[ 2014年3月期 通期 決算説明会 ]2015年3月期 連結業績見通しについて
代表取締役社長 上釜 健宏
上釜でございます。私のほうから2015年3月期連結業績見通しについてご説明申し上げます。
2015年3月期 連結業績予想及び配当金見通し
まず、連結業績予想及び配当金見通しについてご説明申し上げます。売上高は1兆500億円、前年比6.7%増、営業利益は570億円、前年比55.7%増となり、増収増益を計画しております。継続事業税前利益560億円、当期純利益340億円、一株当たりの利益270円24銭、配当金は上期40円、下期も40円、年間80円の見通しでございます。今期の為替は、対ドルに対しまして100円、対ユーロに対しまして135円を想定しております。
2015年3月期 通期連結売上高増減イメージ
2015年3月期通期連結売上高の増減のイメージについてご説明申し上げます。受動部品事業ですが、前期の4,717億円から10%~15%の増収を計画しております。主にICT市場向けの製品、特に高周波部品の増加や、引き続き自動車市場向けの部品が拡大する見込みでございます。磁気応用製品事業は、前期の3,643億円から、マイナス5%~0%の減収を計画しております。HDD市場が成熟化していることが主な要因です。フィルム応用製品事業は、前期の1,293億円から20%~25%増と大きな成長を見込んでおります。二次電池が需要の拡大に加え、当社が得意とする薄型化、高容量化、大型化のニーズが拡大することにより、引き続き順調に成長するだろうと見ております。結果として、売上高1兆500億円、前期比6.7%増を見込み、創業以来初めて売上高が1兆円を超える計画です。
重点3市場と重点5事業
次に当社の重点分野について説明をさせていただきます。当社としては、自動車、ICT、産業機器・エネルギーの3分野を重点市場として位置付けております。営業体制も4月1日から分野別の組織に組み替え、各分野に対する戦略を迅速に達成する体制を構築しました。また、その重点3分野に対して、注力する事業として、インダクティブデバイス事業、高周波部品事業、圧電材料部品事業、HDDヘッド事業、二次電池事業の5事業を、重点5事業として位置付けました。この5事業を成長柱事業と捉え、今後経営資源を集中してまいりたいと考えております。
自動車市場
自動車分野についてご説明申し上げます。現在、全売上高に占める自動車市場向け売上高比率は前期の2014年3月期は約17%となっていますが、2015年3月期以降早期に20%を目指してまいります。当社は、コンデンサやインダクティブデバイス等において、既に自動車用パワートレイン系の電子部品は高いシェアを持っておりますが、今後自動車のさらなる電装化の進展やHEVやEV等の環境自動車の拡大によりさらに需要が増加すると見られております。パワートレイン系の電子部品をさらに強化してまいります。
センサも今後拡大が期待できます。既に当社は、センサ事業の総売上の約半分が自動車市場向けの販売となっておりますが、今後、TPサーミスタを使った温度センサや電流センサ等の重要性は自動車においてさらに増してきますので、センサは着実に伸びていくだろうと考えております。また、当社は、他の電子部品企業は持っていないHDDヘッド事業において培った高度なTMR技術を保有しております。この技術を横展開して開発したTMRセンサが今後出てきます。これは主に角度センサとして使います。TMRセンサは、中長期的にかなり成長する製品と期待しています。
これらの受動部品に加えて、電子部品業界の競合他社として比較して、当社が自動車市場向けの製品として保有している特徴のある製品は、電源、マグネット、EV用二次電池がございます。電源は、DC-DCコンバータやバッテリーチャージャに注力して拡販したいと考えています。特にDC-DCコンバータは、当社独自の高放熱基盤と新しい材料を使用した高性能フェライトを使った変換効率の高い電源が完成しました。効率が向上した上、かなりの小型化を実現しています。将来的には手のひらサイズのもが出来てくると考えております。
マグネットについては、当社は金属マグネットとフェライトマグネットを保有しておりますが、自動車で様々な部分で使用されています。今後新材料、新工法を使った特性の高い新製品で拡販を図ります。
それから中長期的な成長ポテンシャルとしてはEV用の電池や、磁界共鳴方式を使った非接触給電がございます。EV用電池は、既に一部量産が始まっており、現在はスマートフォンやタブレット端末向けの売上が多いですが、中長期では自動車向けの販売も増加させていきたいと考えております。
ICT市場
次にICT市場についてご説明申し上げます。ICT市場は、スマートフォンやタブレット端末を中心に様々な製品が伸びてくると思いますが、ICT分野に対しても当社は様々な製品で対応をしてまいります。まず、カメラモジュール用のアクチュエータになります。カメラモジュールの高機能化に伴い、需要が伸びています。今後、クロズドループVCM、OIS(手振れ防止のアークチェータ)等、高付加価値な製品を拡販していきたいと考えております。端末の多機能化により高い電池容量が求められる中、端末の薄型化も進んでいることにより、二次電池(リチウムポリマー電池)の需要が拡大しています。当社の二次電池は、大型化においても優位性を持っており、今後もこの事業は、着実な成長を見込めると考えております。また、LTE市場の拡大、マルチバンド化等により、高周波部品の需要は引き続き拡大が見込まれています。今後、単品ではSAW、BAW、TC-SAW等の拡販に注力していきたいと考えております。特に中国市場では、TD-LTEが拡大しており、TC-SAWとBAWを伸ばせる見込みです。足元でも引き合いがかなり入ってきております。韓国市場も、ダイバーシティモジュール、それから単品のTC-SAWやBAWの受注が増えてきております。北米市場につきましては、PAメーカー様経由のSAWビジネスの拡大に加えて、新規にダイバーシティモジュールも増えてくる見込みです。受注の獲得に伴い、増産もしておりますが、収益改善も同時に実施していかなければなりませんので、生産性の改善や原価低減にも取り組んでおります。ウェハーサイズを大きくすることや、小型パッケージ製品を今後投入してまいります。また、当社の薄膜技術を活用した薄膜電子部品も拡販していきます。
産業機器・エネルギー市場
次に、産機エネルギー市場への取り組みについて説明させていただきます。今後この分野においては、定置型の二次電池、インバータ用パワー部品や双方向DCDCコンバータ、風力発電に使われる金属磁石を主に拡販していきたいと考えております。
重点分野別の売上成長見通し
次に重点分野別の売上成長見通しについてご説明いたします。今期2015年3月期の売上は先程説明させていただきました通り、前期に比べて7%伸ばす計画ですが、分野別で言いますと、産機エネルギー分野で6%、ICT分野で8%、自動車分野で10%の伸びをそれぞれ想定しております。ただし、ICT分野の中には、安定収益事業であるHDDヘッドが含まれておりますので、高周波部品だけを取りますと20%強の伸びを見込んでおります。
重点5事業の施策
次に、冒頭に重点5事業について触れましたが、今期具体的な取り組みついて概要を説明させていただきます。まず、インダクティブデバイスは、車載向けの積層製品や巻線製品、特に積層の方を拡販します。メタルコイルについても、薄膜、巻線、積層のフルラインアップで拡販します。コスト的にも市場で対抗できるものが出来上がったと確信しております。
高周波部品につきましては、LTE市場拡大の中で、SAW、TC-SAWやBAW等の単品製品の特性改善及び小型化による拡販を図ります。実績が出ているICリファレンスデザインの承認数をさらに増加させる取り組みも強化します。圧電材料部品は、先ほども申し上げましたが、カメラモジュール用のアクチュエータを拡販します。圧電製品は自動車市場向けの製品も堅調に推移する見込みです。HDDヘッドはニアライン向けHDDヘッドのシェア拡大を図ります。また、熱アシストヘッド、シングルライトヘッド、TDMRヘッド等新しい技術を使ったヘッドの開発と拡販を図ることで、安定事業として引き続き高収益性を維持してまいります。二次電池につきましては、リチウムポリマー電池の旺盛な需要に的確に対応をし、成長を維持します。また中長期を見据えた、スマートフォンやタブレット等ICT分野以外の市場に対する新しい電池の開発を並行して進めてまいります。
課題事業の対策
次に、課題事業の対策について説明をさせていただきます。磁石事業、それから電源事業でございます。磁石につきましてはフェライト磁石の中国拠点の集約を前期実施しました。また、生産一貫ラインも構築いたしましたので生産性もかなり改善効果が期待できると思っております。車載用の磁石の受注と白物家電の受注を拡大させていきます。金属磁石については、高品質高性能が要求される車載分野や産機エネルギー分野の重点化を図っていきます。
電源につきましては、現在、半導体市場や産業機器市場等で設備投資が回復してきています。それを受けた形で受注が今かなり増加してきています。加えて、新製品導入によって、プロダクトミックスを改善し収益性を向上させていきます。また車載用のDC-DCコンバータの小型効率化品のシェアを拡大してまいります。
こういった取り組みによってこの課題事業の収益性を早期に改善していきたいと考えております。
3セグメントの営業利益推移
ここでお伝えしたいことは、2013年3月期と比較して、今期2015年3月期は、全体の収益構造が改善し、よりバランス化した事業ポートフォリオになるということです。
スライドのグラフの通り、2013年3月期は、磁気応用製品事業の利益が飛びぬけていたわけですが、2014年3月期には、受動部品事業が黒字転換しました。そして、2015年3月期は、磁気応用製品事業の利益が安定的に推移する中で、受動部品事業の利益が倍増するとともに、フィルム応用製品事業の利益がさらに成長します。これによって、主要3セグメントの利益がバランスしてくる期になると思っております。利益率、利益額そのものはまだ満足はしておりませんが、まずは今期、事業ポートフォリオの利益バランスを最適化したいと考えています。そして、来期以降さらなる利益成長を目指していきます。
注力開発製品- MRセンサ
最後に開発製品について少しご説明させていただきます。当社は様々な製品を開発しておりますが、少し面白いものを2つ紹介させていただきます。まず一つ目は、当社の主力事業であるHDDヘッドのGMR及びTMR技術を活用した磁気センサです。カメラ用のGMRエンコーダ、先程も少し触れましたTMR角度センサ、これはアナログ、デジタル、両方あります。それからTMRを使いましたギアトゥセンサや資料には載っておりませんがTMRのリニアスケールなどもございます。一部量産を開始しているものもございます。こういう形でHDDヘッドの技術を持った当社ならではの特徴のある製品の開発に注力していきたいと考えています。
注力開発製品- IC内蔵基板SESUB
もう一つはIC内蔵基板SESUBをご紹介します。今足元でウェアラブルのヘルスケア市場向けにかなり引き合いが来ております。ウェアラブル端末は部品もかなり小型化しなければならないのは当然ですが、当社のSESUBを使ったBluetoothモジュールは10円玉1個にモジュールが12個乗るというサイズでございます。これは薄くてウェアラブルに非常に使いやすいということです。今年の2月から量産がスタートしています。こういった誰もが簡単には作れない差別化されたものを次々に拡販していきたいと考えております。以上です。