[ 2010年3月期 第3四半期 連結決算説明会 ]2010年3月期 第3四半期 連結業績概要及び2010年3月期連結業績見通し
取締役 専務執行役員 江南 清司
こんにちは。江南でございます。よろしくお願い申し上げます。本日はご多忙の中、かつ寒さ厳しい中、多数お集まりいただきましてありがとうございます。早速ですが、画面に従いまして2010年3月期第3四半期の決算説明をさせていただきます。
2010年3月期第3四半期連結業績概要
2010年3月期第3四半期(10〜12月)の連結業績概要です。前年第3四半期比較となります。売上高は2,116億6,200万円、前年同期比198億8,300万円、10.4%の増収。営業利益は120億9,300万円で、172億200万円の増益。税引前利益は98億7,900万円で、250億800万円の増益。税後四半期純利益は88億2,600万円で、231億4,300万円の増益。お陰様で増収増益決算となりました。この間の為替の動きですが、対ドルは89円70銭で前年同期比6.9%の円高。対ユーロは132円70銭、4.4%の円安で推移しました。その結果、為替影響は売上高で約115億円の減収、営業利益で37億円の減益となりました。
従来、円とドルの関係について、1円の円高で売上高や営業利益にどれほどの影響が及ぶのかという話をしてきましたが、ヨーロッパを拠点に置くエプコスを買収したことで、ユーロの影響に関心があろうかと思います。エプコスの試算によりますと、前年第3四半期と当年第3四半期比較で、ユーロは対ドルに対して1.32から1.48へ、12.1%のユーロ高となっています。その結果、今回のエプコスの決算規模を前提にすると、その影響額は、売上高で44億円、営業利益で8億円の減収・減益要因になっています。先ほどお話しした為替の影響の中には、これらが含まれています。
リーマンブラザーズ証券の破綻を契機に、昨年度は、10月よりは11月、11月よりは12月、12月よりさらに1月、2月と、急速かつ大幅な需要減に見舞われましたが、各国政府の支援策の実行とその継続により、本格回復に至っているとは言えないまでも、お陰様で回復傾向が維持・継続して、当第3四半期の売上高は10.4%、199億円の増収となりました。営業利益も、前年第4四半期に非常に大きな構造改革をやらせていただいた結果、黒字転換し、売上高の増分にほぼ近い営業利益の増益で、172億円を確保することができました。
当期第3四半期の特徴として、急落したセット製品の生産数の回復傾向は第3四半期も継続し、ノートPC、薄型テレビ、携帯電話などの主要製品は、急落した前年同期を上回っています。加えて、当期第2四半期と比較しても、同等レベルの水準を確保しています。TDKグループもエレクトロニクス産業の影響を受け、受動部品の出荷数量が前年第3四半期を上回り、当第2四半期と同水準を維持することができました。HDD用ヘッドは需要が旺盛で、出荷数量は前年第3四半期より多かったのはもちろん、当期第2四半期よりもさらに数量を伸ばしています。
連結業績 補足
連結業績の補足として、「従来TDK」「エプコス」「エプコス買収に伴うのれん償却」に区分しています。エプコスもようやく、営業利益、当期純利益ともに黒字を計上することができました。当第3四半期は、買収に伴うのれんの償却費用として19億円を計上しています。
売上高・営業利益の前年同期比較
製品別売上高を前年第3四半期と比較しています。「従来TDK」の売上高は1,687億円、前年同期比8.2%、128億円の増収となりました。営業利益は130億円で151億円の増益。先ほどの為替マイナス要因を吸収しての増益です。記録デバイス、HDD用ヘッドの伸びが著しく、逆に、昨年は電池特需がありましたが、それがなくなったことで、「その他」は減少しています。
エプコスの第3四半期の売上高は429億円。当第2四半期と比べて特別増えたわけではありませんが、前年同期比19.7%、71億円の増収。営業利益は10億円で、前年同期比40億円の増益となっています。これは、それだけ前年第3四半期の落ち込みが大きかったということです。エプコスが扱っているセラミックコンポーネンツやSAWを始めとする事業領域すべてにおいて、回復基調にあります。これに、のれん償却費用の19億円が加わります。前年第3四半期は、買収して統合したばかりで、のれん償却には至りませんでした。
次にセグメント別の「当期売上高」、前年第3四半期比較の「増減額」と「伸び率」、全社に占める「構成割合」、セグメントを構成する製品区分ごとに「伸び率」と「構成割合」を報告します。エプコスの売上高429億円は、「その他」のセグメントに含めてのご報告になります。
電子材料製品は、売上高347億円で、前年同期比26億円、8%の増収。全社に占める構成割合は16%。電子材料を構成するコンデンサは10%の増収、フェライト及びマグネットは5%の増収。構成割合は、コンデンサが64%、フェライト及びマグネットが36%です。電子デバイス製品は、売上高397億円で、前年同期比12億円、3%の増収。全社に占める構成割合は19%。電子デバイスを構成するインダクティブデバイスは9%の増収、高周波部品は横ばい、パワー、センサアクチュエータからなるその他はマイナス2%。構成割合は、インダクティブデバイスが49%、高周波部品が5%、その他が46%です。記録デバイス製品は、売上高739億円で、前年同期比152億円、26%の増収。全社に占める構成割合は35%。記録デバイスを構成するHDD用ヘッドは26%の増収、その他の応用ヘッドが29%の増収。構成割合はHDD用ヘッドが90%、その他10%。その他の製品で「従来TDK」に相当する売上高が208億円、前年同期比63億円、23%の減収になっています。これは先ほど言ったように、昨年の電池特需によるマイナスです。エプコスは、売上高429億円、前年同期比71億円、20%増収。両方合わせたその他のセグメントで、全体の30%を占めています。
連結損益計算書
次に、第3四半期の連結損益計算書です。今までの説明でご理解いただいていると思いますが、2008年10月からエプコスを連結対象にしているので、この第3四半期からは、エプコスを含めての比較となっています。売上高原価率は80.5%から74.7%へ、5.8%改善しています。今年度から発生しているのれん償却費用のうち、売上原価に組み込まれている分が11億円。これを調整すると、実質的には6.3%改善が進んでいます。「従来TDK」のみでは、売上原価率が78.1%から72.2%へ、5.9ポイント改善しています。したがって、全体とほぼ同じですから、エプコスの売上高原価率もほぼ同じ程度、あるいはそれ以上に改善が進んでいることになります。しかしながら、「従来TDK」と比べるとエプコスの売上高原価率は高いため、シナジー効果を追究する中で、この原価率をさらに改善しなければいけないという認識に立っています。
販売費及び一般管理費は、別掲されているリストラクチャリング費用も含めてP/Lを見ていただくと、表面的には11億円減少して2.7%の改善になっています。ただ、異常費用を調整すると、前年第3四半期は別掲のリストラクチャリング費用36億円を含めて、構造改革費用が43億円。それに対して、当第3四半期は構造改革費用が20億円。それから、のれん償却費用のうち8億円が販管費に含まれているので、両方合わせて28億円。これらを除くと販売管理費は実質4億円ほど増えると考えています。営業外損益は78億円良くなっています。これは、有価証券評価損が前年に比べて42億円良くなっていることと、先期は為替差損が大きかったのが、今期は為替差益に移って52億円良くなっていることが主因です。
営業利益増減分析(前年同期比)
営業利益172億円増益の増減分析です。今回から、エプコス分を含めた増減分析になります。操業度、品種構成を含めた売上高による利益増が214億円、合理化・コストダウン・原材料値引きで158億円のプラス要因。販売費及び一般管理費が9億円良くなっていますが、先期に比べると構造改革費用が23億円減っている中での9億円の販売費の減。これらがプラス要因です。これに対して、円高で36億円マイナス。売価値引きが154億円。のれん償却が発生して19億円のマイナス。これらをプラスマイナスすると172億円の増益になります。第1四半期、第2四半期は操業度が大きなマイナス要因でしたが、第3四半期はプラス要因になっています。また、第1四半期、第2四半期から比べると、値引き要求が大きくなっています。構造改革費用は、前年第3四半期が43億円、今年度は20億円です。
連結貸借対照表(資産の部)
次に連結貸借対照表。今期9月末との比較です。総資産が1兆889億円から1兆1,085億円へ、196億円増加しています。12月期末日為替レートは、ドルが92円10銭、ユーロが132円。ドルは1円89銭、ユーロは28銭、ともに円安に動き、外貨資産が121億円増加しています。その増分を含んでの総資産の増加になります。
この中で、現金及び現金同等物が46億円増えています。第3四半期利益88億円をベースに、減価償却内で収まる設備投資で64億円のプラス。片方で、売上債権等の資産の増加と仕入債務が増加して、差し引き67億円プラスに働いています。有価証券の売却でプラス29億円。長期資産の減損等、キャッシュを伴わない損失で31億円。借入が10億円増えたことが、キャッシュを増やした要因になっています。これに対して、短期投資でキャッシュを回した分が186億円、配当金が39億円、棚卸資産の増加が54億円増。これらがキャッシュを減らした要因です。それから、期末日レートで若干円安に動いたという、為替変動による増加が26億円。手持ち資金の観点からいうと、現金及び現金同等物のほかに短期投資を含めると246億円増えて、借入金は10億円増えていますので、この第3四半期は、キャッシュ的な面では236億円ほど手元資金が増えていると認識しています。
連結貸借対照表(負債及び純資産の部)
貸方のその他の包括利益が97億円ほど改善していますが、若干の円安による外貨換算調整勘定の改善が主因です。
売上高・営業利益の前四半期比較(2Q vs. 3Q)
今期第2四半期と第3四半期との比較です。第3四半期の売上高は74億円で、3.6%の増収。営業利益は第2四半期と比較して31億円の増益。エプコス買収に伴うのれん償却は、第2四半期は12億円、第3四半期は19億円で7億円増。構造改革費用は、第2四半期14億円、第3四半期20億円で6億円増。この13億円を31億円に足して、通常ビジネスでの営業利益は44億円増加したと認識しています。
その中で「従来TDK」は、売上高が76億円で4.7%の増収。営業利益は29億円増益。構造改革費用は11億円から19億円となり、8億円増加しているので、調整すると37億円の増益。これも、第2四半期から第3四半期にかけて、原価率が1.7%改善していることが大きな要因です。エプコスの売上高はほぼ横ばいですが、その中で、営業利益が9億円増えています。構造改革費用は、第2四半期の3億円から第3四半期は1億円で、2億円の減。これらを加味して、実質的には7億円ほど良くなっていると言えます。
2010年3月期9カ月累計連結業績概要
2010年3月期の4月から12月の9カ月累計連結業績です。売上高は5,975億円、前年9カ月比較で92億円、1.6%の増収。営業利益は175億円、前年9カ月比較で82億、88.7%の増益。税引前利益が108億円、111億円の増益。税後の9カ月間の純利益は100億、124億円の増益です。リーマンブラザーズ証券破綻前の操業水準まで戻っているわけではありませんし、加えて、円高で推移している中、前年比較で増益を確保できたのは売上原価率の改善に追うところが大きいと考えています。その改善も、HDD用ヘッドが9カ月間好調を持続したことが大きな要因と認識しています。売上高92億円の増収は、エプコスの取り込みが前年は3カ月分だけでしたが、今期は丸々9カ月。上半期のエプコスの売上は800億円ですから、それを加味すると710億円ほど売上が未達であると考えています。
2010年3月期連結業績見通し
2010年3月期の連結業績見通しです。売上高7,950億円、営業利益220億円、税引前利益140億円、当期純利益70億円とさせていただきました。
これを見込んだ背景ですが、心配していた二番底は、少なくともこの1-3月期は避けられるのではないか。今の水準を前提にした、通常の季節的な落ち込みに止まってくれるだろうという見通しに立っています。また、日本、米国、欧州とも失業率が非常に高く、その改善が進まない中で、急激な回復は、この2、3年は期待できない。そういう意味で、緩やかな回復を余儀なくされるのではないか。加えて、円高に触れるリスクもある。そういう状況の中で、営業利益を220億円とさせていただきましたが、第3四半期までに出ている利益からは、少なめと感じられるかもしれません。これについては今述べたような経済状況認識から、構造改革をすることを優先させてほしい。それを見込んでの営業利益220億円です。
当期純利益は70億円を見込んでいます。第3四半期段階で、すでに100億円の水準にあるということと、すでに皆さんのお目に止まっているかもしれませんが、移転価格で修正が入り141億円。実質的な還付が94億円。第4四半期に構造改革をやっても利益が出る状況で、なぜ70億円なのかというと、前期第4四半期は非常に落ち込み、多くの構造改革を実施させていただきましたが、その結果として繰延税金資産を計上した中で、今後本格回復には時間がかかるであろうという認識から、繰延税金資産の回収可能性を厳しく見直して、繰延税金資産の取り崩しも含めて70億円とさせていただきました。
収益構造改革の進捗
最後になりますが、収益構造改革の進捗。先期、多くのお金をかけてやらせていただきました。年間700億円の効果を出さなければいけないということで、第1四半期、第2四半期と、その進捗状況を報告していますが、お陰様で、第3四半期も我々の予測の範ちゅうに収まっていると認識しています。
以上の報告をもちまして、2010年3月期の連結業績並びに2010年3月期の通期業績見込みについての報告を終わります。ありがとうございました。