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[ 2001年3月期 中間期 連結決算説明会 ]社長挨拶

代表取締役社長 澤部 肇

代表取締役社長 澤部 肇

澤部でございます。日頃は大変お世話になり、また、本日はお忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。さっそく、2000年9月30日終了の2001年3月期中間決算についてご報告致します。

まず、連結決算から申し上げます。売上高は3,520億円、前年同期比6.8%増です。営業利益は364億円、前年同期比0.4%微増です。中間当期利益は326億円、39.6%増です。一株当り当期利益は、昨年の175円36銭から244円96銭に、同じくROEは8.8%から11.1%に改善しております。当中間期の営業外損益には、退職給付信託設定益125億円を含んでおります。これが、先ほど申し上げました当期純利益の増加につながっています。

次に、決算上の主な点を申し上げます。まず、為替の影響について。ご承知のように海外売上高比率が非常に高く、前年同期比より0.5%増加して、65.7%となっております。1USドルは、昨年中間期が117円でございましたが、今年は107円で9%の円高。ユーロも20%の円高になっています。これにより連結決算上の為替換算目減りが発生し、売上高で約245億円、営業利益で約101億円の影響を受けました。1円の円高で売上高は年間約48億円、営業利益は20億円の影響を受ける計算になります。その他、全体で8.2%の売価ダウンがあり、金額は314億円。ヘッドならびにメディア関係の比率が高くなっています。こうしたマイナス要因を増産合理化でカバーしました。営業利益は前年同期比1億4,000万円増加して、364億円でした。当期は、当初計画よりハードディスクドライブ用のヘッドとメディア部門が減りました。それを電子部品がカバーした形になっております。

部門別に申し上げます。電子材料および電子デバイス部門は、携帯電話、PCを含む情報通信市場が堅調。また機器のデジタル化により、積層チップコンデンサ、積層コイル、インダクティブデバイス、高周波部品、EMC部品等が大幅に増えました。

電子材料部門は29.8%アップの1,093億円。これは、積層チップコンデンサ、フェライト、マグネット等が含まれています。電子デバイス部門には高周波部品等が含まれますが、19.9%アップの751億円です。一方、記録デバイス部門は、第2四半期から出荷をはじめた面記録密度15ギガビット/平方インチの製品の歩留まりが悪化しました。さらに、9月に中部地方を襲った大雨の影響、あるいは落雷等の自然災害において、出荷量が大幅に伸び悩みました。この結果、前年同期比9.0%減の918億円となりました。同部門のメイン商品であるハードディスクドライブ市場の需要については、ハードディスクドライブそのものは、昨年の1億6,600万台から2億300万台、22%の増加をみております。しかしながら、ヘッドの使用個数が製品1台あたり3.7個から3.1個に減ると見ていますので、全体の需要は前年とほぼ変わらず、6億2,100万個になっています。この出荷減によって、マーケットシェアは2%ほど低下し、32%になりました。

来期以降については、ホームサーバ、ホームエンターテインメント等の市場が増加しますので、需要は今期が底だと思っています。また、先ほどの歩留まりも12月ぐらいから方策が利きだし、第4四半期には第1四半期並みに戻ると考えています。記録メディアは、CD-Rの急激な売価ダウン、オーディオテープの総需要の減少により、対前年比11%減の628億円です。なお、当部門は営業利益で28億円のマイナスになりましたので、早急に収益構造の改善を含めた体質改善を図りたいと思っています。前期に収益を上げていたCD-Rは、オーバーサプライにより価格がほぼ半値となり赤字になりましたことが、この部門の赤字の要因です。したがいまして、我々が、オーディオテープ、ビデオテープから光ディスクに転換することで、収益を稼ごうと思っていた目論見が変わりました。光ディスクの事業展開としては、今後DVD等の先端技術をやっていくわけですが、必ずしもすべて内作という形をとらないことを考えています。また、生産拠点の再編、販売機構の見直し等を早急に行い、来期の中頃までにはこれを完了させたいと思います。

次に単独決算です。売上高10.0%アップの2,340億円、営業利益42.4%アップの117億円、経常利益は16.6%アップの350億円。純利益が△88.3%で22億円です。通信市場向け積層チップコンデンサと高周波部品の増加により、売上高及び営業利益の増加につながっています。当期の特別損益には、退職給付会計基準の変更に伴う移行時の差異として△346億円含まれています。これは信託設定益125億円を相殺した後です。したがいまして、先ほど申し上げたように、純利益が△88.3%、22億円となっています。なお、当期の中間配当は、1株につき30円とさせていただきます。

次に、2001年3月期の業績見通しを報告します。前提となる換算レートの上期実績は107円ですが、下期は105円とします。連結で申し上げますが、売上高7,200億円、対前年比6.8%アップ。営業利益750億円、0.5%アップ。税引前利益860億円、17.1%アップ。当期純利益590億円、16.3%アップ。1株当り当期利益は443円27銭で計算しています。第1四半期の終了時点でご報告申し上げたものが、先ほど申し上げましたように、特にヘッド関係の出荷が大幅に減ったことにより訂正を余儀なくされましたことを、改めてお詫び申し上げたいと思います。

第1四半期終了後の見通しとの相違点を申し上げます。まず一つは為替で、当時、下期は1USドル100円を想定していましたが、昨今のレートから1USドル105円と円安を想定しています。二つ目に、電子部品関係が情報通信市場および機器のデジタル化により、引き続き堅調だということが挙げられます。一部に携帯電話の在庫調整等がありますが、当社は携帯電話向けの納入比率が現状では、それ程高くありません。当初から、今年の携帯電話市場全体を4億2,000万台と想定していましたが、現在は4億台と言われています。それほど差がありませんので、それによる影響を受けておりません。したがいまして、いまだに受注の状況は強く、この部門は当時よりも下期の売上見通しが約75億円増加しています。

記録デバイスは、歩留まり悪化の影響ならびに自然災害の影響を、第3四半期も引き続き受けています。第4四半期からは、現在の歩留まりが改善する目処がついておりますので、歩留まりが、第1四半期並みに戻る想定をしております。その結果、下期の売上見通しも当時より約70億円減少しています。

次に単独です。売上高4,660億円、対前年比7.2%アップ。営業利益200億円、4.8%アップ。経常利益450億円、3.0%アップ。当期利益75億円、△69.2%です。なお、退職給付会計基準変更に伴い、当期利益が減っています。

以上ですが、私どもの新中期計画"Exciting 108"がスタートして半年あまりが過ぎました。電子部品部門は好環境に支えられ、できすぎなぐらい順調にきております。デジタル化あるいはブロードバンド化等で、今後もビジネスチャンスは広がると考えております。前回申し上げました、e-マテリアル・ソリューション・プロバイダとしての存在価値を、今後も高めていきたいと考えております。

HDD用ヘッドは15ギガビット/平方インチの製品でもたつきましたが、今年の3月に買収したヘッドウェイの技術者が、全体で約200人ほど加わっていますので、その効果も徐々に出はじめています。中期計画も圧倒的なパワーを目指してがんばりたいと思っております。

記録メディアは、先ほど申し上げましたように、思い切った体質改善が必要と考えております。事業領域、光メディアの事業のやり方、生産拠点の再編、販売体制の見直し等に早急に手を打ってまいりたいと考えております。多少の修正等がございましたが、通信・記録分野を選択領域に致しました。当初設定した通期目標に向かって邁進したいと思っています。

通信分野では、先期全体に占める比率が10%でしたが、この中間期で14%まで伸び、前年比で50%成長しています。その他の市場についても、おおむね中期に設定した数値をパスしています。

いずれにしても、「エキサイティング」になるためには、独創的新製品の継続的提供がキーになりますから、開発力、技術力を高めなければいけません。したがって、技術人員の補強、評価を積極的に行い、同時に海外開発拠点、ラボ等の強化も行っていきたい。設備投資についても、当初設定いたしました中期計画は、4年間で3,500億円から4,000億円を考えています。当期も、950億円ないしは1,000億円近くまでいくのではないかと思います。

以上、ご報告致します。詳細につきましては、後ほど記録メディアの岩﨑が、今日初めて来ております。橋本はおなじみでございますが、私どものCTO斎藤も来ておりますので、技術問題についてじっくりご質問いただきたいと思います。どうもありがとうございました。