- Q1. 2025年3月期から2026年3月期にかけて、ベースシナリオにおける営業利益の変化についてセグメント別に教えてください。
- A1. ブリッジチャート上で実力成長+208億円とお示ししている部分の営業利益の変化となりますが、増加の大きなドライバーは受動部品の回復、センサの増収増益による貢献です。小型二次電池は前提として、販売数量が年間で約4%増加すると見ています。第1四半期における材料価格の上昇や増値税負担増の影響は軽微であると見ており、第2四半期以降もそのような形で進む前提としています。一方、価格圧力が下期に強くなると想定して売価の変動を見込んでおり、結果的に収益性は若干下がると見ています。
- Q2. ベースシナリオを上期/下期に分けるとどのような比率になりますか。下期を中心にリスクを織り込んでいるのでしょうか。
- A2. 上期/下期のバランスは、売上高は概ね半々、営業利益は上期が55%となっています。足元の状況はある程度見えていますが、下期は不透明さが残るということで、特に売価値引きについて下期にある程度偏重して見ています。
- Q3. 関税措置の影響は足元で何か見えていますか。また、中国以外の国々に対しても、関税措置が全面的に発動されなければ、このリスクシナリオには近づかないと理解して良いですか。
- A3. 幸い足元で顕在化しているものはありません。今回お示しした関税リスクは、関税の増加部分が売価に転嫁され、北米において需要が減少するという想定に基づいています。リスクシナリオに織り込んだ営業利益の影響額△450億円のうち、半分弱は二次電池事業の影響というイメージです。
- Q4. 中期経営計画におけるセグメント別の設備投資額が変更されました。背景を教えてください。
- A4. エナジー応用製品は、新技術への対応、特にメタルケースタイプの製品への投資を増やすことに加え、インド拠点への投資により今回増額しました。磁気応用製品が増えているのは、HDDサスペンションのターンアラウンドが完了し、収益性が向上している中で、今後も需要の増加が見込まれるため、増産投資を計画しているからです。HDDヘッドについてもHAMRを見据えた若干の先行投資を計画しています。受動部品は一時的な調整局面にありますが、MLCCは岩手県・北上工場で既に増産投資をしており、その途上にあります。TMRセンサも増産投資を行い、立上げているところです。AIエコシステムの伸びに応じて、受動部品ではMLCCのみならず、インダクティブデバイス、ハイブリッドポリマーコンデンサ、センサにおいてはTMRセンサ、新製品の投入などに対し、中長期的にしっかりと投資していく予定です。
- Q5. AIエコシステムに関する売上高は、2026年3月期ではどの程度の成長を見込んでいますか。
- A5. 前期から今期についてはそれ程大きな伸びではないと考えています。現中期経営計画のみならず次期中期経営計画、またはそれ以降で大きく伸ばしていくという計画です。現有製品のMLCCのみならず受動部品全般、磁気ヘッド及びサスペンション、中型二次電池ではBBU (バッテリ・バックアップ・ユニット)やUPSでの大きな成長を見込んでいますし、あまりアピールしてこなかった半導体製造装置や、新会社を設立したソフトドリブンなビジネスといったところは、今後5~6年で大きく伸ばしていけると思います。
- Q6. 7つのCBU(キャッシュフロー・ビジネス・ユニット)をやめるとのことですが、2026年3月期や中期経営計画の損益に与えるインパクトについて教えてください。
- A6. 全社収益に大きな影響を与えるような規模ではありませんが、本日(4/28)時点で発表できる7つのCBUの事業譲渡等を発表しました。昨年5月のTDK Investor Dayでお話しした通り、事業ポートフォリオマネジメントは、最重要案件として、私自身(齋藤CEO)が先頭に立ってフォローしていくものです。7つ以外の19のCBUは早期のターンアラウンドに向けた施策を実行中という状況です。基本的には事業ポートフォリオの2軸マップの右上(Growing)に持っていく、つまり成長戦略の遂行というのが一丁目一番地です。実行にあたって構造改革費用を積んだりしながら、しっかりと効果を出していきたいと思います。左下(Strategic Restructuring等)に持っていかざるを得ないCBUについては、今期または来期にかけて、結果が出次第、皆さまにアップデートする予定です。
- Q7. 2025年3月期第4四半期の一時費用(158億円)の内訳について教えてください。
- A7. セグメント別の内訳は、受動部品113億円、センサ応用製品6億円、磁気応用製品6億円、エナジー応用製品27億円、その他6億円となっています。
- Q8. 受動部品の第4四半期の利益は、高周波製品の減損損失影響を除いても落ち込みは大きかったのでしょうか。季節性の影響が通常の範囲内だったのかということに加えて、第1四半期に向けて、MLCCのBBレシオや稼働率をどのように見込んでいるのか教えてください。
- A8. 前回の見通しからそれほど変動はありませんでした。固定資産税の計上や、季節性による数量減及び稼働損の発生により大きく落ちているように見えますが、ほぼ想定の範囲内で推移しました。第1四半期に向けて、BBレシオや稼働率は改善していくと見ています。