株主・投資家情報
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IRイベント

第127回 定時株主総会 質疑応答概要

Q1. 知的財産に関する基本方針及び戦略についてお聞きしたい。
A1. 当社は、第三者が有する特許を尊重するとともに、第三者にも当社の特許を尊重していただくという方針を取っております。また、当社は幅広い事業領域を有し、グローバルに事業を展開していることから、事業の安全確保や、技術優位性の確保、費用対効果を考慮しながら、知的財産の活用を適切に推進しております。
Q2. 従業員の職務発明に対する考え方について教えてほしい。
A2. 基本的に、従業員によってなされた職務上の発明は当社に帰属いたします。また、発明を奨励するために、発明者の貢献に報いる社内報奨規程を制定しております。特に、事業活動に対して貢献度の高い発明に対しては、出願や登録に対するインセンティブに加え、合理性と納得性の双方を満たす対価を持って発明者に応えております。
Q3. セラミックコンデンサの市場別売上比率がどうなっているか知りたい。
A3. 当社のセラミックコンデンサは、主に車載向けや産業機器向けを中心に展開しており、ICT(情報通信技術)向けのシェアはそれほど高くない状況となっております。今後もEV(電気自動車)や先進運転支援システムの普及により、車の電動化や電装化がさらに進展していくことから、車載向けのシェアを拡大させていきたいと考えております。
Q4. 2024年3月期のエナジー応用製品の売上・利益予想についてその背景を教えてほしい。中型電池のジョイントベンチャー(JV)への移行も影響しているのか。
A4. 2024年3月期のエナジー応用製品の売上については、前期比で約2割減少する計画です。これは、スマートフォンをはじめとするICT機器の需要減少に加え、原材料価格の下落に伴い販売価格の低下を見込んでいることが主な要因です。市場が低迷する中であっても、当社は市場シェアの維持・拡大に努めるとともに、さらなるコストダウンによる生産性向上を推進することで、利益面では前期と同レベルの収益性の確保を目指しております。なお、2024年3月期に中型電池がJVへ移行する影響により、売上高が若干減少しますが、前期比2割減の主な要因は先ほどのとおりです。
Q5. 日本銀行が当社株式を相当数保有しているという記事を見たが、議決権行使状況について、どのように把握しているのか教えてほしい。
A5. 日本銀行が保有するETFに当社株式が相当程度組み入れられていることは認識しております。日本銀行は、株主名簿上の株主やその背後にいる実質株主ではなく、実質株主に対する資金提供者という位置づけであることから、日本銀行自体が議決権行使について、どういった判断をしているかは把握できない状況です。議決権行使を行うのは、実質株主である機関投資家であることから、当社は日ごろのIR・SR活動を通じて、機関投資家とのコミュニケーションを図り、当社が目指す経営に対してのご理解をいただく活動を推進しております。
Q6. インド市場における今後の展開についてお伺いしたい。
A6. 二次電池事業について、現在は中国が主要な生産拠点となっておりますが、2017年からインドでの生産を開始しており、少量ながら、セルからパックまでの一貫生産体制を確立しております。これに加えてインドでの新工場の建設を進めており、2025年には本格稼働する計画です。また、インドには受動部品の生産拠点も有しております。拠点の展開に関しては、地政学的リスクだけでなく、各国の税制、顧客ニーズ、サプライチェーン等を総合的に勘案のうえ,適切かつ柔軟に対応していく方針です。
Q7. 電子部品の長期的な市場成長率についてどう考えているのかお聞きしたい。
A7. 足元ではスマートフォン等のICT分野の需要が低迷していますが、長期的な視点で見れば、DX(デジタルトランスフォーメーション)、EX(エネルギートランスフォーメーション)という2つの大きな潮流は今後もさらに進展していくと考えております。電子部品の長期的な市場成長率について具体的な数値はお示しできませんが、これらの潮流により、右肩上がりで成長していくと考えております。当社は、ICT分野や、自動車分野、産業機器・エネルギー分野と、バランスのとれた市場分野においてビジネスを展開していることから、今後拡大が予想される需要に対して、タイムリーに施策を実行していくことで、サステナブルな成長を目指してまいります。
Q8. 現在の取締役会の構成を見ると、女性及び外国人の取締役員数が非常に少ないと感じているが、取締役会の構成と方向性について、齋藤社長及び中山社外取締役の意見をお伺いしたい。
A8. 齋藤社長:今後も引き続き、女性及び外国人役員の登用を積極的に推進し、取締役会及び監査役会の活性化を目指してまいります。
中山社外取締役:当社の取締役会は少人数で構成されており、男性、女性、外国人の格差は全くなく、かつ非常に自由闊達に中長期の議論、リスク管理等を適切に実施しております。また、当社は優れた人材教育システムを構築しており、将来、女性及び外国人の役員候補となりうる人材が多数グローバルにいることを確認しております。
Q9. 齋藤社長が就任されてから1年が経過したが、今後、最も注力していかなければならないと感じている課題について教えてほしい。
A9. 就任してから1年が経過しましたが、当社を新たな成長ステージに移行させたいと考えており、現在、TDKユナイテッドのチームメンバーと様々な施策を実行しながら進めております。セラミックコンデンサ、センサやバッテリー等の戦略製品における成長事業のみならず、課題として掲げております一部事業の改善もあわせた両輪で、当社事業を回してまいります。また、より一層注力していかなければならないと考えているのが、非財務(未来財務)であり、ESGの取り組みです。特に、「人」は最重要の資産と考え、今後は人が成長していける施策及び人的資本へのさらなる投資をより一層強化してまいります。上記の課題や思いを持ちながら、当社の持続的な成長につなげていきたいと存じます。
Q10. 他社と比べ、取締役及び監査役のスキル・マトリックスに多様性が不足しているように思うが、どのように考えているか知りたい。
A10. 当社は、毎年、取締役会(諮問機関を含む)の実効性評価を行っており、その結果、現状の体制で実効性が十分確保できていることを確認しております。引き続き、実効性評価を継続的に実施し、取締役及び監査役の多様性についても適切に対応してまいります。
Q11. 2035年までに女性管理職比率15%を目指すことを掲げているが、具体的な取り組みを教えてほしい。また、海外への日本人出向者の男女比率はどのくらいか教えてほしい。
A11. 当社では日本の課題となっている女性管理職割合を創業100年にあたる2035年に15%達成する目標を掲げております。国内における女性管理職割合の推移は、2021年3月末では2.3%、2022年3月末では3.2%、そして、2023年4月時点で4.3%と上昇しておりますが、目標達成に向けて、女性の採用や、職域拡大、就業継続、環境整備の強化に加え、風土改革、女性の能力開発、男性管理職の意識改革及びハラスメント防止施策を実施しております。さらに、2023年4月にグローバルでDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)を推進する組織を設立いたしました。また、女性の海外への出向比率は2.5%(全出向者275名のうち、女性が7名)であり、大多数が男性で占めているのが現状です。今後も女性活躍の推進に真摯に取り組んでまいります。
Q12. LGBTに対する取り組みについて知りたい。
A12. 当社の企業倫理綱領で人権の尊重及び差別の禁止を宣言しており、LGBTQ+などの性的マイノリティーを正しく理解するための社員教育を本格的に導入しております。また、製造工場にてトイレや更衣室など性的マイノリティー人材でも利用できる設備を順次導入しております。今後もLGBTQ+などのマイノリティーに対する活動に真摯に取り組んでまいります。
Q13. データセンターの需要が回復してきているという報道を目にしているが、直近及び今後のHDD(ハードディスクドライブ)市場とHDDヘッドの需要動向について、どう見ているか知りたい。
A13. クラウドコンピューティングの拡大により、保存されるデータ量は急速に増加していることから、データセンター向けストレージ需要は今後も拡大すると見込んでおります。また、SSD(ソリッドステートドライブ)が値下がりしているものの、データセンターストレージではコスト面と容量面の優位性により、引き続きHDDが主流であると見ております。地政学的な問題と景気後退によるマクロ経済の悪化により、2022年後半からHDD需要は低迷していましたが、中長期的には需要の増加を想定しており、HDDヘッドの総需要は今後も増加すると見込んでおります。さらに、今後のHDD市場はデータセンター向けのニアラインHDDが主流となることが予想されています。当社は磁気ヘッド専業メーカーとして、マイクロ波アシストヘッドを既に量産済みですが、熱アシストヘッドの量産に向けて準備を進めております。
Q14. 開示資料において“コンデンサ”という言葉を使用しているが、海外ではあまり通じないと思う。“キャパシタ”の方が世界では一般的ではないか。
A14. 使用場面に応じて適切に対処してまいりたいと存じます。貴重なご意見ありがとうございました。
Q15. 労働生産性の改善について具体的な取り組みを教えてほしい。
A15. 生産活動において、生産性を改善するべく、IoT(モノのインターネット)化を推進しており、AI(人工知能)やビッグデータ解析を活用し、自律型の生産工程を構築し、スマートファクトリーの実現を目指しております。また、製造現場では従業員自らが小集団活動により改善活動に取り組んでおり、現場単位での品質向上と生産性向上に努めております。
Q16. 間接部門の労働生産性に改善について具体的な取り組みを教えてほしい。
A16. 働き方改革の各種施策を進めておりますが、将来に向けてはジョブ型雇用への移行も視野に入れながら、間接部門の労働生産性の改善を進めてまいります。
Q17. 技術情報等の流出防止対策について教えてほしい。
A17. 重要な技術情報については、アクセス可能な従業員を限定しており、情報の持出しが可能な記録媒体の使用を許可制とするなど、社外への重要情報の持ち出しを制限しております。また、第三者との共同開発においては、あらかじめ秘密保持契約を締結し、情報の管理を徹底しております。また、学会等での外部発表において、公表可能な技術情報かどうかの審査も行っております。さらに、人を介した情報流出への対策としては、退職後の情報漏えいを禁止する旨の誓約書を取り交わしているほか、退職前には社内情報へのアクセス履歴を管理しております。その他、技術者や発明を報奨する制度を設けることにより、優秀な技術人材の流失防止に努めております。