[ 2003年3月期 第1四半期 連結決算説明会 ]連結業績概要
経理部長 江南 清司
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2002年6月30日に終了しました弊社2003年3月期第1四半期の概要について、お手元の短信に沿ってご報告申し上げます。
今日は連結決算についてのご報告になります。
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決算短信の1ページにありますが、売上高は前年同期比6.0%増の1,487億800万円、営業利益は131.2%増の59億8,600万円、税引前利益は28.8%増の33億300万円、当期純利益は79.0%増の21億6,100万円と、水準としてはまだ非常に低いですけれども増収増益決算になり、1株当たり純利益が16円27銭となりました。
一つには、前期に実施させていただきました構造改革の効果の具現化、一つには、得意先の在庫調整が進んだこともありまして、年初以来、コンデンサを中心にして部品受注が徐々に好転していましたが、その傾向が第1四半期の4月、5月ごろまで継続したこと。一つには、記録デバイス製品のHDD用ヘッドの好調、加えて期中における円安と、6月末にかけての急速な円高の影響を受けた決算だったということです。
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決算短信5ページをご覧ください。連結損益計算書があります。
営業利益ベースでは、対前年同期比34億円の増益となっております。増益要因として、一つには操業度、品種構成を含む売上の増加で34億円、原材料値下げで44億円、合理化コストダウンで53億円、販売費及び一般管理費の削減で25億円。為替の円安効果で、売上高で42億円増加したその効果としての営業利益で8億円のプラス、合計164億円のプラス要因がありました。
なお、当期間における対米ドルおよびユーロの期中平均レートはそれぞれ、昨年123円に対して127円、107円に対して117円と、前年同期に比べて4%、9%の円安で推移し、円換算後の売上高、営業利益の業績を若干押し上げることになりました。
減益要因の第一は、売価値引きで122億円マイナス。全社で約8%、電子素材部品部門で7%、記録メディア・システムズ製品部門で11%の値引きになっております。加えて、「リストラクチュアリング費用」と別表示してありますが、構造改革の継続実施ということで第1四半期も8億円の費用が発生しています。
営業外損益は第1四半期、6月末にかけての急速な米ドル安、円高の進行によって、前期末尾レート133円、期中平均レート127円に対して、末尾レートが119円50銭になったことによって、大きな為替換算損が発生しました。為替予約ヘッジで14億円の益が発生しましたが、売掛金等の外貨建て債権債務の換算損が約42億円発生しました。差し引き28億円の為替損が発生したということです。為替の影響を純利益ベースで見ますと、約20億円のマイナスになりました。
昨年来構造改革を行ってきましたが、その具現化という意味での固定費削減は、前年同期比78億円の削減になっています。その内訳は、労務費で33億円、その他固定費で45億円の削減となりました。
また、第1四半期の構造改革関連費用ですが、リストラクチュアリング費用ということで8億円が別表示されていますが、この他に原価性ありということで、売上原価に参入されている費用等11億円を加えまして、第1四半期は19億円の構造改革費用を使わせていただいた結果がこの損益になっています。
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決算短信6ページの連結貸借対照表をご覧ください。同時に、7ページの連結キャッシュ・フロー表と合わせてご覧いただきたいと思います。前期3月末との比較になります。
総資産額は7,204億円、前期末に比べて295億円の総資産減となりました。前期3月末尾レートとこの6月末尾レートでは、米ドルは133円25銭が119円50銭と大幅な円高です。ユーロは116円14銭が118円13銭と、わずかながら円安でしたが、主軸通貨であるドル安の影響が大きく、海外資産の円換算影響額が257億円のマイナス。
現金及び現金同等物が約1,200億円で、前期末に比べて55億円減少していますが、これは賞与、配当等の決算資金が約80億円、それから、前期実施させていただいた特別転身援助制度に伴う前期末時点の未払退職資金の支払資金152億円を、利益の計上、在庫圧縮、設備投資の選別等で改善しましたが、海外資金の為替換算差損が約61億円発生し、その分が現金及び現金同等物の減少になったということです。
在庫につきましては、前期のピーク時、第1四半期末の1,235億円と比較すると、約400億円の削減、前期末比でも74億円の減少。そのうち、為替換算損で38億円減っていますが、実質的にも36億円の在庫の削減になっております。
有形固定資産が約157億円減少しています。これは投資の選別もありますが、一つには投資のタイミングということもあり、減価償却費が第1四半期145億円に対し、新規投資が63億円にとどまったこと、構造改革で設備除却が11億円ほど発生したこと、加えて為替換算損67億円。これらで157億円の減少になりました。
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その他の流動負債が153億円ほど減少していますが、これは未払退職金を支払ったことによるものです。
資本の部で、その他の包括損失の累計額が268億円ほど増加して、資本を減少させておりますが、決算短信9ページの注記3にも明細が書いてありますように、外貨換算調整額と最低年金債務調整額、有価証券の未実現損失から、268億円の減少になっているということです。
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決算短信1ページに戻っていただきまして、下段に売上高の内訳があります。
製品別の業績概況と売上高の構成割合、ならびに対前年同期比売上高伸び率を申し上げます。
なお、最下段の注記事項2に、「基準書01-9を今期より適用し、数値を変更している」旨を書いております。これは、販売促進費絡みの基準変更で、販売費及び一般管理費区分から、売上区分への組み換えということで、お手元の補足資料1ページに詳細が書いてありますが、レコードを若干変更していただく必要があります。ただし、営業利益に影響するものではありません。
まず、電子素材部品部門ですが、売上高が1,182億円、全社に占める構成割合は79.5%、売上高の対前年同期伸び率は7.1%のアップになりました。
その中の電子材料製品の売上高は459億円、全社に占める構成割合は30.8%、対前年同期比4.5%アップです。その中の主要製品であるコンデンサは、DVDプレーヤーやビデオゲームなどのAV分野、自動車およびPC関連分野で好調に推移して売上を伸ばしました。
フェライトコアはLCDパネルのバックライト用コアやAVを中心とした電源用コア等、一部好調なものがありましたが、情報通信用コア等の需要が回復せず、トータルとしては売上を減少させました。マグネットは自動車および部品分野向けが堅調に推移して、ほぼ横ばいになりました。
この結果、電子材料製品に占めるコンデンサの構成割合は66%、対前年同期比13%アップです。フェライトおよびマグネットが残り34%の構成割合、9%のダウンになっております。
次に、電子デバイス製品の売上高は298億円、全社に占める構成割合は20.1%、対前年同期比4.5%アップとなりました。
そのうち、インダクティブ・デバイスはPC関連、ならびに電装化が進む自動車分野において堅調に推移しましたが、通信分野向けがまだ回復せず、全体としてはほぼ横ばいです。高周波部品は携帯電話を中心とした通信分野向けの構成比が非常に高く、前期第4四半期との比較という意味ではかなり回復していますが、前年の第1四半期との比較という意味では、値引き要求も非常に厳しく、売上を若干減少させました。パワーシステムズその他の製品については、アミューズメント向けDC/DCコンバータが非常に好調で、売上高を伸ばすことができました。
その結果、電子デバイス製品に占めるインダクティブ・デバイスの構成割合は52%、対前年同期比3%のダウン、高周波部品の構成割合は15%、対前年同期比5%のダウン。残りパワーシステムズその他が33%、対前年同期比26%のアップとなっております。
次に、記録デバイス製品の売上高は383億円で、全社に占める構成割合は25.8%、対前年同期比16.8%のアップとなりました。
その主力であるHDD用ヘッドは、得意先からの評価が良好な40GB/P製品が主力になってきたということで、シェアも回復傾向にあり、売上を伸ばすことができました。その他、各種応用ヘッドにつきましては、得意先の生産調整もあって売上を減少させました。
結果、記録デバイス製品に占めるHDD用ヘッドの構成割合は91%、対前年同期比24%のアップ。その他各種ヘッドが残り9%で、25%のダウンとなっております。
電子素材部品部門中、最後になりますIC関連その他製品の売上高は41億円で、全社に占める構成割合は2.8%、対前年同期比18.1%のダウンです。通信インフラ関連の設備投資が依然として低迷しており、WAN/LAN用半導体の売上高は大幅に減少しました。
次に、記録メディア・システムズ製品部門です。売上高は305億円、全社に占める構成割合は20.5%、対前年比伸び率は2.1%のアップとほぼ横ばいです。基本的にはオーディオ等、従来メディアの需要減少にある売上減を、データストレージテープの新規格承認取得による販売増、あるいはレコーディング機器の販売寄与でカバーしています。
オーディオテープの構成割合は11%、対前年同期比19%のダウンです。需要の減少が更に加速しています。ビデオテープの構成割合は34%、対前年比4%のアップです。サッカーのワールドカップの効果もあって微増となりました。
オプティカルについては構成割合24%、対前年比2%のアップです。CD−Rは売価下落を数量増でカバー、DVDも徐々に販売が伸びています。データテープ、レコーディング機器その他の構成割合が31%、対前年比10%のアップです。データテープは新規格(LTO)承認取得で販売に寄与し始めています。
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弊社では、記録通信の分野を中期計画の中で重点分野と位置付けています。売上構成割合、対前年同期比伸び率をこの観点から申し上げます。
全社に占める記録分野の構成割合は45%弱、目標45%にほぼ近づいたとはいえ相対的なものであり、対前年比19%のアップです。HDD用ヘッドの回復が主因と言えます。通信の構成割合は目標20%に対して8%にとどまっています。対前年比26%の大幅ダウンとなっています。
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次に、先ほど報告しました電子素材部品部門の売上高1,182億円を100とした時の、分野別構成割合と売上高対前年同期比伸び率を報告します。
PC関連情報機器の構成割合は47%、対前年比18%のアップ。携帯電話を中心とした通信関連が構成割合9%、対前年比27%のダウン。AV関連が構成割合17%、対前年比3%のアップ。自動車分野は構成割合10%、対前年比20%のアップ。部品分野が構成割合7%、対前年比26%のアップ。家電は構成割合2%、対前年比16%のダウンとなっております。
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次に決算短信8ページのセグメント情報をご覧ください。
まず、事業の種類別セグメント情報ですが、電子素材部品部門の営業利益は、前年同期比30.6%増の55億円、記録メディア・システムズ製品部門は、前年比21億円プラスの5億円と、赤字から黒字に転換することができました。
電子素材部品部門では、記録デバイス製品のHDD用ヘッド回復の影響が大きく、電子材料、電子デバイス製品等は構造改革途上にあるということもあり、業績的にもいまだ回復途上の状況にあります。
記録メディア・システムズ製品部門の黒字転換は、2期にわたって構造改革をやらせていただいたことと、データストレージテープ等の注力事業が一部軌道に乗ってきたことの結果です。
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地域別売上高ですが、日本国内の売上高は前年同期比2%ダウンの425億円となりました。アミューズメント向けDC/DCコンバーターは好調でしたが、全般的に低調でした。
米州地域の売上高は前年同期比8%アップの292億円。記録デバイス製品のHDD用ヘッドの回復、記録メディア・システムズ製品部門のデータストレージの売上寄与で、電子材料あるいは電子デバイス製品等の減少をカバーしています。
欧州地域の売上高は、前年同期比16%ダウンの166億円と全般的に低調でした。同じ欧州内でも西欧から東欧へシフトが進んでいるように、中国進出等による地盤沈下が進んでいると考えられます。
アジア他の地域の売上高は前年同期比21%アップの604億円となりました。ほとんど全事業分野にわたって増収回復傾向にありますが、やはり記録デバイス製品のHDD用ヘッドの回復によるところが大きいと言えます。
この結果、海外売上高の合計が1,062億円、対前年同期比で10%アップとなって、売上高に占める海外売上高の比率は69%から71.4%へ、2.4ポイントの増加となっております。
なお、同じページの中段に、所在地別セグメント情報における営業利益がありますが、対前年同期比増減の動きは、今申し上げました地域別売上高の動きとほぼ連動しています。
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最後になりますが、決算短信4ページをご覧ください。2003年3月期の連結業績見通しをご説明します。
今回の見通しにつきましては、次の点を考慮させていただきました。前提となる対米ドルレートを期首では120円と見ましたが、円高が進行する中で、今回も第2四半期以降120円で見させていただいております。
部品業界を取り巻く景況については、年初以来、受注回復傾向にありましたが、6月以降鈍化が見られます。また、米国を中心とした経済の回復は脆弱さを内包して不透明。依然として部品業界を取り巻く環境は厳しいという認識をもって見込みを見直しました。
この結果、業績見通しについては、第1四半期の営業利益の見通しを前回40億円とご報告しましたが、実績は60億円ということで20億円のアドバンテージがあります。しかし、為替の動きが不確か、経済が脆弱で不透明であることを勘案して、第2四半期は前回の見通しどおり、売上高1,400億円、営業利益40億円、税引前利益30億円、税引後利益25億円。通期ではこの第1四半期のアドバンテージ分を増益とは見ないで、前回発表の通期の数字、5,800億円、200億円、170億円、130億円という数字を、全力を尽くして確保したいということで、結果的には、前回どおり変更なしとさせていただきました。
以上をもちまして、2003年3月期第1四半期決算概要、ならびに今期見通しの説明を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。