[ 2001年3月期 中間期 連結決算説明会 ]HDD用ヘッド事業について
取締役記録デバイス事業本部長兼ヘッド第一事業部長 橋本 富智
ハードディスクドライブの概要を説明致します。お手元に資料を配らせていただいておりますが、全社的に大きなインパクトがございます売上状況についてお話します。まず、8月に上期の見込みをご報告した際、1,010億という目標値がございましたが、実績は918億円という結果で9%の減少です。この原因については、先ほど社長からも報告がありましたが、2点大きな要因がございます。
まず1点は、15ギガビット/平方インチの新しい製品の歩留まりが悪く、予定したとおりに出荷数量を確保できなかったということで、大幅な売上の減少をきたしております。また、8、9月の異常気象等により、ウエハーのラインストップが発生し、大幅な生産減少が起こっています。この2点により、上期9%の減少という結果に終わりました。見込みの数字が大幅に減少したことに関しては、お詫び申し上げます。
下期につきましても、新しい製品の歩留まり改善が遅れている影響が残っています。また、異常気象で特に9月度に大幅にウエハーの生産が減少しており、10月度の一次出荷分に影響したため、下期トータルとしては、8月度に報告した930億円の見込みに対し、問題の2項目に対して挽回を試みていますが、今回修正させていただいて822億円、売上6%減少です。
続いて、売上に対して大変大きなインパクトのある歩留まりの改善状況について報告します。第1四半期に比べて、第2四半期には2桁台の歩留まり低下が発生しています。15ギガビット/平方インチ新製品の歩留まり悪化の要因には三つあります。まず一つは、トラック幅コントロールの問題、二番目は動特性の問題、三番目にはMR抵抗コントロールの問題です。この内容について、若干説明させていただきます。
まずトラック幅コントロールの問題については、記録密度を決定するポール幅のばらつきが大きいことです。この幅は0.2ミクロンから0.3ミクロンと大変狭く、精度は100分の2ミクロンから100分の3ミクロンにならなければなりませんが、この技術が製品の立ち上げ時に十分でなかったことが、歩留まり悪化の原因になっています。この問題につきましては、ウエハー工程において新しいコントロール方法を導入し、品質保証の能力を上げています。すでに工程においては導入しておりますので、これから新たに出てくるウエハーについては、十分改善された製品になります。
二番目の動特性の問題について。密度が高くなりますと、ヘッドとメディアの間隔が狭くなるわけですが、そこで重要になるのがヘッドの表面の状態です。これはヘッドのデコボコ状態を表したもので、密度が高くなるにつれ、デコボコ状態を改善していかなければなりません。デコボコは、基準面に対して2ナノメーターと非常に少ない量でございますが、最近の高密度においてはこれが影響してきます。これはヘッドの構造が問題で、そこから改善を加えています。12月度から出てくるウエハーについてはすべて改善される予定です。
三番目はMR抵抗コントロールの問題で、これは出力に非常に大きな影響を及ぼします。高密度化が進むにつれ、MR抵抗値には非常にシャープさが要求されます。これまでは、このMR抵抗値のばらつきが大きく、問題となっていました。新しい工法を導入してばらつきの改善を図っていますが、設備の導入が遅れたことで、歩留まりに影響が出ています。この3点が、歩留まりに大きく影響しています。以上、売上と売上に関係する歩留まりについて説明させていただきました。
次に、市場のヘッド需要と私どもの置かれている立場について。最初に、ヘッドの総需要と員数ですが、年間の総需要は6億2,100万個という見方をしています。5月時点の報告では6億個と見込んでおりましたが、ハードディスクの台数の増加等によって、今回6億2,100万個としました。ハードディスク一台あたりの員数は、当初3.2個と見ていましたが、サーバ系や2.5インチ系の員数減少が若干ありますので、トータルとして3.1個という見方をしています。
総需要とシェアについては、PCの需要が1億3,800万台、ハードディスクドライブは2億300万台、HGAに換算した総需要が6億2,100万個です。これに対して、当初はヘッドウェイを買収してマーケットシェアを上げようと考えていましたが、実際には減少しております。先期のTDKのマーケットシェア34%に対し、今期は32%になるであろうと予想しています。
続きまして、生産体制については、5月に発表した数字そのままで、来年3月末で月産2,700万個を予定しています。2004年3月末で月産4,000万個。設備投資も当初の計画どおり、この数字に向かって進みたいと考えています。以上で私の説明を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。