[ 2022年3月期 第1四半期 決算説明会 ]2022年3月期 第1四半期連結業績概要
2022年3月期 通期見通しについて
専務執行役員 山西 哲司
山西でございます。本日はご多忙のところ、当社2022年3月期第1四半期決算説明会に多数ご参加いただき、誠にありがとうございます。それでは私から連結業績概要についてご説明します。
2022年3月期 第1四半期決算のポイント
まず決算のポイントです。2021年3月期第1四半期は新型コロナウイルス感染症の感染拡大により各国でロックダウンが発生、世界経済が大きく減速し当社の業績にも大きな影響を及ぼしました。しかし、同第2四半期以降各国の社会経済活動や生産活動が徐々に再開されたことに伴い、エレクトロニクス需要の回復基調が継続、特にDX(デジタルトランスフォーメーション)やEX(エネルギートランスフォーメーション)関連の需要が堅調に推移したことにより、2022年3月期第1四半期の売上高は前年同期比35.8%の増収、営業利益は前年同期比67.4%の増益となりました。
2021年3月期第4四半期にかけて旺盛な受注が続いた自動車市場向け需要は、半導体供給不足の影響等が見られたものの、xEV等電装化の加速によって部品搭載点数の増加傾向が強まり、受注は引き続き堅調に推移しました。この結果、受動部品やセンサの販売が拡大しました。
ICT市場向けでは、半導体供給不足やアジア地域の一部の国で新型コロナウイルス感染症再拡大によるロックダウン等が発生したことでスマートフォンの生産が期初想定水準を下回って推移したものの、PCやタブレットの需要は引き続き高水準を維持しました。また、データセンター向け投資の回復によりサーバー需要が拡大しました。この結果、二次電池、センサ、およびHDDヘッドの販売が拡大しました。
産業機器市場でも生産活動の回復に伴い企業の設備投資の拡大基調が続き、産業機器用電源や受動部品の販売が拡大しました。
2022年3月期 第1四半期連結業績概要
次に業績概要です。対ドル等の為替変動により売上高において約214億円の増収、営業利益において約17億円の減益影響がありました。それらを含み、売上高は4,201億円、前年同期比1,107億円、35.8%の増収、営業利益は308億円、前年同期比124億円、67.4%の増益、税引前利益は322億円、当期純利益は267億円、1株当たり利益は211円9銭となりました。
為替の感応度は、営業利益で円とドルの関係において1円の変動で前回と同様年間約12億円、円とユーロの関係において約2億円と試算しています。
第1四半期各事業の状況(受動部品事業)
続いて、第1四半期のセグメント別の状況についてご説明します。
受動部品セグメントの売上高は1,212億円、前年同期比43.6%の増収となりました。自動車市場の需要が引き続き高水準で推移、産業機器市場向け需要も再生可能エネルギー向けや生産設備向け需要が好調に推移しました。また、ICT市場における需要は前期大幅に増加した基地局向け需要が減少したものの、5G関連需要が堅調に推移しました。この結果、すべての市場と事業で増収となりました。営業利益は180億円、前年同期比2.3倍の増益、営業利益率も14.9%となり収益性が大きく向上しました。
事業別では、高周波部品を除く事業で増収増益となりましたが、高周波部品においては新製品開発費用等の増加により若干の減益となりました。
第1四半期各事業の状況(センサ応用製品事業)
センサ応用製品セグメントは、四半期ベースで最高売上となった前期第4四半期から今期第1四半期はさらに売上が大きく増加し、売上高は268億円、前年同期比82.3%の増収、増収効果により前期から赤字が大きく縮小しました。
TMRセンサはICT市場向けの採用拡大等により、収益が大幅に拡大しました。またMEMSセンサは顧客基盤の拡大やアプリケーションの拡大の成果が着実に実績に現れてきており、モーションセンサ、マイクロフォンの販売が大幅に増加、収益改善も進み赤字が大きく縮小しました。これに加え、自動車市場向けの需要回復を背景に温度・圧力センサやホールセンサ等のコンベンショナル製品の販売が大幅に増加したことにより、収益も大きく改善しました。前期第4四半期に実施した構造改革効果等もあり、収益性の改善が進みました。
第1四半期各事業の状況(磁気応用製品事業)
磁気応用製品セグメントの売上高は606億円、前年同期比58.2%増収、営業利益は黒字に転換しています。
HDDヘッドにおいては、データセンター向け投資の回復によりサーバー需要が拡大基調にあり、ニアライン用HDDヘッドの販売数量は前期比で2倍、当期第1四半期想定数量に対しても約17%の増加となりました。また、前期第1四半期に発生した主要顧客の工場閉鎖で販売数量が大幅に減少した影響もなくなり、大幅な増収増益となりました。
HDDサスペンションにおいても、主要顧客のデータセンター向けニアライン用HDDが好調に推移したことにより、増収増益を確保しました。
マグネットは自動車市場向け販売が大きく回復、産業機器市場向け販売も増加し増収となり、赤字も縮小しました。
第1四半期各事業の状況(エナジー応用製品事業)
エナジー応用製品セグメントの売上高は1,996億円、営業利益は234億円となり、前年同期比27.2%の増収、25.2%の減益となりました。
二次電池においてはスマートフォン、タブレットやノートPCなどモバイル用途製品の販売が引き続き堅調に推移し、ミニセル製品や、電動二輪車および家庭用蓄電システム向け等パワーセル製品の販売も順調に拡大しました。営業利益については、販売数量増加による利益増があったものの、パワーセル製品への先行投資に係る費用の増加に加え、コバルト等原材料価格の高騰により減益となりました。
産業機器用電源は、半導体製造装置等産業機器市場向け需要の回復により増収増益を確保しました。
セグメント別四半期実績
続いて、前期第4四半期から今期第1四半期のセグメント別売上高と営業利益の増減要因についてご説明します。
まず受動部品セグメントの売上高は前期第4四半期から73億円、6.4%の増収、営業利益は第4四半期の一時発生費用37億円を除くと48億円、約36%の増益となりました。売上高については自動車、ICT、産業機器市場向け、さらに代理店向けも含め、全市場向けに販売が増加、全事業とも増収となり、営業利益も好調に推移しました。
センサ応用製品セグメントの売上高は29億円、12.1%の増収、営業利益は第4四半期の一時発生費用41億円を除くと24億円の赤字改善となりました。自動車市場向け需要が堅調で、温度・圧力センサ、ホールセンサの売上が増加、TMRセンサはスマートフォン向けに販売数量増加、またMEMSセンサはモーションセンサが中国スマートフォン向けやゲーム機向け等で増加しました。営業利益については、収益性の良いTMRセンサが収益を大きく拡大、モーションセンサの収益性が顧客ミックスや製品ミックスの好転により大きく改善し、全体の赤字縮小に大きく貢献しました。
磁気応用製品セグメントの売上高は60億円、11.0%の増収、営業利益は第4四半期の一時発生費用50億円を除くと19億円の増益となりました。売上高については、第4四半期からHDDヘッドの販売数量が約17%増加、HDD組立販売も増加し増収となりました。HDDサスペンションはニアライン用HDD向け販売数量増加の一方、スマートフォン向け応用製品の減少により、ほぼ横ばいで推移しました。マグネットは若干増収となりました。営業利益については、HDDヘッドが販売数量増加で大きく収益を改善した一方、マグネットは原材料が値上りした影響等により赤字が若干増加しました。
エナジー応用製品セグメントの売上高は123億円、6.6%の増収、営業利益は16億円、6.4%の減益となりました。二次電池は為替影響による売上増加や、原材料価格高騰の売価転嫁による売上増加の影響を除くと、スマートフォン生産台数の減少等により実質数量ベースでは減収となりました。一方、産業機器用電源は需要増加で増収となりました。営業利益は二次電池が数量減少で操業度が悪化したこともあり減収減益となったことに加え、材料の値上がり影響が残留しており減益となりました。産業用電源は若干増益となりました。
営業利益増減分析
続いて、営業利益124億円増益の増減分析です。受動部品をはじめ全セグメントで売上数量増加となり、材料価格高騰の影響があったものの325億円の増益効果となりました。売価値引きにより70億円の減益となった一方、合理化コストダウンと前期第4四半期に実施した構造改革による効果により、24億円の増益となりました。また、主に二次電池の事業拡大に伴う販売管理費増加やパワーセル開発加速による開発費増加により、販売管理費が138億円増加しました。為替変動による減益17億円を含み、全体で124億円の増益となりました。
第2四半期の売上高増減イメージ
次に、今期第2四半期の売上高増減イメージをご説明します。
自動車市場向けの売上は、自動車生産台数が第1四半期から増加することを前提に、引き続き堅調に推移することを見込んでいます。ICT市場向けについては、半導体供給不足の影響が残るものの新製品の立ち上がりも見込まれ、スマートフォン生産台数が第1四半期から増加、さらにPC、タブレット需要が引き続き堅調に推移することを前提に、売上が大きく増加すると見込んでいます。産業機器市場向け需要も堅調に推移すると見込んでいます。
以上の主要市場の需要動向を踏まえ、第1四半期と第2四半期の為替レート差による影響を除くベースで各セグメントの売上高増減を見ると、受動部品セグメント全体で±0~+3%の増加で推移すると見込んでいます。自動車市場向け売上が堅調に推移、スマートフォン向け売上はスマートフォン生産台数増加に伴い大きく増加、産業機器市場向けと代理店向け販売が若干減少すると見ています。
センサ応用製品セグメントは、自動車市場向け売上は堅調に推移、スマートフォン向け売上はTMRセンサが採用機種の拡大と新製品の立ち上げによって大きく増加していくことを見込み、+11~+14%の増加としています。
磁気応用製品セグメントは、HDDヘッドにおいてデータセンター向け需要が好調に推移し、ニアライン用HDDヘッドやHDDサスペンションが好調に推移することを見込んでいます。またマグネットについても自動車需要増加に伴い売上増加を見込み、±0~+3%の増加を想定しています。
エナジー応用製品セグメントは、スマートフォン向け需要の増加に加え、PC、タブレット需要が堅調に推移、パワーセル製品もさらに拡大していくことを見込み、+28%~+31%の増加を想定しています。
以上を踏まえ、第2四半期の売上は、全体で第1四半期から+14%~+17%の増加を見込んでいます。
2022年3月期 連結業績及び配当金見通し
最後に通期の連結業績予想についてご説明しますが、4月に発表した通期見通しから変更ありません。
第1四半期においてはスマートフォン生産台数が期初想定を下回り、また原材料価格高騰の影響が残り、二次電池の収益が期初想定水準を大きく下回った一方、受動部品、センサ応用製品、磁気応用製品が全社収益基盤を下支えする形で着地しました。通期の需要動向を見ますと、自動車市場や産業機器市場向け需要は引き続き堅調に推移、またスマートフォン向け需要も年後半に向かって徐々に回復することが見込まれます。受動部品、センサ応用製品、磁気応用製品は第1四半期に引き続き第2四半期以降も期初を上回る水準の売上、収益が期待され、原材料価格高騰影響が残る二次電池を下支えする形で推移すると見込んでいます。しかしながら半導体供給不足影響や新型コロナウイルス感染拡大影響、また原材料価格動向において今後も不透明な状況が続くと見ており、今回は期初に発表した通期見通しを据え置きます。
第2四半期以降の為替レート、設備投資、減価償却費、および研究開発費についても変更ありません。
なお、本日の当社取締役会において2021年10月1日を効力発行日として当社普通株式1株を3株に分割することを決議しました。株式分割に伴い、中間配当予想は1株当たり95円で変更ありませんが、期末配当予想は分割後1株当たり32円に変更します。分割前で換算すると年間配当予想は1株当たり191円となり、期初発表予想から1円の増配となります。私からの説明は以上です。どうもありがとうございました。