[ 2003年3月期 第1四半期 連結決算説明会 ]Q&A
- Q1. 5月8日の2002年3月期決算説明会時に、今期の構造改革費用は85億円であり、前期に実施した構造改革による削減効果は今期に260〜270億円発生するとの見通しが提示されたが、これらの数字に変更があるか教えて欲しい。また、今期実施する構造改革による削減効果はどれぐらいと見込んでいるか。
- A1. 今期発生を見込んでいる構造改革費用は85億円であり、今も変わっていない。また、前期に実施した構造改革により実施前と比較して、労務費で230億円、その他の固定費で145億円の削減効果が発生している。今期実施する構造改革による削減効果は約20億円と見込んでいる。
- Q2. HDD用TMRヘッドのサンプル出荷が始まったとのことだが、このヘッドを量産した場合、設備投資はいくらぐらいかかると見込んでいるのか。
- A2. TMRヘッドの量産が2003年4月から始まると仮定した場合、HDDの1〜2機種への採用であれば設備投資はかからないと考えている。TDK出荷数量の半分以上をTMRヘッドで占めるようになると投資をする必要がでてくると思うが、その時期はおそらく来年の下期と考えている。投資額は過去行なわれたものとほぼ同じレベルと考えている。
- Q3. 今期発生する構造改革費用は85億円と見込んでいるが、損益計算書の科目であるリストラクチュアリング費用としての数字を四半期ごとに教えて欲しい。
- A3. ヘッドの出荷数量については今期第1四半期を100とすると、第2四半期は102、第3四半期は110、第4四半期は110と見込んでいる。収益性は第1四半期とほぼ横ばいを見込んでいる。
コンデンサの数量ベースでの詳細についてはご容赦頂きたい。前期第4四半期と今期第1四半期を比較すると金額ベースで約13%増。また、今期第2四半期は第1四半期とほぼ横ばいと見ている。収益性については売価値引きが相変わらず厳しいものの、構造改革を実施したのでそれなりの収益力を回復していると考えている。 - Q4. 5月8日の決算説明会でコンデンサの第1四半期の収益性は前期第3四半期のレベルを上回りそうだとのことだったが、実績はどうか。
- A4. 今期第1四半期は売価値引きが厳しかったが収益力は回復してきており、実績は5月8日の決算説明会どおりとなっている。
- Q5. 今期発生する構造改革費用は85億円と見込んでいるが、損益計算書の科目であるリストラクチュアリング費用としての数字を四半期ごとに教えて欲しい。
- A5. 第1四半期は約8億円が実績値であり、第2四半期は23億円、第3、4四半期は明確に分けておらず下期として37億円を計画している。したがって、今期のリストラクチュアリング費用としての合計金額は約68億円と考えている。但し、この他に損益計算書上は製造原価に含まれる構造改革費用17億円を通期で見込んでおり、合計で構造改革費用は85億円となる。
- Q6. 第1四半期の前年同期比での利益増減分析をされているが、前期第4四半期と今期第1四半期との利益増減分析があれば教えて欲しい。
- A6. 前期第4四半期と今期第1四半期との利益増減分析は準備していなかった。ただし、コストダウンと合理化、構造改革の効果がでていると考えている。
- Q7. 第1四半期における電子材料製品と電子デバイス製品の受注と売上の倍率を教えて欲しい。
- A7. 売上に対する受注倍率は1以上であるが、それ以上の細かな数値はご勘弁頂きたい。受注に関しては今年の年明けから受注は大きく伸びたが、5月頃から若干低下傾向にある。それでも前年同期で見ると水準は高いところにある。
- Q8. 第1四半期の売上高と営業利益の実績値は計画値と比べてどの程度上回ったのか。
- A8. 売上高については計画値1,450億円に対し実績が1,487億円なので、37億円上回った。営業利益については計画値40億円に対し実績が60億円なので、20億円上回った。ただし、営業外損益のところで為替差損が発生しており、税引前利益でみると計画値30億円に対し実績が33億円とほぼ計画通り。
- Q9. 第1四半期の営業利益が計画値に対し20億円も上回ったのに、今回、通期の業績見通しを変えなかった理由を教えて欲しい。
- A9. 今後の為替動向が不確かであること。アメリカ経済が不安定であること。5月以降の受注が若干、下落傾向にあること。これらを勘案して、通期の業績見通しを期首発表時と同じにさせて頂いた。
- Q10. アメリカの株安が下期以降の業績動向にマイナスの影響を与える可能性があると考えているか。
- A10. アメリカの株安がアメリカ経済を悪くすると仮定すると、消費低下につながるので弊社のビジネスにも悪影響がでるだろう。そこまでいかないとしても、有価証券評価損につながるので、年金信託に拠出した有価証券に評価損が発生し、年金の資産が目減りする結果、その部分を翌年以降補填するための費用が発生するという間接的な影響が考えられる。
- Q11. 今期のヘッド出荷数量を四半期ごとに前年の第1四半期比でどの程度伸びるか教えて欲しい。また、出荷に占める40GB/P製品の割合も教えて欲しい。
- A11. 第1四半期のヘッド出荷数量は前年同期比で31%増だった。同じく前年第1四半期に対して今期第2四半期は33%増、第3四半期は45%増、第4四半期は45%増と考えている。出荷に占める40GB/P製品の割合は今期第1四半期が約90%、第2四半期は65%、第3四半期は30%、第4四半期は20%であり、残りは60、80GB/P製品が占めると考えている。
- Q12. ヘッドウェイを買収した効果はどのような形で現在のTDKのヘッドビジネスに寄与しているのか、教えて欲しい。
- A12. 60GB/Pのヘッドで採用しているリードオーバーレイのボトムストラクチュアはヘッドウェイのほうがTDKより進んでいた。また、これから採用するライター、我々はHSライターと呼んでいるが、これもヘッドウェイのデザインであり、TDKもこの設計に今から変えていく。次のライターヘッドもヘッドウェイで開発されたものであり、これを120GB/Pに採用しようとしている。このように、デザイン面でのヘッドウェイの貢献度合は大きい。80GB/Pについてはヘッドウェイの技術をTDKに完全に移植した。
- Q13. 第1四半期の営業利益は計画値40億円に対し、実績値は60億円である。この差額20億円の分析をしてほしい。
- A13. 4、5月の売上が好調だったことと、為替のプラス要因により20億円の差がでた。前年同期と比較して売上高が伸びた製品としては、HDD用ヘッド、コンデンサ、アミューズメント用DC/DCコンバータである。
- Q14. 前期実施した構造改革費用は機会損失を含めると361億円とのことだが、この構造改革による実質的な効果は今期第1四半期でいくらぐらいか。
- A14. 前期の構造改革効果は実施前と比較すると、労務費で230億円、その他固定費で145億円である。ただし、労務費230億円のうち前期第3四半期末までに対応した分が約45億円あるので、前期第4四半期に効果がでている。よって、230億円から45億円を引いた185億円が今期で効いてくる効果金額のベースとなる。
ただ、年金資産が減少したことによる年金費用負担増、新卒採用による費用増等があるので、結果として労務費の効果金額は約140億円と見ている。
この効果約140億円については既に一部、前期第4四半期で効果がでていたことから対前期比較という点では、今期の第1四半期から第3四半期に大きく出ると考えており、第1四半期では45億円くらい出なければいけないと見ていた。しかしながら、第1四半期は操業度アップによる残業費等で労務費が増加し、33〜34億円の効果に留まったと理解している。
また、その他固定費削減の効果は期初から出ていると考えており、単純計算だと第1四半期は145億円の4分の1の36億円の予定であったが、実際には45億円の効果が出たと見ている。 - Q15. コンデンサに関して、前期第4四半期から今期第1四半期への売価の落ち方、並びに第2四半期の売価動向について教えてほしい。また、通期の売価下落の前提が部品全体では9%程度に対して、コンデンサは、それよりも少し厳しいだろうと聞いたが、この見方に変更はあるか? それに加えて、目先の数量的な見通しを教えてほしい。
- A15. 第4四半期から第1四半期へのコンデンサの売価動向については、第1四半期の平均売価は、3月時点と比較すると、約5%ダウンしている。また、第1四半期から第2四半期への売価動向は、依然として得意先からの売価値引きの要求は厳しい状況にあると言える。通期でのコンデンサの売価見通しについては、前回の説明とほぼ変わっていない。
次に、受注は5月ごろから少し落ちてきたという話をしたが、その影響が6月の売上に表れ、4月に比べると若干落ちている。そのため、7月以降どうなるか非常に心配していたが、直近の7月の数字を見ると、ほぼ6月並みの売上が確保できそうであり、ホッとしている。 - Q16. 5月の説明会で話されたクリティカル・ビジネス・ユニットとして、第2四半期以降検討すべき対象が672億円ぐらいあるという話だったが、それらについて何か進捗や進展はあったか? また、今回の通期見通しの中で、たとえばIC関連その他、記録メディア・システムズ製品などで売上高の見通しを変えられているところがあるが、これはそれと関係しているのか?
- A16. クリティカル・ビジネス・ユニットの中で話をした672億円のうち、62億円ほどのビジネスをこの上期中に終息すると言った。これらについては予定どおり生産終息の方向に進んでいる。ただ、生産を止めても供給責任から若干は売上が続くものがある。また、実質的には止める体制でいるが、TDKだけが生産しているような特殊な製品についても供給責任から細々と生産を続けるものもある。しかし、実質的にはほぼ終息の方向に向かっている。残りの610億円については、毎月の財務的な実績や、クリティカルから利益の出る事業にしていくための改善テーマに対して、その進捗具合をフォローしている。第1四半期が終わった時点で、財務的な面とテーマの進捗具合の両方から評価し、予定どおりなのか、若干遅れているのか、相当遅れているのかという分析を行い、その程度により掘り下げて検討しているというのが現状である。その中に、2〜3だが計画より遅れているビジネス・ユニットがあるが、それ以外は比較的計画以上で推移している。
IC関連その他、記録メディア・システムズ製品の売上高見通しの下方修正については、決算短信の1ページ目の一番下に注記2に示したが、これは今まで売上高と販管費に両建てで計上していた販促関係の費用を、売上高から控除するという会計基準に変わったことで売上高が少なくなった。今期からその基準を適用したが、その大半が記録メディア・システムズ製品と一部の半導体であり、そのことで売上高を修正しているのがひとつの要因である。 - Q17. HDD用ヘッドの第1四半期売上数量は予定よりも若干少なかったが、為替と売価維持の努力で売上高は予定どおりと聞いた。それでは、利益を見た場合、計画に対してどうだったのか、及び第4四半期に比べてどうだったのかを教えてほしい。 また、40GB/P、60GB/P製品の歩留まり等を加味して、第2四半期以降の利益見通しについて教えてほしい。
- A17. 第1四半期は、6月になって若干数量が落ちたが、収益性については、ほほ計画どおりであり、第4四半期より改善した。先ほど、第2四半期以降、数は増えていて利益は横ばいと申し上げたが、そこには歩留まりの要因が加味されていると思ってほしい。
- Q18. 6月は数量が未達だったということだが、上期は数量の見通しを下げ、下期は期首計画よりも上げているが、その背景について教えてほしい。
- A18. 得意先の計画が当初の計画から相当ずれ込んでいることがある。40GB/Pから80GB/Pに移行すると言われていたのが、その後修正が入り60、80GB/P両用のモデルに変更された。これは、マルチヘッドのHDDの開発が相当遅れたことが、一番大きな要因。また、ここにきて2.5インチの数量(需要)が落ちてきているのが2つ目の理由かと思う。
下期に入ってまた増えてくるというのは、60、80GB/PのHDDが本格的に、特に一本のヘッドを乗せたHDDが急激に立ち上がってくると見ている。それから、40GB/Pの追加注文が相当入っていることも挙げられる。 - Q19. HDD用ヘッドのTMRヘッドをサンプル出荷したということだが、技術的な課題も多いかと思う。他の方法もあると思うが、どの程度TMRヘッドに力を入れているのか?
- A19. おっしゃるように、TMRヘッドを使いこなす技術のある得意先が何社あるかということになると思う。難しく言えば抵抗値の問題などいろいろあるが、現在2社の得意先は使っていただけると考えている。実際にドライブも動いている。ただ、他の得意先ではこのあたりから色々な方法を考えていくと思っている。たとえば、TMRヘッドが使えない場合、今の80GB/Pクラスを延命するのか、ヘッドの本数を増やすのか、あるいは、できるだけスペーシングロスをなくしていくといった方向にいかれる得意先が出てくるであろう。あるいは垂直磁気記録(パーペンディキュラーレコーディング)を実現しようとする得意先もいるだろうと。一応、TDKとしては基本的には全部に対応しようと考えている。私どもは主力をTMRヘッドと考えているが、市場の技術動向がどうなるかについては注意しておかなければいけないということで、全部考えている。
- Q20. 得意先がTMRヘッドをどのくらい使えるかという話だったが、ヘッドを作る側から言っても、膜厚のコントロールが難しいといった量産技術も問題になると思うが、その点はどうか?
- A20. TMRヘッドの構造はご存じだと思うが、CPP構造になっておりTMRにしたときのほうがリードトラック幅が作りやすいため製造上は逆にメリットもあるといえる。一方、トンネル効果を出す膜については、現在、その見極めを行なっており、分布などいろいろなところを見て、そこそこいけるのではないかと考えている。
- Q21. HDD用ヘッドの第4四半期と第1四半期を比べたときに、金額で言うと10数%減っているが、数量では何%くらい減っているのか? また、マーケットシェアは、どのように変動したか?
- A21. 第4四半期から第1四半期にかけてのシェアならびに数量については、ほぼ横ばいだった。
- Q22. 販管費の中に含まれるリストラクチュアリング費用の見通しは、第2四半期23億円ということだが、第2四半期以降、製造原価に含まれる構造改革費用を教えてほしい。
- A22 構造改革費用については、先ほどリストラクチュアリング費用に入るものだけを説明したが、ここでは製造原価分も含め合計の構造改革費用を申し上げたい。5月に説明した時は、第1四半期は12億円。第2四半期が40億円、下期が第3四半期は24億円、第4四半期が9億円。年間合計で85億円と説明した。今期に入り、個々の構造改革の実行時期が若干前後していることから、第1四半期で19億円、第2四半期で29億円、下期は第3四半期と第4四半期合計で37億円。年間合計で85億円。下期37億円の第3四半期と第4四半期の割合は、5月に説明した金額の比率で分けても大きな違いはないと思う。
- Q23. 構造改革費用を除いた実質ベースで営業利益を見ると、前期第4四半期の営業損失が16億円だったのが、第1四半期が実質79億円の利益が出て、第2四半期に49億円の利益になるということで正しいか?
- A23. そのような計算をするとなると、第1四半期に19億円の構造改革費用があったので、損益計算書の営業利益60億円+19億円=79億円となる。また、第2四半期は29億円の構造改革費用を予定しており、見通しの営業利益40億円+29億円で69億円となる。