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[ 2008年3月期 中間期 連結決算説明会 ]2008年3月期 中間期 連結業績概要および通期の見通しについて

代表取締役社長 上釜 健宏

代表取締役社長 上釜 健宏

本日はご多忙のところたくさんの方にお集まりいただきまして、ありがとうございます。2008年3月期中間期の連結業績をご報告申し上げます。

まず、損益概要ですが、売上高は前年同期比2%増の4,331億円、営業利益が前年同期比23%増の471億円で、税引前中間純利益は前年同期比17%増の484億円、中間純利益が前年同期比17%増の346億円となりました。
当中間期は引き続きデジタル家電製品向け受動部品の旺盛な需要を反映して、売上高は、上半期6カ月としては過去最高の記録となりました。また、各利益も前年同期比で大幅に増加し、上期としては6期連続の増益となりましたが、これは記録メディア事業の譲渡に伴い、会計上認識されている譲渡益約149億円を含んでいます。1株当たりの利益は前年同期の223円89銭から当期266円16銭、1株当たりの純資産は前年同期5,479円51銭から当期5,768円87銭となりました。

次に、部門別売上高についてご説明します。
電子素材部品部門の売上高は、前年同期比5.8%増の3,984億円となりました。2008年3月期上期のエレクトロニクス市場は、デジタル家電製品が引き続き好調な伸びを示しました。また、薄型テレビ、デジタルカメラ、ゲーム機器などは順調に生産が伸び、携帯電話の生産も拡大基調が続いています。またノートPCの生産も急ピッチで伸び、当社の置かれた事業環境は総じて良好な状況にあったと分析しています。
当社においても、デジタル家電向けの受動部品の出荷はおおむね好調で、2008年3月期の中間期における電子材料、電子デバイスの売上高は、いずれも前年同期比でプラスの成長となりました。また、記録デバイス製品も前年同期比増収を確保することができました。主力のHDD用ヘッド事業に関しては、第2四半期にHDDの需要が急速に伸び、当社のHDD用ヘッドの出荷も伸びたことが増収の要因です。

製品ごとの概況について、さらに詳しくご説明を申し上げます。
まず、電子材料製品ですが、売上高は1,028億円、前年同期比で4.1%増となっています。コンデンサは増収となりました。PC、薄型テレビ向け販売が好調で、高・大容量品の売上が伸びています。フェライトコアおよびマグネットは、わずかながら減収となりました。マグネットは自動車分野向けが伸びて増収を確保しましたが、フェライトコアが一部製品の収束に伴い減収となっています。
電子デバイス製品は、売上高が1,044億円で、前年同期比8.1%の増となりました。インダクティブ・デバイスは増収となりました。薄型テレビ、ゲーム機器、ポータブルオーディオ向け電源系コイルの販売の増加に加え、積層製品が増加したことが主な要因です。高周波部品も増収となりました。モジュール製品の数量増が増収の要因です。電源その他は増収、センサアクチュエータは一部得意先の生産調整により受注が減りましたが、電源製品がその影響を吸収して増収となりました。
記録デバイス製品は、売上高が1,569億円で、前年同期比1.9%増となりました。HDD用ヘッドは増収、HDDの生産増加に伴い、当社のHDD用ヘッドも販売数量を増やすことができました。同時に、ヘッド需要が高密度品にシフトしており、製品ミックスも改善しています。
その他電子部品の売上高は343億円、前年同期比25.4%増となりました。メカトロニクス、電波暗室、その他の新製品の販売が増加したことが要因です。

電子素材部品を市場分野別に見ると、情報家電分野は前年同期比プラス4%で、構成比は63%です。高速大容量ネットワーク分野は前年同期比プラス13%で構成比は10%、自動車分野は前年同期比プラス12%で構成比は8%。その他が前年同期比プラス6%、構成比は19%です。情報家電分野の増加は、主にMPEG3製品、ゲーム、コンピューター向け部品の増加によります。高速大容量ネットワーク分野は、携帯電話向け部品の増加が主な要因です。自動車分野は、電装品向け部品が安定的に増加していることが挙げられます。その他は主に産業機器向け部品の増加によります。

記録メディア製品部門の売上高は前年同期比28%減の347億円となりました。すでに発表していますように、今年8月1日をもちまして、記録メディア製品の販売事業を米国イメーション社に譲渡しました。同時にイメーション社は、TDKブランドを記録メディア製品に限定して使用する権利をライセンスいたしました。つまり、ライセンス契約期間中、TDKブランドをつけた記録メディア製品はイメーション社が販売する権利を持つことになります。この結果、TDKに残った事業は、民生用、産業用の磁気テープ、並びにブルーレイディスクの開発、生産、OEM販売となります。このように、記録メディア製品の事業構造を根本的に変更したため、売上高も前年同期比で28%減と大幅な減少となりました。これも規定の記録メディア事業の構造改革であり、今期の計画と比較すると、事業譲渡は2カ月ほど前倒しで完了したことになります。

地域別売上概況をご説明します。売上高を見ますと、日本は前期同期比8%減の763億円、米州が前期同期比0.7%減の509億円、欧州は前期同期比15.4%減の329億円でした。アジアその他が、前期同期比8.5%増の2,730億円、合計前期同期比1.9%増の4,331億円となりました。
記録メディア製品は、先ほど説明しましたTDKブランド製品の販売事業譲渡の影響により、すべての地域において減収となっています。電子素材部品部門については、日本においては減収となりましたが、それ以外の地域では活況なデジタルコンシューマー製品需要に支えられて増収となりました。この結果、海外売上高は前年同期比4.4%増の3,568億円となり、海外売上比率は前年同期比80.5%から1.9ポイント増加して82.4%となりました。

続きまして、部門別損益についてご説明申し上げます。
まず、電子素材部品部門ですが、2008年3月期中間期は4つの製品区分すべてにおいて増収となりました。上期の営業利益は前年同期比45億円減の360億円、うち構造改革費用は15億円となりました。記録メディア製品部門は販売事業譲渡による一時的な利益を計上したため、前年同期にて大幅な増益となりました。営業利益は前年同期比134億円改善して111億円、うち構造改革費用が19億円の実績となりました。なお、事業譲渡による一時的な利益の詳細につきましては、このあと経理部長よりご報告申し上げます。

記録メディア事業はさまざまな構造改革を推進した結果、先期下期には黒字を計上できるところまできました。今期上期にはさらに事業構造の転換を推し進めるため、販売事業の譲渡、ブランドのライセンス契約などを行い、この事業の一連の構造改革はほぼ完了の段階まできました。下期以降は残った事業に集中し、収益の改善に向けて構造改革等の結果を出すべく、努めていきたいと思います。

2008年3月期通期の見通しについてご説明申し上げます。まず、連結損益は、売上高が前期比0.3%増の8,650億円、営業利益13.1%増の900億円、税引前当期純利益は前期比8.3%増の960億円、当期純利益は2.7%増の720億円を見込んでいます。2008年3月期は現在までほぼ当初の想定どおり、デジタルコンシューマー製品が引き続き高水準の生産を継続しています。我々の顧客である最終製品メーカーは、年末需要に対応すべく順調に生産を続けており、足下の部品受注はこの生産ベースの動きを反映したものと見ております。しかし、この8月には、米国のサブプライムローン危機に代表される世界的な過剰流動性の問題が遂に株式市場において表面化し、投資市場のみならず、世界経済全体に不安を与えたまま今日まできています。今後、米国の消費が落ち込むか否かが我々電子部品事業にも少なからず影響を与えるはずで、現在の部品受注状況と最終製品の実需の動きがどこまで相関性がとれているのかは、慎重に見極めていかなければならないと思っています。日米欧の年末商戦や、年明けに旧正月を祝うアジアの需要、そして北京オリンピック需要と、この下期は期待と不安が交錯する事業環境になりそうです。電子素材部品部門の売上見通しについては、最終需要は恒例の季節変動の範囲で推移するという前提で、主要な受動部品の売上計画を見直しております。

下期に関しては、足下需要が好調なHDD用ヘッド事業の拡大に向けて、体制をさらに整えていかなければなりません。さらにコンデンサの増産、インダクタの拡販、磁性製品、電源事業の強化等、重要な課題に取り組んでまいります。記録メディア部門については大きな構造改革をほぼ完了し、下期以降は残った事業で収益性の改善を図ることが重要課題となります。8月以降、記録メディアは自社製造品の開発・製造に特化した事業となるため、年間ベースで前期比5割強の減収を見込んでいます。なお、当期下期の米ドル平均為替レートは110円を想定しています。

中期の初年度にあたる当期においては、すでに主要事業であるHDD用ヘッド事業をより一層強化すべく、アルプス電気殿から有形無形の関連資産を譲り受けることで最終合意しました。また、サスペンションメーカーの買収も実施し、当社グループに取り込みます。厳しい競争が続くHDD業界において、中期的に安定した、信頼される部品メーカーの地位をさらに固めるべく、競争力の強化のために秘策を実施してまいります。また当社全体の収益力改善のため、これまで低収益に甘んじてきた事業を改善するための手だても打っていきます。さらに、インダクタ事業のポジション強化、電源事業の改善等、具体的な目標値の達成に向け着実に進んでいくつもりです。皆様方の一層のご理解とご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

ご清聴ありがとうございました。