[ 2003年3月期 通期 連結決算説明会 ]連結業績概要
経理部長 江南 清司
社長報告を受けて、2003年3月期の連結業績の詳細を補足させて頂きます。
「2003年3月期 連結・単独業績のお知らせ」12ページの連結損益計算書をご覧ください。まず、営業利益については、先ほど社長から構造改革費用72億円と報告がありましたが、P/L上はリストラクチュアリング費用として53億円だけ載っております。一般管理販売費と認定された費用だけが、ここに表示されているわけです。実際には、原価性ありというものについては売上原価の中に含まれており、それらを合わせれば72億円になります。2月5日の第3四半期連結決算説明会では、リストラクチュアリング費用の通期見込みは87億円と申し上げましたが、実績は72億円にとどまっています。この差は、予定しておりました構造改革を延期した訳ではありません。予定どおり実施いたしました一方で、構造改革の一環として寮や社宅など遊休不動産の処分も併せて進めておりました。その売買契約が成立し、予定外に15億円の利益計上ができて相殺された結果、72億円となりました。これは、営業利益の引き上げ要因になっております。
同じく第3四半期連結決算説明会で、減価償却費と研究開発費の通期見通しを、それぞれ570億円、310億円と説明いたしましたが、実績はそれぞれ上方にぶれて578億円、319億円となり、差し引き17億円の費用が増加しました。これは逆に、第4四半期の営業利益の引き下げ要因になっております。
営業外損益では、その他が13億円からマイナス33億円と、20億円ほどマイナスが増えております。これは、期末にかけての株価下落による有価証券の評価減によるもので、第3四半期の決算説明会では想定していなかったものが発生しております。弊社は有価証券をほとんど持っておりませんが、それでもこのような結果になりました。
当期純利益は120億円。他の数字は第3四半期連結決算説明会での見通し数字をオーバーしていますが、当期純利益だけが見通し126億円を下回っています。これは、外形標準課税が2005年3月期に導入されるのに伴い、税率引き下げ変更の2003年3月期からの先取り適用が決定され、約1%の差異が生じたため税金12億円ほど多くなっていることの結果です。
次に、13ページの連結貸借対照表をご覧ください。前期3月末との比較になりますが、総資産額は7,473億円で、26億円の減少になっております。前期3月末尾レートと、終了した期の3月末尾レートを比較すると、米ドルは133円25銭が120円20銭と約13円、10%の円高。ユーロは116円14銭が129円83銭と約12%の円安で、取引ウエイトの大きい対米ドル円高の影響を受けて海外資産の円換算影響額がマイナス237億円となり、総資産を減少させております。
そのような中で、現金及び現金同等物が1,706億円にまで回復し、前期比448億円の増加になりました。これは、何よりも収益改善で利益を計上することができたことに加えて、在庫のさらなる削減、売掛信用供与期間の短縮、売掛金の回収促進、投資の選別等、資産圧縮と資産効率の向上によるものと考えております。
棚卸資産は739億円。TDKにとりまして、ここ10年間で初めて700億円台のレベルになっています。その結果、15ページにあるように、営業活動によるキャッシュフローは1,044億円に増加しました。投資活動によるキャッシュフローを加味しても、フリーキャッシュフロー段階で577億円にまで増加しました。それに財務キャッシュフローと為替による目減り分を加え、最終的に前期比448億円の増加となっております。
資本の部では、その他の包括損失累計額が348億円増加し、累計でマイナス788億円になっております。これは16ページの最下段に明細がありますが、内訳は次のようになっております。
外貨換算調整額は損失が187億円増加し累計でマイナス265億円。最低年金債務調整額は損失が158億円増加し累計でマイナス524億円。有価証券未実現評価益は損失が3億円発生し、累計でプラス1億円。これらの合計でマイナス788億円となります。そのうち外貨換算調整額は、対米ドル約10%の円高の影響によって発生しております。
最低年金債務調整額は、割引率を2.5%から2.0%に0.5%引き下げたことによるABOの増加約135億円と、株価下落等による運用益マイナスから来る年金資産の目減り約200億円等に起因しており、追加最低年金債務約260億円の税効果(税率40%)控除後158億円が資本控除額として増加しております。なお、40%の税効果分は長期繰延税金資産として、固定資産の中のその他の資産の増加額170億円に含まれます。
バランスシート項目は改善報告にそれぞれあると認識しておりますが、残念ながら、いまだ年金目減り分をカバーするに足るだけの十分な収益力がないということで、自己資本部分が徐々に減り、前期77.9%から74.1%に減少しています。そういう意味で、先ほど社長から話がありましたように、早く高収益会社にもっていかなければいけないと考えています。
1ページにかえって、下段に売上高の内訳があります。先ほど、社長からセグメント別の数字並びに営業概況の説明がありましたので、製品別の構成割合並びに前年同期比売上高伸び率の数字だけを申し上げます。
電子素材部品部門は、全社に占める構成割合は77.6%。その中の電子材料製品の全社に占める構成割合が27.8%。電子材料製品中、コンデンサの構成割合が65%、前期比で7%アップ。フェライトコア及びマグネットは構成35%、1%のダウンです。
電子デバイス製品の全社に占める構成割合は18.5%。電子デバイス製品中のインダクティブ・デバイスの構成割合は52%、前期比で3%アップ。高周波部品の構成割合は16%、前期比5%アップ。パワーシステムズその他の構成割合は残り32%で、13%のアップとなっています。
記録デバイス製品の全社に占める構成割合は28.9%。記録デバイス製品中、HDD用ヘッドの構成割合が90%、前期比24%アップ。その他各種ヘッドが残り10%で、8%のダウンになっています。電子素材部品部門中最後になりますIC関連その他製品の全社に占める構成割合は2.4%です。
次に、記録メディア・システムズ製品部門の構成割合は22.4%。記録メディア・システムズ製品部門中、オーディオテープの構成割合が10%、22%のダウン。ビデオテープの構成割合は33%、3%のアップ。光メディアの構成割合が26%で、1%のアップ。コンピュータ用データストレージテープその他の構成割合が31%で、2%のアップという結果になっております。
18ページのセグメント情報をご覧ください。上段に、事業の種類別セグメント情報があります。社長からも報告がありましたように、電子素材部品部門の営業利益が前期比569億円増の205億円。記録メディア・システムズ製品部門が前期比89億円増の15億円と、いまだ不十分ですが、それぞれ赤字から黒字に転換することができました。
そのうち電子素材部品部門においては、構造改革費用が前期の317億円に対して終了した期は63億円で、差し引き254億円。構造改革費用が減ったことにより、増益要因が含まれているということで、それを差し引いた実質増益は315億円になります。これは記録デバイス製品のHDD用ヘッドのシェア回復、歩留まり改善の影響が大きいことに加えて、電子材料製品、電子デバイス製品等も売上を伸ばし、かつ前期および終了した期に実施した構造改革の効果が出たことによって、大幅な増益になったと考えております。
記録メディア・システムズ製品部門におきましても、同様に、構造改革費用が前期に44億円、終了した期に9億円、それぞれ含まれており、差し引き35億円の増益要因となっていますので、それを除きますと、実質増益は54億円となります。記録メディア・システムズ製品部門の黒字転換は、終了した期も含め3期にわたって構造改革を実施いたしました効果と、コンピュータ用データストレージテープ等の注力事業が一部軌道に乗ってきたことによって達成できたものと考えております。
最後になりますが、事業体質を強めるためにネットプレゼントバリュー(NPV)を用いてクリティカルビジネスを洗い出し、この1年間、収益体質改善を強めてきました。その報告を、最終報告ということでさせていただきます。
第3四半期決算説明会のときにもご報告申し上げましたように、終了した期のスタート時にピックアップしたクリティカルビジネスユニットのうち、終息を決定したビジネスは売上高にして110億円強にとどまっています。ただし、クリティカルビジネスユニットの収益性は、2002年3月期で100億円を超える赤字がありましたが、2003年3月期は、改善あるいは終息すると決定したことに伴って新たに発生したリストラコストを除けば、数十億円の赤字レベルまで改善しました。
継続すると決めた製品につきましては、将来育成の見地からまだ赤字であっても継続することにした製品を除けば、今期はそれぞれ黒字に転換する見通しです。今後、継続した中からも、なかなかうまくいかずに終息せざるを得ない事業が出てくるかもしれません。新たにクリティカルビジネスユニットに位置づけられるビジネスも出てくるかもしれません。今後は、特にこの場で報告することはいたしませんが、従来にも増して、地道に事業体質の強化に努めていきたいと考えております。ありがとうございました。