1ページ下段の、売上高の内訳をご覧ください。業績概況と売上高の構成割合、並びに前年同期比の売上高伸び率を申し上げます。
ご理解をいただくために、ひと言加えさせていただきます。前期の電子部品、電子デバイス、IC関連その他は、在庫調整後の一時的需要増で始まった第1四半期に比べて、第2四半期、第3四半期、第4四半期と、順次売上高を減少させました。逆に、記録デバイスのHDD用ヘッドは第1四半期を底にして、第2四半期、第3四半期、第4四半期と、40 GB/Pの拡大とともに順次売上高を伸ばしていった1年でした。そのような市場状況であった前期第1四半期との比較になります。
まず、電子素材部品部門です。売上高は1,238億円、全社に占める構成割合は80.8%、対前年同期比伸び率は4.8%アップとなっております。ただ、電子材料製品や電子デバイス製品は、DVDプレイヤー等の一部デジタルAV製品向けで需要堅調な分野はありましたが、全般に需要の回復は鈍く、売上高を減少させています。HDD用ヘッドを中心とした記録デバイス製品の好調で、当部門全体の売上高が増加しています。
「電子材料製品」の売上高は404億円、全社に占める構成割合は26.4%、対前年同期比11.9%のダウンとなっております。
<コンデンサ>は、前期第4四半期と比較すると、AV、通信分野を中心に幅広い分野で需要が回復していますが、前期第1四半期との比較では、先程述べましたような理由から売上高は減少しております。
<フェライトコア>は、テレビ、PC用モニタ市場の低迷によって、偏向ヨークコアや汎用電源用コアなどの需要が減少し、売上高を減少させております。
<マグネット>は、自動車分野では電装化の進展で堅調に推移しているものの、その他の分野では、生産調整、売価値引きの影響が大きく、売上高は減少しました。
この結果、電子材料製品に占めるコンデンサの構成割合は67%、10%ダウン。フェライト及びマグネットが残り33%で、16%のダウンとなっております。
「電子デバイス製品」の売上高は258億円、全社に占める構成割合は16.9%、前年同期比13.5%のダウンです。
<インダクティブデバイス>は、デジタルAV製品市場の拡大や、自動車の電装化進展による需要増はあったものの、在庫調整後の一時的需要増や、サッカーワールドカップに関連したテレビ向け特需のあった去年第1四半期との比較では、売上高は減少しました。
<高周波部品>は、携帯電話向けが数量的には回復しているものの、値引き要求が厳しく、他分野の需要も低調で、売上高を減少させております。
<その他製品>では、PC関連、通信分野向けのアクチュエータ、チップバリスタなどが引き続き好調に推移しましたが、アミューズメント向けDC-DCコンバータは、得意先の生産調整の影響で大幅に減少し、全体としては売上高を減少させました。
この結果、電子デバイス製品に占めるインダクティブデバイスの構成割合は57%、前年同期比6%のダウンとなっております。高周波部品の構成割合は15%で、13%のダウン。その他製品は残り28%を占め、26%のダウンとなっております。
「記録デバイス製品」の売上高は538億円、全社に占める構成割合は35.1%、前年同期比伸び率は40.4%のアップです。HDD用ヘッド、その他ヘッドともに堅調でした。
記録デバイス製品に占めるHDD用ヘッドの構成割合は91%、伸び率は41%です。その他ヘッドが残り9%で39%アップになっております。
「IC関連その他製品」の売上高は37億円、全社に占める構成割合は2.4%、伸び率は10%ダウンです。セット・トップ・ボックスのモデム用、およびLAN、WAN用ICは依然低調に推移し、また、ノイズ対策のための電波暗室も、売上高を減少させております。
次に、「記録メディア・システムズ製品部門」です。売上高は294億円、全社に占める構成割合は19.2%、前年同期比伸び率は3.6%のダウンとなりました。
<オーディオテープ、ビデオテープ>は、ともに需要減退傾向の中で売上を減少させました。<光メディア>は、DVD市場の拡大、CD-R需要の堅調で、MD需要の減少、CD-Rの売価下落を吸収して売上高を伸ばしています。<その他製品>の括りでは、コンピュータ用データストレージテープはほぼ順調に推移したものの、ソフト関係およびレコーディング機器その他製品が売上高を減少させています。
オーディオテープの構成割合は9%で24%ダウン。ビデオテープは30%で14%のダウン。光メディアは33%で32%のアップ。コンピュータ用データストレージテープ、レコーディング機器等のその他製品が残り28%で13%のダウンとなっております。
なお、従来報告しておりました、電子素材部品部門の売上高1,238億円を100とした、市場分野別の構成割合および伸び率につきましては、補足資料の3ページに記載してありますので、それをご覧ください。ここでは割愛させていただきます。
短信の6ページ、連結損益計算書をご覧ください。
営業利益ベースで、対前年同期比42億円の増益となっております。
増益要因としては、操業度、品種構成を含んだ売上の増加で134億円。赤字事業からの撤退効果が、ここに反映されていると考えております。また、原材料値下げで51億円、合理化コストダウンで24億円の効果があり、合計209億円のプラスです。
それに対して減益要因は、第1に売価値引きで131億円のマイナスです。次に、先ほど申し上げたように対ドル円高が強かったことから、営業利益ベースで21億円のマイナスとなっております。売価値引きは依然として厳しく、HDD用ヘッドが40 GB/Pから80 GB/Pへ移行したことから、新製品扱いをして値引き計算対象から外したとしても、全社で前年同期比8%相当の価格下落になっております。
販売費及び一般管理費は、為替影響を除いても15億円増加しています。これらをマイナス要因で合計すると167億円で、差し引き42億円の利益増加にとどまっています。
また、従来はリストラクチュアリング費用を別段表示しておりました。2期続けて表示していましたが、いつまでもリストラクチュアリング費用というのは見苦しいということで、今回からやめさせていただきました。
ただ、参考までに申し上げますと、前期第1四半期に、一般管理費及び販売費という括りの中でリストラクチュアリング費用が8億円ございました。今期は同じ括りにすると14億円です。原価性ありということで売上原価に参入している部分が、前期第1四半期は11億円に対して、今期が1億円。合計すると前期は19億円、今期は15億円で、4億円の減少です。これも営業利益増加の一要因となっています。
営業外利益の為替換算損益は、前年同期比32億円のプラスとなっております。冒頭でも申し上げましたように、前期6月末は対米ドルの急激な円高で、売掛金等の評価損が42億円発生しました。その関係で去年は損が出ましたが、今回はそれが減少し、前期比較では大きなプラス要因になっています。
7ページの連結貸借対照表と、8ページの連結キャッシュ・フロー表をご覧ください。前期3月末との比較です。
総資産額は7,605億円と、132億円の増加になっています。前期3月末日レートとこの6月末日レートでは、米ドル120円20銭が119円80銭と、わずか40銭ながら円高です。ユーロは129円83銭が136円92銭と、7円09銭の円安です。米ドルよりもユーロの影響のほうが大きかったということで、海外資産の円換算影響額は22億円プラスに働いています。これを含めて132億円の増加です。
その中の項目として、現金及び現金同等物が147億円増加しています。賞与等未払労務費の支払いが55億円、配当支払いが33億円、有形固定資産取得が86億円。不本意ながら、棚卸資産が為替影響なしで25億円増加しました。しかし、そういった資金需要を、事業活動による利益80億円、減価償却117億円、売上債権回収促進19億円等でカバーしての増加確保になっています。
営業活動によるキャッシュ・フローで257億円の収入超、投資活動によるキャッシュ・フローで82億円の支出超、財務活動によるキャッシュ・フロー(配当)で34億円の支出超。それから、為替変動による6億円のプラスを加えて147億円の増加。6月末現在は、1,853億円の現金及び現金同等物となっております。
キャッシュ・フロー表の、前年同期比での営業活動によるキャッシュ・フローは、去年と今年を比べると159億円の収入超になっています。これは、利益が増えたことにもよりますが、前期第1四半期にはあった、構造改革で実施した特別転進援助適用による退職金の支払いが、今期はなくなったことが大きな要因になっています。
連結貸借対照表の、その他の包括損失が約4億円のマイナス増となり、その分資本を減少させております。詳細は10ページの注記3に載っております。
前年同期の変動幅がマイナス方向に非常に大きかったことに比較すると、今期はいずれも変動幅が小さく、お陰様で利益額が上回り、包括利益は久しぶりに黒字となりました。その結果、自己資本額がトータルでも増加しています。
9ページのセグメント情報をご覧ください。
まず、上段の事業の種類別セグメント情報です。電子素材部品部門の営業利益は前年同期54億円、98.7%増の110億円。記録メディア・システムズ製品部門の営業利益は、前年同期12億円減のマイナス8億円となっております。
電子素材部品部門では、売上高の増分と営業利益の増分がほぼ同額です。記録デバイスのHDD用ヘッドが好調な以外、電子部品の売上高は全般的に低調でしたが、売上が伸びなくても利益が出せる体質に徐々に変化している成果なのか、売上高のダウンほどには営業利益を減少させませんでした。
次に、記録メディア・システムズ製品部門は、ソフトビジネスの低調と売上は伸びている光メディア製品が、いまだ十分に利益を出せる体質になっていないために、売上が減少するとたちまち利益を落としてしまい、残念ながら、第1四半期の営業利益は赤字になりました。通期では黒字確保の予定でおります。
最下段の地域別売上高です。
「国内」の売上高は、HDD用ヘッドを中心とした記録デバイス製品で売上高を伸ばしましたが、その他製品が全般に低調で、前年同期比4.9%ダウンの404億円になりました。
「米州地域」の売上高は、前年同期比22.9%ダウンの225億円です。需要の回復が鈍かったことに加えて、為替の円高影響もあり、すべての製品で売上高を落としています。
「欧州地域」の売上高は、前年同期比8.4%アップの180億円です。売上高増加の主な要因は、対ユーロ円安です。自動車向けを中心としたマグネットやCD-R、DVD等、光メディアが好調でしたが、それ以外は低調でした。
「アジア地域」の売上高は、前年同期比19.7%アップの723億円。これは、記録デバイス、HDD用ヘッドの好調によるもので、電子材料、電子デバイスは売上高を減少させております。なお、全社売上高に占めるアジア地域の売上高の構成割合は、47%まで高まっています。
この結果、海外売上高の合計は前年同期比6.2%アップの1,128億円で、全社に占める比率は前期71.4%から73.6%と、2.2ポイントアップしています。
最後になりますが、5ページの2004年3月期の業績見通しをご覧ください。補足資料では、6ページに同じく業績見通しが載っております。
結論から申し上げますと、2004年3月期の連結業績見通しにつきましては、5月7日時点で皆さまにお話しした内容から、変更はいたしておりません。
その理由は、1つには、マクロ経済の動向等が今もなお不透明なこと。2つには、第1四半期の実績で、HDD用ヘッドは好調ながら、電子部品等は思ったほどでないこと。3つ目は、本年5月の発表時も上期、下期での見通しのみで、四半期別までブレークダウンすることをご容赦いただいたこと等を斟酌し、中間期の実績が出て、第3四半期がもう少し明確になったところで通期見通しの見直しをするほうが誤解を与えることが少ないのではないかと判断したことによります。
そうは言いましても、現在、次のような方向性をもっております。
まず、為替です。この見通しは非常に難しいですが、若干の変動はあるものの120円近辺で推移するのではないかと考えております。
「電子材料製品」は、マクロ経済がアメリカを中心に回復し、需要も徐々に回復してくるであろうという前提でこの第1四半期の実績を見ていましたが、前期第4四半期と比較すると、回復はしているものの想定したほど強いものではありません。そのため、5月時点では、通期ベースで前年同期比8.1%増加すると見ていましたが、現時点では、1桁台前半程度の増加率ではないかと考えています。
「電子デバイス製品」も電子材料製品と同様に考えておりましたが、この第1四半期の実績を見ると、前期第4四半期と比較すれば回復していますが、思ったほど強いものではありません。そのため、5月時点では、通期ベースで前年同期比4.2%の増加と見ていましたが、現時点では多少落ちるのではないかと考えております。
「記録デバイス製品」は、第1四半期の実績が前期第4四半期同様に非常に好調であり、第2四半期の受注も相変わらず好調であることから、上期につきましては、5月時点で前期上期比16.7%の増加と見ておりましたが、現時点では、増加率がアップする可能性が強く、レベルとしては30%強くらいと考えております。通期ベースでは、5月時点で前年同期比4.7%増と見ておりましたが、現時点では改善して、10%から14、15%近くの増加率になると考えております。
「記録メディア・システムズ製品部門」は、第1四半期の実績を見ると、DVDの急速な普及でビデオテープの需要が減少していることや、ソフトその他製品の売上が思ったほど伸びていないことから、通期ベースでは、5月時点で前期比横這いと見ておりましたが、現時点では売上が若干減少すると見ています。
以上をもちまして、2004年3月期第1四半期決算概要と今期見通しの説明を終わります。ありがとうございました。