[ 2023年3月期 第2四半期 決算説明会 ]2023年3月期 上半期連結業績概要
専務執行役員 山西 哲司
山西でございます。本日はご多忙のところ、当社2023年3月期上半期決算説明会に多数ご参加いただき、誠にありがとうございます。それでは私から連結業績概要についてご説明します。
2023年3月期 上半期決算のポイント
まず決算のポイントですが、当上半期において、中国では新型コロナウイルス感染症の感染拡大によるロックダウンからの回復の動きが見られた一方、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う地政学的リスクの高まりにより世界経済の景気減速への懸念が強まりました。主にICT市場での需要に減速が見られましたが、EX関連の需要は引き続き堅調に推移したうえ、急速に進行した円安効果も加わり、売上高は半期ベースで過去最高となる前年同期比25.5%の増収、営業利益は前年同期比47.4%の増益となりました。
自動車市場では、半導体供給不足等サプライチェーン上の制約が継続しているものの、中国をはじめとして全体的に緩やかな回復が見られたうえ、xEV比率の増大やADAS化の進展により部品需要が引き続き堅調に推移した結果、受動部品やセンサの販売が拡大しました。
ICT市場では、コロナ禍で好調を維持してきたノートPCやタブレット端末の需要が大幅な減速となったうえ、データセンター向けの需要も景気減速やサプライチェーン上の在庫調整により急激な減速となった結果、HDDヘッド・サスペンションの販売が大幅に減少しました。スマートフォンの需要は、中国での回復が見られず全体的に低迷していますが、大手得意先の新モデル向けに二次電池やセンサの売上が伸びています。
また、地政学的リスクの高まりによる世界的なエネルギーの供給不安や価格高騰の影響から、家庭用蓄電システムの需要が急速に拡大したこともあり、中型二次電池の販売は引き続き増加しています。再生可能エネルギーや省エネ需要の高まりにより、関連する設備向けの産業機器用電源や受動部品の販売も拡大しています。
世界経済の先行きに対する不透明感が強まるなか、部品需要には急激な変化が生じていますが、事業基盤の拡大によってEX需要を確実に捉えるとともに、特徴ある製品を継続的に提供することでDX需要を捉え売上拡大につなげ、今後も売上高と営業利益の向上を図りたいと考えています。
2023年3月期 上半期連結業績概要
続いて業績概要です。対ドル等の為替変動で売上高は約1,641億円の増収、営業利益で約369億円の増益影響を含み、売上高は1兆1,220億円、前年同期比2,278億円、25.5%の増収、営業利益は1,203億円、前年同期比387億円、47.4%の増益、税引前利益は1,199億円、当期利益は870億円、1株当たり利益は229円39銭となりました。
為替の感応度は、対ドルに対する急速な円安、ユーロ安や収益構成の変化もあり、営業利益で円とドルの関係において1円の変動で年間約20億円、円とユーロの関係において約6億円となっています。
上半期各事業の状況(受動部品事業)
上半期のセグメント別の状況についてご説明します。
受動部品セグメントの売上高は2,943億円、前年同期比17.8%の増収となりました。自動車市場、特にxEVやADAS向けに部品需要が引き続き堅調に推移したうえ、産業機器市場向け需要も再生可能エネルギー向けや生産設備向けの需要が堅調に推移しました。一方、ICT市場においてはスマートフォン需要が減少しました。この結果、スマートフォン向けの売上構成比が高い高周波部品以外の事業については増収増益となりました。特にMLCCはフル生産が継続しているうえ、製品ミックスの好転もあり、収益性が大きく向上しています。
上半期各事業の状況(センサ応用製品事業)
センサ応用製品セグメントの売上高は849億円、前年同期比42.7%の大幅増収、営業利益は増収効果により赤字だった前期より収益が大きく改善し、71億円の黒字と大幅増益となりました。
ロシア・ウクライナ問題に伴う自動車用部品のサプライチェーン制約により、主に欧州の自動車向けで受注減となった影響を受け、温度・圧力センサは減収減益となりました。一方、磁気センサのホールセンサは、自動車向けに加え、スマートフォン向けでも販売が拡大しました。TMRセンサは、自動車向け売上が堅調に推移したうえ、スマートフォン向けに採用が拡大したこともあり、売上が大幅に拡大しました。磁気センサは全体で大幅な増益となっています。
MEMSセンサは、需要が低調なICT市場においても売上が拡大したうえ、自動車市場やゲーム機向け、ドローン等の産業機器向けでも顧客基盤及びアプリケーション拡大によって増収となりました。若干の赤字は残るものの、収益の改善が進みました。
上半期各事業の状況(磁気応用製品事業)
磁気応用製品セグメントの売上高は1,098億円、前年同期比12.8%減収、営業損益は25億円の赤字となりました。
HDDヘッド・サスペンションにおいては、PC向けHDD需要がさらに減少する一方、ニアライン用HDD需要は第2四半期以降回復していくと見込んでいましたが、景気減速等の影響もあり、データセンター投資の減少やHDD在庫調整が急激に進みました。この結果、ニアライン用HDDヘッドの上半期の販売数量は前回の見通しから約13%の減少、HDDサスペンションにおいても約18%の減少となり、大幅な減収減益となりました。
マグネットはxEV向けの販売が増加し増収となりました。赤字が継続しているものの、為替影響を除く実質ベースでは収益が改善しました。
上半期各事業の状況(エナジー応用製品事業)
エナジー応用製品セグメントの売上高は6,024億円、前年同期比38.5%の増収、営業利益は809億円、前年同期比40.1%の増益となりました。
二次電池においては、スマートフォン、タブレットやノートPCなどモバイル用途向けの販売数量が減少しましたが、小型二次電池の売上は製品ミックスの良化もあり増収を確保しました。家庭用蓄電システム向けを中心とした中型二次電池の売上も順調に拡大し、為替影響やサーチャージを除く実質ベースでも前年の水準を上回りました。営業利益は小型二次電池の数量減少による減益影響があるものの、販売管理費も含めたコスト全体の効率化や、中型二次電池の収益改善により、為替影響を除く実質ベースで増益を確保しました。
産業機器用電源は、半導体製造装置等の産業機器向け需要が引き続き堅調に推移し、増収増益となりました。
営業利益増減分析
営業利益387億円増益の増減分析をご説明します。円安為替変動による増益369億円を除くと18億円の増益となります。主にHDDヘッド・サスペンションの販売数量減少や売価値引きの影響により合計53億円の減益影響があったものの、二次電池や受動部品を中心とした合理化コストダウン、また前期第4四半期に実施した構造改革の効果により、減益影響を吸収しています。販売管理費は前年同期比で30億円増加していますが、CATLに対するライセンス料約41億円が前期第1四半期には計上されていなかったことを考慮すると、実質的に販売管理費も減少となり、営業利益の増加に寄与しています。需要環境が不透明な状況のなか、経営効率を高め収益を向上させるよう努めています。
2023年3月期 第2四半期連結業績概要
第2四半期の連結業績概要についてご説明します。
売上高は6,115億円、前年同期比29.0%の増収、営業利益は757億円、前年同期比50.5%の増益、税引前利益は760億円、当期利益は555億円となり、全ての項目において四半期ベースで過去最高を更新しました。
セグメント別四半期実績
当期第1四半期から第2四半期のセグメント別売上高及び営業利益の増減要因についてご説明します。
まず、受動部品セグメントの売上高は、第1四半期から110億円、7.8%の増収、営業利益は50億円、20.3%の増益となりました。自動車、産業機器市場向けを中心に全市場向けに販売が増加し、全事業とも増収増益で推移しました。
センサ応用製品セグメントの売上高は、69億円、17.7%の増収、営業利益は16億円、56.7%の増益となりました。温度・圧力センサは、自動車向け需要が中国を中心に回復した結果、増収増益を確保しました。磁気センサは、TMRセンサとホールセンサともに、大手得意先の新モデルが第2四半期に大幅に増加するという季節要因もあり増収となりました。営業利益は、TMRセンサで新モデル立ち上げに関わる一時費用が含まれるなかでも増益となっています。MEMSセンサは、モーションセンサが中国スマートフォン向けの販売において減少したものの、マイクロフォンの販売増加により売上高はほぼ横ばい、営業利益は付加価値が高い製品の販売増加もあり赤字が縮小しました。
磁気応用製品セグメントの売上高は、4億円、0.8%の減収、営業利益は11億円の減益となりました。売上高は、HDDヘッドの販売においてニアライン用HDD向けの需要回復を見込み、ヘッド全体で約40%の数量増加と前回予想しましたが、急激な需要減速により約8%の増加にとどまりました。HDDの組立販売も減少し、ヘッド全体では第1四半期から微増にとどまりました。HDDサスペンションもヘッドと同様に主要顧客向け需要が急減し、全体では減収減益となりました。磁石はxEV向け販売が増加し増収となっています。
エナジー応用製品セグメントの売上高は、822億円、31.6%の増収、営業利益は262億円、約1.9倍の増益となりました。二次電池はICT向け小型電池の販売数量が中国スマートフォン向けで第1四半期並みにとどまる一方、大手得意先の新モデル向けに販売が増加しました。また、家庭用蓄電システム向けを中心に中型二次電池の売上が増加し、全体で大幅な増収となりました。営業利益は、サーチャージを進め価格高騰の影響を吸収したことに加え、コスト改善も進め大幅増益となりました。産業用電源も増収により増益となり、収益性も大幅に向上しました。
私からの説明は以上です。