- Q1. 2026年3月期第1四半期の実績は、ベースシナリオの計画に対して、どの事業が計画を上回り、また下回ったでしょうか?
- A1. 為替の円安効果を除けば期初想定並で着地しましたが、セグメント別にみると濃淡があります。売上高は、受動部品と磁気応用製品で期初想定比若干のプラス、センサ応用製品は横ばい、エナジー応用製品は若干のマイナスでした。利益は、受動部品は、自動車市場向けMLCC、インダクタは増収となった一方で、その他の受動部品が減収となったことに加え、MLCCの平均売価が下落していることもあり減益となりました。センサ応用製品の売上高は横ばいでしたが、TMRセンサが利益を底上げし増益となりました。磁気応用製品はHDDヘッド、サスペンションで増収・増産効果もあり、大きく増益となりました。エナジー応用製品は、前倒し需要の影響を含めて期初に計画を作ったものの、一部の出荷が第2四半期にずれ込んだことで若干下ぶれました。ただしその分の利益は第2四半期にアドオンされます。
- Q2. 関税措置に伴う前倒し需要の影響はあまりなかったという理解で良いでしょうか。
- A2. 製品によって違いがあります。エナジー応用製品の小型二次電池は、上期で見れば期初に想定していたよりも前倒し需要の影響があると思います。スマートフォンの比率が高いTMRセンサにも前倒し需要の影響が入っていると認識しています。
- Q3. 第2四半期は、例年通り季節性に沿って増益となりますか。
- A3. 為替影響を除いた第2四半期の予想は、受動部品は増収により増益、センサ応用製品についても同様に増収増益、磁気応用製品は売上高は伸びますが、利益は若干減少すると見ています。第1四半期の利益には、マグネット事業において福利厚生施設売却に伴う一時収益の計上が含まれており、第2四半期にはそれが無くなるためです。また、HDDサスペンションは販売好調な一方で、値下げ圧力が高まっており、値下げの影響を反映させています。エナジー応用製品は数量増による増益が見込めますが、足元で材料費が値上がり傾向にあります。従来通り価格転嫁を進めていきますが、価格転嫁までのタイムギャップが第2四半期以降発生すると見ています。ただ、そのマイナス要因を含めても、増収により増益を確保できると見ており、二次電池として、収益性についても前年同期並みを確保できると考えています。
- Q4. 受動部品は、前年比で利益が痛んでいるように見えます。EVの需要が伸びていないことが背景にあるとのことですが、今後どのように立て直していきますか。
- A4. AI関係のビジネスで、フィルムコンデンサ、アルミコンデンサ、MLCC、パワーインダクタそれぞれにおいて、幅広いラインアップを持っています。所謂アクセラレーターボード以外のインフラ関係であったり、バックアップ電源、空調関係の電源に使われる高耐圧部品、ハイパワー部品などです。TDKの強みを生かせる部分がまだまだあるので、AI関係の市場に向けて積極的に販売を仕掛けていきます。特にアルミコンデンサは先行しており、AIサーバー向けのかなり電圧の高いところに使われる部品に既に採用されています。
- Q5. 全社で産業機器市場向けが増えています。産業機器のカテゴリーにはゲーム機向けが含まれていると思いますが、増えているのはゲーム機向けでしょうか。それとも産業機器全般が増えているのでしょうか。また、ゲーム機向けで増えている製品はMEMSモーションセンサですか。
- A5. 産業機器の中にはゲーム機が含まれています。ゲーム機向けのセンサや再生エネルギー向けのフィルムキャパシタを除けば回復は遅れています。ゲーム機向けで増えているのは、ご推察の通りMEMSモーションセンサです。
- Q6. 磁気応用製品は、製品ミックスの改善が効いているとのことでしたが、HDDヘッド・サスペンションそれぞれの状況を教えてください。また第2四半期以降の伸びしろについても教えてください。
- A6. ヘッドの数量は前第4四半期から減少しましたが、これは主力製品の切り替えに伴う減少です。今後新製品に移行していく中で、収益性が高いものに構成が変わってきます。ヘッドは過去に実施した構造改革により損益分岐点を下げましたが、損益分岐点に近い数量が第2四半期で見えています。固定費削減等の効率化を更に進めており、通期で見て十分に収益に貢献できるレベルになっていきます。サスペンションの数量はニアライン需要の拡大に応じて確実に増えていきますが、高容量品に欠くことのできないTri-SAのサスペンションの構成比率が上がることで、製品ミックスが好転する見込みです。
- Q7. シリコン負極の採用ロードマップについて教えてください。また、関税措置によるサプライチェーンの変更に伴い、小型二次電池のインド拠点に何か変化があれば教えてください。
- A7. 第3世代のシリコン負極の投入を第1四半期に開始しました。進捗は予定通りです。従来、シリコン負極はスマートフォンのハイエンド品が中心でしたが、一部のお客様ではミドルからローエンドへの採用も始まっています。また、スマートフォン以外にもPCや時計への採用も広がっています。インドの拠点ですが、第3四半期から新工場での量産を開始する予定です。昨今の地政学的リスクの状況もあるので、特にインド市場向け、輸出向けにてお問い合わせをいただいている状況です。
- Q8. 中型二次電池について、データセンター向けバックアップ用電源向けや、BESS(バッテリエネルギー貯蔵システム)をやっておられると思いますが進捗を教えてください。LFP(リン酸鉄リチウムイオン電池)での採用が来年には増えると思いますが、今後の見通しについて教えてください。
- A8. データセンター向けの電池は、BBU (バッテリ・バックアップ・ユニット)向けとUPS向けがあります。UPS向けの高出力タイプの製品を持っており、UPSのトップブランドに売り込んでいます。BBU向けにはTDKがジャンボパワーと呼んでいる高出力セルのプラットフォームを活用した超高出力タイプをBBU向けに特化して開発しています。来年度を目標に開発を進めています。ご指摘の通り、他社との差別化を図るポイントとしてLFPをベースに開発を進めています。大型のESSということでBESSがありますが、日本のような地域ではコンテナサイズでは入らない場所もあるので、コンテナサイズより小回りが利く製品を既に製品化しています。コンテナサイズについても来期以降にコスト競争力を高めた製品を投入してきたいと思います。