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TDK Investor Day 2025 未財務資本を通じた企業価値向上に向けて
(2025年9月1日開催)Q & A
- Q1. 過去TDK Unitedという流れをどのように推進してきたのでしょうか。10年前に持っていたTDKのイメージから、かなり進化していると思いました。この数年のカルチャーの変化が大きいのでしょうか。経緯を教えてください。まだ足りないもの、さらにやらないといけないものはどこに残っていますか。
- A1. 当社は今年(2025年)で創立90年目になりますが、どれだけ会社の規模が大きくなっても、新しいことに挑戦する、失敗から学ぶというスピリットは以前から育まれています。多様性の尊重についても、大型M&Aを40年前から行っており、新しくゼロから始めたわけではありません。機能対等という言葉も、私だけでなく過去のトップが様々な言葉で語っています。さらに進化するというのが今だとご理解いただきたいです。足りないもの、課題ということですが、私はあまりネガティブには物事を見たくないので、これは挑戦だと思っています。今後の社会のTransformationを大きくドライブしていくのはAIエコシステムだと思いますが、バッテリー、HDDヘッド、受動部品、センサ、これらは今後のAIエコシステムにパーフェクトにマッチして貢献していきます。それにレバレッジを掛ける形で、エッジデバイスにソフトウェアを載せる、半導体製造装置の一部を既に手がけるなど、こういった裾野を広げていく事で、大きなポテンシャルをしっかり実現したいと考えています。
- Q2. SAE香港の買収に始まり、電池(ATL買収)を含めてM&Aの成功率は高いと思います。その一方で、受動部品、磁気センサ以外のセンサ、電源などのビジネスは、いまひとつ収益貢献が大きくないように見えます。人財活用という意味で、ATLの人財や技術を、どのように他の部門に活用していますか。今後どういった変化が起こりそうですか。
- A2. 受動部品とATLとは、トップも含めてATLを訪問し、マネジメントだけなく現場ベースでコミュニケーションを行っています。製品は違えど、生産性の改善、DXの導入、新製品の立ち上げなどで共有できるところがあります。ATLのメンバーからすると、これは学び合い、つまり逆もあるということです。機能対等は実例としてあります。ATLの幹部メンバーが入った研修のなかで、バッテリーと全く関係のない、センサとソフトウェアを組み合わせた事業(SensEI)をやるべきだという声があがりました。機能対等が実際に浸透してきているので、それぞれの事業体の良いところを学び合って、実行していくことが今後加速すると思っています。
- Q3. コミュニケーションスコアについて、足元での課題や達成に向けた具体策について教えてください。
- A3. 2023年は初めての実施でファクトファインディングの様なものでした。最優先事項としては、世界中のチームメンバー(従業員)をインスパイアしようということ、できるだけたくさんの参加者を募り、その声を反映することでした。2番目のポイントは、もちろん75ポイントをターゲットにしているのですが、キーポイントはチームメンバーと共に改善措置を行うこと、一歩前に出ることです。そうすることで、人々のマインドだけでなく、人々のハートにリーチすることが出来ると考えました。大きなチャレンジとしては、90%が日本以外のメンバーが占めていることを鑑み、多様化したメンバーを一つにまとめることだと考えています。そういうわけで本日のスピーカーであるAngelaや平岡のように異なった知見、より広い知見を持った人をローカルリーダーに据え、正しい行動をとり、Transformationを加速させようと思います。
また、CEO自身相当数の拠点を回ってきました。コミュニケーションをいかに改善していくかということは、各拠点のメンバーにとっては私(CEO自身)に何か改善してくれというようなことでもあると思い、必ずコミュニケーションについてチームメンバーと話すようにしています。 - Q4. 勝本社外取締役への質問です。社外取締役の目線でTDKの組織・風土の強みや弱みを教えてください。
- A4. 機能対等、ダイバーシティ、研修制度等、社外取締役の目から見ても、非常にオープンに正確に今日は説明していると感じます。月に1回TDK本社に行きますが、そのたびにどこかのトップの方が来ていて、深い技術の話をすることが普通に起こります。非常にオープンで、取締役会等でも忖度なしに言いたいことが言える文化です。人事面でも世界的にも協力関係が出来上がってきていると思います。トップ、2レイヤー目、3レイヤー目までは環境が整ってきていると思います。現場レベルまでもっと重層的に施策が進めば、大きな化学変化が起きるのではないかと思います。例えば米国とヨーロッパにも会社がありますが、まだ東京を通じて繋いでいる感じがあると思います。直接やりとりする環境が起こってくると、非常に良い企業文化が醸成されていくという実感があります。
- Q5. スピンフォトディテクタ、CPO(Co-packaged optics)は、凄く大きなマーケットで、技術的にも重要ですが、TDK Unitedをどのようにワークさせて実現していくのでしょうか。
- A5. 半導体で行っている光検知を、磁性膜で検知したら面白いと思いついたのが、TDK Venture Spiritの表れです。HDDヘッドと同じ材料で成膜すれば素子はできますが、HDDのウエハを作っているのは米国だったり、TMRセンサを作っているのは浅間であったり、世界中に技術が存在しています。一番良い技術を使いながらスピンフォトディテクタ用の磁性膜をつくることができます。CPOとなると外部のパートナーとの連携を視野に入れることになります。また、スピンフォトディテクタは光を検知するので、ARグラスでも使うことができます。使い方はCPOとは違って、レーザーがきっちりと出ているか、画像をきちんと作っているか検知するところにディテクタを使います。応用範囲という観点でも広がりがあり、TDKの中の幅広い技術が活用できると思います。
- Q6. スピンフォトディテクタの話は、データセンター関連の面白い技術として興味を持って聞かせていただきました。既存のシリコンフォトニクスの技術と比べた時のメリットについて教えてください。どのくらい高速化できるか定量化することはできますか。
また、消費電力はどれくらい下げることができますか。どのような課題にこれから取り組んでいくのか、時間軸も含めて教えてください。 - A6. 私たちが原理実証できたのは20ピコ秒の超高速応答ということになります。ざっと言うとシリコンフォトニクスの10倍くらいと考えています。最先端の開発なので、まだ量産化の段階ではなく、原理の検証ができた段階です。波長依存性という言葉を出しましたが、半導体だと、それぞれの波長に合った材料を用意する必要がありますが、このスピンフォトディテクタは、熱を検知して、その信号の有り無しを検知することができるので、どの波長の光でも検知ができるという意味で応用の幅が広いデバイスです。基本的な技術はTDKのスピントロニクスで持っており、原理検証もできていますが、量産化に向けてパートナーリングや量産設備など、チャレンジして事業化に向かって行きたいと思っています。
- Q7. ニューロモルフィックデバイスは、TDKのどのセンサと組み合わせて、何ができようになりますか。実装イメージを教えてください。例えばイメージセンサと組み合わせたらどうなるか、などのアイデアがあれば教えてほしいです。
- A7. アプリケーションはほとんど無限に考えられます。AIが今クラウドを使って非常に重たい演算をしていますが、優れたニューロモルフィックデバイスがあれば、エッジでできるという世界が待っていると思います。どういう風に使うかは、お客様との対話次第ですが、イメージセンサとの組み合わせが一番考えやすく、応用範囲が広いのでビジネスとしても大きくなると思います。TDKには多様なセンサがあるので、強力になるのではないかという気がしています。