- Q1. 2024年3月期通期の営業利益予想を前回発表時(4月28日)の1,900億円から1,500億円に下方修正しましたが、修正額△400億円の内訳についてセグメントごとに教えてください。
- A1. 受動部品セグメントと磁気応用製品セグメントの営業利益予想がそれぞれ大きく下振れしたことが主な要因です。内訳は、受動部品6割、磁気応用製品が4割です。センサ応用製品セグメントも若干下振れとなりましたが、この分はエナジー応用製品セグメントの上振れで補っているような状況です。
- Q2. 通期の売上高予想(1兆9,700億円)と営業利益予想(1,500億円)を上期と下期に分けて見るとどのような見通しとなりますか。
- A2. 売上高についてはほぼ半々、営業利益については40%半ば程度が上期、残りが下期と見ています。
- Q3. 磁気応用製品セグメントにおいて、構造改革を実施し下期にブレークイーブンになるよう体制を構築するとの説明がありましたが、今回発表した通期業績予想にはこの前提が織り込まれていますか。
- A3. 構造改革に伴う影響を織り込んでいます。HDDの需要は上期が底になると見ています。これに対するヘッドの出荷も同様に上期が底になると見ており、ここから下期にかけては回復する見込みです。この前提のもとで生産体制のダウンサイジングを行い、下期にブレークイーブンになるよう目指します。
- Q4. HDD関連市場について、数量ベースの変化について見込みを教えてください。
- A4. ヘッドの数量は、第1四半期から第2四半期にかけて20%程度の増加と見込んでいます。上期は想定よりかなり数量が低下したため、下期には上期対比80%程度の増加と見込んでいます。
一方、サスペンションはやや低調となり、第1四半期から第2四半期にかけては10%強の減少、下期は上期対比10%程度の増と見込んでいます。
- Q5. ヘッドの数量が下期にかけて増加する見通しとのことですが、この背景としてHAMR(熱アシスト磁気記録)の技術による効果は見込まれますか。
- A5. 下期においては、HAMRについては見込んでいませんが、MAMR(マイクロ波アシスト磁気記録)の増加をある程度見込んでいます。HAMRについては、来期以降を見据えて引き続き開発投資を続けています。
- Q6. エナジー応用製品セグメントにおいて、小型二次電池の販売はシェア増加等により期初想定を上回る推移との説明がありましたが、このトレンドは今後も継続すると考えていますか。
- A6. ICT市場全体の生産台数見通しについて期初から変化はありませんが、この第1四半期において、ICT市場向けで小型二次電池のシェアが拡大しており、通期においてもこれに伴う数量増加を見込んでいます。第2四半期以降もICT市場向けでシェアの増加につなげられるよう施策を継続していく予定です。小型二次電池においては、技術面で市場をどのようにリードしていくかという点も重要だと考えています。特に高エネルギー密度の製品等を投入していく必要があると考えており、負極材料でシリコンを使用した電池の投入等も行っています。このようなシリコンを使用したエネルギー密度を高めた製品により、電池が長持ちし、薄型の電池設計も可能になります。これによりスマートフォン設計の自由度も高まります。このように、付加価値があり差別化できる製品により、シェアの増加に努めたいと考えています。
- Q7. 中型二次電池の見通しについても教えてください。
- A7. 中型二次電池は、現状でJVへの移管が予定より早く進んでいます。また、家庭用蓄電システム(RESS)の販売が欧米を中心に想定を下回っています。中型二次電池は、当初の見込みで年間約20%販売が減少するとしていましたが、これらの要因を踏まえ40%程度の減少を見込んでいます。単価については、原材料価格がほぼ想定内で推移しており、大きな変更は見込んでおりません。
- Q8. センサ応用製品セグメントについて、ICT市場向けのMEMSモーションセンサやマイクロフォン等の伸びが期初想定を下回るとして、2024年3月期通期の売上高予想を前回発表時(4月28日)から引き下げています。この背景について教えてください。
- A8. MEMSモーションセンサについては、特に中華系スマートフォン市場の低迷、IoT需要の低迷が大きく影響しています。また、当初見込んでいたマイクロフォンの立ち上げが遅れていることも影響しています。
- Q9. 受動部品セグメントにおいて、車載向け製品の在庫調整はいつ解消すると考えていますか。
- A9. 今後数か月程度は在庫調整の期間が続くものの、下期以降に需要が正常な水準に戻ると見ています。なお、OEMでの生産台数低下は見られず、自動車の生産は期初想定通りと考えています。Tier1(一次サプライヤー)等の在庫水準が正常化すれば、売上高も正常な水準に戻るとの考え方です。
- Q10. 受動部品の収益性についてはどのように考えていますか。
- A10. 稼働率が上昇し売上高が回復すれば収益性も回復すると見ています。収益圧迫の要因としては、エネルギー価格や労務費の高騰等が挙げられます。