[ 2001年3月期 中間期 連結決算説明会 ]記録メディア事業について
常務取締役記録メディアシステムズ事業本部長 岩﨑 二郎
岩﨑でございます。よろしくお願いします。まず、今上期は、前期に比べて減収ならびに営業利益赤字ということで、誠に申し訳なく、お詫び申し上げます。
今期の見込みおよび今期の注力事業について説明致します。私どものメディアビジネスの中核は、オーディオテープ、ビデオテープ、CD-Rの3製品で、売り上げ的にも三本柱です。ところが、オーディオテープ、ビデオテープは、巻数ベースならびに価格、特に巻数で減退している状況です。オーディオテープでは、94年に世界需要20億巻だったのが今年は約12億巻。ビデオテープは96年がピークで、13億巻あったものが今年は11億巻です。私どもは毎年シェアを伸ばしており、今現在、オーディオテープは世界シェア36%、ビデオテープでは22%。トップシェアではありますが、総需要が減退している状況です。
また、CD-Rは枚数ベースでは非常に伸びており、今年の見込みは世界規模で31億枚、2年後は50億枚を想定しています。推定によっては来期86億枚ともいわれていますが、TDKの推定では2年後に50億枚を超えると見ています。しかし、CD-Rは需要と供給がアンバランスで、31億枚の需要に対して、現在、世界の供給能力は60億枚以上あります。このため、1年間で価格が大幅に下落しました。前上期を1としますと今上期は約4割の減少、下期は前上期に比べて6割の減となる見込みで、これは世界各地で同じ状況です。その結果、大変厳しい状況になっており、売上、利益ともにが落ちております。
こうした状況を踏まえ、コンシューマメディアの再編、すなわち、オーディオテープ、ビデオテープ、CD-Rの拠点の再編が最大のテーマとなっております。生産コストの優位性、地域的な特性を考慮して、生産拠点の整理・統合を行い効率アップを図ります。また、外部委託生産を今まで以上に積極的に活用してまいります。これにより、2004年3月期の目標であるオーディオテープの世界シェア40%、ビデオテープの世界シェア25%を目指します。オーディオテープもビデオテープも古い製品ですが、最後に残ったものが利益をとるということは、過去のメディア業界の、一つのパターンです。もう一度拠点再編と合理化をして、最後まで残存者利益をとるということが一つのポイントです。
今後の光メディアについては、開発およびハイエンド品の社内生産と、一般製品およびローエンド品の外部生産の組み合わせが方針です。現在、記録メディアの製造拠点は、オーディオ4拠点、ビデオ4拠点、CD-R3拠点です。ただし、複数を同じ拠点でやっているケースもありますので、工場数ではありません。これを閉鎖、統合により、オーディオ3拠点、ビデオ2拠点、CD-R 2拠点にします。1年以内に移行する計画で、今詳細を詰めております。これにより、既存コンシューマメディアを合理化し、生き残っていきます。
また、事業本部として今後注力していく事業は二つございます。一つがAdvanced Opticalで、次世代光メディアの開発と生産です。二つ目がソフト事業で、デジタルコンテンツ製品です。まず、Advanced Opticalでは、CD-Rについて高容量、高速転送ニーズに合わせて、3倍密・3倍速のドライブとメディアの実現をテーマに、現在、米国カリメトリクス社とML(多値記録)技術を共同開発しています。革新的信号処理技術で高密度・高速化を図るもので、現状のドライブにこのML用LSIを加えることで、2ギガバイト程度の容量になると思います。回路としては完成しており、来週のコムデックスで関係者をお呼びして実演致します。CD-Rの次にはDVDが控えておりますが、ご存じのように、PC周辺機器とAV用途による市場ニーズの拡大で、来年から本格的に出てくるだろうと思っています。このDVDについては、すべての品種を製品化しています。
今後使用される記録メディアは、一般的に、光ディスク、すなわちハイエンドのCD-RやDVDのほか、ハードディスクや半導体メモリなどがありますが、中でも光関係は、コスト面、コンパティビリティ、使い勝手の良さなどで、必ずや一つの世界を作っていくと考えます。したがって、コストの優位性、高容量化、高速化が市場ニーズであると思っています。TDKの独自の技術、またドライブメーカー、ハードメーカーと連携をとり、システムとして世の中にご提案していくことが肝要だと思っております。当然ながら、その過程ではパテントの問題をクリアーし、IPを確保していかなければビジネスはできないと思っております。
現在のDVD-R、RWは、容量4.7 GB、転送レート11.08 Mbpsが標準的であろうと思いますが、私どもはすでに、容量22 GB、転送レート35 Mbps、その上の27 GB、70 Mbpsというディスクも実験室レベルで持っております。さらには、その先の30 GB、140 Mbpsまで視野に入っております。ここまでくると、放送業務用にも使われます。これは非常に大きく貴重なマーケットです。ご存じかもしれませんが、22 GB、35 Mbpsのディスクなら、高品位デジタル衛星放送の2時間番組が画像圧縮しないでそのまま撮れます。また、ハードディスクから画像を転送する場合には1時間。70 Mbpsは30分、140 bpsなら15分で済みます。ハードディスクとの組み合わせでホームサーバーの一角に入りますので、ここで一つの世界を作っていきたいと思っています。
もう一つのソフト事業については、エンターテインメント・デジタル・コンテンツの分野です。 コンテンツに関して、TDKは25年以上の歴史があります。現在、CAI(Computer Aided Instruction)のCD-ROMを発売していますし、ビデオの教育用ソフトや幼児用ソフトも販売しております。これをさらに拡大していきます。具体的には、インタラクティブ・ソフトウェアとビジュアル・ソフトウェアです。このビジネスは、すでに昨年10月にヨーロッパ発でトライアルを始めました。このため、サウンドソース・インタラクティブ社の経営権を取得しました。この会社は「キャスパー」とか「ベイブ」とか「The Land Before Time」「メイシー」等の有力な子ども用のキャラクターを持っています。そのキャラクターを使って、プレイステーション、ゲームボーイのゲームソフトを開発し、私どもの欧米の流通チャネルを使い、私どものブランドで売ります。すでに30タイトル近くを持っておりますが、今後は本格的に取り組んでいこうと考えています。今期中にはCD-ROMを含め5タイトル程度、来期は10タイトルを予定しております。既存製品の業績が思わしくなく、大変ご心配をおかけして申し訳なく思っておりますが、なんとか来期にかけて、業績を回復させたいと思っております。よろしくお願いします。